転生してキヴォトスに来ちゃった系フクロウ 作:ストライダー信長
対戦よろしくお願いします。
第1話 デスフクロウ、キヴォトスに立つ
………ここは、どこなのだろうか。
頭が、ひどく痛む。
頭蓋骨をギリギリと締め付けられるような、ひどい痛み。
思わずふらりとして、体に力が入らずへたり込んでしまった。
壁に背を預け、ぎっと、歯を食いしばり、ズキズキと、咎めるような痛みが奔る。
息を吸って、ゆっくりと吐き。
………ここは、どこなのだろうか?
………それ以前に、私は、誰だ?
言葉は、わかる。
私がいま着ている真っ白な飾り気のない服が、病人が着るものである事も、私が今いる場所が、どうやら路地裏であるらしい事も、今がどうやら夜であるらしい事も、理解できる。
だが、それ以外の、私の過去を示すものが、何も、何も、思い出せない。
私という存在が、たった今、唐突にこの世界に生まれ落ちたかのように、私の脳の中身はからっぽだった。
………ただ、1つだけ憶えているのは、壮絶なまでに恐ろしい、鬼の様な貌をした、一人の盲の老人と、そして
………そして、何だったのだろうか?
駄目だ、わからない。
何も、何も、何も。
軋むように痛む頭を手で押さえようとして、そこで初めて、私が、右腕を失っていることに気づいた。
……或いは、端から無かったのかもしれないと思ったが、肘上あたりから、銃か何かで撃ち飛ばされた様になっているのをみるに、何者かに襲われたのかもしれない。
………もっとも、それを確かめる術を、私は持ち合わせていないのだが。
兎にも角にも、こうしていたところで始まらないだろう。
気合を入れて立ち上がり、いつも通り翼をはためかせる。
………取りあえずは、人の多いところを目指すべきだろう。
こんな暗い裏路地に1人で居ても、良いことなど、ある訳が無いのだから。
ひどく曇った、星明りの無い夜空を見上げて。
「おいテメェ、見ねぇカッコだな?」
声が、した。
年若い女の、仔犬がキャンキャンと吠えるような、虚仮威しの威嚇の声が。
咄嗟に、目を背け。
「テメェ……何、ツラァ背けてやがんだ!おら、コッチ向けよ!!」
「やめっ、駄目だ、駄目なんだ!やめてっ、やめてくれ!!」
「うるせぇんだよチビスケが!人様のシマで何やってんだ!?あぁん!?」
直感が告げていた。
このままではロクな事にならないと、私の本能がそう絶叫していた。
しゃがみ込んだ私の顔を力づくで見ようとする女に、必死に抗い。
顔を見る
はい YES
↑
はい
「っ、ぁっ」
ゴポリと、嫌な音がして、生温かい雨が降った。
どす黒い雨が私に降り注ぎ、顔を、髪を、服を、翼を、視界を、赤く染めてゆく。
両目と鼻と耳と口から血を噴出させた年若い女が、私に寄りかかるようにして意識を失った。
ぐったりとした体を抱きかかえようとして、バランスを崩して尻餅をつく。
なんとか、なんとかシなければ
ナニを?
どうやって?
どうすればいい?
病院
救急車
違う、もっと、なにか
「お前ッ、モモに何しやがった!!」
バン、と、聞き慣れない音と、耳に奔る鈍い痛み。
咄嗟に首を捻った私の正面、硝煙を燻らす銃口を私に突きつけていた女が、その後方で銃を構えていた女達が、先の女の焼き直しの様に、血を噴いて斃れた。
プンと香る、鉄錆の匂い。
……嗅ぎ慣れた、死の臭い。
呼吸が荒くなる。
頭が回らなくなる。
点滅し、狭窄していく世界の中、キィィィイイィンンンと耳鳴りが木霊して。
「ちょっと………なにこれ!?何があったの!?」
背後から聞こえた若い女の声に振り返りかけて、必死に押さえつけた。
ドクドクドクと熱く脈打つ心臓の鼓動と、パタパタと、慌てたような足音。
頭の中が、真っ白になって。
「ねえっ、何が」
「オギャァァアアアアァァアアアアァァァアアッッッ!!!!」
もはや、何も考えられなかった。
血に汚れた翼をめいいっぱいに広げ、次の瞬間、私の体は遥か上空に舞い上がっていた。
身を切る風の冷たさも、ズキズキと痛みを訴える脾臓の感触も、この場から逃げられるのならば、どうでもよくて、
ただ、いつか飛んだような冷たい夜空と月光だけが、私を見つめていた。
………ここは、どこなのだろうか。
見渡す限りの、砂、砂、砂、ところどころ、巨大な建造物が、仏壇に供えた白米に突き刺した箸のように刺さった、砂の海。
こんな光景が、現世に存在するとは思ってもみなかった。
……それに、酷く、暑い。
こうしているだけでも倒れそうなくらいだ。
あの場所からそう離れたわけでもなかろうに、この街は一体、どんなデタラメな造りをしているというのやら。
……だが、ここならば、ちょうど良いかもしれない。
こんな荒廃しきった砂の海に棲む人間など、まさかいるわけもないだろうし、私のこの眼が誰かを傷つける事もあるまい。
………私はきっと、存在してはいけない怪物なのだ。
呪われた、穢れた、忌むべき、忌み嫌われて然るべき存在なのだ。
人知れず、ここで乾いて死んでいくのも、悪くない。
……だが、一先は、飛べるだけでも飛んでみようか。
欲を言えば、もう一度、月明かりの照らす夜空を飛翔してみたかったが、私の欲で他者に迷惑をかけるわけにもいくまい。
野垂死にに死ぬまで好き勝手に飛んで、それで仕舞いにしよう。
翼を広げて、私は、足場にしていたビルから身を投げた。
次回予告
転生早々オギャリながらどっかいったデスバード!
何の因果かアビドスに到着したデスフクロウは─────
「………動いてないのに、あつい」
当然の如く干物になっていた!!
寒冷地原産ゆえに耐熱性カスのフクロウを、アビドスのクソホットな直射日光が襲う!!
カラッカラに乾ききったフクロウを、二輪が踏みつけ
「うへぇ………シロコちゃん、どしたのそれ?」
「ん。仕留めた。今日の晩御飯にする」
「ちょっ、それ人じゃないの!?」
次回「フクロウを食用にする文化圏ってあるのかね?」
デスフクロウの明日はどっちだ。
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激戦!アビドシアンデスワーム!!
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恐怖!キヴォトシアンデスマグロ!!
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邪眼は春眠を貪る
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邪眼は蒼月を背負う
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邪眼は機構を喰らう