悪魔と俺と願いと呪い   作:ザック

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2話目です。
なんかもう少しかけそうなので連載に変えようと思います。

感想評価誤字脱字などお待ちしております。


影と俺と呪いと空

夕方の神社で我らは彼、霊耶と出会った。

 

彼は異常だった。姿形は間違いなく人間の子供であったが、その力は悪魔の中でもトップクラスと言ってもいい。これでまだ子供だというのが恐ろしい。もう数年経った後はどうなっているのか想像するのも恐ろしいほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社にいる我らは力を持っていない悪魔か力をすでに他の悪魔に奪われた悪魔だ。この神社に住む神のおかげでかろうじて存在することができている。神と悪魔と言えば、正反対の存在とも思われがちだが、それは間違いだ。神の中にも人を守る神もいれば、悪魔を守る神もいる。またはどちらも守る神か。この神社の神はどちらも守ってくださっているお方だ。

 

悪魔は悪魔を取り込むことや呪いによる契約で自身の力を伸ばしていく。弱い悪魔は他の悪魔を取り込めず、対価として受けた望みを叶えられないため呪いをかけることもできないことが多い。

 

 

強い悪魔は弱い悪魔を取り込み、人や弱い悪魔に契約を持ち掛け、その力を強くしていく。

 

つまりは弱い悪魔は弱くなっていき、強い悪魔はその力を次第に伸ばしていく。

 

それがこの世界の当たり前であり、変えようのない事実だった。

 

 

私は人々から名前を付けられていない悪魔だ。悪魔は総称で、力のある悪魔達は種族名で呼ばれることがほとんどだ。鬼や龍、吸血鬼や日本の妖怪や怪異などに分類されるものたちもそうだ。

 

私はただの黒い霧のようなものだ。この体は何か特別な力はないが、この体は逃げるのには適していた。あらゆる悪魔達から逃げ、辿り着いたのがこの神社だ。

 

 

桜が舞い散り、神社には桜の花びらがかなり落ちていた。

ここは人が普段立ち入らないため、かなり古びてしまっている。

 

神がたまに掃除をしているが、一人で掃除しきれるような量ではない。

 

力を使えばすぐに掃除くらいできるだろうが、ここの神はそういうようなことに力を使いたがらない。

 

そんな時、何か大きな魔力が近づいてくるのを我らは感知した。

 

大きな魔力を持った何かが近づいてきていると分かった途端、神はその存在を確認しに行き、我らは備えていた。

 

私は逃げるのが得意なため、神に何かあった時にはすぐに飛び出して、私達だけでも逃げられるよう準備をしていた。

 

確かに神に恩はあるが、神で敵わない相手ならば我らにできることなどない。

 

しばらくすると神は横に先ほどの大きな力の存在を連れて、戻ってきた。

 

私はその存在を見て、驚いた。子供だ。しかも人間の。

 

神は近づいてきて、俺たちに呼びかけた。

 

 

「彼はただの人間の子供です。どうやら遊んでほしいようなので誰か遊んであげてくれませんか?

ああ、君がいましたか。君が遊んであげてくれますか?君は逃げ足が速いですから鬼ごっこなんてどうでしょう」

 

そう神は私に呼びかけた。

 

嘘をつくな。どこがただの人間だ。どうみても人間の子供に擬態している悪魔だろう。

と心の中で悪態をついてみるが、彼を見ているとどうも違和感を感じる。

 

もし擬態しているのならば、どうしてその力を隠そうともしないのだろうか。

 

この魔力自体を隠さなければ、いくら子供に擬態をしたところで意味がないのでは?

 

人間の子供は周りを見渡しており、やはりこの子は全てを感知できているようだった。周りで様子を窺いながら、隠れている悪魔達の場所まで正確に。

 

逃げようとも考えたが、神がそういうのであればと思い、頷いて見せた。

 

そうすると神は微笑みながら人間の子供に呼びかけ、人間の子供はこちらに走り出した。

 

少しずつ近づいてくる彼の力は、弱い悪魔の私にとってはとても恐ろしい力に見える。

 

「影?霧?さんは遊んでくれるの?」

 

そう彼に言われた自分はただの霧の体を人間の形のように変え、頷いて見せる。

 

そういうとその子は嬉しそうに少しだけ笑っていた。

 

「じゃあ、鬼ごっこしよう。影さんが鬼ね。」

 

そういうと彼は後ろを振り向いて、走り出した。

 

その姿は魔力を使って、逃げているわけでもなかった。そうか、彼は自分の力に気づいていないのだろう。

だから自分の魔力を隠すことも、その力を利用することもしない。

 

ある程度彼が逃げたのを確認した後、私はゆっくり追いかけ始めた。

 

一度目は子供でも楽しめるようにかなり手加減をして捕まえたが、彼は何度ももう一回と言い、合計で1時間以上遊んでいた。2度目以降は少しずつ本気を出していたがそれでも彼はずっと笑顔で遊び続けていた。

神も賽銭箱の前にある階段に座りながらずっと微笑みながらこちらを見ている。

 

他の悪魔達は彼の遊んでいる姿を見て、危険ではないとわかったのか全員が姿を見せた。

 

全員が警戒しながら、彼を睨みつけてはいたが。

 

この神社にいる悪魔は5体。

 

私。空を飛ぶ2匹の朱と翠の犬のような悪魔。力を奪われた蒼の龍と白の狐。

 

彼周りを悪魔が囲んでいたが、彼は驚くことも怯えることもなく、喜んでいた。

 

「貴方たちも彼と遊んでみたくなりましたか?」

 

神が私以外の悪魔達に問いかける。

 

すると白い狐が反応し、少し鼻を鳴らして答えた。

 

「そうではない。ただ興味が少し沸いただけのこと。それにこやつを食えばわしも力を取り戻せるかもしれぬからな」

 

 

「ふむ、それはできないだろうね。私がそれを許さないし、何より君自身はこの子を食べることはできないよ」

        

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

「なに?こんな小僧すぐにでも食らえるわ。神といえどわしを舐めているのならば許さぬぞ」

 

白い狐は怒りが混じったような声で、神に向かって言葉を吐いた。

 

だがそのように言われている神は先ほどからずっと表情を崩さず、笑顔のまま答える。

 

 

「そうじゃないよ。君のことを舐めているなんてことはないさ。ただそういう問題じゃないんだ。まあいずれ分かることだから心配しなくて大丈夫さ。それにね?今日のこの出会いはこの子にとっても我々にとっても良いことがあると私は確信しているからね」

 

 

そういうと神は立ち上がり、子供の近くまでゆっくり歩きだした。

 

「君の名前を彼らに教えてあげてくれるかな?」

 

 

「俺?俺の名前は神原霊耶だよ」

 

 

「霊耶、彼らを助けてあげてはくれないかな?君のその力の少しを彼らに分けてあげてほしいのさ」

 

霊耶という子は首を傾げながら、微妙な表情をした。

彼は自分の力に気づいていないのだ。だからどうすればいいのか分からないだろう。

 

「力って何?そもそも分けてあげるって言ってもどうやってやればいいのか分からない」

 

 

「力っていうのは君が彼らが見える力のことさ。分け方なら心配いらないよ。もし君が彼らを助けてくれるというなら、君の欲しいものを彼らからもらうといい。または彼らに何かしてほしいことはないかい?」

 

 

そういうと彼は少し悩んだが、何かいいことを思いついたようだった。

 

 

「じゃあ俺と友達になってよ!俺に何ができるかは分からないけど、俺友達が欲しかったんだ。」

 

 

そう言った途端、大きな風が吹いた。すると急に我ら全員に力が溢れだした。

とてつもない力だ。だがこれは我らの力が大きくなったわけではない。

 

彼の魔力を我らが使えるようになったというのが正しいだろうか。

 

だがこれはありえないことだ。

 

 

 

なぜならこれは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そこから霊耶はよく神社に訪れ、我らと親交を深めた。

 

そして我ら全員はあることを始めた。

 

それは霊耶の力を使い、彼の護衛と危険を排除することだ。

 

確かに彼のためというのもあるが、我らにも大きな利があった。

 

彼の力を使うことで悪魔を狩ることで我ら自身の力を大きくすることができていることだ。

 

私以外も最初は非協力的であったが、自分の望みを叶えることができてからは協力的だ。特に龍と狐の彼への想いはかなり大きくなっているように見える。

 

少し霊耶にとって悪影響がありそうだ……よく見ておかなければ……

 

 

 

霊耶との親交が深くになるにつれて、彼の今後について考えることがあった。

 

その力と他の大多数の人間には見えていない悪魔が見えているということから、同種達から避けられている。

 

悪魔の我々に人間の不幸や悲しみを可哀想と思うようなことはないが、霊耶の場合は別だ。恩と長い時間を過ごすにつれて彼にとっての幸せは何かと考える。

 

やはり同種の中で仲良くできる環境を作るべきか。だがそれは難しい。霊耶にとってはいまは我々が友で、それを共感、理解できる人間は少ないだろう。

 

もしも我々が見えていたとしても、見えている人間にとって悪魔は恐怖以外の何物でもない。

 

今更その根底を覆すことは私にはできないだろう。

 

ならば今はまだ彼の守ることに専念しよう。私ができるのはそれくらいだろうから。

 

 

 

いつものように霊耶が神社にきている。

あの時よりも時間がたっていて、あの時咲いていた桜はもう完全に葉が落ち、もうそろそろ雪が降りそうなころだ。彼が歩くたびに落ち葉を踏んで、気持ちのいい音がなっていた。

 

彼はその落ち葉を今掃除をしているところだ。

いつもやらなくていいとは言っているが、いつも神社の掃除をしている。

 

それを見るたびに神はニコニコしながら、霊耶を誉めながら、菓子を持ってきて彼にあげている。

 

 

他の悪魔たちは神社の外にでて、悪魔狩りをしているようだ。

 

 

「ねえ影、今日は何して遊ぼうか。たまには影が決めていいんだよ」

 

 

『霊耶、私のことはいい。君がしたいことをすればいい。」

 

そういうと、霊耶は口を尖らせて、不満そうにした。

 

 

「いつもそれじゃん。影は友達なんだからたまには影のやりたいこともしようよ」

 

 

そんなことを言われても困るが、どうしようか。

特にやりたいことはないし、そもそも人間の子が喜ぶような遊びを私は知らない。

 

 

 

考えていると、少し前に霊耶が言っていたことを思い出した。

 

「みんな空が飛べていいな。俺も空の景色見てみたい。」

 

私たちは彼に魔力の使い方を教えていなかった。

 

彼が扱えるようになるにはもう少し時間が必要だろうと考えていたからだ。

 

人間的に成長し、その力を理解しなければ同種達との居場所がなくなる可能性が高いと感じたから。

いくら力が大きかろうと、彼は人間だ。人間の社会で生きていく必要があるだろうと考えた。

まあ龍と狐からは既に手遅れではないかと言われてはいたが……。

 

 

だから私彼に空の景色を見せることを決めた。

 

『ならば空を飛んでみるというのはどうだ。私が君に纏わり付いて姿を隠しながら、空を飛んで見せよう』

 

 

そういうと目を輝かせながら、俺にぐいっと近づいてきた。

 

 

「そうしよう!すぐ行こう!」

 

 

私は少し苦笑いをしつつ、彼の体に纏わり付いて、空を飛び始めた。

人を飛ばすのははじめてであったため、最初はスピードをはやめすぎないよう気を付けながら飛んだ。

 

そうすると彼は心底楽しそうにしていた。

 

1時間ほど飛んだ後、そろそろ外が暗くなってきたころに神社に帰ってきた。

最近は外が暗くなるのも早くなってきている。風も冷たくなってきているし、そろそろ帰った方がいいだろう。

 

『さて、そろそろ帰る時間だな。気を付けて帰るといい』

 

 

「分かったよ。ねえ、影?」

 

 

『どうした、霊耶』

 

 

「ありがとう。楽しかった」

 

 

そういうと彼は笑いながら、またねと言い、後ろに振り返って神社を後にした。

 

 

彼の影には既に私の分身がついている。帰りに何があっても問題はないだろう。

 

 

まだ霊耶と出会って、一年もたっていないが、彼には大きな恩がある、我々は彼のおかげで力を伸ばし、いつ他の悪魔に消されてしまうかという恐怖も減った。

 

 

彼から受けた呪いである友になるということだけでは足りないだろう。

 

 

だから私は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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