車は隠れ家に着く。
「着きましたよ。」
「はい……。」
「どうされましたか?」
「えっ?」
「なんだか様子がおかしいですよ。」
「そう、ですかね。ハハ……疲れているからかもしれないです。」
カンナさんに笑顔を向け、日永さんを中に運ぶ。
おかしい、明らかにおかしい。もしあの時彼女たちが本気で向かってきたら今頃消し炭になっているし、彼女たちはそれができることを自覚しているはず。
「ただいまです。」
「会長……。」
「守ることができませんでした。申し訳ございません。」
重態の日永さんを見て言葉を失う相葉さんに頭を下げる。
「いい、いいんだ。そういうことには……慣れている。」
慣れているように見えるが彼女の手は爪が掌に食い込みそうなほどに握りしめられている。
「皆様、お怪我のほどは。」
「みんな大丈夫よ。」
アルさんが便利屋を代表し答える。
「ところで、肝心の彼はどこに?」
「あそこに縛り付けている。」
相葉さんが指し示した場所には椅子に縛り付けられている先生がいる。
「外傷はありますか?」
「ないな。五体満足だ。」
先生はちらっと見るととどこにでもいる20代の人という印象だ。この人が私たちを殺そうとしたのが信じられないほど。
ふーん。なるほど。
「……もう起きていらっしゃるんですよね。寝たふりは通用しませんよ。」
「気づいていたのかい?」
「ええ、呼吸のリズムと雰囲気で。」
先生は顔を上げ、私を見つめる。
「初めまして、アントテクネ生徒会所属の和田佐和です。」
「おかしいな、君の名前は名簿に載っていなかったはずなんだが。」
「最近来たばかりでしたから。」
先生は目をぱちくりさせ私をまじまじと見る。
「そうなんだね。」
先生は次にカンナさんの方を見る。
「カンナ。君はなぜ彼らに協力したんだい?」
「それは……もう私は自分を曲げたくないからです。」
目を伏せカンナさんが答える。
「便利屋のみんなは?」
「依頼されたからよ。それ以外に理由はないわ。」
今度はアルさんが短く答える。
さて、こっちが質問する番だ。
「
先生が襲撃されたあの日、何が起こったのか話していただけませんか?」
「時間がない?」
アルさんが聞く。
「……もしかしてあなたはここに追手が来ると予想しているの?」
「その通りですカヨコさん。不思議に思いませんでしたか?彼女らの戦い方が。」
「確かにそれは思った。こっちは少人数で人的有利は確実なはずなのに物量で畳みかけてこなかった。」
さすがはカヨコさん。
「和田くん、君は何か考えているかもしれないけど私が物量に任せて攻めてこなかったのは便利屋のみんなは対集団戦がこなせるからだよ。」
「であるならば、どうして日永さんを殺さなかったんですか?」
「それは……。」
「あなたは相葉さんたちを殺そうとしたのに日永さんは殺さなかった。」
先生は黙り込む。
「まあ、大方想像がつきます。相葉さんたちを餌にして私たちをおびき寄せ救出に来た私たちの戦力を減らし、そして今にも第二波の攻撃を仕掛けようとしている。違いますか?」
「……ご名答。そうさ、今にもここに全員が乗り込んでくる。風紀委員会、正義実現委員会、アビドスそのほか大勢の強者が。」
「なら死にゆく者への餞別として、あなたがあの日見た
「薄ら笑いを浮かべた……男?」
先生は考える顔になったらと思ったら急にもがきだす。
まったくあの男は。
「な、なにが起こって。」
「あの男、何らかの方法を使って記憶を制御しているようですね。」
「き、記憶を改造?」
ムツキさんがあり得ないという表情を浮かべる。
「そうなるのも当然です。」
私は先生と目を合わせる。
「先生、私の目をじっと見ていてください。」
「ウグッ……。」
しかし先生は半狂乱になってしまう
「ダメみたいですね。」
仕方ない。
「綾乃さん。頭を押さえていただけますか?」
「あ?ああ。」
よし、抑えてくれたおかげでやりやすくなった。
「私の目を見続けて。」
やっぱりだ、あの男は術式をかけている。しかも私が知らない理論で。
「仕方ない。緊急事態につき符号型禁術術式・精神安定発動。」
一か八かだ。これが失敗したら最悪廃人になる。
「はあ、はあっ。」
「先生頑張ってください!あなたは年ごろの少女に下着を履いているか履いていないか聞く精神力はあるんですから!」
え?何しているのこの人?生徒にそんなこと聞く?
「うっ……カンナ……いままで私は一体何を……。」
これで戻るんですか先生?え?マジですか?年ごろの少女に下着を履いているか履いていないか聞く精神力はあると励まされて復活するんですか?
「先生!」
「便利屋のみんな、どうしてここに?」
マジで戻っているよなんで?
「気づきましたか。」
「カンナ、私は何を……。ってそこの二人は?」
「アントテクネ生徒会所属の和田佐和です。」
「同じくアントテクネ生徒会副会長の相葉ナオです。」
「どうも、シャーレの先生だよ。」
先生は平然と自己紹介をする。
「ええと、どこまで覚えています?」
「う~んと襲撃されたときまで。」
「私たちを殺そうとしていたことは?」
「殺……す?」
先生が固まる。無理もない。
「あなたは我々アントテクネの関係者を葬ろうとしたんですよ。」
「そんな……。」
先生が涙を流す。
「そしてあなたの命令を受けたあなたの生徒が今頃私たちを殺すためにこっちに向かっているでしょう。」
「私は、どうすれば。」
「じっとしていてください。ああ、皆様も。」
「わ……私たちも?」
ムツキさんがきょとんとした顔で聞く。
「はい、瀬名さんと真宮さんはどこに。」
「ここにずっといるんだが。」
「瀬名さん、すみません気づきませんでした。」
「ええ……そんなに影薄かったですか?」
「真宮さんもすみません。」
本当にすいません。
「まあ、それだけ集中していたってことだけど。で、動かないでって……。」
「いや、そろそろかと。」
壁が破壊され、誰かが入ってくる。
「手を挙げろもう逃げ場はお前らに残されていないぞ!」
ウサギのヘルメットを着けた人が言う。
周りにはあのネルさんもホシノさんもいる。
「サキ、待ってくれ!」
「待ってくれ?先生どうしたんだ。あなたの作戦通りに動いているだけだぞ!」
「違うんだ。」
先生はどうにか彼女らを説得しようとする。
「無駄ですよ先生。彼女らにその言葉は通じません。」
「なぜ!?」
「もう一つ質問をします。あなたを襲った男を見たのは一回だけですか?」
「私の覚えている限りだと……いや、違う!そのあとにも見て私と一緒に行動を共にした!」
「先生!何を言って。」
さてと、もう茶番はおしまい。
「そろそろ出てきたらどうですか?
大声を張り上げて言う。
「こそこそ隠れて箝口令を敷くのも苦労したことでしょう!彼女たちと私たちが全力でぶつかり合う死闘をあなたが見逃すはずはない!今、見ているのはわかりますし先生の代わりに指揮しているのはあなたでしょう!さあ、姿を現してください!」
その時、彼女たちの間をかき分けあの男が、今回の黒幕が出てくる。
「や、元気にしていた。」
「おかげさまで。」
「江野さん。あなたが今回の黒幕ですか?」
先生が目の前にいる江野――いや、ベックスに話しかける。
「ま、そうですね。しかし和田くん、さすがだね。僕の仕掛けた精神魔法に気づいて解くとは。」
「魔法?ハッ、
「ふふっ、君はだから面白い。ああ、ちょっと周りには眠ってもらおうか。」
彼が指を鳴らすと私たちと彼を残してほかの人たちは全員倒れる。
「で、そろそろ教えてくださいよ。今回の騒動を起こした理由を。」
「ないよ。いや……あるか。『泣き叫ぶ顔が見たかったから』とか。」
この男は昔から変わらないな。
「あなたの場合それもあるでしょう。ですが、それだけではないはずです。」
「根拠は。」
「あなただから。」
「さすが、よくわかっているね。私が手塩にかけて
ぎゅっと手を握る。いやな記憶をあぶりだされるな。
「さて、私が何をやりたいかって?簡単さ、キヴォトスを美しく破壊して君と決着をつけたいんだ。」
「それは無理でしょう。あなたの足元にいる少女全員が敵になるんですよ。」
まったく荒唐無稽な論理、だが目の前の彼はそれをたやすくやってきた。
だからこそ真意がつかめない。
「いいや、それはならないよ。今から彼女たち全員『反転」させるから。」
「は?」
恐怖の世界?
「それだけじゃない。デカグラマトンのパス、複製の秘儀、「聖徒の交わり」全部を使って絶望を与える。」
……何を言っているんだ。
「黙れ。」
先生?
「おー怖……くないか。君なんて脅威じゃない。」
彼は無表情に告げる。
「んじゃ、あとは頑張って。」
彼は……消えた。どこに行ったんだ。
「先生?」
「彼らが言っていたのってどういう。」
「……逃げるんだ。」
「何を言って……。」
「縄をほどいてくれ。あとは私一人でやる。逃げてくれ。」
彼女たちの様子を見ると淡い赤色の光を漂わせている。
「は?」
そして光の柱が立ち上り、消えたかと思ったら、彼女たちはただならぬ様子で立ち上がる。
「なにが……起こって。」
アルさんが呆然とする。
「早く逃げて!」
「先生。」
何度も逃げた私に何ができようか。
「
けど、ここで逃げていいものか。
「だが。」
「問題ありません。」
私は刀を抜く。
「現時点で国家・組織レベルの壊滅的被害があると断定。これより無制限使用による対応を開始します。」
さてと、
「皆さん。後ろを任せても。」
「オッケーだよ。」
「日永さん!?」
もう起きたんですか?
「大丈夫、やろうか。」
「はい。」
ふう、さてと
「さて、まず全員治してやる。」
さあ、最終章突入です。
原作キャラの口調は合っていると思いますか?
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とても合っている
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まあまあ合っている
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普通に合っている
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あまり合っていない
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絶望的に合っていない