さあ、どう出る?
死角からの攻撃?
射程外からの攻撃?
小隊からの一斉射撃か?
私は身構える。
「君が考えていることを当てようか?」
先生は大胆不敵にほほ笑む。
「大方、これからの展開を予測しているところだね。」
「ご明察です。」
「なら教えてあげよう。」
先生は手を高く上げ、そして振り下ろす。
「これから起こるのは、君が想定している事
背中に何か太く、熱いパイプが当たったような感覚。そのあと鼓膜が破けそうな小銃の発砲音。
私はとっさによけるがどうしても食らってしまう。
そしてひとたび隙を見せれば――
「オラァ!」
目の前の少女が私に蹴りと弾丸をねじ込んでくる。
アルさんたちはあの強い二人、そしてその取り巻きと戦っている。
「よそ見は危ないよ~」
声が聞こえたのと同時に私はまたもや吹っ飛ばされる。
声の主はピンク髪の少女。
「ごめんね~おじさん、ちょっと眠ってくれるとうれしいな。」
口調は温和、けど圧は尋常じゃない。
そして私は悟る。
この人たちに手加減などしようものならコンマ一秒後にはあの世だ。
「すみませんが、それは無理なお願いです。」
抗う術がないほどの武の力、それが何だというのか。
反律演算型術式”反重力界”発動。
私はピンク髪の人を飛び越えアルさんたちのところへ行く。
符号型術式”錠縄”発動
みんなを縛り上げ回収する。
「さっちゃん、助かった。」
「ありがとう。」
「お礼は後で聞きますので、アルさんたちははとにかく走って。」
アルさんたちが走り出したのを確認して私は彼女たちと向き合う。
「自分だけ残るなんてそりゃあないよ。」
しかし、日永さんは走らなかった。
「ここまで来たら地獄まで付き合わせて。」
日永さんが言う。その口調はまるで親にねだる子供のようだ。
「けど……。」
「心配すんな和田。アルさんたちは責任をもって保護する。」
相葉さんが私に向かって言う。
その言葉に私はハッと笑ってしまう。
「もう捕まらないでくださいよ!」
「生意気な後輩だな。」
そして相葉さんたちは去っていく。
「別れの言葉は済んだのかしら?」
目の前いるコートを羽織っている少女が聞く。
「ええ、おかげさまで。」
「そう。よかった。」
彼女たちの後ろには続々と人が集まっている。
「さてと。」
符号術式戦闘用第二種第一目発動。
そして私と日永さんは走り出す。
「申し訳ございませんが……どいてください!」
私はピンク髪の少女をけん制し、先生に向かって突進する。
アルさんたちを無事に逃すにはどうすればいいか?単純明快。相手の最重要人物にべったり張り付いてしまえばいい。
符号型術式”錠縄”発動。
先生を縛り上げ、そのまま担いで逃げる。
「てめえ、待て!」
やっぱり想定通りだ。術式なんてものがなくても生身で弾丸を防ぎ、高い身体パフォーマンスを出せる彼女たちは術式を使わない、ましてや見る機会がない。奇想天外さについてはアドバンテージがあるのだが……。
「逃がさないわ。」
コートを羽織る人をはじめとしてピンク髪の人もメイド服の人も正確に私だけを打ち抜こうとする。
符号型術式”氷月”発動。氷の弾丸を飛ばして足止めしようとするがそれでも彼女たちは止まらない。
「日永さん、パス。」
「おっと。」
振り返り、追ってきたメイド服の人に肉薄する。
「諦めたか?」
「まさか。」
そのまま近接戦に移る。
左ストレートを打ち込むがそのまま躱され、代わりに三発のパンチと顔面に一発の右蹴りを入れられる。おかしいな、あっちは術式なし、こっちはありなのに。
鼻血が出る。そして腹がズキズキと痛む。
……どうして彼女たちはここまで強い。
そうこうしているうちにピンク髪の人が肉薄してくる。
「よっと。」
突然日永さんの声が聞こえたかと思ったら私はさっきいたところよりも後ろにいた。
「まったく、君ってどこまで優しいんだい?」
あきれた声で日永さんが言う。
「ネル!ホシノ!この二人に手加減しなくていい!私ごと巻き込む覚悟で――。」
「黙れ。」
日永さんは先生の首を締め上げ気絶させ,
その様子を見た相手の顔が険しくなる。
「君たち二人は私の大切な後輩を傷つけた……二度も付けられると思うなよ?」
気絶している先生を日永さんはポンと私に渡す。
「行って、あとはよろしく。」
ニコッと笑い、有無を言わせぬ目でこちらを見てくる。
「ですが。」
「行って!」
もう私ができることはできないらしい。
「わかりました。」
ただ、それでもやれることはやる。
符号型支援術式α,βならびに摂理型五式支援RM発動。
「日永さん、あなたに今治癒能力と物理強度向上、そして1回だけ致命傷を受けても復活できる術式をかけました。
無理は禁物ですよ。」
そしてそのまま私は逃げる。
まただ、何もできなかった。大口をたたいたくせに。
後ろからはおびただしい数の銃声と日永さんの怒声が聞こえる。
涙と血を拭い、前を向いて走り続ける。アルさんたちはすぐに見つかった……彼女たちもまた足止めを食らっていた。こっちもこっちでものすごい人数だ。
先生を片手に包囲網に弾丸を打ち込み、無理やり中に入る。
「アルさん!大丈夫ですか!」
「私は大丈夫だけれども……。」
アルさんが困った顔で見つめる先には一台の人型のロボットがいた。
ロボットは一人乗りで操縦者はVRゴーグルのようなものをつけている。
……いや、あれはパワードスーツか。
「あれについて何かわかることは?」
アルさんに聞く。
「おかしな感じなの。」
「おかしな感じ?」
「攻撃が全く当たらなくて、全部見切られているような感じがするの。」
私はよーく目の前にいるパワードスーツを見てみると、目の前にあるパワードスーツにあるものが込められていることを発見する。
……まさか。
「符号型演算術式神型!」
と符号型動力供給術式神型……なんてこった。あのレベルの術式が付与された演算回路とエネルギーがあったら未来視なんてやすやすとできるじゃないか。
あまりのチートに白目をむいてしまいそうになる。
「犯人に告ぎます。手を頭の上にのせて投降してください。」
うさ耳を付けた人が言う。
「和田、前言ったこと覚えているか?」
「え?」
相葉さんに前言われたこと……。
「『絶対に怯むな。最後まで戦え。もし煽られたりしたら言い返せ。外の世界からきたからって何もできないわけじゃねえって奴らに教えてやれ』。あいつらはお前のことをなめているんだよ。」
一呼吸おいて続ける。
「ほら見てみろあいつの顔、『早く投降しないかな~。いっそのこと襲ってきてくれればぶっ叩けるのにな~。』なんて考えてる顔していると思わないか?」
いや……していないと思う。
「おっ今度は『やかましい元先輩だな』って思っている顔になったぞ。」
「無駄口をたたかずに今すぐ投降しなさい!」
「ほら違うじゃないですか。」
今度こそ死ぬ。いや、1回までなら大丈夫だけど……。
「っつたく、おまえ『郷に入っては郷に従え』って知らないのか?」
「知ってはいますが……。」
「お前の持っている銃は殺人兵器じゃなくて日用品なんだよ。喧嘩でバカスカ使っていいんだ。つまり、こういうことなんだよなぁ!」
相葉さんはうさ耳を付けた人に突進し、そのまま銃をたたきつける。
「暴れろ和田ァ!外の世界からきたからって何もできないわけじゃねえって奴らに教えてやれ!」
「……わかりました。アルさん。」
「何かしら。」
「私はあのパワードスーツをどうにかするので他をお願いします。」
「わかったわ。任せて頂戴。」
さてと、あのレベルの術式を込められているとなると骨が折れるぞ。
考えている間にも相手は気苦労も知らずガトリングガンを打ち込んでくる。
まずは物量で攻める。
符号型術式”氷月”発動。数百もの氷の弾丸で攻める。
同時に反律演算型術式”反重力界”発動。周りに重力場を発生させて動きを鈍らせる。
そして符号型術式HEAT術式をあらかじめ装填しておいたスラグ弾にかける。
「沈め。」
私は渾身の一撃をぶっ放す。その一撃はパワードスーツの右肩を貫く。
これで右肩のガトリングガンは使えなくなった。
相手は一瞬ひるんだ。これで十分。
符号型術式”霧隠れ”発動。あたり一帯が霧に包まれる。
「アルさんたち!逃げますよ!」
その言葉にアルさんたちが走り出す。
それと同時に辺り一帯に爆発が起きる。
「相葉さん!」
相葉さんの全身という全身から血が噴き出ている。
「ゲホッ……大丈夫だ。」
追手がすぐさま来る。
「右に走って。」
カヨコさんが言う。
「わかりました。」
意図が理解できぬまま右に曲がり道路を横切る。
「走り続けてね。」
それと同時だった。道路に泊まっていた車が一斉に爆発し、どんどん追手との距離が離れていく。
「よし……って言っている場合じゃない!」
目の前には一機の武装ヘリコプターが。
「任せなさい。」
アルさんは片手でスナイパーライフルを構えヘリを打ち抜き撃墜する。
「ナイショ。」
相葉さんがそう漏らす。
そして近くに車が止まり、窓が開く。
「こっちだ!」
窓からカンナさんが叫び、みんなが乗り込む。
「佐和くんも早く。」
カヨコさん、気持ちはうれしいんだ。けどね。
「ここでお別れです。」
カンナさんの目を見て言うと、彼女は察してそのまま車を走らせる。
「さてと。」
私は一気に走り日永さんのところへ向かう。
早くいかなければ手遅れになる。そしてだんだんと彼女の姿が見えてくる。
「……嘘だ。」
彼女の服は血まみれになっていて横たわっている。
「どいて!」
私はなりふり構わず突進し日永さんを抱き上げ回収する。
「和田……くん。」
「しゃべらないでください。」
死戦期呼吸……このままじゃ死ぬ。
支援術式をかけても気休め程度にしかならない。
「先生をどこに連れて行ったの?」
ピンク髪の人が聞いてくる。
「それをお話するわけにはいきません。」
ここで屈してはならない。
「おい、サッサと吐かないと全身の骨を折るぞ。」
黒と赤のセーラー服の人が言う。
後ろも前にも相手がいる。
重症人を抱えたまま逃げ切るのはゼロに近いかな……
「なら!」
私はミレニアムタワーに向かって突進する。
彼女たちは予想外だったのか反応が遅れる。
「待て!」
待てと言われて待つ人はいませんよ。
メイドの人の怒声を聞きつつも屋上へと駆け巡る。
しかし思ったより中の警備はおざなりだ。
私たちを追いかけるのに出払ったのか。
「ふう。」
私は屋上に出る。後ろにはもう彼女たちが追いついてきている。
「さて、もういいかな。」
どたどたと足音が聞こえたのを確認すると飛び降りる。
「よっと。」
反律演算型術式”反重力界”発動。そのままふわっと降り立つ。
上を見上げるとそのまま私と同じように降りて来ている人がちらほらいる。というか一人飛んできている人がいるのだが……
まあいいやと思いそのまま逃げて、日永さんのケータイでカンナさんに電話をかける。
「私だ。」
「カンナさん。今から言う場所に車を回していただけませんか?」
「わかった。」
ふう、と息を吐く。
あれ、日永さんの容態がさっきよりも良くなっている?
「和田!」
カンナさんの車がすぐに来る。私はすぐさま乗り込む。
「とりあえず隠れ家までよろしくお願いします。」
「日永は……。」
「大丈夫です。隠れ家で様子を見ます。」
「そうか、舌を噛まないようにな。」
そうして私たちの勝ちで終わった。
いや……勝ったのか?
原作キャラの口調は合っていると思いますか?
-
とても合っている
-
まあまあ合っている
-
普通に合っている
-
あまり合っていない
-
絶望的に合っていない