脳破壊なんてされない最強のナギサ様   作:shaf

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前の投稿から約1ヶ月ってマジ?
ということで、お久しぶりです。リアルが忙しくなったりなど理由はゲームが楽しすぎる等色々ありますが、単に小説を書く気力がなかったのと、どういう言葉を使おうかな〜、ここの話はどこまで入れようかな〜なんて悩んでたりしたのが理由の9割を占めます。
ですが、書きたい展開はもう頭に浮かんでるので、エタる気はないです。この気力を継続していきたいですね。


桐藤ナギサの目的

 あれから時間は経ち、第1次特別学力試験が終わり、補習授業部の合宿が決まってから、私はナギサに呼び出されティーパーティーのテラスへと来ていた。

 ティーパーティーテラスの扉前に着き扉を開き中へ入ると、そこにはナギサが一人でチェスをしていた。

 

「……あら、先生。お疲れ様です。補習授業部の方はいかがですか?……と言いつつ、すでにお話は聞いております。どうやら最初の試験は上手く行かなかったようですね。ですが、まだ2回残っていますので、そこで挽回出来るよう祈っております」

 

 ナギサはそんなことを微塵も思っていない余裕のある表情で話す。いや、もう少し隠そうよ……。

 そう考えてながら辺りを見ていると、一つ気づいたことがある。

 

"イヴと一緒じゃないんだね"

「彼女は今別の仕事で席を外しています。補習授業部には関係ないことですので、気にする必要はありませんよ」

 

 ナギサがそういうので、私はこれ以上追求するのを辞め、気になっていた事を聞く。

 

"ちょっと聞きたいことがあるんだけど……"

「お聞きしましょう」

"3回とも不合格になったら、補習授業部のみんなはどうなるの?"

「当然、退学です」

"退学!?"

 

 予想してはいたけど、そんな簡単に退学させれるものなのかな!?

 とりあえず、ナギサの話を聞こう。

 

「もちろん、ここトリニティにも落第、停学、退学などに関する校則が存在します。ただ……手続きが長く面倒でして、たくさんの確認と議論を経なければなりません。ですが、今回急造された補習授業部は、このような校則を無視出来るように調整しております。シャーレの権限を少し組み込ませていただき、このような処置が可能になっているのです」

"……聞いてないんだけど?"

「言ってませんからね」

 

 ナギサは聞かれてないですからね。とでも言うような表情で答える。そういう重要なことはちゃんと言ってほしいんだけどな!?

 

「そもそも補習授業部というのは……生徒を退学させるために、作ったものですから」

"っ!?……どうしてそんなことを……!?"

 

 ナギサは紅茶を飲み一拍置いてから、話を初める。

 

「あの中に、トリニティの裏切り者がいるからです」

""裏切り者……?"

「その裏切り者の狙いは、エデン条約締結の阻止。この言葉が持つ重さを理解していただくには……「エデン条約」とは何か、という説明が必要ですね。エデン条約……簡単に言いますと、トリニティとゲヘナの間に結ばれる不可侵条約です。その核心は、ゲヘナとトリニティの中心メンバー全員出席する、中立的な機構を設立することにあります。「エデン条約機構」、「ETO」と呼ばれであろうこの団体が、トリニティとゲヘナの間で紛争が起きた時に介入し、その紛争を解決することになります。これによって二つの学園の間で全面戦争が起きることはなくなります。ですが最近、このエデン条約締結を妨害しようとする者が現れたという情報を得たのです。ただ、特定には至りませんでした。それならば、疑いのある者を一箇所に纏めてしまおう……ということで、補習授業部が作られたのです」

 

 ナギサは一通り説明を終えたのか、優雅に紅茶を飲んでから笑顔で私に話を振ってくる。

 

「さて、先生?実は先生に頼みたいことがあるんです」

"……頼みたいこと?"

「はい。でも、私が頼みたいこと、もうお分かりになりますよね?」

"……私に、その裏切り者を探してほしいってこと?"

「はい。……トリニティだけではなく、キヴォトス全体の平和を、自分たちの利益と天秤にかけようとしています。裏切り者を探し出すこと……これは、キヴォトスの平和に直結します。どうです?協力、してくださいますか?」

"……私は、私のやり方でその問題に対処させてもらうね"

 

 私がそう返すと、ナギサは答えがわかっていたかのように、笑顔のまま話を続ける。

 

「そうですか。わかりました。では、今回はここでお開きに……っと、一つ、伝え忘れておりました。試験については基本的に、私の手のひらの上にあります。例えば「急に試験の範囲が変わる」、「試験会場が変わる」、「合格点が変わる」……そういったことが起きないことを、祈っていますよ。それでは、補習授業部の方をよろしくお願いしますね、先生」

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 あれから色々あって、私は今、合宿所のプールでティーパーティーの生徒会長の一人、聖園ミカから話を聞き、取引を持ち出させれた時の話。

 

「……補習授業部の中にいる「裏切り者」が誰なのか、教えてあげる。……補習授業部にいる「トリニティの裏切り者」、それは……「白洲アズサ」」

"アズサが……?"

「うん。知ってるかもしれないけどあの子、実はトリニティに最初からいたわけじゃないんだ。ずいぶん前にトリニティから分かれた、いわゆる分派……「アリウス分校」出身の生徒なの」

"……このことを、私に教える理由は?"

「ふふっ、いい眼だね、本当に。期待しちゃうな。あれこれ誤魔化しても仕方なさそうだし……うん、端的に言おうか。……あの子を守ってほしいの」

 

 ミカの言葉に私は戸惑う。守る……?そもそもアリウス分校って何?

 そんな私の為に、ミカはアズサがいたと言う学校、「アリウス分校」とトリニティの歴史について詳しく説明をしてくれた。それから話は移り、「エデン条約」のことを話す。

 

「それで……ナギちゃんが推進している……いや、ナギちゃんが考案した「エデン条約」、あれはさっき話してた「第一回公会議」の再現なの」

"待って、ナギサが考案した?"

 

 聞いたことのない情報に、私は思わず待ったをかけると、ミカは驚いた顔をして答えてくれる。

 

「あれ?知らないの?じゃあ……エデン条約よりも先に、ナギちゃんについて、話をした方がよさそうだね。……そもそも私は、ナギちゃんが本当に「裏切り者」を探してるとは思ってない」

 

 予想もしてない言葉に私は驚きを隠せない。裏切り者を、探してない……?

 

"……どういうこと?"

「ナギちゃんとは10年来の幼馴染だからね。互いにどういう人間なのかっていうのは、わかってるつもり。……今回の補習授業部の件、正直ナギちゃんにしては緩いんだよね。もしナギちゃんが本当に裏切り者がいると思ってるなら、こんな温情をかけるなんてことはしない。ナギちゃんなら、"餌"を撒いて裏切り者を炙り出そうとしたり、容赦なく退学をさせようとするはず。なのにそれをしないって言うことは、何か別の意図があるんだと私は思ってる」

"別の意図?"

 

 ミカは辺りをふらふらと歩きながら話をする。

 

「そもそも、先生をここに招待したのも、ナギちゃんなんだよね」

"え?ナギサが?"

「そう。それもちょっとおかしい点でさ。裏切り者を退学させようとしてるのに、わざわざその裏切り者を守ろうとする存在を招く意図がわからない。それに……ナギちゃんは凄く"出来る人間"だからさ。その気になれば、「トリニティの裏切り者」が誰かなんて、すぐにわかるはず」

 

 ……もしこの話が本当なら、ナギサは私に何をさせようとしているんだろう?ミカからもう少し詳しく話を聞いた方がよさそうだ。

 

"なら、ミカはナギサのことをどう思ってるの?"

「……私はさ、ナギちゃんがこのトリニティで、"何か"をしようとしてると思ってる」

"……何か?"

「そう。詳しいことはわからないけどね。……ナギちゃん、10歳の時に急にミレニアムの方に留学しにいったんだ」

"留学?"

「うん。もちろん、学校だからね。そういう制度もあるんだ。2年くらいミレニアムの方にある学校に行ってたけど、大して変わった様子もなくトリニティに帰ってきたよ。何を学んだのかははぐらかして教えてくれなかったし、じゃあミレニアムで学んだことが生活に反映されてるだろうと思って様子を見てたけど、そんなことなかったし……おかげで2年間ナギちゃんに会えなかったし……」

 

 ミカは頬を膨らまして言う。確かに、わざわざミレニアムに留学しに行ったのに、そこで学んだことを見せる様子がないのはおかしな話だ。

 

"ミカはナギサがミレニアムに行った理由はわかる?"

「それなんだけど、私はナギちゃんがミレニアムに行った理由は、何かを学びに行ったんじゃなくて、ミレニアムの人とコネを作りに行ったんじゃないのかなって思ったんだよね」

"どうしてそう思ったの?"

「ナギちゃんがある会社を設立したの」

"会社を設立!?学生が!?"

「そう。今やキヴォトスで知らない人はいないってくらい有名な警備会社、「ワールド・マーシャル」を作ったの」

 

 当時13歳であろうナギサが起業したのもそうだけど、それが大成功を納めてることに、私は唖然としてしまう。ミカは私の復帰を待ってから話を続けてくれた。

 

「……ナギちゃんに何の為に作ったのかを聞けば、キヴォトスのためだとか、生徒ために〜って言うんだよね。当時はそれで納得してた。ナギちゃんは心優しい人なんだなぁ〜って。でも、ナギちゃんが今のフィリウス分派ティーパーティー生徒会長に選ばれて、ナギちゃんはすぐ連邦生徒会長の元に向かって、「エデン条約」の話を持ち掛けたの。エデン条約は、敵対してた二つの学園が、これからは仲良くしようという約束。これだけ聞けばいい話だけど、その核心はゲヘナとトリニティの武力を合わせたエデン条約機構、通称「ETO」と呼ばれる全く新しい武力集団を作ることなのに」

 

 ……なんだか、話が見えてきた。もしエデン条約が締結すれば、ナギサは自身が所有している「ワールド・マーシャル」という強大な武力組織を持つだけじゃなく、さらに強大な「ETO」という武力同盟を手に入れることになる。

 

「……ナギちゃんは優秀な私兵団だけじゃなくて、圧倒的な力を持つ集団を作ろうとしてる……連邦生徒会長が行方不明っていう、混迷の時期に。もしエデン条約が締結したら、間違いなくナギちゃんはこのキヴォトスで最強と言える力を手に入れれる……これだけの力を持って、ナギちゃんは何をしようとしてるのかな?本当に、ただキヴォトスを想ってのことだとしても、これだけの力を持ったら、セイアちゃんみたいに……」

 

 ミカはそういうとしまった、というような表情をし言葉を止める。やっぱりセイアの身に何かがあったのかな。

 

「……ううん、ごめんね。今のは失言だったかな」

"セイアは、何があったの?"

「……前にお話しした通りだよ。セイアちゃんは、入院中なの」

"…‥今どこにいるのか、聞いてもいい?"

「うーん……先生は、本当に知りたい?この話をしたら……もう私は戻れない。もしこの先の事実を知った先生が私のことを裏切ったら……私はきっともう終わり。それでも、知りたい?」

"裏切るだなんて───"

 

 あり得ない。そう言葉にしようしたけど、ミカはそれを遮り話す。

 

「ううん、でも大丈夫だね。だってさっき、先生は私の味方って言ってくれたもん。もしこれで裏切られたって、なんて言うのかな……うん、それはそれで悪くないと思う。えへへっ」

 

 ミカは息を呑み、覚悟を決めた顔をして、私に近づいてくる。

 

「セイアちゃんは入院中なんかじゃない。……ヘイローを、壊されたの」

"……っ!?"

 

 ヘイローを、壊された……!?それってつまり、死んだってことじゃ……!?

 

「……冗談じゃないよ。本当のこと。この前、セイアちゃんは何者かの手によって唐突に襲撃された。対外的には「入院中」ってことになってるけど……そっちの方が真実。私たちティーパーティーを除けば、このことはまだトリニティの誰も知らない。もしかしたら、「シスターフッド」には知られてるかもだけど……あそこの情報網は半端じゃないからね。ナギちゃん程じゃないけど。とにかく、それくらい秘匿事項なの」

"……ナギサの情報網って、そんなに凄いの?"

「言ったでしょ?その気になったら「裏切り者」なんか直ぐに退学させれるって。多分トリニティの派閥内の情報だけじゃなくて、他学園、連邦生徒会、カイザーコーポレーションのような大企業の情報も、その気になれば握れると思う。というか、握ってると思う」

"え〜と……ほんとに言ってる?"

「「ワールド・マーシャル」って、それくらいの規模になってるんだよ、今。あそこはトリニティだけじゃなくて、ほぼ全ての学園の生徒を取り入れてるからね」

 

 ……まるでシャーレみたい───いや、先にワールド・マーシャルが出来ているから、どちらかと言うとシャーレがワールド・マーシャルっぽいのか。

 だとしても、まさかそこまでの影響力を持つ会社になっているとは……ナギサ、凄すぎない?

 

「さて、話を戻そっか。……「白洲アズサ」……あの子をトリニティに転校させたのは、私なの」

"ミカが?"

「うん、セイアちゃんのヘイローが破壊される3週間くらい前に、内緒でね。まあ結局見つかっちゃって怒られたんだけど……」

 

 わはは……というような表情で言うミカ。さっきの話からすれば見つかるのは当然だし怒られるのも当然だろうね……。

 

「ま、まあこの話は置いといて!……どうして?って思うよね。……アリウス分校は今もまだ私たちのことを憎んでる。私たちはこうして豊かな環境を謳歌しているのに、彼女たちは劣悪な環境の中で、「学ぶ」ということが何なのかも分からないままでいる」

"……"

「私たちから差し伸べた手も、連邦生徒会からの助けも拒絶し続けてるの。過去の憎しみのせいで。……私は、アリウス分校と和解がしたかった。でもその憎しみは、簡単には拭えないほど大きくて……これまでの間に積み上がった誤解と疑念もあまりに多い。私の手には、負えないくらいに」

 

 ミカは悲しい表情を浮かべながら自身の手を見てそう語り、悲しさを打ち払うかのように顔を振るい話を続ける。

 

「けどナギちゃんもセイアちゃんも私の意見には反対だった……政治的な理由でね。でも、それも分からないわけじゃない。私たちはティーパーティーだからね。私は不器用だから、そういう政治とかはちょっと得意じゃないんだけど……でも、また今から仲良くするのってそんなに難しいのかな?前みたいにお茶会でもしながら、お互いの誤解を解くことはできないのかな?」

 

 一瞬、場に沈黙が流れる。

 

「私はあの子……「白洲アズサ」という存在に、和解の象徴になってほしかったの」

"和解の象徴?"

「うん。あの子についてはそれほど詳しいわけでもないんだけど、アリウスでもかなり優秀な生徒だったみたいだし、その可能性に賭けたかった。勿論、ナギちゃんを説得して正式に進めるって言う手段もあったかも知れないけど、そこについては疑っちゃったっていうか……。ナギちゃんはそういうの、聞いてくれないだろうなって」

"…………"

「もしエデン条約が締結されたら……その時はもう今度こそ本当に、アリウスとの和解は不可能になっちゃう。だから、どうにかその前に実現させたかった。アリウスの生徒がトリニティでもちゃんと暮らしていけて、幸せになれるんだって……みんなに証明してみせたかった。でも、そんな中でナギちゃんがトリニティに「裏切り者」がいるって言い始めて……」

 

 それから、ミカはナギサが「裏切り者」候補として集められた「補習授業部」にいる生徒のことと、トリニティを巨大な怪物(リヴァイアサン)に変えようとしているのかもしれない、ということを聞いた。それが本当にナギサのしようとしていることだとしたら、トリニティはこのキヴォトスを呑み込むのかもしれない。それでも私は「先生」なのだ。補習授業部だけでなく、ミカやナギサのこともちゃんと気にかけて、間違ったことをしたのであれば、それを正しい方向に導かなくてはいけないのだから───。




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