脳破壊なんてされない最強のナギサ様   作:shaf

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エデン条約1章終わりまで行くと言ったな。あれは嘘だ。
終わりまで行くとめっちゃ長くなってしまうので、今回は軽めにしました。嘘をついて、大変申し訳ない…。
拙作のナギサ様は割とフランクな方です。後ヒフミのことは寵愛はしてないけど普通に友人と思ってます。
こっからは基本先生目線で話が進みます。


ティーパーティーからの依頼

「へー、これが噂の先生かー。あまり私たちと変わらない感じなんだねー?」

 

 ミカは私のことを値踏みするような目を送り、それからナギサに話しかける。

 

「なるほどー、ふーん……うん、私は結構いいと思う!!ナギちゃん的にはどう?」

「……ミカさん、初対面でそういった話はあまり礼儀がなっていませんよ。TPOという言葉をご存知ですか?ミカさんはもっと常識というものを身につけTPOというものを弁えた方がいいですよ」

 

 ナギサが少し毒のある言い方をするのに私は驚き、ミカはそれに対し少し怒りながら反論する。

 

「言い方!ナギちゃんの方こそ礼儀がなってないんじゃないの!!」

「それより、礼儀を欠いた謝罪をした方が良いのでは?」

 

 ミカの言葉をさらっと無視しつつナギサは私に対し謝罪を促す。なんとなくこの二人の関係が見えた気がする。

 

「むむむ…!…先生、ごめんね?まぁとりあえず、これからよろしくってことで!」

"えっと、うん。こちらこそ、よろしくね"

 

 ナギサは少し間を開けて話を初める。

 

「……トリニティの以外の方が、このティーパーティーのテラスに招待されたのは、私の記憶では先生が初めてです。普段は、トリニティの一般の生徒たちも簡単には招待されない席でして……」

「あー、何それナギちゃんちょっといやらしい!恩着せがましい感じー!」

 

 そうミカが言うと、ナギサは若干眉間にシワを寄せたがすぐに直したのを私は見逃さなかった。…もしかして、ナギサって結構顔に感情が出るタイプなのかな?

 

「……失礼しました、先生。そういった意図は無かったのですが……それはさておき、ミカさん?」

「あー……ごめん、大人しくしてるね。できるだけ」

 

 ナギサは「んんっ」と咳払いをして話を初める。

 

「…ではあらためて、こうして先生ををご招待したのは、少々お願いしたいことがありまして」

"お願い?"

「おおっ、ナギちゃんいきなりだね!?もうちょっとこう、アイスブレイクとか要らないの?ちょっとした小粋な雑談とかは?天気がいいですねとか、昨日は何を食べたのですか、とか。そういうの挟まないの?ほら、ティーパーティーって、基本的には社交界なんだし?」

「……」

 

 ミカの言葉にナギサはミカを睨むが、ミカには全く効いていないようで、寧ろ少しむっとした顔でミカは話す。

 

「そんな綺麗な目で睨んでも、これはティーパーティーとしての在り方なんだからダメー!きちんとしないと!」

「ミカさん、そういったことはあなたがホストになった際に追求してください。今は一応私がホストですので、私の方法に従ってくださいな」

 

 ナギサが笑顔で圧をかけながら答えると、ミカはバツの悪い表情をし、沈黙する。

 

「……まあ、お客様の前でこのような論争を広げるのもまた、望ましい姿ではないことは確かですね。……そうですね。ミカさんの言う通り、少し話の方向を変えましょうか」

 

 そうナギサが言うので、私は少し気になっていたことを聞く。

 

"あなたたちが、トリニティの生徒会長なんだよね?"

「おお、先生の方から空気を読んでくれた!ほら、ナギちゃん見た!?これが大人の話術だよ!自然な会話への誘導!」

「そういうミカさんは非常に幼稚な話術ですね。無理矢理話を繰り広げて子供のようにかまってかまってとアピールすることしか出来ないのでしょうか?」

 

 ミカの言葉にナギサはまたしても毒を吐きながら返すと、ミカも怒りながら返す。

 

「そうやってすぐ人のことを小馬鹿にするようなことを言うナギちゃんの方が幼稚だと思うんだけど!?」

「そうやってすぐ怒るのが貴女の幼稚さ加減を表していますね。それに、私は小馬鹿にしているのではなく単なる事実を言っているだけですよ。おっと…申し訳ありません、口が滑りました」

「むむむ…!…あぁ、そっか!ナギちゃんはまだ子供だから、言って良いことと悪いことの区別がついてないんだね☆!」

 

 二人が口論を始めてしまい、どうしたものかと思っていたら、今までナギサの後ろに控えていたイヴが二人を止めに入る。

 

「お二方、いつもの戯れをするのは結構ですが、今は先生がいますので、そろそろお辞めになった方がよろしい」

 

 ……これがいつものなんだ。仲がいいんだな。この二人は。

 

「……はぁ、まぁ、そうだね。ごめんね?先生。まぁ、ナギちゃんが毒を吐かなければ良かった話なんだけどね?」

 

 ミカが笑顔でナギサにそういうが、ナギサはそれを無視して話を初める。

 

「……失礼しました。はい、先生の仰る通り、私たちがトリニティ総合学園の生徒会長たちです。「生徒会長たち」というのは耳慣れない言葉かもしれませんね。……最初からご説明しますと、トリニティの生徒会長は代々複数人で担っているものなんです」

「あれ、ナギちゃん無視?もしかして無視かな?おーい?」

「昔……「トリニティ総合学園」が生まれる前、各分派の代表たちが紛争を解決するために「ティーパーティー」を開いたことから、この歴史は始まりました」

「え、ひどっ……ぐすん、私ちょっと傷ついた……」

 

 ナギサはトリニティの歴史に話をするが、ミカがナギサに対し茶々を入れる。後ろに控えているイヴはというと、呆れた顔をしながら首を横に振り、少し後ろに下がっていた。

 

「パデル、フィリウス、サンクトゥス……それらの三つの学園を代表を筆頭にティーパーティーを開き、和解への流れが生み出されたのです」

「ナギちゃんが本当に無視した……嫌がらせだぁ……ひどくない?私たち一応10年来の幼馴染だよ?こんなこと今までに……結構あったかもだけど……」

「……その後から、トリニティの生徒会は「ティーパーティー」という通称で呼ばれるようになり、各派閥の代表たちが順番に「ホスト」を───」

 

「ああもう五月蝿いですね!?」

「ひぇっ……」

「はぁ……」

 

 ナギサは遂に堪忍袋の緒が切れたのか、大声で怒鳴り声をあげる。

 

「今、私が説明しているんですよ!?」

「それなのにさっきからずっと!!」

「横でぶつぶつぶつと……!」

「どうしても黙れないのでしたらその顔を……!」

 

 

「2度と口が聞けないくらい、ぶん殴りますよっ!?」

 

「……」

「……」

「……」

"……"

 

 場が沈黙に包まれる。

 

「……おっと。……私ったら、何という言葉遣いを……。失礼しました、先生。イヴ。……ついでにミカさんも」

「いやー、怖い怖い……」

「……(怖いで済むものではないだろう……)」

"(中々本題に入らないな……)"

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

「……そろそろ本題に入りましょうか。私たちが先生にお願いしたいのは、簡単なことです」

「簡単だけど、重要なことだよ」

「はい、そうですね。……補習授業部の、顧問になっていただけませんか?」

"補習授業部?"

「はい。つまり、落第の危機に陥っている生徒たちを救っていただきたいのです。「部」という形ではありますが、今回は顧問というより「担任の先生」と言った方がいいかもしれませんね」

 

 担任の先生…なんか、やっと先生らしいことが出来そうだな。

 

「トリニティ総合学園は、昔からキヴォトスにおいて「文武両道」を掲げる、歴史と伝統が息づく学園です。それなのにあろうことか、よりにもよってこの時期に、成績の振るわない方がなんと4名もいらっしゃいまして……」

「私たちとしてはちょっと困ったタイミングでっていうか……。「エデン条約」の件で今はバタバタしててね。あの子たちの件も何とか解決しないといけないんだけど、人手も時間も足りなくって……。その時にちょうど見つけたの!新聞に載ってた「シャーレ」の活躍っぷりを!」

「ミカさん、あたかも貴女が提案したかのように仰ってますが、提案したのは私です」

「んもう!細かいことはいいでしょ!それでね!猫探し、街の掃除、宅配便の配達まで、八面六臂の大活躍!この「シャーレ」になら、きっと面倒ごとを任せられそうだなって!」

"……"

 

 今面倒ごとって言った?……というか、提案したのはナギサだから、ナギサは今回のことを面倒ごとだと思ってるってこと?

 

「……「面倒ごと」なんて言ってはいけませんよ、ミカさん。それと先生。私は今回のことを面倒ごとなどとは思ってないので」

"……もしかして、顔に出てた?"

 

 ナギサにそう聞けば、彼女は「ふふふ…」と微笑む。恐らく、出てしまっていたのだろう。なんか、申し訳ない。そう思っていると、ミカがナギサの話に続いて喋る。

 

「まあでも、ある意味本当のことでもあるし……。それに、「先生」なんでしょ?今はみんなBDで学習する時代だし、学校の職員とか、教授ならまだしも、「先生」って概念は珍しいんだよね。先の道を生きると書いて「先生」……つまり「導いてくれる役割」ってことだよね?」

 

 なんか、恥ずかしいな……。

 

「尊敬の対象、あるいは生きる指針としてみんなに手を差し伸べ、導く……「補習授業部」の顧問として、これはぴったりだなって思って!」

「噂では、「尊敬」という言葉が合うかどうかについては、意見が割れているようですが…」

「あー、そうだったね。報告書によって全然違うっていうか……まあ、これは先生の名誉のために何も言わないでおくね」

"(いったいどんな噂が……?)"

 

 少し気になったものの、聞いたら確実に脱線してしまうので、心に押し留めておく。

 

「とにかく!今はちょっと忙しいこともあって、ぜひ先生に、この子たちを引き受けてほしいの!」

「もう少々説明しますと……この「補習授業部」は常設されているものではなく、特殊な事態に応じて創設し、救済が必要な生徒たちを加入させるものです。少々特殊な形ではありますが、急ぎということもあり、シャーレの超法規的な権限をお借りしつつ……といった形で、ですね。色々とややこしいですが、本日はあくまで「成績の振るわない生徒たちを救済すること」にあります。だからこそ、こう言った特殊な形での創設が許されたわけですが……」

「いかがでしょう、先生?助けが必要な生徒たちに、手を指し伸べていただけませんか?」

"私に出来ることがあれば、喜んで"

「やった!ありがとー先生!」

「……。ふふっ、きっと断らないでしょうとは思っていましたが……。ありがとうございます。では、イヴ」

「はい。どうぞ、こちらが「補習授業部」の生徒名簿になります」

 

 イヴから生徒名簿を受け取る。

 

「つまりトリニティのやっか───」

「……その表現は今からこの方達を担当してもらう先生への侮辱に当たりますよ。ミカさん」

「うぅ……確かに、そっか。ごめんね、先生」

 

 私はミカの謝罪を受け取りつつ、受け取った生徒名簿を見ると、見覚えのある生徒を見つけた。

 

「ん?何か気になる子でもいた、先生?」

"……ううん、何でもない"

「詳しい内容については追ってご連絡いたします。他に気になる点はございませんか?」

 

 二つほど気になったことがあるので聞いてみる。

 

"エデン条約……って何?"

「……」

「……」

 

 二人は私の言葉に黙りこくってしまう。何か言いづらいことだったのかな。そう思っていると、ミカが話初めてくれる。

 

「うーん……それは、なんて言えば良いのかなあ」

「その説明には中々時間がかかってしまいますので、また後日お話ししますね。一応、それなりに内部機密ということもありますし……。それに、補習授業部の件とはそれほど関係のないことですから……」

"あと、ティーパーティーのもう一人の生徒会長は?"

 

 トリニティはフィリウス、パテル、サンクトゥスの三つの分派で構成されており、生徒会長も各分派ごとに1名という話だったのに、ここには二人しかいない。

 

「……」

「それは……」

「セイアちゃんは今、トリニティにいないの。入院中で……」

「本来であれば、今のホストはそのセイアさんだったのですが……そういった事情で不在のため、私がホストを務めているところです」

「元々ティーパーティーのホストは、順番でやるものだからね」

"そっか、早く良くなると良いね。……今聞きたいのはこれぐらいかな"

「承知しました。また何かあれば聞いてください。では準備が整い次第、先生にはトリニティ総合学園に派遣という形で来ていただくことにできればと」

「先生のご協力に感謝します。これで一安心です」

 

 ナギサは笑顔で私に感謝を述べる。

 

「じゃっ、またね先生。また会えるのかどうか分からないけどっ」

「そうですね。特に今は忙しい時期ですし、ティーパーティーの生徒会長がこうしてまたすぐに集まれるとも限りませんから」

「ふふっ、やっぱり忙しいんだ?ま、でも先生のおかげでナギちゃんの顔も見られたし、良かったよかった」

「はい。私もですよ。ミカさん」

「ふふっ」

 

 ……やっぱりこの二人、凄く仲がいいんだな。もしかして、付き合ってたりするのかな?

 

「では、これからよろしくお願いいたしますね、先生。私もティーパーティーのホストとして、先生をエスコートいたしますので」

"うん、よろしくね"

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 その後、見覚えのある生徒、阿慈谷ヒフミに会いに行き、事情を聞いてみると、どうやらペロロ様とかいうののゲリラ公演ライブに参加するため、テストサボってしまったらしい。何をしてるんだか…。他にも、ナギサから私のサポートを頼まれているらしい。どんな話をしていたかを聞くと……

 

 

〜数日前〜

 

 

「……というわけで、ヒフミさん。先生のお手伝いをすると共に、部長として、補習授業部を導いてくださいね」

「はい!?わ、私がですか!?」

「はい。貴女は私の友人ですし、信頼に置ける方ですので。……まあ、その友人が、このような部活に入ってしまうというのは、なんとも言葉にしづらいのですが」

「あ、あはは……その、ごめんなさい……」

「そういえば、貴女は何故テストを受けなかったのですか?さぞ、大事なご用事があると考えているのですが……」

「あ、えっと……その……」

「……何か、言いづらいことなのですか?」

「いえ!その…………じ、実はペロロ様のゲリラ公演ライブとテストが、被っちゃたんです!!!」

「????????????????」 

「えっと、その……失望、しましたかね?」

「………………いえ、少し、予想外でしたが、余程その……ペロロ?と言うものがお好きなんですね」

「はい!!!まずなんと言っても圧倒的な可愛さ!!!そして───」

「……………(眠れる獅子を目覚め……いや、単純にやばい人ですね……)」

 

 

〜回想終了〜

 

 

"部長だったんだ……!?"

 

 というか、めっちゃナギサ困惑してたっぽいし、困ってたな……。

 

「あ、あくまでも臨時の、ですが……補習授業部は、特殊な形で限定的に作られた部活ですし……。ぜ、全員が落第を免れたら、自然と部は無くなるはずです。な、なのでえっと……その時まで、よろしくお願いします。先生」

"うん、よろしくね、ヒフミ"

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