暗殺教室 自己証明   作:烏鷺

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3時間目 サービスの時間

今日もいつものように登校する。山の上にある校舎を目指して山道を歩く。進級してからやっと歩き慣れてきた道を歩いていると前を歩く男の子を見つけた。

 

「あっ」

 

自然と声が出た。すると、その声に気づいたのかその男の子は振り返った。

 

「おはよう」

 

「お、おはよう」

 

振り向いた男の子の挨拶に私は少しぎこちなく返した。あんまり自然な反応ではないと思う。実際、クラスの男の子に挨拶されたらこんなにぎこちなく返したりしないと自分でも思う。

 

「今日は、いつもより遅い登校だな」

 

そんな事を考えているとそう言われた。

 

「うん、今日は桃哉が少し体調悪くて…」

 

「そうか、桃哉はまだ、調子よくならないのか」

 

「うん、でも昔よりは身体強くなったんだよ」

 

「そうか…」

 

「うん」

 

「……」

 

「……」

 

言われた事に応えて話すが次第に何を話せばいいのか分からなくなって黙ってしまう。そんな私に彼も黙ってただじっと私を見つめる。すると

 

「……こと……もらうか?」

 

「えっ?」

 

「桃哉のことだ」

 

「え?」

 

また、声が聞こえて彼の顔を見るが私はちゃんと聞いておらず聞き返してしまった。私の様子にちゃんと聞いてなかったとわかったのか彼は私に近寄ると

 

「桃哉の事、父さんに診てもらうか?」

 

私がちゃんと聞けるようにそう言ってくれた。

 

「い、いいよ…昔、沢山診てくれたし。迷惑になっちゃうし…」

 

「父さんはそんな事思わないと思うぞ。桃哉の病気は父さんの分野だから」

 

彼の提案に申し訳なさそうに応えた私に彼はそう言うが私は申し訳なさでいっぱいになった。

 

「大丈夫」

 

「そうか、だが診てもらいたくなったら言ってくれ。父さんも拒否はしないと思う」

 

「うん、ありがとう」

 

「ああ」

 

「……」

 

「……」

 

また、会話が止まる。彼自身があまり積極的に話すタイプじゃないのもあるんだろうけど、私も彼の前だと緊張してぎこちなくなってしまう。

 

(昔はこんな感じじゃなかったのにな…)

 

その事を苦しく思って視線を彼から背けてしまう。そう昔はこんなんじゃなかった。

彼、結城伊澄と私、矢田桃花は幼なじみだ。家が近く幼稚園が一緒だったというのもあって小さい頃はよく遊んだ。私とは、家柄も何もかも違う家だけど彼はそんなの関係なく私と仲良く遊んでくれた。弟の桃哉とも仲良くしてくれて、子供同士が友達と言うのもあったのだろう。お医者さんである彼のお父さんが桃哉を診てくれた事もあった。関係が変わったのは中学に上がってから、頭がとても良い彼とそこまででもない私は成績重視のこの学校ではクラスが一緒になる事がなくなった。そして、少しづつ距離が出来ていく中で彼がクラスメイトに暴力をふるったと言う話しを聞いて私は彼と会うのをやめてしまった。

 

(でも、3年生で同じクラスになるなんて思わなかった)

 

しかし、3年生でクラスが同じになり本当に久しぶりに顔を合わせた。中学に入るまでは毎日顔を合わせて話してたのに…。彼がE組に落ちた理由は素行不良。彼と同じクラスになった事は嬉しかったけど、離れてる時間が長かったからか話し方がわからなくて距離が元に戻る事はなかった。だから、今日話しかけてくれた事は以外で嬉しかった。

 

「そうだ、昨日の暗殺凄かったね!」

 

そんな気持ちを隠して昨日、彼が行った暗殺を話題にして話しかけた。

 

「みんなそう言ってくれるがあの暗殺は失敗だ。殺せなきゃ意味が無い」

 

「そんな事ないよ!殺せんせーにダメージ与えるなんてどの国の軍隊も出来なかったって殺せんせーも言ってたし、い…結城君が触手を破壊したから暗殺出来るってわかったし!」

 

「…そうか。昨日、殺せんせーが言った『無意味ではない』って言うのはそういう意味か。俺の暗殺でクラスの全員がそう思い暗殺が活発になる。殺せんせーはそれを見越して…」

 

「うん、そうだよ!あの後、みんなどうやって暗殺しようかって沢山話し合ってたし。無意味なんかじゃないよ」

 

「そうだな。暗殺が活発になれば地球を救える確率は上がっていく。俺らの実力不足は否めないが暗殺が活発になれば次第に実力も向上していくしな」

 

「うんっ」

 

そう言って納得したように頷く彼に私はそう言って私達は本当に久しぶりに2人で教室まで歩いた。

 

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「なぁ、結城、今から殺せんせーをみんなで殺しに行こうと思うんだけどさ、お前も来てくれよ」

 

その日の午後、人類学の論文を英語を読解しながら読んでいると前原と磯貝がやってきて唐突にそう声をかけられた。

 

殺しに行こうと思うなんて言葉がサラッと出てきてそれに違和感を覚えない当たり、自分も相当この以上な生活に慣れてきたんだなと思いながらも俺は本を閉じた。

 

「作戦は?」

 

俺がそう言うと前原と磯貝は目を見合せて笑うと作戦を話し出した。

 

「つまり、作戦はおやつを食べている殺せんせーに磯貝、前原、片岡、岡野、潮田、倉橋、岡島、三村、矢田、潮田、茅野で笑顔で近づいて集団暗殺を仕掛けおやつを前に油断している殺せんせーをあわよくば殺したい、と?」

 

2人から作戦を聞いて確認の為にそう言うと前原と磯貝は頷いた。

 

「なんでこの暗殺に俺を?」

 

「お前はこの前の暗殺で先生の触手を破壊してる。それだけじゃ理由にならないか?」

 

そんな2人にそう言うと磯貝がそう言うが俺はいまいちこの作戦に乗り気になれなかった。

 

「その暗殺で先生に俺は警戒されてる。そんな俺がいたら先生も警戒するだろ」

 

「でも、俺たちと集団で行けばその警戒も薄れるだろ?」

 

俺のセリフにそう応えた前原に俺は、それはなくはないなと一瞬思ったが俺は肝心なことを聞いていないと思い了承するのを躊躇った。

 

「集団で行くのはいいがどんな理由で近づく?真正面からナイフを持って行ったら暗殺の前に逃げられるのがオチだ」

 

あの時、俺が触手を破壊できたのは先生の油断を最速で襲い逃げ道を的確に抑える事で余裕を奪いそこを更に襲ったからだ。潮田の自爆暗殺の時にも思ったが、殺せんせーは驚くと速度が人並みに落ちる。狭い教壇の上で速度を落とせば出来ると思ったからやった事だ。だが、今回、暗殺を仕掛ける所は外になる。いくらでも逃げ場があるし相当上手くやらないと失敗する。それを考えた上でそう言うと2人は腕を組み考え込んだ。

 

「確かに…」

 

「それもそうだな…」

 

「ライフルを乱射するにしてもナイフで切りかかるにしても難易度は高いぞ」

 

「……」

 

「……」

 

俺のセリフに2人は黙りこんでしまう。しかし、磯貝は顔を上げ

 

「今日の殺せんせーのおやつは北極の氷でかき氷だ。なら、俺たちは『自分達も食べたい』って言えば自然に近づけるんじゃないか?」

 

そう言う。

 

「確かに!それなら近づく理由になるな!笑顔で行けばあのタコも信用するだろ」

 

磯貝のセリフに前原はそう言い笑うが俺はまたため息を吐いた。

「なんだよ、問題でもあんのか?」

 

そんな俺に前原が不満そうにそう言ってきた。だから俺はハッキリと言う。

 

「俺達の教師である殺せんせーは教師としては超一流だ。それにターゲットとしても超一流だ。そんな奴に不慣れな作り笑いで接近したって直ぐにバレるに決まってる。ナイフを奪われ失敗する。絶対にな」

 

「なら、どうしろって言うんだよ!」

 

俺の言い分が気に食わなかったのか前原はそう言ってきたが俺は淡々と続けた

 

「作戦も方法も穴がありすぎる。集団暗殺と言う方法は賛成だが、この作戦には賛成出来ない。止めるべきだ」

 

俺がそうはっきり言うと2人は絶句した。しかし、俺は席を立ち

 

「行くぞ」

 

そう言って机から数枚の紙を引っ張り出した。

 

「「え?」」

 

俺のセリフに2人は間の抜けた声を上げるが俺が「暗殺」と言うと2人は作戦に関わるメンツを集めに走っていった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

少しすると磯貝達は今回の暗殺に関わるメンバーを校舎の外に集てくれた。

 

「それで?どうするんだ?」

 

全員が集まったことを確認して磯貝がそう言ってきたので、俺は簡潔に策を伝える。

 

「コレは俺が殺せんせーから個人的に出された課題だ。終わらせるのに1週間かかったが自身はある。だから、まず俺がコレを持って殺せんせーと接触する。お前達はそこに遅れてやってこい。自然な流れで会話を先生のおやつに向けて先生の隙を作れ。そして、そこで暗殺を仕掛けろ」

 

「そ、それでいいの?」

 

俺の話が終わると岡野が遠慮した様子でそう言ってきた。

 

「ああ、それでいい。お前達は俺よりもコミュニケーション能力が高い。だから、出来るはずだ。まぁ、相手が相手なだけに失敗するかもしれないが」

 

「でも、いいのかよ?その作戦最初に接近するお前の笑顔とか表情でバレから失敗するぞ」

 

岡野にそう応えた俺に前原がそう言ってきたが俺は微笑み

 

「問題ない」

 

そう応えた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「いたいた、かき氷作ってるぞ」

 

校舎裏、俺達は草陰に隠れながらかき氷を作っている殺せんせーを見ていた。

 

「じゃあ行ってくる」

 

俺は磯貝にそう言うと立ち上がり殺せんせーに声をかけながら歩いていく。

 

「殺せんせー」

 

「にゅ、おやどうしました結城君」

 

声をかけた俺に殺せんせーはかき氷を作る触手を止めてそう言う。

 

「コレ、終わったから確認してくれ」

 

「もう終わったのですか?早いですねぇ。それでは早速…」

 

殺せんせーにそう言って課題を渡すと殺せんせーはシュバッの音を立てて課題を確認していく。

少しすると殺せんせーは俺の課題に花丸を付けて「満点です」と言って返却してきた。

 

「はやっ、何処にも間違いとかなかった?」

 

一瞬で終わった採点にそう言うと殺せんせーは笑顔で「はい、完璧でした」と言ってくれた。

 

「まぁ、1つだけあるとすると英語の読解をもう少し砕いて解釈してもいいと思います。そうすればもっと答えを出しやすくなりますよ」

 

「ありがとうございます。次はそうしてみます。ちなみに、どのあたりですか?」

 

「そうですねぇ、例えばこの辺りでしょうか…」

 

殺せんせーにそう言われた俺は花丸がつけられた課題を持ってそう言い殺せんせーは丁寧に教えてくれる。すると

 

「殺せんせー!!」

 

「何やってるの〜」

 

「結城も教室にいないと思ったらここにいたのか」

 

作戦通りに磯貝達が笑顔でそう言ってやってきた。

 

「何やってたの?」

「殺せんせーから出された課題を見てもらってた」

 

「へぇ、殺せんせー個人的に課題とか出すんだ」

 

矢田にそう返しながら俺は殺せんせーの様子を見る。

 

「殺せんせーそれ何?」

 

「先生のおやつです。北極の氷で作るかき氷」

 

「うわっすげぇ!北極の氷とかマジでレアじゃん!!」

 

「俺達にも食わしてくれよ殺せんせー!!」

 

殺せんせーは笑顔で親しげに話しかけてくれるみんなに涙を流していた。その表情はとても嬉しそうでみんなが心を開いてくれている事に心底喜んでいる様だった。前原達の会話の流れも自然で問題はない。だからこそ、このタイミングで俺達はナイフを抜き先生に切りかかった。

 

しかし

 

「惜しいですねぇ」

 

「えっ?」

 

ババッという音と共に突風が駆け抜け気がつくと先生は俺達の背後にいた。

 

「少々笑顔がわざとらしい。結城君の接触は完璧でしたがそれ以外の皆さんは少しぎこちない。そんな皆さんには対先生ナイフの代わりに花をプレゼントです。綺麗な花でも愛でて自然な笑顔から学んでください」

 

何が起きたかわからず声を上げた俺達に殺せんせーはそう言う。俺達の手にはいつの間にかチューリップが握らされておりナイフは先生に取られてしまっていた。

 

「まじか…」

 

俺はそれに呆気にとられる。それはみんなも同じのようで呆気にとられているが隣にいた片岡は何かに気づいたように「ん?」と声を上げると

 

「殺せんせー!!この花クラスの皆で育てた花じゃないですか!!」

 

手の中のチューリップを指差し怒りの形相でそう言った。

 

「にゅやッ!そ、そーなんですか!?」

 

片岡のセリフに殺せんせーは狼狽し慌てふためく。

 

「酷い、殺せんせー、大切に育ててやっと咲いたのに…」

 

「す、すいません!今新しい球根を……買ってきました!!」

 

そして、矢田の嘘泣きで殺せんせーは今までにないほど顔色を悪くすると一瞬、俺達の目の前から姿を消すと両手に大量の球根を持って現れた。

 

「マッハで植えちゃダメだかんね!!」

 

「承知しました!!」

 

「1個1個いたわって!!」

 

「はい!!」

 

「な…あいつ地球を滅ぼすって聞いてっけど」

 

「お、おう…。その割にはチューリップ植えてんな」

 

買ってきた球根を殺せんせーは片岡と岡野に叱られながら植え直し、そんな光景に前原と磯貝は呆れた様子で呟く。俺もその光景に呆れてため息を吐くが殺せんせーに近づくと

 

「先生、ちゃんと花を咲かせる為に肥料も買った方がいいですよ。窒素、リン酸、カリウムがちゃんと配合されているやつ」

 

哀愁漂う殺せんせーにそうアドバイスをした。まぁ、このタコはそんな事はもう知ってるだろうが

 

「はっ!!そうでした!!ありがとうございます、結城君。今そちらも……買ってきました!!」

 

しかし、殺せんせーは慌てた様子でまた俺達の前から消えると大量の肥料を抱えて帰ってきた。

 

「じゃあそれも早く土に混ぜ込んで!!」

 

「かしこまりました!!」

 

「丁寧にね!!」

 

「はい!!」

 

そして、今度は矢田にも叱られながら土を整えていく。その光景に俺はまたため息を吐くと潮田が何かをメモしている事に気がついた。

 

「何をメモしてるんだ?」

 

「先生の弱点を書き留めておこうと思ってさ。そのうち暗殺のヒントになるかもって」

 

「ほぉ…見せてくれ」

 

その事に俺は関心しながら俺は潮田からメモを受け取る。

 

「なになに?」

 

「殺せんせーの弱点らしい」

 

俺と潮田が話しているのが気になったのか顔を覗かせた茅野にも見せてメモを確認する。

 

「弱点…カッコつけるとボロが出る」

 

「…ねぇ、渚。このメモ、役に立つのかな?」

 

「………………多分」

 

そこに書かれた内容に茅野は多少残念そうな表情でそう言い潮田は自身なさげにそう返した。

 

「いや、このメモは役に立つぞ」

 

「ほ、ホントに!!」

 

しかし、俺がほかのメモを見ながらそう言うと潮田は表情を一変させた

 

「ああ、多分な」

 

「多分なんだ……」

 

しかし、俺がそう言うとまた自身を無くした表情でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




矢田との過去話を書いて見ました。このまま、上手く話しを展開してくけたらと思います。

それと、UAが900超え、お気に入りが20件超えとたくさんの方に読んで頂きありがたく思います。これからもご愛読していただけると嬉しいです!!
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