「奥田」
テストが終わりE組にとって平和な日々が過ぎていたある日の放課後、俺は奥田に声をかけた。
「は、はいっ」
「聞きたいことががあるんだが今、時間大丈夫か?」
「はい…大丈夫です」
「そうか、それじゃあ単刀直入に聞きたいんだが、殺せんせーの体内はどうなっていると思う?」
「た、体内、ですか…?」
俺の質問の意図がわからなかったのか奥田は首を傾げるが俺はかまわず尋ねる。
「毒殺を計画した時に奥田は水酸化ナトリウム、酢酸タリウム、王水の3つを殺せんせーに渡した。水酸化ナトリウムはアルカリ性、王水は酸性だ。特に王水は貴金属すら溶解させる強酸だ。それらを無効化した殺せんせーの体内に着いてどう思う?」
「あっ」
「どうした?」
「い、いえ、そうですね…」
俺の質問に奥田は挙動不審になりながらもそう言って考え込んだ。さっきの態度からして考えていなかったようだが今考えているんだ兎や角言う必要はないだろう。
「…考えられるのは殺せんせーの内蔵が触手から出ているものと同じ粘液で覆われていて効かなかった可能性です。ですが、そうだとすると私が渡した毒を消化した器官の謎が残ります。もし、私たちと同じく消化液を持っているとしてもアルカリ性、酸性の両方を無効化出来るとしたら中性でなければならないのでそうなると消化液とは言えません。消化液は酸性の液体なので殺せんせーの消化液が3つの毒が効かないほどの強力な酸性の液体であった場合、私が渡した毒は効きません。すみません…私にはこれくらいしか考えられません」
「やっぱり、そうだよなぁ…」
奥田の答えに俺はそう呟いた。奥田の答えはほぼ俺と同じ答えだった。答えの出ない問いを解いているようで頭が頭がボーとしてくる。
「ですが、そこまで強力な消化液を持っている生物なんているんでしょうか…?」
「いる。殺せんせーは省くとして代表的なのはハゲワシだな。彼らの胃酸のpHは1だ。人間にとって有害な…例えば硫酸なんかもハゲワシからしたらサルサソースみたいなものだ」
「そうなんですね…生物、お詳しいんですね…」
「法人類学の次に好きな分野は生物だからな
………………………………………………っそうか!!」
以外そうな顔をしている奥田にそう応えながらも俺はある考えを思いつき教室を飛び出した。
「あ、あの、どうしたんですかっ!?」
急に教室から飛び出した俺に奥田が声をかけてくるが気にしている余裕がなかった。今は失敗でも成功でもいいからこの考えを殺せんせーに試してみたい。
「烏間先生!!」
好奇心を抑えて俺は教員室の扉を開け放った。
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「それじゃあ、よろしくお願いします」
教員室に入った俺は烏間先生を外へ連れ出して話しを終えるとそう言って頭を下げた。
「あぁ、明日までに準備は整えておく」
「よろしくお願いします」
烏間先生にそう応えて俺は教室へと戻った。
「おっ、戻ってきた」
「結城、さっきはどうしたんだよ」
「結城君…」
教室へ戻ると前原、磯貝、矢田がそう言って近寄ってきた。あの時は興奮して周りを見ていなかったが注目を集めていたらしい。
「大丈夫だ、何も心配ない」
俺は不安そうな表情で裾を掴む矢田にそう言い磯貝や前原、クラスの連中を見て話す
「手伝って欲しい事がある。殺せんせーの暗殺計画だ」
「暗殺計画…?」
「と言うか、結城が頼み事って珍しいな」
「なになに?」
「結城の計画?」
俺のセリフに磯貝と前原を筆頭に片岡、岡野達、以前一緒に暗殺をしたメンバーが集まってきた。
「どう言う計画で暗殺するの?」
「協力してくれるのか?」
「当たり前だろ」
協力的な態度をみせる矢田にそう言うと磯貝がさも当たり前のようにそう言ってきた。
「お前は前に殺せんせーの触手を切り落としてるからな」
「そんなお前の計画なら誰の暗殺よりも殺せるかもしれねぇからな」
「期待値は誰よりも高いよね」
「千葉君や凛花達はどうする?」
磯貝や前原、岡野のセリフに頷く片岡が千葉や速水を初めとする前回一緒に暗殺をしたメンバー以外に声をかけた。
「私はやるよ、結城は実績持ってる暗殺者だしね」
「私も」
「俺も」
「うん、結城君の口ぶり的に頭数が必要なんでしょ?だったら協力するよ」
「俺もやるぜ!」
「私も参加します。結城君がどんな暗殺をするのか気になるから」
「みんなヤル気か…じゃあ、私も!クラスで団結ってなんか少年マンガっぽい!」
「俺もやるよ」
「僕も協力しよう」
「わ、私も参加します!」
「あはは、みんなヤル気だね〜。俺も参加しようかな、結城クンがどんな計画を立てたのか興味あるしね」
最後にカルマがそう言って参加してくれる事になりこれでほぼ全てのクラスメイトがそろった。
「ありがとう」
俺の立てた作戦には頭がどうしても必要だった。前回の俺の暗殺はかなり運が良かった部分が大きいがその暗殺が結果的にメンバーが参加する理由になっている。
やっていて良かったと心底安心しながらも俺は参加してくれるメンバーにそう言う。しかし
「寺坂達はどうする?」
寺坂や吉田、村松、狭間は何も言ってこない。この作戦は頭数は多ければ多い程いい。正直見込み薄だが聞いておくに越したことはない。
「断る」
「俺も」
「俺もパス」
「私も」
「理由を聞いても?」
答えは予想通りだったがこれだけは聞いておかなければならない。寺坂、吉田、村松は潮田を使って暗殺を仕掛けた事がある以上、暗殺に消極的だと言う訳ではないはずだ。なら、断る理由が何かあるはずだ。
「お前が嫌いだから」
「は?」
しかし、寺坂の答えは俺の予想外の答えだった。
「それが理由か?」
思わず声が出てしまったが俺は寺坂にそう尋ねた。
「あぁ、それが理由だよ。誰が好き好んで嫌いな奴に手ぇか手ぇ貸すかよ」
「くだらない。プライドの問題か?3人ともそうか?」
「いや…寺坂みたいな理由じゃないけどよ、あのタコ相手だとどんな暗殺でも成功しないだろ…」
「俺もそう思う…」
「私もこの2人の同じ理由」
寺坂の理由には呆れたが3人はちゃんとした理由があった。確かに、今までどんな暗殺も効果がなかった相手だ。そう思う気持ちは良くわかる。
「勝算はどのくらいなんだよ?」
「6:4ってところだな」
「6は?」
「失敗。正直に言うとこの作戦自体、実験を兼ねた暗殺だからな。何かしらの反応はあると仮定してるんだが確信でない以上はそう言うしかない」
不安そうな顔をしている吉田と村松に俺はハッキリとそう言う。彼らが参加してくれるかどうかはわからないが答えておくべきだろう。
「俺等が参加したら何か変わるのかよ?」
「あぁ、頭数が増えるからな、それだけ殺せんせーの逃げ道が少なくなって勝算が上がる」
「本当だろうな?」
「あぁ、数が揃わないとそれだけ失敗する率も上がる。一応、今いる人数でも支障はないがお前達がいてくれると助かる」
「報酬は?」
吉田と村松にそう答えると狭間がそう聞いてきた。恐らく、報酬の額によっては参加してくれると言うことだ。
「そうだな…俺に必要な額はざっと見積っても2〜3億あれば十分だ。だから、残りは出来高で分配するつもりでいた。例えば触手1本破壊につき5億とかな」
「誰も触手が破壊出来なかったらどうするの?」
「そうだな、その場合は残りを約98億だとして均等に割って約4億だから、その場合は1人約4億だ」
「なら、私に4億+出来高で報酬をくれるなら参加するわ」
「なるほど…」
狭間の提案にまた思わず声が出た。凄く上手な交渉だと思う。頭数がいればいるほど良い作戦だと聞いた上での提案。これを断れば立案者の俺自ら勝算を下げる事になる。
「狭間は交渉上手だな。わかったそれで行こう」
素直にそう思い俺はそう言った。
「吉田と村松もこの条件なら参加してくれるか?」
「お、おう…。その条件ならやるぜ」
「俺も4億確定で貰えるならやるぜ」
狭間と同じ立場なら吉田と村松も同じ条件でなければフェアじゃない。俺のセリフにそう応える2人に俺は礼を言って作戦の説明の為に磯貝達の元へ向かってもらった。
「寺坂、3人は参加してくれる。お前はどうする?」
そして、もう一度、寺坂にそう尋ねた。
「やらねぇよ」
しかし、寺坂は短くそう答える。
「狭間にも説明した通り作戦には数がいればいるほど良い。烏間先生とビッチ先生にも参加してもらえるようにお願いしてある。お前が参加してくれると勝算が少しでも上がってこの暗殺教室を終わりにでき可能性が上がる」
だが、そんな寺坂に俺はそう言う。そうこの暗殺には烏間先生にも参加を頼んであり烏間先生は二つ返事で了承してくれた。ビッチ先生にも烏間先生を通してお願いして貰う様に頼んである。ビッチ先生には烏間先生が作戦を説明してくれる手筈だ。
「お前はあのモンスターを殺してぇのか?」
「どう言う意味だ?」
「お前はあのモンスターに1番懐いてんだろ。個別で課題もらったり、あのタコを超一流の教師だっつたり…お前マジにあのタコを殺してぇのか?」
そう言われて俺はやっと理解出来た。確かに寺坂の目から見ればそう見えるだろう。しかしながら前提が間違っている。
「殺したいに決まってる。俺が殺せんせーから課題を貰うのは殺せんせーが俺の夢を理解してそれに最適な課題を用意してくれるからだ。課題と教えのおかげで俺のレベルは上がっていると自覚出来るし、殺せんせーの評価は普段の授業を見て、聞いていれば当然の評価だと思う。だが、殺せんせーがくれる課題でどれだけ俺のレベルが上がろうと、どれだけ良く俺が個人的に評価しようと地球が滅べば関係は無い。殺せんせーは自分の口で破壊は宣言しても破壊しないとは宣言していない。このままじゃ来年、地球はなくなる。だから、殺す必要がある。お前の質問は的外れだ」
「チッ…………やっぱりムカつく奴だ。だが本当に俺が参加すれば勝算が上がるんだろうな?」
俺の応えに寺坂は頭を掻きむしってそう言う。
「ああ」
俺は短くそう答える。
「この状況を終わりに出来るんだな?」
寺坂は短く答えた俺にまた尋ねてくる。
「ああ」
そして、俺はまた短くそう答えた。
「……………わーたよ、協力してやる。ただし、俺にも狭間達と同じ報酬をよこせ」
「あぁ、わかった」
不機嫌な顔でそう言う寺坂に俺は頷きながらそう応えた。
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「じゃあ、作戦を説明する。難しい作戦じゃないから気負わず聞いてくれ」
寺坂の説得を終えた俺は全員に作戦の内容の説明をはじめた。
「まず、今いる俺を含めた27人を半分にわける」
「半分に?」
「あぁ、奇数だから完全な半分とは言えないが人数を半分に割ってそれぞれある事をやってもらう」
「なんだよ『ある事』って?」
俺のセリフに前原が食い気味で聞いてくるが俺は落ち着くよにジェスチャーして説明を続ける。
「まず暗殺を仕掛けるのは明日の放課後だ。殺せんせーは生徒の暗殺からは絶対に逃げない。これは俺が前回の暗殺で確認済みだ。だから、明日の朝イチで殺せんせーに暗殺を予告する。場所は校庭、そこに特別な『落とし穴』を作ってもらう予定だ。そこに先生を落とす」
「その作戦、上手くいくのか?殺せんせーが簡単に落ちるとは思えないぞ」
「あぁ、だから皆には殺せんせーが『落ちる状況』を作ってもらう」
「どう言う意味だ?」
俺のセリフに磯貝が首を傾げてそう言う。他のメンバーも首を傾げて困り顔だ。
「まず、整理しよう。殺せんせーはパニックになるのが意外と早い。これは俺の暗殺の時と暗殺大会と時の様子からまず間違いない。だから、皆には殺せんせーが落とし穴に驚いたと同時に『殺せんせーに当たらないように』弾幕を張って欲しい」
「待て待て待て」
困り顔をしている全員にそう言うと磯貝が更に困惑した顔で俺にストップをかけた。
「どうした?」
「いや、『どうした?』じゃない。更にわからなくなった。落とし穴は兎も角として『殺せんせーに当たらない弾幕』ってどういう意味だ?」
「そうだぜ、それに殺せんせーって飛べるんだぞ。落とし穴に落ちるわけねぇじゃん」
磯貝と前原のセリフに全員が頷いている。最もな意見に俺は頷くと全員に自分の立てた仮説も交えて説明を再開する。
「まず1つづつ答える。ただしこの答えはある程度俺の仮説が前提にある事を前置きしておく。まず1つ『殺せんせーに当たらない弾幕』と言うのは言い換えると『殺せんせーの動きを封じる弾幕』だ。生物の本能から考えて殺せんせーも人間を含めた動物と同じく危険は回避したいモノのはずだ。俺達からすると危険は『痛み』に繋がる可能性があるから回避したい。殺せんせーに痛覚があるかは分からないが何かしらのデメリットはあるはずだ。でないと俺達の暗殺を避ける理由に説明がつかない。だから、殺せんせーは俺達と同じく『自らに危険な攻撃』に敏感なはずだ。なので後で分ける弾幕担当には殺せんせーが警戒する必要のない弾幕で殺せんせーの動きを封じて貰う」
「なるほど〜、殺せんせーが俺達と同じく『危険から生じるデメリット』に忌避感を持つ生物なら自分を囲う弾幕には手を出さないだろうって事ね」
俺の説明に納得が言った様子でそう言うカルマに俺は頷く。残りのメンバーも納得した様子で頷いている。
「次に殺せんせーの飛行能力についてだがこれは足場を無くした時点で心配はないと思っている」
「どうしてそう思うの?」
1つ目の説明を理解した全員に前原の質問に答える形でそう言うと矢田が首を傾げてそう言ってきた。
「簡単な理屈だ。鳥や飛行機などにも言えることだが勢いをつける為の動作無しに飛ぶことの出来る生物はいない。もちろん殺せんせーがその常識から外れている可能性も考えられるが俺は殺せんせーが海外へ行く為空を飛ぶためにグラインド…つまり、屈伸運動に近い動作をしているのを見た。つまり殺せんせーも飛ぶ為には勢いが必要という事だ。だから、踏ん張りを効かせる為の地面を無くせば殺せんせーを飛行できなくさせられる可能性が高い」
「なるほどね、地面を無くして飛べない状況を作って弾幕を張れば殺せんせーを穴に落とせる。仮に底にたどり着く前に飛べたとしても半分に分けた残りの面子に何かさせてそれも封じるつもりってワケだ」
俺の説明を聞いたカルマはニヤリと悪い笑顔を浮かべてそう言う。流石にカルマは頭の回転が早い。俺はカルマに頷き
「残りの半分には烏間先生に用意してもらう特別製のシャワーで強酸性の液体を穴に向かって散布してもらう」
そう言う。すると奥田がハッとした表情で俺を見てきた。
「そうだ奥田。さっき話していた内容からこれを思いついた。全員知っての通り殺せんせーに毒は効かない。これは奥田の暗殺を見ていたから承知していると思う。だが今の所それは『体内に入った毒に限られている』。体内の消化液が毒を無効化出来る程の強酸だったとしても皮膚もそれに耐えられるとは考えにくい。だから、寺坂達にも言ったが、実験も兼ねて殺せんせーには強酸性の液体を散布する」
「だがよ、毒液撒き散らすつったってあのタコなら避けられるだろマッハ20だぞ?」
「馬鹿だな〜寺坂は、それはあくまでも『その速度まで加速出来るだけの空間がある場合』だけだよ。落とし穴による地面の消滅に自分を囲う対先生弾。すぐに飛ぶ事も出来ない状況でテンパるのが早い殺せんせーが落とし穴なんて言う狭い空間で降り注ぐ毒液を避けられるワケないじゃん。もっと頭使いなよ」
「んだとコラッ!」
寺坂を煽るようにそう言うカルマに寺坂は声を荒らげる。しかしカルマはニヤニヤ笑うだけで気にもしていない。
「テメェ…!」
寺坂はカルマの態度に額に青筋を浮かべている。
「喧嘩なら後にしてくれ。説明を続けたい」
「チッ…わーたよ」
しかし、俺がそう言うと寺坂は浮かべていた青筋を引っ込めてそう言った。
「続けるぞ、弾幕を張るのと毒液の散布にあたって全員には殺せんせーと落とし穴を囲うように配置に着いてもらう。安全管理と環境への配慮が万全になされた特別な舞台を作ってもらう予定だ。ちなみに落とし穴の底は対先生弾が詰め込まれている。弾幕担当には落とし穴のトラップが作動した瞬間に殺せんせーに当たらない様に銃を乱射して弾幕を張ってもらい毒液散布担当には銃の乱射が始まった瞬間に散布を開始してもらう。担当は弾幕担当は出来高を約束している寺坂、吉田、村松、狭間と殺せんせーを誘い出す俺は確定として残り10人はどうする?」
説明を終えて最高にそれぞれの担当を決める為に全員にそう問いかけるとカルマ、中村、千葉、速水、磯貝、前原、岡野、三村、岡島、杉野が手を挙げた。
「OKだ。なら残りの面子が毒液散布担当だ。烏間先生とビッチ先生にはそれぞれ落とし穴の作動と弾幕担当に入ってもらう事になってる。全員練習する時間もないぶっつけ本番の作戦だが明日はよろしく頼む」
俺はそれぞれの役割を担当する面子を再度確認してそう言い頭を下げるた。しかし、顔を上げると矢田以外の全員が目を見開いて俺を見ていた。
「なんだ?」
俺は訝しげな目で矢田以外の全員を見ながらそう言う。
「い、いや…。まさか結城が俺達に頭下げるなんて思わなかったから」
すると、磯貝がそう言ってきた。
「全くの予想外だよね…」
磯貝に続き片岡もそう言ってくる。その顔は「ありえないモノを見た」とでも言いたげな顔だ。
「お前らは俺を何だと思ってるんだ。今回の作戦は俺がお前達に協力を頼んでる立場だ。常識的に考えてこれくらいする」
失礼な奴らだと思いながらそう言うと磯貝達は何故か無言で頷く。何か引っかかる態度だが俺はあまり気にせずに時間を確認する。時間はもう遅くなっておりあと少ししたら外が完全に暗くなってしまう。
「そろそろ完全に暗くなる。怪我でもしたら明日の作戦に響く。今日は解散にしよう。全員明日に備えてくれ」
明日の事も考えてそう言うとまた矢田以外の全員が目を見開いて帰りの準備の為にそれぞれの席へと戻って行った。
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「それにしてもなんかびっくりしたなー」
「うん、さまかあの結城君が私達に頭を下げるなんてね」
「予想外すぎてビックリだよね」
「うん」
結城君が計画した暗殺作戦の説明が終わり私は陽菜乃ちゃん、メグちゃん、莉央ちゃん、ひなたちゃんと一緒に帰り道を歩いていた。
「桃花ちゃんもそう思わない?」
まだ、あの時の事が忘れられないのか陽菜乃ちゃんがそう聞いてくるが私は
「ううん、結城君は昔からああだよ」
昔の事を思い出しながら私は首を横に振ってそう答えた。そう、昔と変わらない。結城君は何時も誰かにお願いする時は頭を下げて「お願いします」って言ってた。だから、私はあの時、みんな程驚きはしなかった。
「昔からって桃花ちゃん結城君と1、2年クラス一緒だったの?」
「ううん、結城君とは幼馴染みだから知ってるの」
「「「「………………」」」」
昔を思い出していたからか私は陽菜乃ちゃんの問に当たり前の様にそう答えていた。
「あっ…」
陽菜乃ちゃんたちの沈黙にやってしまったと思い声が出たが遅かった。
「え!?なになにどういう事??桃花ちゃんと結城君って幼馴染みなの!?」
陽菜乃ちゃんがものすごく驚いた様子でそう言ってくる。
「桃花なんで隠してたのよ!」
「これまたビックリだ…」
「うん、今日一のビックリだね」
莉央ちゃんも驚いた様子でそう言いメグちゃんとひなたちゃんは目を見開いてそう呟いている。
「別に隠してた訳じゃないよ!ただ、中学入ってからは疎遠であんまり会えてなかったし結城君もそう言うの特に気にしてる様子じゃないから…」
「まぁ〜確かに結城はそう言うの気にするタイプじゃないけど…ビックリだわ」
「うん、思わず大きな声出しちゃった…」
目を見開きそう言う莉央ちゃんと陽菜乃ちゃんに私は「あはは…」と笑う。すると
「でも、隠してた訳じゃないならあんな『やっちゃった』みたいな声出さなくても良かったのに」
ひなたちゃんがそう言ってきた。
(確かにそうだ。別に私も結城君も幼馴染みである事を隠してる訳じゃない。なのになんでそう思ったんだろう?)
(別に隠す必要はない。私はそう思う。結城君はどうか分からないけど…。でも、彼もきっと「別に隠す必要はないだろ。俺と矢田が幼馴染みなのは変わらない事実だし」と言うと思う)
(あれ…?そう言えば私達ってなんでお互い苗字で呼んでるんだっけ?中学入るまでは名前で呼んでたのに…)
ひなたちゃんのセリフに私は足を止めて考え込む。
「どうしたの桃花ちゃん?」
突然足を止めた私に陽菜乃ちゃんが心配そうな表情で声をかけてきた。
「なんでもないよ」
私はモヤモヤした気持ちをそのままに、陽菜乃ちゃんにそう答える。
「それで〜?昔の結城君ってどんな男の子だったの?」
「結城君が嫌がりそうだからいわなーい」
そんな私に莉央ちゃんがニヤリと笑ってそう聞いてくるが私は笑ってそう言う。
「え〜、教えてくれてもいいじゃん!ショタの時の結城君気になる〜」
莉央ちゃんは諦めずにそう言ってくるが私は笑いながら「いわなーい」と言って莉央ちゃんを躱しながら山を降りていった。
少し長くなってしまいました…。すみません。それでも、読んでいただきありがとうございます!!
今回は作中の中盤で出てくる「落とし穴」を早めに出して話を作りました。夏に入っていないので殺せんせーが水が苦手と言う情報がない中で「強酸性の液体は皮膚をも溶かす」と言うポイントからこう言った作戦になりました。次の話は作戦の決行と結果を書くので短くなると思います。次も楽しみにしていただけると嬉しいです!!
そして、アンケートですが両親と姉の人物紹介は「要る」という人と「要らない」と言う人が僅差だったのであえてやらない事にします。
「要る」に投票してくた皆様申し訳ありません。ですがこの先、両親と姉は登場するので楽しみにしていてください!!
修学旅行で矢田との距離を近づけるのに賛成な人
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近づけろ!
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近づけんな!!