悪魔と俺と願いと呪い   作:ザック

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処女作です。嘘です6年くらい前にどっかで投稿してたのですが、久しぶりに書いてみたくなりました。いろいろ先は考えているのですが、まだ迷っています。
とりあえず、久しぶりなので感想評価お待ちしています。
やる気にも繋がりますので何卒宜しくお願い致します。


鬼と俺と桜と名前

昔から他の人には見えない化物が見えた。

 

 

 

 

 

俺には見えている化物が他の人には見えないと気付いたのは周りの目や反応を見た。

虚空に向かって話したり、笑っていたりした俺はそれはそれは気持ちが悪かったのだろう。

 

次第に俺は孤立した。

 

生まれ育った施設の中でも、学校の友達からも。

 

俺は生まれた時から自分の両親というものが見たことがなかった。

どんな人たちだったのか気になったが、施設のやつらも知らないと言っていたし、もしくは俺のことが気味が悪くて、必要以上に関わりたくないといったこともあったのかもしれない。

 

 

 

だけど俺は寂しいとは思わなかった。何故なら化物の中に大事な繋がりを持てたやつが多くいたからだ。

 

 

化物の中にも種類がいる。

 

 

 

人間たちから名前を付けられている有名な化物。何て名前なのか想像もつかないような化物。

人を害する化物。人と仲良くしたい化物。人を見て嗤いたい化物。人を騙したい化物。本当に様々だ。

 

化物たちを見極めるのは俺にとってそんなに難しくなかった。

なぜなら何故かこの化物は大丈夫な気がするという確信に近い気配を感じ取っていたから。

 

どうして化物が見えるのか。どうしてその化物の性質を見抜くことができる力を持っているのか。

幼い自分にとってはわからないことだらけだったが、()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

施設の中で孤立していた俺はいつも夕方になると外に出かけていた。それは一人になりたいというよりは新しい何かとの出会いや、発見があるのではないかという探求心から来ていたものだった。

 

いつも足を運んでいた神社にはかくれんぼをしてくれる黒い影のような化物や鬼ごっこをしてくれる空を駆ける2匹の犬のようなヤツらがいていつも遊んでくれていた。

 

その神社には不思議な安心感があり、俺の心の拠り所の一つになっていた。

 

 

 

その日はいつも行く神社ではなく、少し歩いたところにある森の中に入ってみることにした。

 

 

だが森の中はどこか不思議な雰囲気が漂っている。

 

それは森に入ってすぐに分かった。

 

森の中には何故か化物たちの姿が一つも見当たらなかったことと今まで感じたことのないくらいの大きな何か。

 

 

普段はそこらへんの道端や学校の中、グラウンドの真ん中などの至る所に化物たちは存在していたが、

この森に入ってからは姿を見せていない。

 

まずは近くで微かに気配はいくつかしていたため、気配のする方向に歩いてみたが、姿を見せることは一切なかった。

 

まるで何かから()()()()()かのように。

 

十中八九先ほど森に入った時に感じた大きな「何か」だ。とてつもなく巨大な化物がいるのだろうかと思い、少し先に進むのを躊躇したが、「何か」からは大丈夫な気がしたのだ。

 

そうして、森の奥へと進んでいったが、奥に進めば進むほど「何か」を大きく感じるようになる。

 

そこにあったのは

 

 

 

雪のように白い花弁をつけた大樹だった。

 

その花弁は桜のように見え、白い桜ともいえるが、その木はあまりにも大きく、大きさに圧倒され思わず声が漏れてしまった。そしてなによりその大樹に対して俺は違和感を覚えていた。

 

()()()()()()

 

俺が感じていた「何か」はこの大樹から感じていたものではない。

確かにこの大樹からも多少は感じ取れたが、圧倒的じゃない。

 

その大樹の下に誰かがいる。

 

 

 

 

 

背はあまり大きくなく、彼女の後ろにある白い桜と同じ真っ白で短い髪、宝石のような赤い目

夜ような黒色に白い模様がついた着物を着た女だ。

 

女は普通の人間の女性とは明らかに違う場所があった。

 

それは額についた2本の角だ。

 

その風貌は明らかにこの世のものとは思えないものだった。

 

 

「なんや?あんた。うちのことが見えているんどすか?」

そう言いながら俺の方に歩を進めてくる。

俺はその女性を見て思わず、呟いた。

 

「すげえ綺麗だ」

 

 

その言葉を聞いた女性は一度足を止めてから、目を大きく見開いてから微笑んでもう一度俺の方へと歩んだ。

 

「あんた、おもろい匂いがするなあ。うちが視えるのもそうやけど、それだけと違うね」

 

 

「そういうアンタもそこらへんの化物とは全然違う感じがする。」

 

 

「そらそうや、あないな「悪魔」共とおんなじにしてもろうちゃ困るわ。それにうちは悪魔の中でも正確には「鬼」や。」

 

そういうと俺の目の前まで来て、先ほどまで感じていた「何か」をさらに大きくした。

自分が他の悪魔とは違うという証明のためだろうか。

 

俺はその「何か」にびびることはなかった。何故ならその風貌に目を奪われていたから。

 

「じゃあ鬼の綺麗な人はここで何してるの?」

 

俺は自分の思っていた疑問を鬼の人にぶつけてみた。

 

この森はどこかおかしかったからその謎を知りたかった。というのもあるが

何か彼女と話してみたいと思ったから、頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出したのだ。

 

 

その言葉を聞いた彼女は「何か」を抑えながら、先ほどの微笑みを見せてくれた。

 

「うちはここで悪ーい悪魔どもをうもう頂いてるだけやわあ。それよりもあんたこれだけの「魔力」が視えているっちゅうのに、恐れてへん。そもそも視えているっちゅうことは、あんた自身も相当やなあ。ほんまに人間か?」

 

あんまり何を言ってるのか分からない。俺が感じていた「何か」の正体が「魔力」というやつなのだろうか。そもそも俺はただの人間なんだが。

 

「その魔力?ってやつはよく分からないけど、俺はただの人間だよ。普通に学校の人たちとも喋れるし、空も飛べたりしない」

 

「あはは!ほんまにおもろいなああんた。それだけの魔力を持っているっちゅうのになーんにも知らんのやなあ。うちと同等かそれ以上か・・・ただそれだけの魔力を持っとって悪魔共が放って置くわけが・・・ふうんなるほどなあ」

 

俺のことを見ながら一頻り笑った後、不思議そうな顔に変わると、俺から視線を外し、周りを見渡すと何かを納得していた。

 

「化物」たちが「悪魔」で、「何か」が「魔力」っていうのは理解できたけど、何に納得してるのか全く分からない。

 

 

 

 

「そないな不満そうな顔せんといてや。あんた、名前は?」

 

 

「霊耶。神原霊耶(かみはられいや)

 

名前を答えながら地面にそこらへんの木の枝を使って漢字を書く。

最近自分の漢字をちゃんと書けるようになったのだ。

 

 

 

「霊耶・・・ふうんいい名前やね」

 

 

「鬼の綺麗な人は?」

 

 

「うちか?そうやなあ、なんて名乗るべきやろ。」

 

 

「名前ないの?」

 

 

「いやそないなわけとちがうよ。ただ呼び名が多すぎてなあ。そうやあんたがつけてや」

 

急にいい案だというような顔をしながら俺の頭を撫でる。

 

そんな急に名前を決めろと言われても困る。もう見た目で決めよう。

 

 

 

「だったら雪夜(ゆきよ)でどう。髪の色と着物の色で決めた」

 

 

「雪夜・・・いい名前やなあ。気に入った。霊耶、次からはうちのことは雪夜と呼び」

 

 

そう言いながら、満足そうに笑みを浮かべて、俺の頭を撫で続けた。

雪夜に比べれば、子供なんだろうが、なんだか気に食わない。簡単に言えばむかつく。

 

そんなことを考えていたら、周りを見てみると、随分と暗くなってしまっていたようだ。

森の中を夢中で探索しながら歩いていたから、自分で思っていたよりも時間がたってしまっていたようだ。

早く帰らないと施設の人間が嫌な顔をしそうだ。

 

 

「もう暗いから帰る」

 

「あら、なんやもう帰るんか。もう子供は帰る時間どすなぁ」

 

さっき子供扱いを嫌がっていたのがばれていたようで、悪戯が成功したような笑みを浮かべながら、そのことを弄ってくる。

 

「気いつけて帰るんやで。けったいな悪魔に捕まらへんようにな。」

 

「また明日来る。またね、雪夜」

 

俺はヒラヒラと手を振る雪夜に手を振り返して、後ろに振り向いて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれだけの魔力を持った子、悪魔たちに狙われへんわけがあらへん。あんたが守っとるからなんどすねえ」

 

 

『何が目的だ。鬼の女王』

 

走り去っていった霊耶の影から出てきたのは黒い影。彼を守っていたのはこの影だ。

その声もノイズが走ったようなくぐもった声である。

 

人型の影は目の部分が青く光っている。

雪夜と影の間に緊張感が走る。

 

霊耶との先ほどの会話から、完全には敵とは思ってはいない。

雪夜も影がどうして彼を守っているのか。

お互いの考えが読めない。

 

「鬼の女王なんて弱い鬼達や周りが勝手に呼んでるだけや。そもそも目的?そんなもんあらへんよ。うちは楽しければそれでええんよ。」

 

 

『本当にそれだけか?彼を利用しようとしているのなら、貴様を斬る』

 

 

魔力を放出し、影の手には剣のようなものが作られる。

 

 

「ああ怖、でもまさか()()でうちに勝てるなんて思てへんどすなぁ?あの子を守るのがあんたの目的ならあの子から離れへんはずや。それに利用する?逆や、あの子に私を()()()()()()()んよ。あの子の行く末は間違いなくおもろいやろうからなあ。安心しとおくれやす、あの子を害するつもりはあらへんよ。それよりもあんたらの方が不思議やなあ。何が目的なんどす?」

 

 

 

()()()()()は、彼が幸せに生きることである。彼が持っている力は同種からは共感と理解を得られず、悪魔からは悪意と興味がつきない。だから誰かが守らなければならない。それが我らが彼に支払える対価だ。』

 

 

影がそう言うと、雪夜は突然大きな声で笑い始めた。

 

 

「願い?願いって言うたん?悪魔ができるのんは呪うことだけどす。そも対価ちゅうことはあの子を呪ったっちゅうことやろ?あの子利用してるのはあんた達やんな?」

 

 

呪いとは悪魔が人や他の悪魔を呪うことで何かを得ること。呪いは絶対だ。

呪いの種類も様々だ。寿命や体の一部、物や権利など制約はいくつも存在するが、基本的には支払えれば大きな力や願いを叶えてくれる。もちろん、叶える望みによって必要な対価も多くなる。

だが影が言うことに雪夜は疑問を抱いていた。

 

先ほどの口ぶりから見て、この影は霊耶を利用しているようには見えない。

 

 

『利用などしているつもりはない。それに貴様に答える理由もない。良いか、我らは彼と共にある。貴様を常に見ているぞ』

 

 

そういって影は霧散し、消えていった。

 

 

「なんや言いたいことだけ言うて、うちの質問には答えへんのかいな」

 

 

後ろの桜が大きく風に揺れ、花弁が舞い散る。白い桜吹雪の中、鬼が嗤う。

 

 

 

「そやけど、これからえらいおもろなりそうやあ」

 

 

 

 

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