火薬の匂いがする僕の変わった青春   作:Maxner

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衝突

「で……とりあえずミレニアムに向かっているわけだけどプランは考えているの?」

 運転をしている日永さんに聞かれる。

「ひとまず向こうに着いたらカンナさんを残して我々は潜入します。そして私と日永さんは監視室に行って相葉さんたちの場所を捜索。便利屋の皆さんと綾乃さんは情報を集めてください。」

「わかったわ。」

「わかりました。」

 後部座席に乗っているアルさんとカンナさんが承諾してくれる。

「……もうすぐだよ。」

 外を見ると近代的な街並みが見えてくる。

 一面ガラス張りで、首を痛めてしまいそうな

「ここが……ミレニアム。」

 あまりの規模の大きさに驚嘆してしまう。

「キヴォトスで生まれる技術や物はミレニアム発祥だからね。そりゃこんなに繁栄するわけだ。」

 日永さんの言葉に耳を傾けながら外の様子を見る。

 ”オールイン”と私は出発する前に考えた。それは間違いない。

 もし私たちが死んでも後のことは外にいる仲間がどうにかしてくれるだろう。

 だが、それは最悪の事態を引き起こす。ただえさえ不安定な状況下にある今、外からの介入は終わりの始まりになる可能性が高い。

 となれば、私たちで解決するしかない。けど、少なくとも相葉さんたちの力がなければだめだ。

 『先生たちはどうする?』という問いに対してはこう答えるしかない。『どうにかする。』

 どうにかするためには今持っているリソースを全力で投入するしかない。

「……ついたよ。」

 車が止まる。

「降りましょう。」

 私たちは全員降りる。後ろのボロボロの車からは綾乃さんにカンナさんそしてほかの便利屋の人たちが降りてくる。

 ……道中で怪しまれなくてよかった。

「とりあえず中に入り込もうか。」

「カンナさん。あとはよろしくお願いします。」

 その言葉にカンナさんはうなずく。

「さて、どっから入ろうか。」

 すこし歩いてみると資材搬入口らしき場所が見える。

「あそこからいけるかな。」

「警備員が二人……。」

「綾乃、手伝って。」

「わかった。」

 日永さんと綾乃さんが走り出し、警備員を気絶させる。

そうして私たちは中に入ることができた。

「……結構あっさり行けたわね。」

「ええ。」

 アルさんがそう漏らす。てっきりもっと警備が厳重かと思ったんだけどな。

その時、誰かが来るのが見えた。

「隠れないと。」

 私たちは資材コンテナの後ろに隠れる。

 足音は2つ。コツコツと誰かが近くに来る音がした後、ぴたっと止まる。

 「ふう、異常なしと。」

 私たちと変わらない少女の声。

「心配しすぎだよ。ここにはツルギ先輩も来ているんだから心配ないって。」

 ツルギ……?

 そのあと足音はだんだん遠ざかっていく。

「先輩、ツルギって。」

「間違いなく正実のツルギだろうね。さっき見たらあの子たち正実の制服だったし。」

 日永さんが答えてくれる。

「さてと、ここらで二手に分かれようか。」

「そうね。また後で。」

 アルさんたちと別れ私たちは監視室に向かう。

「さてと、マップでも見ますかね。」

 日永さんは近くのあるマップに目を向ける。

 私も一緒に見てみる。ええと……あった。

「どこにも書いていないね。データタワーにあるかもだから、ひとまずそこにいこう。」

 私たちはまた歩きはじめる。

息を潜め、周りの様子をうかがいながら進んでいく。

「和田くんはさっきの二人、どう思った?」

「足音の間隔が一定であったことからよく訓練されているのかなあ。なんて思いましたが……。」

「私もそう思う。あの二人はよく訓練されている。きっと正実にある部隊の中でも上澄みだろうね。それがここにいるってことは。」

「……警備は私たちが思っているよりも厳重ってことですか。」

「そのとおり。」

 10分ほど歩いただろうか。なかなかに高いビルが見えてくる。

「あそこがデータタワー。準備はいい?」

「はい。大丈夫です。」

「とりあえず君が持っている銃は使わないで。私が全部やるから。」

 コクリとうなずき、裏口から入っていく。

「さてと、監視カメラがある以外何も変わったところはなさそうだけど。」

日永さんの言う通りで一般的な建物と感覚は変わらない。

 監視カメラを避けながら右へ左へと行く。途中警備ロボットにもであったが問題ない。

「……ここにミレニアムのサーバーが集まっているわけですよね。」

「そうだろうね”データタワー”なんて名前がついているだろうし。」

そこで少し考える。

「……これを使います。」

 スーツの内ポケットからあるものを取り出す。

「それは?」

「KVMスイッチと言われているものです。よく無線式のマウスと使うUSBのようなものがありますよね。それとだいたいおなじものと考えて構いません。これをサーバーに直差しして監視カメラを乗っ取ります。」

「OK。となると……こっちかな。」

日永さんの後についていく。この人はマップ

「ここだね。」

 『サーバールームにつき関係者以外立ち入り禁止』と書かれた扉を見つける。

 私はカードキーの読み取り機をいじくりまわし中に入る。

「普通サーバールームの扉のセキュリティイがザルなんてことある?」

「……まあ、怪しいといえば怪しいというか。」

 考えても仕方ないのでとりあえず中に入りKVMスイッチを差す。

「これで監視カメラとかが操作できるようになるのかい?」

「はい、そのはずです。」

 そして私たちが外に出たあと、私はタブレットを起動する。

「さてと、メイ。」

『はい。』

 タブレットに入っているAI『メル』を起動する。

「”エヌジル”起動。」

『了解。”エヌジル”起動します。』

 そうして数秒したのち、『管理権限取得成功』との文字が画面に表示される。

「よし。日永さん。相葉さんの画像をBluetoothでこっちのタブレットに送ってくれませんか?」

「いいよ。」

 日永さんは画像をタブレットに送る。

「メイ、送られ来た人物と監視カメラの映像を照合して。」

『わかりました。実行します……完了しました。該当する人物は2時間前ミレニアムタワーの玄関口に入っていきました。』

「よし。綾乃聞こえる?」

『聞こえているよ。』

 通信機越しに綾野さんの声が聞こえる。まだ相手にばれていないようでよかった。

「ミレニアムタワーに向かって。相葉達はそこにいる。」

『了解。』

綾乃さんは手短く答える。

「私たちもいこう。」

「そうですね。」

 私たちもミレニアムタワーへと向かう。

「いたよ。綾乃たち。」

 右を見ると茂みのむこうに綾乃さんたちがいる。

「きたきた~。」

「ムツキさん、遅れてすいません。」

「いいのいいの。」

 ミレニアムタワーの正面玄関には警備の生徒が数十名いる。

「正実と風紀委員会?どうなっているの?まあ、エデン条約の一件があるっちゃあるけど……。」

 日永さんが驚きの声をあげる。

「見たところ風紀委員会と誠実がそれぞれ3個中隊はいて、統率もよく取れてる。それとアビドスの人たちもいる。」

カヨコさんが言う。

「トリニティとゲヘナが手を組んで仲良く警備か。」

「どうする?正面突破は面倒くさそうだけど。」

 少し考える。

「メイ、ミレニアムタワーのどこにいるかはわかる?」

『照合中。結果、不明。』

「わからない、か。」

「わからないことがわかるというのも大切ですよ。」

 日永さんにそう言いつつもあせる。

 どうなっている……

「中にある監視カメラをはじめとするシステムは独立したサーバーを持っている。とすれば。」

「直に見るしかないってことね。」

「ご明察ですアルさん。」

 あれ、警備があわただしくなってきた。

「なにが……あっ。」

 声を上げそうなアルさんの口をカヨコさんがとっさに抑える。

「相葉さん……。」

 ミレニアムタワーに玄関口から鎖につながれた相葉さんが出てくる。

 いや、瀬名さんと真宮さんもいる。

「なんででしょうか……。」

 驚いていたのは私だけではないらしい。ハルカさんが声をもらす。

そしてその後ろには強そうな人が二人。

一人は黒と赤のセーラー服。もう一人は短いスカートとコート。

「まさか最強委員長二人のご登場か。豪華な護衛だ。」

 綾乃さんが消え入るような声で言う。

おおかた、先生たちの計画では私たちをミレニアムに誘導させて袋叩きにするつもりだったのだろう。

けど、私たちが想定よりも早く来ることは考えていなかったようだ。

「さて、和田くん。今仕掛けるかい?それとも護送中で仕掛けるか。」

私は先生の言葉を思い出す。

『君たちは私自ら屠るよ。』

『アントテクネはギヴォトスのガンだからだよ。』

 『君たちはもう生徒じゃなくて道端で干からびていくネズミだ。そのままおとなしくジリジリと殺されなよ。』

「違う……。」

「違うって何が?」

カヨコさんが聞く。

「あの二人は護送のために来たんじゃありません。トリニティ、ゲヘナの代表として相葉さんたちの処刑を見届けるために来たんです。」

「そんなまさか。」

「許すつもりはない。日永さん、先生が言ったことを覚えていますよね。」

「……たしかに、護送車らしい車もないしね。」

 そのまま様子を観察していると相葉さんたちは座らせられる。

 そして、一人の男性が出てくる。

「先生だ。」

 日永さんが短く言うそして私は先生が持っている銃を見て驚く。

「……そんなはずが……。」

「どうしたの。」

「符号型HVIP(高速徹甲弾)禁術術式を施された弾丸?いや、それよりも。」

 私の言葉に周りの人たちはポカンとする。

「ちょっと何言っているのかわからないんだけど、その……符号六式ってなに?APHEはまだわかるんだけど。」

「大事なところだけ言うと、禁術っていうのは外の世界で使用禁止になっている術式のことで、さっき言った術式は簡単に言うとめちゃくちゃ強い貫徹力を銃弾に付与できるやつです。」

「……あ、あれで頭を撃たれたら。」

「キヴォトスの人でも耐えられるかどうか……。」

 ハルカさんの顔色が真っ青になる。早く……早くいかないと。

「よし、同時に仕掛けるよ。」

私は持っているショットガンを握りしめ、合図を今か今かと待つ。

「1。」

 姿勢を前のめりにする。

「2。」

 短いスカートとコートを着ている少女がこちらに銃を向けてくる。

「散開!」

 銃弾が飛んでくると、私たちは横に飛ぶ。

さっきまでいた場所には大きな溝ができている。

「さてと、目標は先生の確保と相葉さんの救出です。張り切っていきましょう。」

 そう日永さんに言う。

「OK。じゃ、行こうか。」

正面から突っ込み、なるべく注意を引き付けようとする。

「ひゃっはあぁぁぁぁっ!」

 それを黒いセーラー服を着た人が止めにかかる。

 「摂理型五式RM(蘇生法)ならびに反律演算型Physicalβ05,γ14,δ22,ε31発動。」

 全力をもって受け止める。

「相手してやんよ虫けらども!」

 そのままショットガンを撃ち込まれるが術式のおかげか致命傷にはならない。

私はそのまま横に飛ぶ。

 「反律演算型術式”反重力界”発動。」

 そのまま相葉さんたちを引き寄せようとしたが一人、その間に誰かが入ってくる。

 誰!?

「やらせねえ。」

「あーもう。」

 慌てて術式を解除する。

「オラッ!」

 だかその人は勢いに任せて私の頭を蹴る。

そのまま転がり体勢を整える。

 私を蹴った人はメイド服を着ていて身長は私と同じくらいだろうか。

……アルさんたちはほかの相手をしてくれているみたいだけど四方八方から増援が来ている。

「……そこの君、小細工をしようとしても無駄だよ。」

 先生が話しかけてくる。

「君たちが勝てる確率なんてない。」

 冷たく、どすの利いた声。

「あなたは自分のことをシャーク(格上)と考え、私たちのことをドンキー(格下)と考えているようですね。」

 ならば……

「カンストまで戦いましょう。」

「上等だ!」

 私の宣誓にメイド服の人は答える。そして私たちは再び向き合った。




どうもこんにちは。執筆から逃げていた筆者でございます。
さて、今回は2つお話することが。
一つ目。和田くんは勝負事の時よく賭け事の用語を使いますがこれは過去の経験に基づいています。
そして2つ目。術式についてですがこれはあの人の『儀式』という単語から着想を得た本作品において完全オリジナルの設定になります。なんかやっているな~程度に思ってくだされば幸いです。

原作キャラの口調は合っていると思いますか?

  • とても合っている
  • まあまあ合っている
  • 普通に合っている
  • あまり合っていない
  • 絶望的に合っていない
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