「これは……何故?」
未だ昏睡状態にあるものの、不思議な力で現実を夢の中から観測していた百合園セイアは、思わず疑問を口にする。
「何故ここで「ナギサ」が……?いや、友人が無事なことは喜ばしいことだ。だけど、ここでナギサが出てくるような展開は
口ぶりから察するに、時々夢で未来の光景を観測出来るセイアだが、どうやら今まで見てきた夢の中でこのタイミングで桐藤ナギサが出てくる場面はなかったようだ。
「それに、彼女……サンダウナーと呼ばれ、アズサを「ジャック」と呼んだ彼女は、何者だ?どの夢でも、アズサに干渉していた覚えはない……この場面も、かつて夢で見たがそれとは大きく違う……?」
──どこで展開が変わった?
セイアは考える。何故自分の見た未来と違うのか。
「私の予知夢は正確ではない……ということか?だとしたら、破滅の未来も大きく変わっている可能性も……?」
そこまで言うと、セイア小さく首を横に振り、一人ごちる。
「一先ず、この物語の結末を見届けよう。考えるのはそれからの方がいい」
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「宣戦布告の文章は出来ましたか!?」
「はい、大丈夫です!」
「良し、ではすぐにでも……!」
ティーパーティーの教室にて、とある分派が集まり、そのような会話をしていた。
会話から察するに、どこかに戦争を仕掛けようとしている様子である。
そこへ──
バァン!!!
勢いよく扉が開かれ、教室に集まっていた者たちの視線が一斉にそちらへ向くと、教室内にいた者たちは驚きの表情を浮かべる。
「……あ、あなたは」
「……貴女達は、パテル分派の方達ですね」
扉を開け放ったものは、古聖堂で行方不明と言われていた、ティーパーティー生徒会長、現ホストの桐藤ナギサと、不安そうな表情の浦和ハナコの姿があったのだ。
「"宣戦布告"と言っていたのが聞こえましたが、それは許しません。今すぐトリニティの広場に集まりなさい。これはホスト命令です」
「……っ!」
有無を言わさぬ態度に思わず後退りするパテル分派の幹部。だがその圧に屈さずに前は出て話しかける。
「……ナギサ様、映像の方は──」
「
「っ!……ならば、あれがシスターフッドと関連があることはお分かりでしょう!?シスターフッドは秘密主義集団!!このトリニティを乗っ取るためにあのアリウスと手を組んだ可能性も──!!!」
「次はありません。広場に集まりなさい」
その言葉に、圧倒的な威圧感に、その場にいた全員が言葉を話せなくなる。
「(……この方は、これほどまでに"恐ろしい"と感じる方だったのですか……?)」
「(……まさか、ナギサさんからここまでの圧を感じる時が来るとは……認識を、改めないとですね)」
ティーパーティー傘下のパテル分派の者たちは、顔を俯かせ、粛々と教室から去り広場に向かい始めた。
「……ありがとうございます。ナギサさん。貴女が居なかったら、どうなっていたか……」
「構いません、これが私の
平然とした態度で言うナギサの姿に、ハナコは敵わない、と感じた。
「ですが、大丈夫なんですか?その……怪我は」
未だにナギサの服装はボロボロであり、傷跡もそこそこ目立っている。だがその質問に、ナギサは笑顔で答える。
「ええ、問題ありませんよ。見た目が酷いだけで、傷自体は大したことありません。現に今何の問題もなく動けているでしょう?大丈夫です。全てが終わればちゃんと治療を受けますので」
「……なら、いいのですが」
と言いつつも、不安の表情を浮かべるハナコ。
ナギサはハナコの態度に苦笑を浮かべつつも、ハナコに対し「それより」と話しかける。
「私はこれから行くところがあるので、もうしばらくトリニティの方をお願いしてもいいですか?」
「えっ?あ、はい。それは構わないんですけど……どこへ行くんですか?」
「──世界で一番、大切な人の所です」
─────────────────────
「……」
トリニティにある、比較的豪華な牢屋の中で、聖園ミカが目を瞑りベッドにごろんと横たわっていた。
ふと外の方から人の気配を感じ、鉄格子の方へ振り向く。
「──えっ?」
気配の主の姿を確認すると、その者は驚愕を浮かべる。
「──どうも、元気にしていましたか?ミカさん」
「──ナギ、ちゃん……?」
気配の主──10年来の幼馴染である桐藤ナギサが、微笑みながら話しかけてきたのだから。
「……なん、なんで?どうしてここに……?」
困惑しながらも、どうにか声を掛ける。
微笑みを浮かべながらナギサが近づくと、ミカは更に驚く。
「っナギちゃん!?その怪我っ、大丈夫なの!?」
部屋が暗いため、遠くではよく見えなかったが、ナギサが近づくと、ナギサの服や身体の至る所に傷が付いてるのがわかった。
「……ええ、擦り傷のような物ですので、安心してください」
「安心できないよ!早く手当しないと……!というか、そんな状態で、本当になんでここに……!?」
珍しく動揺しながらあれこれと言葉を話すミカに、ナギサは思わず笑いが込み上げる。
「……ミカさん、本当に大丈夫ですから、安心してください。私はただ、ミカさんに会いに来ただけです」
「…………だとしても、なんで私のところに来たの?もしかして、私の力が必要?」
心配そうな顔でナギサの顔を覗くミカ。
ナギサはそんなミカに更に近づき、両手をミカの顔に添えて正面から話し合う。
「……さっきも言ったでしょう?ただ、ミカさんに会いに来ただけ、と」
「……ほんとのほんとに?ただ、それだけなの?」
「もうっ、私の信頼度ってそんなに低いですか?」
「そういうわけじゃないけど……でも、こんな状況だから」
「……ふふっ、違いますよ」
ナギサのその言葉に、ミカは思わず「えっ?」と声を漏らす。
「こんな状況だからこそ、一番大切な存在であるミカさんに、ちゃんと姿を見せたかったんです」
「──ナギちゃん……」
その言葉に驚くと、ナギサは優しくミカに、腕だけでなく天使族特有の翼で体を包む様に抱擁し、子供に言い聞かせるような優しい声で囁く。
「ミカさん、私は大丈夫です。だから、安心してください」
「…………あはっ⭐︎そっか……うん。わかった」
ナギサの抱擁に更に驚いたが、ナギサの言葉を聞くと、ミカも笑みを浮かべながらナギサに同じように抱擁を返す。
数分の間、互いに沈黙し抱擁を交わしていたが、ナギサはミカの背中をトン、トン、と叩くと抱擁を辞める。ミカは名残惜しそうな表情をする。
ナギサはそれに、もう少しするか、と悩むが、その思考を切り捨てて話す。
「……それでは、私は行ってきます。まだまだやるべきことがありますので」
「……うん。……ねぇ、ナギちゃん」
牢屋から出ようとするタイミングで、ミカから声をかけられ足を止める。
「?なんですか?」
「──ちゃんと、帰ってきてくれるよね?」
寂しげな表情のミカの言葉に、今度はナギサが驚きの表情を浮かべるが、すぐさま笑顔で答える。
「──勿論、
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雨が降りしきっている中、私は奴と向かい合う。
「どうして、何故お前がここに……!?」
息を切らしながら問いかける。
黒いロングコートを身につけ、左手には横長のアタッシュケースを持った黒髪の生徒──サンダウナーは、不敵な笑みを浮かべながら答える。
「……見てたぜジャック。お前中々にやるじゃないか。だが……どうやら未だ
「っ!」
サンダウナーの言葉を聞き、私は奴を睨みつけるが、それを無視して近づいてくる。
「……ジャック。こうして俺たちは
「…………」
覚えている。奴と別れた際に言われた、あの言葉。
──次に出会う時に、私への教育を終わらせると。
「サオリにも言われてたよなあ、ジャック。お前は弱いと。だが何故弱いか分かるか?」
「……殺意がないからか?」
「ンイヤちがぁう!前に教えただろう?人を殺すのに必要な物……それが何かを」
「……」
覚悟。奴は何事も、覚悟が行動をする際に重要な物だと言っていた。
「覚悟だ。お前が弱いのは、覚悟が足りないからだ」
サンダウナーは手をふらふらと指揮者の様に言葉に合わせながら振るいながら語る。
「誰かを傷つける覚悟何かを失う覚悟そしてぇ!!!」
そこまで言うと動きを止めて、ゆっくりと私の方に顔と指を動かし話す。
「
「誰かを、見捨てる?」
……どういう意味だ?
誰かを見捨てる覚悟?何を言っているんだ?
「人は必ず、目に見えない誰かに配慮をしている。勿論俺もそうだだが……時には、それを見捨てるという選択肢が必要なんだ」
「……もっとわかりやすく説明してくれ」
「……いいだろう。つまりだな?食いたいから売り物を勝手に食う!建物を好き勝手に壊す!殺したいから殺す!……自分が今やりたいことを最優先にする覚悟が足りてないんだよ」
自分の、やりたいことを最優先にする覚悟?
「お前──今、何がしたい?」
「……今、何がしたい……?」
思わず同じことを返してしまう。
私が今何がしたいか……単純な質問だ。だけど……よく考えないといけない。
「一つアドバイスしておこう。誰かが困るからやらない。出来ないからやらない。そういうのを捨てろ。ただただ今自分がやりたいことを考えろ」
サンダウナーにそう言われ、更に考える。
今、私が一番やりたいこと……。
どれほどの時間が経ったのかはわからない。それでも考えは纏まり、力を入れて立ち上がりサンダウナーに顔を合わせる。
「私は──アリウスを、サオリを止めたい。殺さずに、生かして、アリウスに平和を齎したい。後……出来るなら、また、補習授業部の皆と……仲良くしたい!」
こんなのは理想の話だ。
──それでも、今一番やりたいと思うことは、自分が望む結末はこれなんだ!
私が声を大にして言い放つと、サンダウナーは不敵な笑みを更に深めて、私に話しかける。
「──それが、本当にお前のやりたいことなんだな?」
「そうだ!これが無理難題だと言うのはわかってる!それでも、今私が一番やりたいと思うのは、こういう結末にすることなんだ!!!」
そこまで言えば、視線を合わせていたサンダウナーは、「ふっ」と笑うと、左手に持っていたアタッシュケースを私の前に持ってくる。
「いいだろう。合格だ。これでお前の教育を終わりにする。そして、これは──俺からの卒業祝いだ」
そういいながらアタッシュケースを開ける。
そこには──
「?……これは?」
「「高周波エーテルブレード」。これを、お前にやるよ」
高周波エーテルブレード、というが、ケースに入っていたのは剣の持ち手部分と、剣を納める物の二つ。到底ブレードと呼べるようなものは無かった。
「……これのどこが剣なんだ?」
「まあ手に持ってみろ」
そう言われ、恐らく剣の持ち手部分を持ってみると、途端に青白い光に包まれていく。
「っ!?これは!?」
「やっぱライトセイバー感あるなぁこれ」
サンダウナーが何か呟いていたが、驚いていて何を言ったか聞こえなかった。
何せ、先程まで無かったはずの剣の刃が、そこに現れたのだから。
「これは一体、どういう……!?何故いきなり刃が!?」
私が動揺していると、サンダウナーは腕を組んで壁に体を預けて説明する。
「詳しい原理は長くなるから言わんが、とりあえずそれの主な機能は二つ。一つは柄……刀の持ち手を持たない限り刀身が出ない。この機能は神秘を持たない者には意味をなさんが、まあそんな奴大抵おらんから大体のやつが使える。そして二つ目。これがお前にとって一番重要だろう」
驚きながらもサンダウナーの説明をしっかりと聞く。
なるほど、これは刀という武器で……持ち手部分を柄、というのか?そして刃の部分は刀身……ということでいいのか?
自分なりにこの武器について知りつつ、二つ目の説明を聞き、私は驚く。
「──それで人を斬ると、体をすり抜ける。斬られるとその部分の力が一気に抜ける。頭、心臓といった部分を斬ると一日はぐーすかびーとおやすみだな。まあ大雑把に言えば、その刀で斬った奴は何があろうと死なない」
「──はっ?」
これで斬った奴は、死なない……?
思わず間抜けな声を出すが、本当に意味がわからない。
「そ、それは一体どういう意味だ……?」
「説明してもマジでわかんないと思うから、とりあえずそれなら誰も殺さないってことを覚えておけ。一殺多生どころか無殺全生の活人剣ってことだな。後切れ味も凄いぞ。コンクリートをまるで豆腐の様に斬れる」
かつじんけん……?
よく分からないが、これで斬った相手は、絶対に怪我を負うことが無い……?
それに、コンクリートを豆腐の様に斬れる?そんなことはあり得ない。
あまりにも理想的すぎるものに、未だに信じきれない自分がいる。
「信じれないなら俺で試せ。ほら」
私の考えていることが分かったのか、躊躇なく左腕を私に差し出してくるサンダウナー。
それに、私は一瞬躊躇う。
「……だが、本当に?」
「まだ迷うか?俺が容易にこんな馬鹿な真似するような奴じゃないのは知ってるだろ?俺はそれが本当に人を斬らないと知ってる。真偽を確かめるならこれが一番だろ」
奴の言う通りだ。
誰かで試さない限り、これが本当に人を斬らない剣かわからない。
そして、奴は命に関わることではふざけることはないと知っている。
私はサンダウナーの顔を見据え、本当にいいのかを聞く。
「……本当に、いいんだな?」
「はよやれ」
面倒くさそうな態度のサンダウナー。
この反応的に恐らく本当に斬れないのだろうが、それでもやらなければわからない。
「……わかった。じゃあ……行くぞ」
そう言って刀をサンダウナーの左腕に構える。
そして、勢いよく振るう。
すると、本当にすり抜け、上げられていた左腕はガクンと落ちていった。
──本当に、斬れていない……!?
「うわいったー。慰謝料300万請求しま──」
「300万では済まないだろっ!」
棒読みでそんなことを言うサンダウナーの脛を思いっきり蹴る。
「ぁいてぇごめん!!!」
力が抜けていない右腕で蹴られた部分を摩っている。
なんだか、こういう空気は懐かしい。
昔はよくこいつがこんなふざけたことを言って場を賑やかしていたのを覚えている。
そのせいで部隊の雰囲気が基本的にふざけたものになったのはどうかと思うが。
「あ〜いてて……まあわかったろ?それなら人を殺さん。今のお前にぴったり君な武器だな」
「"君"は余計だろう、一々余計な言葉を挟むな。だがまあ……そうだな。感謝する」
私が笑顔を浮かべながらそう言えば、右手を腰に当てて得意げな表情で答える。
「──まあ、俺にはお前を「人殺し」にした責任があるからな。それで悩んでんなら解決せんとだろ」
「……そうか。お前らしいな」
──やはり、こいつには敵わない。
シャーレの 先生も大人だとは思う。それでも、私にとって一番大人だと思う人は、いつまでもサンダウナーなのだろうと思う。
「……そういえば、サンダウナー。一つ聞きたいことがある」
「うん?なんだ」
「──お前の、本当の名前は何なんだ?」
私が質問すると、サンダウナーは目が点になる。その後、難しい顔をしながら顎に手を添えて唸る。
──何故このような反応を?まさか……。
「……すまん。実はずっとサンダウナーとしか呼ばれてないから本当の名前とかないんだわ」
「……はぁ、そうか」
この反応はそうだと思った。
言うのを渋っている、という訳ではなく、単に無いからなんだろうなと。
「まあ次出会うまでにいいの考えとくわ。──それじゃ、まあ……頑張れよ、アズサ」
右手で左手をコートのポケットに入れてから、いつものように右手を振って去っていく。
……というか。
「……アズサって、初めて言われたな」
─────────────────────
「サンダウナー殿」
アズサと出会い去ってから数分後。
帰る道中で、サンダウナーは後ろから声を掛けられる。
顔だけ後ろに振り向き、声の主と会話をする。
「……黒服か。なんだ?」
「私の作った作品の持ち主を一目見ておこうと思いましてね」
「なるほどな。で?俺に何のようだ?」
サンダウナーは用件を早く言えと伝えると、黒服は言おうかどうか迷う素振りを見せる。
しばらくすると、黒服はサンダウナーに話しかける。
「あなたは、本当に何者なんですか?」
「そりゃどういう意味で?」
「彼女──白洲アズサの話は聞いています。あなたは10年前から彼女と共におり、彼女に様々なことを教えてきたと……あなたは、どこでそのような価値観を形成したのですか?」
黒服の言葉に、サンダウナーは何度も頷くと、顔だけでなく体ごと振り向き黒服を見据える。
「少し昔話でもしてやろう。かつて俺はある高校で
「……ほう?」
未だ17歳である彼女が、過去に「高校」で教師をしていたという。
「授業の良し悪しは俺の主観になるから置いておくとして、その高校ではある問題があった」
「どのような問題があったのですか?」
「生徒による虐めが起きていたんだ。俺は臨床心理資格、まあつまりカウンセラーの資格もあってな。そこでその虐めの被害者から相談を受けたんだ。「虐めを受けています。どうすればいいですか、助けてください」ってな」
「シャーレの先生が聞けば、真摯に向き合うことでしょうね」
「ほーん、そうか。まあそれは置いておいて。俺はそいつに言ってやったよ。──お前が虐められているのは、弱いからだってな」
「随分と辛辣な事を言いますね」
「事実を言っているだけに過ぎない。それでそいつは俺にこう言ってきた。じゃあどうすればいいのかってな」
黒服は確信する。彼女は明らかに、「ただの生徒」ではないと。
彼女は、我々の様に、
「俺はそいつに言った。お前には──覚悟が足りないと」
「……先程の彼女にもそう言っていましたね」
「ああ。俺はジャックに言った言葉は、かつて
「……どうなったんですか?」
「──彼は少年院送りになった。虐めに加担していた生徒は5人なんだが、何せうち二人が死亡他三人が鬱病という大事件だったからなあ〜あれは面白かったぞ」
くつくつと笑うサンダウナーに対し、黒服は彼女の様子に正気とは思えないと感じた。
「その後、あなたはどうなったのですか?」
「俺はァのらりくらりと問題を躱してお咎めなしさ。日頃積んでた人徳のお陰さね」
「……それで、結局あなたは何者なんですか?」
黒服は、サンダウナーの話の意図を理解した。
この話は、自分の価値観は自分で形成していったものだということを伝えているのだと。
だが、それはそれとして、最初の質問には答えて欲しいと思った。
最初の質問を聞いたサンダウナーは、愉快な笑みを浮かべて答える。
「──そこはご想像にお任せしよう。だが一つだけ。俺のこの価値観は、自分の人生で形成したもんだ」
─────────────────────
夜のトリニティにて。
未だ混沌としている中、トリニティの広場に、数多くの生徒が集められていた。
「なんでここに集められたんだろう?」
「さあ?なんかナギサ様がここに集まれって……」
「えっ!?ナギサ様が見つかったの!?」
集まった生徒はざわざわと騒がしく話している。
「ナギサ様、一体どのような思惑が……?」
「……」
集まった生徒の中には、正義実現委員会の委員長や副委員長もおり、広場にいるものの多くの者に緊張が走っている。
"ナギサ、何のためにここに生徒のみんなを集めたんだろう……?"
「……わかりません。ですが、今日この時、トリニティの
"ハナコ……"
そして、シャーレの先生も目を覚まし、補習授業部の者たちと合流していた。
先生はトリニティの生徒ではないが、一応トリニティの広場に集まり状況を確認している。
「皆さん、このような状況の中、集まってくださりありがとうございます」
生徒の集まる広場に、声が響き渡る。
ざわざわとしていた広場は静まり返り、広場を見渡せるティーパーティーのテラスに視線が集まる。
そこに、声の主──桐藤ナギサの姿があった。
「(……ここで上手くいかなければ、全てが徒労に終わる……)」
ナギサは息を呑む。
成功率は高いと踏んでいる。だが失敗は許されない。
ここで失敗すれば、10年前。いや、より正確に言うのであれば、5年前に
「(……キヴォトスでの、無益な争いを無くすために)」
──彼女の覚悟は、とうの昔に決まっている。
なんとこの作品、お気に入りの数が1000になりまして、嬉しい限りですわ。本当にありがとうございます!
物語は進んで来ていますが、まだまだ本筋に入りきれてないので、これからも頑張っていきます。
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