転生してキヴォトスに来ちゃった系フクロウ   作:ストライダー信長

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遅れてすまっそヤマンソ(スーパーホットギャグ)



第11話 デスフクロウ、危険物指定される

 

 

「タエっ、あんた、いい加減に起きなさい!!!」

「うにゃっ」

 

 ふかふか柔らかな寝床から放り出された。

 ずれかけた白面をつけて、体を起こし、

 

「………あれ?みなさん、どうかされましたか?」

「どうかしたって言うか、アンタがやらかしたって言うか………」

「?」

 

 はて、そう言われれば、何やら楽しかったような気が………

 ………

 ア゛ツ。

 

「………いや、その、私、悪くないですよね?先に襲ってきたのはそっちですし」

「そうね。うちの行政官が勝手にやった事とはいえ、私たち風紀委員会が、民間人がいるにもかかわらず一方的に砲撃し、善良な一般市民を攻撃し、あなたの反撃にあって半壊させられたのは紛れもない事実ね」

「なら」

「けれど、今回は事情が違うわ」

 

 

 

「………今回の作戦に従事していた風紀委員255名のうち、119名が出血多量による気絶、或いは貧血、切断された迫撃砲の下敷きになって気絶し行動不能。あとは脳震盪で前後不覚に陥ったものが11名。オペレーターを務めていた後方支援部隊の子もアコ………たった1人を除いて全滅したわ*1。全員が全員、血を吐いてね。無事だった子たちも、しばらくは使い物にならないでしょうね」

 

「根切タエ。つい10日ほど前にアビドス高等学校に編入してきた1年生。出身、経歴、全てが白紙。………あぁ、そういえば、2週間くらい前に、トリニティ自治区の方で原因不明の重症者が大量発生したそうね?確か………外傷の1つもないのに夥しい量の血を吐いて昏倒していたとか」

 

 

「………単刀直入に聞くわ。あなた、何をしたの?」

「何って………見ただけですが?」

「………見ただけ?」

「はい。私、目で見た相手が血反吐撒き散らしてぶっ倒れる呪いみたいな目を持っているもんで。なんでこうなったのかは知りませんし、オンオフも出来ないので不便極まりないんですけど。カメラ越しにも効くのも知りませんでしたし」

「………そう。それじゃあつまり」

 

 

「貴女は、自分の眼が何を齎すのかを知ったうえで、人を傷つけるために使ったと、そういう認識で良いのね?」

 

 ………?

 

「そういう認識も何も、私の居場所を奪った人間がのうのうと生き延びるとか、普通に嫌じゃないですか?なんかこう、ぞわっとしません?」

「………あなた、その程度の理由で」

「その程度、だと?」

 

 

 

「あの人は、柴大将は、掛け値なしの善人だったぞ?」

 

 

「こんなどうしようもない私を受け入れてくれた、善人だった」

 

 

「道理もなくあの人の店を潰し、私から居場所を奪ったお前らに、なんで私が優しくしてやる必要がある?」

「っ、タエ!落ち着いて」

 

 

戦いのアート(レザア・マシオウ)炎の(フレッシュ・アン)

 

 

 ドォーーーンッ!!!

 

 轟音と衝撃。

 

 紫関ラーメン跡地の方から響いたそれに、思わず振り向き。

 

 

「………小鳥遊先輩?」

「………うへっ、ごめんねみんな~。おじさん、ちょっとお昼寝しててさ~」

「ひっ、昼寝ぇ!?こっちは色々大変だったのに!?」

「だからゴメンってば………それで、こっちは揃い踏みだけど、今からやっちゃう?風紀委員長ちゃん?」

 

 

 いつも通りの寝ぼけたような、けれども、奥底に研ぎ澄まされた確かな殺意を感じさせる、異常な気配。

 

 今まで遭遇したことがない類のソレに、思わず身構え。

 

 

「………小鳥遊ホシノ」

「うへっ、おじさんのこと知ってるの?」

「……ええ。情報部に居た頃、他校の要注意人物はある程度把握していたから。特に………あなたの事を忘れられる筈が無い。あの事件の後、アビドスを去ったと思っていたけれど」

 

 

 ………あの事件、か。

 また知らない単語が生えてきた。

 ………気にならない、と言えばうそになるが、他人が不用意に踏み入っていい領域じゃないだろう。

 

「………なるほど。だから、シャーレが」

 

 

 

「………まぁ、いいわ。私も戦うために来たわけじゃないし。イオリ、チナツ、撤退準備。帰るよ」

「………はい」

 

 

「………それと、事前通告もなしに他自治区で武力を行使した事、故意ではないとはいえ、一般市民に危害を加えてしまったこと。そして………彼女の居場所を壊してしまったこと。これらについては、ゲヘナ風紀委員会委員長空埼ヒナとして、アビドス対策委員会に正式に謝罪する……今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で立ち入る事は無いと約束する。それと、私達が出した怪我人の治療費も全額を負担する。………だからどうか、許して欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………さて、タエちゃん。何が悪かったかはわかって」

「あぅ」

「タエちゃん!?」

 

 

 死ぬ、死んでしまう。

 干からびてしまう。

 カラッカラの干物になってしまう。

 

「ちょっ、ノノミちゃん!!水、水持ってきて!!」

「は~い☆」

「タエちゃん!水飲んでなかったの!?」

「………紫関ラーメンでバイトして、風紀委員会ぶっ飛ばして気絶して、その間一滴も………」

「バカ!!おバカ!!!」

「はい、飲み物ですよ?」

「あ、ありがとうございます、十六夜先輩………」

 

 

 渡されたカンの中身をクピクピ飲み干して。

 

 

「んんっ!?」

「タエ!?」

 

 なんっ………なんだコレ!?

 なんか、甘いというか薄いというか妙に薬臭いというか………いやっ。これっ、ホントなんだコレ!?

 

「………ノノミちゃん?何持ってきたの?」

「えぇと………ドクターペッパー?です♧」

「何やってんですか!?」

「あ、でも意外と悪くないですね、コレ。イワナ先生もどうです?」

「”私はコカ党だから遠慮しておこうかな”」

「そうですか。残念で」

「タエちゃん?」

「………誤魔化せませんでしたか」

「そりゃね。………それでタエちゃん、なんであんな事をしたのかな?」

「なぜ………ですか」

 

 少しだけ、考えて。

 

「あの人たちは、私から居場所を、大切な場所を奪おうとした。潰す理由なんて、それで十分じゃないですか?」

 

 風紀委員を名乗るあの人たちは、私から居場所を、大切な人を奪おうとした。

 私から大切な物を奪おうとした。

 だから潰す、というのは、理由として不足なのだろうか?

 

「”………タエちゃん。少しいいかな?”」

「なんですか?イワナ先生」

「”私は、タエちゃんが怒った事が間違いだとも悪い事だったとも思ってないよ”」

「………はぁ」

「”でも、ね。タエちゃんが傷つけてしまった皆にも、きっと、守るべき大切な人たちがいたんじゃないかな?”」

「………大切な人、ですか?」

「”うん。友達か、家族か、それとも全く別のものかはわからないけれど、風紀委員に入ったのも、何かしらの理由が………守りたい、大切な物があるんじゃないかな?”」

「………なる、ほど」

「”まぁ、あくまで私の勝手な考えだけどさ。タエちゃんに、他の人を大切に出来る人になってほしいなって”」

「………」

「”押しつけがましいこと言っちゃってゴメンね?”」

「………いえ、ありがとうございます、イワナ先生。おかげで何か、人として踏み止まれたような気がします」

「”そう?ならよかった”」

 

 ニコッと笑う先生に毒気を抜かれつつ、服の砂埃を払い、

 

「………それで、この後どうするんです?」

「どうって………どうしよっか?」

「”とりあえず、今日は解散しようか。出来る事もなさそうだし”」

「承知しました、先生」

「うへ~………おじさん疲れちゃったよ~。タエちゃんタエちゃん、家事お願いしていい?」

「はい、わかりまし」

「ホシノ先輩?」

「………うへっ」

『うへっ、じゃないです!!いくら一緒に住んでるからって後輩に押し付けようとしないでください!!』

「私は別に」

『タエさんも!!むやみにホシノ先輩を甘やかさないでください!!』

「はい………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほふぅ~………」

 

 熱めのお湯に肩まで浸かって、溜息をつく。

 固まっていた全身の筋肉がゆっくりと解れていく感覚。

 右腕の付け根を、指でなぞって、

 

「………やっぱり、けっこう蒸れますね」

 

 義手の都合上致し方ない事ではあるが、どうしてもつなぎ目の部分が蒸れてしまう。

 

 ………まぁ、この腕を使わない選択肢は存在しないのだが。

 

 というかそれ以前に、足の裏に砂が付いたり、羽根が砂まみれになったりと、この砂漠、あまり私に優しくない。

 羽根はバサッと広げてパタパタすれば一瞬でモッフモフになるので問題ないが、それでも不便なことに変わりはないし。

 湯船に浮かべたクジラのオモチャを指ではじいて、

 

「………あの事件、か」

 

 風紀委員長………空埼ヒナの口ぶりからして、小鳥遊先輩の過去に、薄暗い何かがあったのはほぼ間違いないだろう。

 ………余人の触れるべきではない、昏い何かが。

 気にならないと言えばウソになるが、詮索すべきではないだろう。

 背筋を伸ばして、翼を丸め。

 

 

(………あの感覚は、何だったのだろうか)

 

 風紀委員と戦っている最中に感じた、あの、脳味噌がふわふわするような、不思議な高揚感。

 

 私は、あの感覚を知っている。

 

 アレは、蹂躙する快感だ。

 見下し、嬲り、蹂躙し、虐殺し、昏い怨嗟と呪怨を満身に浴びた者のみが感じる、どす黒い喜悦。

 

 ………おそらく私は、このキヴォトスに来る前、どこかで人を殺したのだろう。

 

 それも、両の手の指では数え切れないほど、命の重さなど消し飛んでなくなってしまうほど、大量に。

 

 天井を見上げて、溜息をつき、

 

「………調べなくては、いけませんね」

 

 私には、私の過去を知り、そして償う義務がある。

 思い出せもしない暗闇に手を突っ込んで、一切合切を掻き出して、それを知る義務がある。

 

 ………そうでもしなければ、あの人たちに顔向けも出来やしないではないか。

 

「………今日はもう遅いですし、寝てしまいましょう」

 

 そう自分に言い聞かせて、私は浴槽を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ………あまり生徒に干渉しないでいただきたいと、私は貴方にそう伝えたはずだったのですが………フェイスレス?」

「いや~何のことかな?」

「まったく………あの根切タエという生徒の所持する神秘は、今までに例のない、とても希少なものです。どうか、あまり手荒な事はなさらないでください」

「分かってるってば。だからちょちょいと()()だけにしたんだし」

「………それなら良いのですが。貴方の錬金術と科学の才能は、我々にとっても得難いものではありますし」

「だろ?僕的には、マエストロ君と協働しても面白そうなんだけどねぇ」

「貴方と彼が組んだら何が出力されるのかは興味深い話題ではありますが、少なくとも、今はその時ではないでしょう」

「あっそ。………んで、あのデクノボウはどんな感じ?」

「彼は………一度、根切タエと接触させた方が早いかと思われます。アレはいまいち、自分の敵を理解していない節がある」

「おっけー。必要なら僕の造った気象操作装置も持ってって良いよ。アレ、あんまし範囲広くないけど」

「ありがとうございます」

「お礼なんていらないよー。………ボクのオモチャがこっちでどれだけ通じるのかも興味あったし」

「そうですか。………それでは、」

「あぁ、そうだ。一個言い忘れるとこだった」

「………?どうかされましたか?」

 

 

「彼女、人間じゃないよ。神ですらない。きっと、もっと低級なナニカだ」

 

 

「………それは、本当にそんな事が?いや、しかし………わかりました。覚えておきましょう」

「うん、じゃあね」

 

 

 

「………さて、どうやって改造してやろうかな?」

 

 

 

「そうだ、アイツみたいにしてやろっと」

 

 

 

「………なぜだろう、今、すっごく嫌な予感がした」

「理事?どうかされましたか?」

「いいや、何でもない。それよりも件の交渉を………」

 

 

 

 

*1
ヨコチチハミデヤンが大量出血程度でダウンするわけないだろ!!





エンジョイ勢おじさんウッキウキで草。
それとPMC理事、お前は犠牲になったのだ。
フェイスレスランド建設の、犠牲の犠牲にな・・・・・・・・・


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