転生してキヴォトスに来ちゃった系フクロウ   作:ストライダー信長

2 / 12
というわけで、でんじゃらすばーどのキヴォトス入りです。
対戦よろしくお願いします。


デスフクロウin対策委員会
第1話 デスフクロウ、キヴォトスに立つ


 

 

 ………ここは、どこなのだろうか。

 

 

 

 頭が、ひどく痛む。

 

 頭蓋骨をギリギリと締め付けられるような、ひどい痛み。

 思わずふらりとして、体に力が入らずへたり込んでしまった。

 壁に背を預け、ぎっと、歯を食いしばり、ズキズキと、咎めるような痛みが奔る。

 

 

 息を吸って、ゆっくりと吐き。

 

 

 ………ここは、どこなのだろうか?

 

 

 ………それ以前に、私は、誰だ?

 

 

 

 言葉は、わかる。

 

 私がいま着ている真っ白な飾り気のない服が、病人が着るものである事も、私が今いる場所が、どうやら路地裏であるらしい事も、今がどうやら夜であるらしい事も、理解できる。

 

 

 だが、それ以外の、私の過去を示すものが、何も、何も、思い出せない。

 

 

 私という存在が、たった今、唐突にこの世界に生まれ落ちたかのように、私の脳の中身はからっぽだった。

 

 

 

 

 ………ただ、1つだけ憶えているのは、壮絶なまでに恐ろしい、鬼の様な貌をした、一人の盲の老人と、そして

 

 

 

 

 

 ………そして、何だったのだろうか?

 

 

 

 駄目だ、わからない。

 

 

 何も、何も、何も。

 

 

 軋むように痛む頭を手で押さえようとして、そこで初めて、私が、右腕を失っていることに気づいた。

 

 

 ……或いは、端から無かったのかもしれないと思ったが、肘上あたりから、銃か何かで撃ち飛ばされた様になっているのをみるに、何者かに襲われたのかもしれない。

 

 

 

 ………もっとも、それを確かめる術を、私は持ち合わせていないのだが。

 

 

 

 兎にも角にも、こうしていたところで始まらないだろう。

 

 

 気合を入れて立ち上がり、いつも通り翼をはためかせる。

 

 

 ………取りあえずは、人の多いところを目指すべきだろう。

 

 こんな暗い裏路地に1人で居ても、良いことなど、ある訳が無いのだから。

 

 ひどく曇った、星明りの無い夜空を見上げて。

 

 

 

「おいテメェ、見ねぇカッコだな?」

 

 

 

 声が、した。

 

 

 

 年若い女の、仔犬がキャンキャンと吠えるような、虚仮威しの威嚇の声が。

 

 

 

 咄嗟に、目を背け。

 

 

 

 

「テメェ……何、ツラァ背けてやがんだ!おら、コッチ向けよ!!」

「やめっ、駄目だ、駄目なんだ!やめてっ、やめてくれ!!」

「うるせぇんだよチビスケが!人様のシマで何やってんだ!?あぁん!?」

 

 

 

 直感が告げていた。

 

 このままではロクな事にならないと、私の本能がそう絶叫していた。

 

 

 

 しゃがみ込んだ私の顔を力づくで見ようとする女に、必死に抗い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   顔を見る

 

           はい                 YES

 

            ↑

 

           はい

 

 

 

「っ、ぁっ」

 

 

 

 

 

 

 ゴポリと、嫌な音がして、生温かい雨が降った。

 

 

 どす黒い雨が私に降り注ぎ、顔を、髪を、服を、翼を、視界を、赤く染めてゆく。

 

 

 

 両目と鼻と耳と口から血を噴出させた年若い女が、私に寄りかかるようにして意識を失った。

 

 

 

 ぐったりとした体を抱きかかえようとして、バランスを崩して尻餅をつく。

 

 

 

 なんとか、なんとかシなければ

 

 

 ナニを?

 

 

 

 どうやって?

 

 

 どうすればいい?

 

 

 病院

 

 

 救急車

 

 

 違う、もっと、なにか

 

 

 

 

「お前ッ、モモに何しやがった!!」

 

 

 

 

 バン、と、聞き慣れない音と、耳に奔る鈍い痛み。

 

 

 

 咄嗟に首を捻った私の正面、硝煙を燻らす銃口を私に突きつけていた女が、その後方で銃を構えていた女達が、先の女の焼き直しの様に、血を噴いて斃れた。

 

 

 プンと香る、鉄錆の匂い。

 

 

 ……嗅ぎ慣れた、死の臭い。

 

 

 

 呼吸が荒くなる。

 

 頭が回らなくなる。

 

 

 点滅し、狭窄していく世界の中、キィィィイイィンンンと耳鳴りが木霊して。

 

 

 

 

「ちょっと………なにこれ!?何があったの!?」

 

 

 

 背後から聞こえた若い女の声に振り返りかけて、必死に押さえつけた。

 

 

 

 ドクドクドクと熱く脈打つ心臓の鼓動と、パタパタと、慌てたような足音。

 

 

 頭の中が、真っ白になって。

 

 

 

 

 

 

「ねえっ、何が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オギャァァアアアアァァアアアアァァァアアッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 もはや、何も考えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 血に汚れた翼をめいいっぱいに広げ、次の瞬間、私の体は遥か上空に舞い上がっていた。

 

 

 

 身を切る風の冷たさも、ズキズキと痛みを訴える脾臓の感触も、この場から逃げられるのならば、どうでもよくて、

 

 

 

 ただ、いつか飛んだような冷たい夜空と月光だけが、私を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………ここは、どこなのだろうか。

 

 

 

 見渡す限りの、砂、砂、砂、ところどころ、巨大な建造物が、仏壇に供えた白米に突き刺した箸のように刺さった、砂の海。

 

 

 こんな光景が、現世に存在するとは思ってもみなかった。

 

 

 

 ……それに、酷く、暑い。

 

 

 

 こうしているだけでも倒れそうなくらいだ。

 

 

 あの場所からそう離れたわけでもなかろうに、この街は一体、どんなデタラメな造りをしているというのやら。

 

 

 

 ……だが、ここならば、ちょうど良いかもしれない。

 

 

 こんな荒廃しきった砂の海に棲む人間など、まさかいるわけもないだろうし、私のこの眼が誰かを傷つける事もあるまい。

 

 

 ………私はきっと、存在してはいけない怪物なのだ。

 

 

 呪われた、穢れた、忌むべき、忌み嫌われて然るべき存在なのだ。

 

 

 

 人知れず、ここで乾いて死んでいくのも、悪くない。

 

 

 

 ……だが、一先は、飛べるだけでも飛んでみようか。

 

 

 欲を言えば、もう一度、月明かりの照らす夜空を飛翔してみたかったが、私の欲で他者に迷惑をかけるわけにもいくまい。

 

 

 野垂死にに死ぬまで好き勝手に飛んで、それで仕舞いにしよう。

 

 

 

 翼を広げて、私は、足場にしていたビルから身を投げた。

 

 

 

 

 





次回予告

転生早々オギャリながらどっかいったデスバード!

何の因果かアビドスに到着したデスフクロウは─────



「………動いてないのに、あつい」


 当然の如く干物になっていた!!

 寒冷地原産ゆえに耐熱性カスのフクロウを、アビドスのクソホットな直射日光が襲う!!

 カラッカラに乾ききったフクロウを、二輪が踏みつけ



「うへぇ………シロコちゃん、どしたのそれ?」
「ん。仕留めた。今日の晩御飯にする」
「ちょっ、それ人じゃないの!?」



次回「フクロウを食用にする文化圏ってあるのかね?」


 デスフクロウの明日はどっちだ。

欲しいssあったら投票してくだちぃ

  • 激戦!アビドシアンデスワーム!!
  • 恐怖!キヴォトシアンデスマグロ!!
  • 邪眼は春眠を貪る
  • 邪眼は蒼月を背負う
  • 邪眼は機構を喰らう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。