リアルが落ち着いて来たのでこれから更新ペース上がります。次は一週間以内には投稿出来るかと
最終特別学力試験深夜。照明が消え、月明かりが校舎を照らす中、補習授業部の二人──浦和ハナコと白洲アズサはある人物を尋ねに、とある場所に来ていた。
「……ここに、ナギサさんが居るんですね。アズサちゃん、準備はいいですか?」
「ああ、問題ない」
ハナコが目の前の扉をノックすると、中から「どうぞ」と女の声が聞こえてくる。
「…………失礼します」
ハナコは一息ついてから返事をし、部屋に入る。アズサもそれに続き、部屋の中には、笑みを浮かべたナギサ居た。
「こうして直接お話しするのは、初めまして、ですね?浦和ハナコさん。それと……アリウス学園所属の、白洲アズサさん」
「……先生の言った通りだ。本当に私の事を知っていたのか」
「……一体、いつからアリウスやアズサさんのことを?」
「勿論最初から。それと、今からアリウスが私を襲撃しに来ることも、存じていますよ」
ナギサがアリウスとアズサについて知っていた事実に驚きながら、二人はここに来る前の話を思い出す──
──数時間前、最終特別学力試験を受けるための作戦会議。
『では、まず私とアズサちゃんでナギサさんの安全を確保。その後ヒフミちゃん、コハルちゃん、先生が待機する場所へアリウス生達を引きつけて一気に無力化する。ということでいいですか?』
『ああ、問題ない』
『は、はい!大丈夫です!』
『……ほ、ほんとにやんの?やっぱ凄く危ないし辞めた方が……』
『やらないと私達みんな退学ですけど、コハルちゃんはそれでいいんですか?』
『はあ!?い、良いわけないでしょ!?や、やるわよ!!このくらい、エリートの私にかかれば大したことないし!!!』
コハルのいつもの見栄を張る姿に皆が笑みを浮かべる中、一人、難しい顔をし続け唸る者がいた。
『うーん……』
『?どうかしましたか?先生』
『いや……ナギサは襲われるのをわかってると思うんだよね』
『……どういう意味ですか?』
『あまり詳しくは話せないんだけど……ナギサって、本気で「トリニティの裏切り者」を探してるわけじゃないと思う。なんなら、アズサが裏切り者って知ってて、私をここに呼んでるんじゃないかなって思ってて』
『どうしてそう思うんですか?』
ハナコがそう問い掛ければ、先生は自身の考えていることを話す。
『ナギサって、すごい人脈があるらしいんだよね。それこそ、「トリニティの裏切り者」なんていると思ったら、直ぐに分かるくらいには。なのにその人脈を使わずに、わざわざこの3人を集めて、更に私を呼ぶってことは、アズサのこともアリウスのことも分かってて、私に何かをさせようとしてるんじゃないかって思って』
『何か……ですか』
『うん。その何かはわからないけど、ナギサに会いに行くなら、正面から会いに行って、話を聞いた方がいいんじゃないかな。多分、ナギサも私達と話したいと思うから』
『…………わかりました。先生のこと、信じますね♡』
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──まさか、本当に知っているとは……
ハナコはナギサを警戒し、言葉を選びながら疑問を投げかける。
「……ナギサさん、貴女はそこまで知っているというのに、何故このようなことを?アズサちゃんを退学させたいなら、秘密裏にでも出来たのでは?」
「アズサさんがトリニティからいなくなられては困ります。アズサさんには、アリウスの情報を教えて頂かなくてはなりませんので」
「……アリウスのことについては既に知ってるのでは?」
「アリウスが存在しているということと、アズサさんがアリウス所属であるということしか、私は知っていませんよ。それ以上のことは何も」
「では何のために補習授業部を作ったのですか?」
「アズサさんに頼れる方を作るためです。良き友人が出来、その友人と共に窮地に陥れば、自身の秘密も話しやすくなるでしょう」
「だとしても、コハルちゃんやヒフミちゃんを巻き込む必要はあったのですか?彼女達は何も関係のない、普通の生徒でしょう?」
「彼女たちについては、都合よく成績不振だったのでアズサさんの手助けをする方々として違和感なく入れただけです。勿論、こちらの都合に巻き込んでしまって申し訳なく思ってはいます」
「では、第2次特別学力試験についてはどう説明するのですか?あれは明らかに私達を退学させるために意図的に仕組んだものでしょう?」
「元々退学させる予定ではありません。特にハナコさんは優秀な方ですし、トリニティから居なくなられては大きな損失になります」
「っ!それで……コハルちゃんやヒフミちゃんといった一般の生徒を、危険な目に合わせてもいいと!?」
「ハナコ、そこまでにしよう。……私も色々と言いたいことはあるが、それは後でも出来ることだ」
笑顔を絶やさず答えるナギサに対し、徐々にヒートアップしていくハナコの会話を中断させるアズサ。
「…………そうですね。すみません、熱くなりすぎてしまいました」
「別に構いませんよ。お二人には、多くの疑問と不満があると思いますから。ですが、アズサさんの言う通り、それは後でお聞きするので、一先ずそちらが立てている作戦をお聞きしても?」
「ああ、わかった」
アズサはナギサに対し、数時間前に補習授業部と先生で話し合った内容を共有する。
「…………わかりました。では、私は暫く身を隠しておきます。お二人は既存の作戦通りに進めてもらって構いませんよ」
「わかった。安全な場所まで案内しよう」
「ああ、私は一人で構いませんよ。私にもやることがありますので」
「……了解した。だが、どうするんだ?安全なルートの確保が出来ているのか?」
アズサが質問すると、ナギサは立ち上がり、左腰に付いているスイッチのようなものを押す。すると──
「……えっ!?」
「!?姿が……消えた?」
突如、その場にいたはずのナギサが腰に付いていたスイッチを中心に徐々に姿が消える。二人が唖然としている中、先ほどナギサが居た位置にナギサが姿を表す。
「光学迷彩、というものです。アリウスの技術では見抜けないと思いますので、私はこれを使って安全圏まで一人で移動します。仮に見つかってアリウス生徒と遭遇したとしても……ふふっ、私、これでも結構強いので、ご安心を」
右腰に取り付けている拳銃を取り出し笑顔でクルクルと手の中で遊びながら言うナギサだが、二人は光学迷彩というミレニアム顔負けのテクノロジーを目にし、未だに驚愕から抜けれず反応が出来なかった。
「あ、はい。ええと……わかりました。では、私達の作戦通りに進めていきますね……?」
「ええ、それで問題ありませんよ。それでは、またお会いましょう」
そう言い残し、姿を消しながら扉を開けて部屋から出ていくナギサを見送る二人。
「…………ナギサさんのこと、侮れませんね……」
「ああ、あんな技術を持っていたなんて、びっくりだ。一体どこで……いや、それより私達も作戦通りに動こう」
「ええ、そうですね。ではアズサちゃん、囮役任せましたよ」
「ああ、任せてくれ」
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「…………こちらチームⅠ、セーフハウス発見。突入する」
先ほどナギサ達が居た場所に、ガスマスクを着けた武装兵達がぞろぞろと入る。その正体は、現ティーパーティーホストの桐藤ナギサを暗殺するために送り込まれたアリウス生。
「……ターゲット、見当たりません」
「やはりか……こちらチームⅠ、セーフハウス内にターゲットの姿なし。
指揮官らしき者が無線で仲間に情報を共有し、言葉通り周囲を捜索し始める。
「合流予定の「スパイ」はどこだ?早く探せ」
『こちらチームⅣ!奇襲に遭遇!!』
「……何?」
『「スパイ」だ!!「スパイ」が裏切りました!!』
『うわああああああ!?』
「チームⅣ?応答せよチームⅣ!」
仲間の悲鳴を最後に、通信が途絶える。仲間の通信が途絶え、更には「スパイ」が裏切ったことによりチームⅠの指揮官は焦りだす……かと思いきや、至って平然としていた。
「……奴が裏切った、か。まあ、予想は出来てはいた」
『そうなのか?少し意外だな』
そう呟いたと同時、通信が途絶えていたチームⅣの無線から別の者の声が聞こえた。
「……チームⅣをどうした?「スパイ」」
『少しの間眠ってもらっただけだ。それと、目標は私が先に貰った」
「へえ?
それを言った瞬間、息を飲むような声が無線に入る。
『…………
「何故こんなことを?」
『……早く終わらせて、試験を受けなきゃいけないから』
「試験、試験ねぇ……随分と楽しそうなんだな?そっちは」
『……既に正義実現委員会に報告は入っている。逃げるなら、今のうちだ』
その言葉を最後に、無線が切られる。チームⅠの隊員が指揮官に顔を合わせる。
「……退却しますか?」
「ブラフだろう。
「「「「「了解」」」」」
揃った動きでチームⅠのアリウス生は動き出す。普通は退却を考える場面かもしれないが、指揮官は迷うことなく進軍する。正義実現委員会は来ないことを想定した作戦なのだから。それに──
「──退却したら、アリウスから出れんだろう?」
──元よりアリウスに戻る気などないのだから。
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セーフハウスから離脱し、「スパイ」を追いアリウス生たちがやってきた場所は、補習授業部が使用している合宿所であった。
「指揮官、こちらに「スパイ」が入っていったとの情報が」
「ターゲットは?」
「……申し訳ありません、そちらに関してはわからず……」
「そうか。まあ、あいつから聞き出せばいいだろう。この建物の情報は?」
「中に通ずる入口は二箇所。うち一つはバリケードで封鎖されています」
「バリケードを爆破して侵入するぞ。無い方は罠だ」
「騒ぎになりそうですが、大丈夫でしょうか?」
「「スクワッド」から増援が来ると言う情報が入った。トリニティとの全面戦争を想定しておけ。他のチームに作戦を話に行く」
「…………わかりました」
「……戦争は嫌か?」
「……今でも、昔の光景が夢に出てきます」
「私もさ。……とっとと終わらせるぞ」
そういうと、指揮官は他のチームの隊員に作戦を話し、全隊員の配置と準備が整ったのを見て、声高らかに宣言する。
甲高い爆発音が鳴り響くと同時、アリウス生が爆発した地点に一斉に突入していく。そこで出迎えたのは、白洲アズサが仕掛けた無数のトラップ。
「ぐわあああ!?」
「くそっ!ってうわあ!?」
「くっ、退くな退くな!!!数ではこっちが勝って……うわあああ!!!」
ドォォォン!
「クレイモア!?どわあぁ!」
「なんだ、ビニール袋? いや、IED!? ぎゃあぁぁ!?」
突入する際の爆発には及ばないものの、数多くの爆発音が鳴ると同時に上がる悲鳴。あちこちに仕掛けられたトラップが火を吹き、アリウス生を掻き乱す。
そんな中、チームⅠの指揮官と隊員たちは華麗にトラップを避け前へ前へとスムーズに前進していき、目標の元に先に辿り着く。
「よぉ?久しぶりだな。白洲アズサ。といっても、私もお前も、大して話はしたことないし、会ったこともないが……」
アズサの隣にはハナコが立っており、アリウス生の言った言葉に疑問を浮かべる。
「……お知り合いなんですか?アズサちゃん」
「……いや、私は知らない」
ハナコの質問に答え、じっと話しかけてきたアリウス指揮官を見つめるアズサ。
「……こっから先は行き止まり、か。おい、ターゲット……桐藤ナギサはどこにやった?」
「……さあ。ナギサは一人で何処かに行ったから、知らない」
「それで諦めると?さっさと吐け。こっちも早く終わらせたいからな」
「本当に知らない」
「そうかそうか、あくまで白を切る気か……で?お前ら二人だけで勝算があると?」
「…………」
「…………」
何も答えない二人に対し、アリウスの指揮官は二人の後ろを見る。
「お前らの後ろ……体育館か……広いな?それに、障害物やらを置くのにも良さそうだ……待ち伏せだな?」
「…………」
「…………」
またしても何も答えない二人だか、内心ではこのアリウス指揮官の洞察力に戦慄する。そんなアリウス指揮官は、後ろを振り向いて未だトラップの数々に苦戦している仲間を見てから二人に独り言のように話す。
「……他の部隊がこっちに向かってきて、この建物を包囲しようとしてる。部隊単位。「スクワッド」は居ない」
「?……何故それを私達に教えるんですか?」
「……口が滑ったってことにしといてくれや」
ハナコの質問に、ニヤリと笑いながら答えるアリウスの指揮官。それにアズサはハッとした顔をする。
「お前達、まさか──」
「さぁて!話し合いはこれで終わりだ!!仲間もそろそろ合流するみたいだし、ターゲットの居場所が吐かないってんなら──痛い目、合わせないとな?」
その言葉を皮切りに、下げていた銃を向け発砲していくチームⅠのアリウス生達。困惑しているハナコと何かに気づいた様子のアズサは銃弾を上手く往なしながら後方に下がり体育館の中へと入る。次第に合流するアリウス生達──数は減っているが──がそれを追いかけて行く。
その先には、指揮官の予想通り、待ち伏せされていた。だが、指揮官はその状況に首を傾げる。
「……増員がいるとは思っていたが……たったのそれだけか?」
そう、人数が少ない。指揮官はもっと5、6人ほどの増員がいると覚悟していたが──蓋を開けてみれば増員はたったの二人。更にその実力はそれほど高くないように見える。これでどうやって打破するというのか。
「たったの4人で、この数に勝てると?もう逃げ場はないぞ」
「その通り、逃げ場はない。お前たちは逃げられない」
「……ですね、一先ず仕上げと行きましょうか♡」
仕上げ? 一体何を……?
訝しむ指揮官の目に突然見慣れぬ大人の姿が映った。ヘイローを持たない中性的な大人……恐らく彼、もしくは彼女の正体は。
"待ってたよ"
「……?」
「ご存知かは知りませんが……補習授業部の担当であり、【シャーレ】の顧問の【先生】です♡」
「…………だからなんだ?死にたいのか?」
ヘイローはなく、ましてや銃もそこら辺に捨ててありそうなハンドガンを携帯している程度の者。指揮官にとって先生はそんな認識の相手であり、疑問符が尽きない状態だ。
「先生、指揮を頼む」
"ああ、行こう補習授業部!"
「…………どこからそんな自信がくるのかわからんが、お前ら!!!行くぞぉ!!!!!」
補習授業部とアリウスが今、激突する。
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開戦と同時に、チームⅠのメンバーは即座にそれぞれ障害物に向かい、相手の作ったテリトリーであっても自身に有利なポジションを取ろうと動いた。
だが、他のアリウスメンバーは、人数有利ということもあり、そんなことは考えずに味方と射線が被らないようにとだけ動き、ただひたすらに銃を撃つ。
「撃て撃て撃てー!!!」
「クソ!全然当たらない!!」
「弾切れだ!!カバーを──ぎゃ!?」
「こっちも弾切れだ──うぎゃあ!!」
「うわ!どっから撃たれ──!?」
結果、大した連携を取らなかったアリウス生達は先生の的確な指示によって徐々に数を減らしていく。
"コハル、右の敵陣の中央にグレネードを!!アズサはそれのカバー!!!ヒフミとハナコはそのまま左を抑えてて!!!"
「了解!」
「わ、わかったわ!!」
「っ!?グレネー──」
「ぎゃあああ!!!」
「どわあああ!!!」
先生の指示通りにコハルは自身の鞄から"セイなる手榴弾"を取り出し、言われた通りの場所に投げる。すると、見事に狙い通りの場所に投擲され、殆どのアリウス生達が倒れていく。……一瞬R-18と書かれた本が取り出されたのは気のせいだろう。
「リロード!!!」
「了解、カバーする!!!」
「左奥障害物、フラグを投げるぞ!!!」
そんな中、チームⅠは的確に連携を取り、補習授業部に対し圧力をかける。チームⅠの報告にも耳を傾けていた先生は、ヒフミが狙われているということに気づき、指示を出す。
"ヒフミ!!!グレネードが来るから退避!!!コハルとハナコでカバー!!!"
「は、はいぃ!!!」
「ヒフミちゃんには手出しさせません!!」
ドォォォン!という爆発音を背に別の障害物へと走り行くヒフミに対し、アリウスが移動は許さないとばかりに弾幕をはるが、それに対しコハルとハナコがカバーをする。
「指揮官!!攻めきれません!!!」
「増援が来るまでは耐え──っ!?」
「油断したな」
気づかないうちに接近していたアズサが指揮官に対し銃を向け発砲す──
「舐めるな!!!」
「な、に!?」
銃を撃たれる前に即座にアズサの銃を蹴り上げ、アズサの手から銃が離れ、素手となったアズサに銃を構える。
「油断したのはお前だったな!」
「……いいや、やはり油断してるのは、そっちだ」
「なんだ──ぐっ!?」
アズサが構えられている銃身を掴み、指揮官の顔──ガスマスクにぶつけ指揮官が一瞬怯んだすきに腕を掴んで足を払い体勢を崩し、床に押し付け抑えつける。
「ぐぁ……!?」
「……即座に発砲しなかったのが、油断してるということだ」
「指揮官!!!」
「っ!待て!やめろ!!!」
その光景を見ていた隊員達は指揮官を助けようとするが、当の指揮官が隊員達に待ったをかける。
「……降参する」
「……どういうつもりだ?」
「殆どのやつはもう倒れてる。残ってんのはうちのチームだけ。それならもう争う必要もない」
「元々、戦う気はなかった。ということですか?」
「そうだ、ピンク髪。……いや待て、ピンク髪もう一人いるやんけ」
そう指揮官が言うと、もう一人のピンク髪、コハルが肩をビクっ!とさせる。質問をしたハナコは、その言葉に微笑みながら自身の名を名乗る。
「……ふふっ、私は浦和ハナコといいます」
「じゃ、ハナコって呼ぼう。話を戻すが、私達はどっかしらのタイミングで、アリウスを離れるつもりだった。で、今回が良い機会だったからな。昔の仲間を連れて、作戦に参加したんだ。……戦争が終わったのに、また戦争の道具にされるのは御免だったからな」
「……そうか」
小さく呟いたその言葉は、一番近くにいたアズサにだけ聞こえていた。それを聞いたアズサは、アリウスの指揮官を抑えつけるのを辞め、解放する。
「いてて……ああ、銃蹴り飛ばして悪かったな。おい!銃拾ってやれ!!後、もうガスマスクも外してもらって構わない!!」
ガスマスクを外し、抑え付けられていた腕の調子を確認しながら蹴り飛ばしたアズサの銃を隊員に持って来させる。
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
「いやいや、それはこっちの台詞。抜け出す良い機会くれてありがとうね!」
銃を渡した隊員は笑顔で感謝を述べる。
「な、なに?なんなの?勝ったの?」
「わ、和解、したんでしょうか……?」
"……うん、多分ね。いいことだよ"
あまり事態を理解出来ていないコハルとヒフミ。そして、和解をしている光景を見て、心から安堵する大人がいた。
平和な空気が流れる中、アリウスの指揮官が声を上げる。
「だかまあ、こっからキツイな。こっちの──アリウス側から増援が来る。それも相当な数の。こっちはそれ程物資を使ってないから問題ないが、そっちはどうだ?」
「それに関しては問題ありません。正義実現委員会がこちらに到着するまでの間の時間を稼げれば……」
「あ!ハスミ先輩に連絡しておいた!すぐ返事来るはず!!」
「はい、ありがとうございます♡……ティーパーティーの命令下にある正義実現委員会が動けるとしたら、それはティーパーティー身辺に問題が生じた時だけ。定時連絡もあると思いますし、一人で何処かに行ったナギサさん自身も、正義実現委員会に対して連絡してくれてると思います。それに合わせてコハルちゃんからの連絡……少なくとも状況を確認するために動き出すまで、時間はかからないはずです」
そう話すハナコに対し、アリウス生達が顔をあわせ、気まずそうな顔をする。
「?……どうかしましたか?」
「あ〜……それなんだが、多分来ないぞ」
「……それは何故だ?」
「それは──」
「!?」
「これは……」
指揮官が何かを言おうとした瞬間、体育館の入り口の方から巨大な爆発音が鳴り響く。驚く補習授業部の前に別のアリウス部隊が姿を表し、みるみるうちに体育館を埋め尽くしていく。その規模は先ほど倒した部隊の上回り、それどころか何倍にもなり増え続ける。
「増援部隊が、こんなに早く……!?」
「え、えっ……?」
「……数が多い、大隊単位だ。多分、アリウスの半数近くが……」
「あうぅ……! こ、これだけたくさんの方が、平然とトリニティの敷地内に……!?」
「……よくもまあ、これだけの数集めれたもんだ。ええ?」
「まだ、正義実現委員会が動く気配がない……?」
「それは仕方ないよ」
動揺する補習授業部と、数の多さに驚くチームⅠのアリウス生達の耳に聞こえてくる何者かの声。
アリウスの部隊が小さく左右に割れ、そこから真っ白なティーパーティーの制服を身にまとい、胸に代表のバッチを付けたピンク髪の女が現れる。その正体は──
「……!」
「だってこの人たちはこれから、トリニティの公的な武力集団になるんだから」
"ミカ……?
ティーパーティーパテル分派の生徒会長、聖園ミカ。そして、チームⅠの指揮官がそれを見てボソッと呟く。
「ピンク髪、3人目……?」
「指揮官、そういうの声に出さなくていいんで」
長くなりすぎてもアレかなと思い、キリの良さげな所で一旦止めです