脳破壊なんてされない最強のナギサ様   作:shaf

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あっ、どうも。有言実行マンです。
オリキャラ成分強めになってきたのでオリキャラタグ付けます。
オリキャラの元ネタわかる人は絶対わかるし、自分が最近何にハマってたのかもバレちゃうのえ〜ヤダ〜!キャッキャッ

まあこのオリキャラ、後1話の命なんですけどね


傷つけたくない

 

「……やっ、久しぶり先生。また会えて嬉しいな。それから、正義実現委員会は動かないよ。私が改めて待機命令を出したから。今日は学園が静かだったよね。正義実現委員会以外にも、邪魔になりそうなものは事前に片付けておいたの。ティーパーティーの命令が届く限り全てのところに、色んな理由は付けて足止めしておいたから。ナギちゃんを襲う前に、邪魔なんてされたら困っちゃうもんね」

 

 矢継ぎ早に言葉を放つミカに対し、補習授業部の殆どの面々は、ミカの登場に驚愕し、言葉を失っていた。

 

「「ティーパーティー」の一人……聖園、ミカさん……」

「まあ簡単に言うと、黒幕登場☆ってところかな?……私が()()の、「トリニティの裏切り者」」

「……」

「……」

「……!?」

 

 ティーパーティー現ホスト、桐藤ナギサの襲撃を手引きした者が、聖園ミカであったことに衝撃を受ける補習授業部。なにせ彼女は、桐藤ナギサの幼馴染なのだから、無理もない。

 

「というわけで、ナギちゃんをどこに隠したのか教えてくれる?私も時間が無くってさ。まあここにいる全員を消し飛ばしてから、ゆっくり探しても良いんだけど。それは面倒でしょ?」

 

 彼女たちの心境を知ってか知らずか、笑顔でそういうミカに対し、未だに信じられないというような先生が話しかける。

 

"ミカ、どうして……"

「んー?聞きたい?先生にそう言われたら仕方ないなぁ。それはね……ゲヘナが嫌いだからだよ。私は本当に、心から……心の底からゲヘナが嫌いなの」

「……だから、エデン条約を取り消そうと?そのためにナギサさんを……?」

 

 ミカの答えに、ハナコが質問をするが、ミカはハナコに対し疑問符を浮かべながら答える。

 

「えっと……誰だっけ?ごめんね、私あんまり顔を覚えるの得意じゃなくってさ。……あぁ、思い出した。浦和ハナコじゃん。礼拝堂の授業に水着で参加して追い出された、あの。あははっ、懐かしいねぇ」

「……」

「まあ、一応答えてあげるとその通りかな。だってナギちゃんが、エデン条約だなんて変なことしようとするからさぁ。ゲヘナのあんな、角が生えたやつらなんかと平和条約だなんて、冗談にも程があると思わない?考えるだけでゾッとしちゃうよ。絶対裏切られるに決まってるじゃんね?背中を見せたらすぐに刺されるよ?……そんなこと、させるわけにはいかない」

"……!"

 

 今まで笑顔で話していたミカが、急に真顔となり少し驚く先生。だが、それも一瞬で、すぐさま感情を見せながら話す。

 

「ナギちゃんもほんと、優しいっていうか優しすぎるっていうか……いや、優しくはない……かな?うーん……まあとりあえず、創作の中の明るい学園物語じゃないんだし。そんな都合の良い話、現実には存在しないのに。私たちはこういう、もっとドロドロした世界の住人だってこと、そろそろ分かってくれても良い頃なのにね?」

 

 そんなことはない、と反論しようとした先生だが、この世界に来て日が浅い自分には返せる言葉がないと感じてしまい、苦しい顔をしながら黙り込んでしまう。

 

「……そういうわけだから、ナギちゃんを返してくれる?大丈夫、痛いことはしないよ。まあ、残りの学園生活は全部檻の中かもしれないけど」

"じゃあエデン条約は、やっぱりれっきとした平和条約……"

「うーん……それについては私はなんとも言えない。多分本当に平和条約だとは思うんだけど、それを武力同盟として使わないかどうかはナギちゃん次第じゃないかな?……ああでも、あの時話したことは、本当に私が思ってることを言ったの。私がアリウスと和解したかった、ていうのは本当のことだからね」

 

 ミカがそう言うと、後ろをチラッと振り向き、自身の後ろで控えている、ガスマスクを着けた武装兵、アリウス生徒達を見やる。

 

「この子たちは、同じゲヘナを憎む仲間。アリウスだって元々はトリニティの一員。先生には前も言った通り、この子たちもゲヘナに対する憎しみは凄いよ。私達に勝るとも劣らない。むしろこの子たちこそ、純度の高い憎しみを持ってるとすら言えるかもしれない……だから手を差し出したの。志を共にして、ゲヘナと平和条約を結ぼうとする悪党たちをやっつけない?って」

 

 聞いている者の殆どが、ミカの言葉に信じられないという感情を抱く。

 

「ティーパーティーのホスト「桐藤ナギサ」に正義実現委員会がいるなら、次期ティーパーティーのホスト「聖園ミカ」にはアリウスがつく。これはそういう取引。和解へのステップアップ的な?共通の敵のために、一時的に敵同士が互いの手を取り合う。そういうことだよ。それで私は、アリウスを密かに支援してたの」

「アリウスは最初から、トリニティのクーデターのどうぐだった……?」

「うん?……うん、確かにこれはクーデターとも言えるかもね。最終的にはナギちゃんを失脚させて、私がティーパーティーのホストになるんだから。ああ、あなたのことは分かるよ。ありがとう、白洲アズサ。私はあなたのことをあまり知らないけれど、私とって大事な存在であることは変わらない。今までも、これからも。だって今からあなたには、ナギちゃんを攫った犯人になってもらわないといけないからね。」

「……!!」

「スケープゴートって言った方が良いかな?罪を被る生贄としての存在がいてこそ、みんながぐっすり安心して眠れるの。世の中って、そういうものじゃない?」

 

 その言葉に、多くの者が怒りの表情を浮かべるが、チームⅠの者たちは、俯き何かを考えているアズサの方を見る。そんなことは知らずにミカは自身の言いたいことを言い続ける。

 

「でもびっくりしたな。ナギちゃんが正体不明の誰かに襲撃されたって聞いて、計画が崩れるかもと思って少し焦ってみたら……まさかそれが補習授業部だったなんてねー、これは予想外だったよ。うん」

"……全ては、ティーパーティーのホストになるため?"

「うん、そうだよ。ああでも誤解してほしくないな、先生。別に権力が欲しいわけじゃないの。私はゲヘナをキヴォトスから消し去りたい……本当にただ、それだけだから」

"……"

「トリニティの穏健派を追いやって、その空席をアリウスで埋める。もしかしたら新しい連合になるかもね?必要なら新しい公会議でも開いて……うん、それ良いかも?それで、新たな武力集団を得て再編されたトリニティが、ゲヘナに全面戦争を仕掛ける。そう、これが私の計画!」

"……っ!"

 

 その言葉を聞いた瞬間、誰よりも怒りを顕にする大人がいた。

 

「わっ、びっくりしたー……先生、そんなに怖い眼も出来るんだね……うん、先生が凄く怒ってることはよく分かった。ごめんね、説明も何だか急いじゃったし、雑だったよね?」

「そういう話じゃないだろう、トリニティのお偉いさん?」

 

 そう言ったのは、今まで黙っていた……いや、一言喋って以降黙っていたチームⅠの指揮官だった。

 

「……あなたは?見たところアリウスの生徒っぽいけど、どうしてそっちにいるのかな?」

「そりゃ元々アリウスに従くつもりなんてないからな。ここまで来たら後は逃げるだけさ。どっちに味方するかは私たちで決める」

「……ふーん、それがどう言う意味か、分かってて言ってるの?」

「アリウススクワッドのことか?あんなペーペーにやられるようじゃ私たちは引退さ」

「…………そっか、いいよ。私たちに逆らうんなら、やることは変わらないし」

 

 ズド、ズド……と足音が鳴る。今まで後ろに控えていたアリウス生たちが、一斉に動き出した音。

 

「もっと丁寧にお話したいところだけど……まずは色々と邪魔なものを片付けてからにしよっか?」

「……気をつけて、先生。こうして見ただけでわかる……かなり強い」

「ふふっ、そうだよ。先生には前言ったけど、私結構強いんだから。はい。じゃあ、補習授業部とそこの裏切り者6人。片付けてくれる?」

「おい先生とやら。こっちはこっちで好き勝手やるから、あんたはその4人の指揮に専念しときな。なんかあったら呼んでくれればいい」

"わかった。ところで、君たちはなんて呼べば……?"

「私はフィアンマ。他は時間がないからなんかあったら私に言え!来るぞ!!!」

 

 そうチームⅠの指揮官ことフィアンマが叫ぶと、アリウス生たちとの戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

「はい、ポン。ポン」

 

 戦闘中とは思えないような気の抜ける掛け声で手に持つグレネードランチャーのようなものを撃っているのはフィアンマ。射出していった弾が着弾すると、突如そこが燃え始める。

 

「何だ!?急に炎があぁぁぁぁ!!!」

「うわあぁぁぁ!!!熱い!!!」

「逃げろ!!逃げろぉぉぉ!!!」

「逃げれると思うか?」

 

 グレネードランチャーから射出されていった燃焼弾によって、散り散りに逃げていくアリウス生達を機関銃で掃討していく。その少し離れたところでは、自身の隊員達が各々でアリウス生たちを翻弄していた。

 

「ほら、こっちだよ?おいでおいで」

「ちっ!なんだあいつ!!おい!あいつを追い込め!!」

 

 挑発をしてきたものに怒り、周りの者たちに声を掛け、挑発をしてきたチームⅠの隊員を追いかける。その隊員──ジロという名の隊員は、追いかけてくる者たちを軽く撃ちながら何処かを目指して引いていく。そこで──

 

バチン!!!

 

「あぎゃん!?」

「どわあぁぁ!?」

「えぇちょちょ!?」

 

 突然何かが挟まったような音が聞こえると、先頭を走っていたものが急に情けない声を出しながら倒れ、それを起点に着いてきた者たちも順々に倒れていく。

 

「い、痛い……!?」

「お、おい!なにつまづいてるんだよ!?」

「違う!何か脚に挟まって……!」

「いや結局つまづいてるんだろ!?……ん?これって……」

「トラバサミ……?」

「なんでこんなところに──!?に、にげ!!!」

 

ドォォォン!!!

 

 集まって倒れたところに、突如として投げ込まれたグレネードによって追いかけてきたアリウス生全員が気絶する。投げ込んだのは当然──

 

「……ばーか。リロード」

 

──トラバサミを仕掛けた張本人である。

 

 一方で、別の場所では白い煙が辺りに蔓延していた。

 

「くそっ!スモークか!!」

「下手に撃つな!!同士討──ぐはっ!?」

「ぬ、抜かれ──あぎゃあ!!」

「な、なんでだ!?スモーク越しなのになんで──っあ!?」

「…………サーマルスコープも分からんか?」

 

 少し離れたところで、オッキオと呼ばれている者が、小馬鹿にするように溢して移動を始める。

 

 

 

"うわあ……アリウスのチームⅠ?だっけ。凄いなあ……"

 

 その惨劇を見ていた先生は、戦っているアリウス生たちが可哀想に思える状況に同情していたが、こちらも集中しなければと気合いを入れ直すが、戦況は先生側に微々有利と言った所だった。

 

「……なるほどねー、そっかそっかぁ。そりゃみんな「シャーレ」「シャーレ」って言うわけだ。厄介だね、「大人」って。それに裏切り者6人も、アリウススクワッドなんて問題ないって言える訳だ」

 

 アリウス生たちに戦いを任せ、俯瞰して戦況見ていたミカは、そう溢す。そこに──

 

「バイバイ」

 

バァン!!!

 

 小さく呟かれた言葉とほぼ同時、銃声と思しき轟音が鳴り響いた。

 

「ん?」

 

 その方向にミカが目を向けた瞬間、目は天井の方を向いていた。ミカは一瞬理解が出来なかった。何故自分は上を向いているのか?

 轟音の正体は対物ライフルの音。アリウスのチームⅠの隊員の一人、カッチャという名の別のスナイパーが隙だらけのミカを撃ったのである。

──撃たれた。倒した。

 その音と状況を見聞きしていた者は皆、そう感じた。ミカを倒したことで、アリウス側は統制を失うはずで、こちらの勝利は約束されたものだ、と。

 ところが──

 

「──っいったいなぁもう!!!!!」

 

バァン!!!

 

 ミカの怒りの籠った声と同時に、銃を撃たれた方向に構えると、ヘイローと銃身がピンク色に妖しく光り、爆発と聞き違える程の轟音が鳴る。

 

「っ!!!横に飛べぇ!カッチャ!!!」

「っ!?」

 

 フィアンマはカッチャに対し叫ぶと、カッチャはすぐさま横に転がりながら回避をする。

 

ドォォォォォン!!!!!

 

「…………」

「……嘘だろ……?」

 

 皆が呆然とする。先程までカッチャがいた場所には、小規模なクレーターが出来ていたからだ。

 

「うぅ……もう!もう!!油断してる所に撃ってくるなんて!!!まだ頭が少しクラクラするよ!!!」

 

 それを作り上げた張本人は、頭を少し抑えながら怒りを露わにしているが、それどころではないチームⅠ隊員。フィアンマが手招きと「ちょいちょい」という焦りのある小声で全隊員を召集し、小声で話し合う。

 

「おい、お前の持ってるそれ、対物ライフルだよな?」

「ええ、旧式の戦車なら壊せるくらいの火力は出るわ」

「それ、人に撃つとどうなる?」

「頭に当てたら間違いなく気絶。最悪死ぬ」

「じゃあなんであいつピンピンしてんだ?」

「知らない」

「…………」

「…………」

 

 場が沈黙する。フィアンマは、チームⅠは考える。どうやってこの状況を打開するか。自分たちの持てる最大火力をぶつけた。だが倒せなかった。戦いを終わらせようとするには時期尚早だったのだと感じざる負えない。

 

「もういっそ、あなたの燃焼弾で服も髪も燃やして物理的に撤退させてやらない?」

「ジロ、火に油を注ぐとはまさにその事を言うんだぞ」

「どちらかというと油に火を与えてるような感じだけど?」

「もう黙っといてくれないか?スクード。お前あの攻撃耐えれる自身ある?」

「うぅむ……先に盾が壊れそうだな……」

「そうか……グロッソのハンマーは……」

「あたしのハンマーで対物ライフル程の火力を出せるわけないだろ!!大体近づけねぇよ!!」

「そりゃそうだよな。うん……」

「作戦会議、もう終わりにしてもらってもいいかなあ?」

 

 その言葉に一斉に振り向くチームⅠ。そこには、満面の笑みを浮かべた聖園ミカが居た。

 

「……っあ〜、大、丈夫ですぅ〜……」

「全くもうさあ……セイアちゃんもナギちゃんもいなくなるんだし、これでようやく始められるっていうのに、邪魔しないでほしいなあ?」

「……!」

「増員部隊もまだまだ来るみたいだし続けよっか?ああ、裏切り者のあなたたちは、特別に私が相手になってあげる☆」

 

 ミカの言葉に冷や汗をかくチームⅠだが、そこで救世主が現れた。

 

「ミカさん、一つ聞かせてください!セイアちゃんを襲撃したのも、あなたの指示だったんですか!?」

「……?」

「(ナイスだハナコォォォ!!!!!)」

 

 ハナコがミカに疑問を投げかけた。チームⅠの全隊員が歓喜し、ハナコを持ち上げる。注意がチームⅠから逸れ、ミカは質問に答えるべくか、ハナコの方に体を向ける。

 

「あはっ、ハナコもそんな目をするんだね。うん、私の指示だよ。セイアちゃんってば、いつも変なことばっかり言って。楽園だのなんだの、難しいことばっかり」

 

 そそくさとミカの視線から離れ、撤退していくチームⅠ。

 

「でもヘイローを破壊しろとは言ってないよ。私は人殺しじゃない。ただ、卒業するまで、檻の中に閉じ込めておいた方が良いなって思っただけ。でも、自然とああなっちゃったの」

「……」

 

 そこまで話すと、何故かアズサが気まずそうな雰囲気を醸し出す。

 

「それ以上は、当事者に聞いた方が早いんじゃないかな?……ねえ、白洲アズサ。何だか一部誤解があるみたいだし、私の代わりに説明してくれない?」

 

 何の話か、周りの人間はあまり理解出来ずきょとんとしてる中、ミカはアズサに対し一方的に話す。チームⅠは安全圏まで撤退に成功し、内心安堵に包まれる。

 

「セイアちゃんがあんなことになっちゃったのが、ここまで事態が大きくなったきっかけなんだよ?そこからもう色んなことがどうしようもなくなっちゃったわけだし……ねえ、その辺りどう思う?」

「……!」

 

 投げかけられた言葉に、ふと、アズサは過去の記憶を思い出す──

 

──なんであんな平然としていられるんだ?

──あいつの戦う姿を見たか?恐ろしくて仕方ない……

──見たか?あいつ、一瞬だが敵を……

──あいつは……

──あれは……

 

「…………それは……いや、私は……」

「ア、アズサちゃん……?それはいったい、何のお話、ですか……?」

 

 様子のおかしいアズサに思わず声をかけるヒフミ。

 

「ち、違う……あれは……私は……」

 

 

ドゴォォォォォン!!!!!

 

 

「んー?」

 

 突然、別の入り口の方面から、巨大な爆発音が鳴り響く。

 

「トリニティの生徒が一部、こちらに向かってきています!」

「……?なんで?ティーパーティーの戒厳令に背くような人たちは、もう……」

「……いますよ。ティーパーティーにも命令できない、独立的な集団が」

 

 ミカの疑問にハナコが答え、アリウスの生徒がその正体を確認し、報告する。

 

「確認できました、大聖堂からです!ということは……」

 

 爆発した方向を向けば、数多くのシスター服を着た生徒が、足並みを揃え一斉にこちらに向かってきていた。

 

「…‥シスターフッド!?」

「シスターフッド……!?っ、浦和ハナコ……!」

 

 正体を確認したミカは、こちらに向かってくるトリニティの生徒、シスターフッドを呼んだであろう者に目線を向ける。

 

「……まあ、ちょっとした約束をしましたので」

「約束……?」

「あなたは知らなくても良いことですよ、ミカさん」

 

 

ドゴォォォォォン!!!!!

 

 

「けほっ、今日も平和と安寧が、みなさんと共にありますように……けほっ」

「す、すみません、お邪魔します……」

「シスターフッド、これまでの慣習に反することではありますが……ティーパーティーの内紛に、介入させていただきます」

 

 体育館を爆発して無理矢理侵入し堂々と現れ、内紛に介入することを宣言する歌住サクラコ。

 

「ティーパーティーの聖園ミカさん。他のティーパーティーメンバーへの傷害教唆及び傷害未遂で、あなたの身柄を確保します」

「シスターフッド、歌住サクラコ……」

 

 予期せぬ勢力の登場に、数瞬の間呆然とするミカ。

 

「……あはっ。流石にシスターフッドと戦うのは初めてだなー。なるほどね、これが切り札ってこと?……浦和ハナコ、どうやってシスターフッドを動かしたの?」

 

 今まで何もしてこなかったシスターフッドをどう動かしたのか問いかけるミカ。

 

「シスターたちと仲良かったのは知ってる。でもあの子たちが何の得も無く動くはずが無い……ねえ、()()()()()()の?」

「……」

「……うん、興味深いね。さて、片付けないといけない相手が一気に増えちゃったなぁ」

「……ようやく顔色が変わりましたね、ミカさん?」

「……そうかな?まあどうせホストになったら、大聖堂も掃除しようと思ってたところだし。うん、一気にやれるチャンスだって考えることにしようかな」

 

 そう言うと、ミカは手に持つ銃を改めて構え直す。

 

「……さて、じゃあやってみよっか?」

「……あくまで戦うつもりですか、ミカさん。この状況での勝算が、どれくらいか分からないあなたではないですよね?」

「……うん、そうかもね。でもここまで来て、「おとなしく降参します」なんてわけにはいかないでしょ?」

 

 そこまで話すと、ミカは俯きながら、ボソッと呟く。

 

「……もう私は、行くところまで行くしかないの」

「──では、おとなしく降参します、と言わせてみましょうか?」

 

 戦いが始まるかと思われたその瞬間、どこからともなく声が聞こえてきた。

 

「っ!?」

「っ!?……その声……!?」

 

 

ドゴォォォォォン!!!!!

 

 

「キエェェェェェェェ!!!!!!」

「皆さん、お待たせしました!!!」

「遅れてごめんなさいッス〜」

 

 またしても巨大な爆発音と、それに負けず劣らずの奇声がシスターフッドとは別の方向から聞こえてきた。そこからは、黒を基調とした制服を着た者たちがぞろぞろ出てくる。

 

「せ、正義実現委員会!やった!来てくれた!!!」

「な、何!?」

「せ、正義、実現委員会……だと!?」

「今夜は動けないんじゃないのか!?」

「し、しかも委員長までいやがる!?」

 

 またしても予期せぬ勢力にアリウスは驚愕し、待ち望んでいた者たちが現れ歓喜に溢れるコハルと来ないと思われていた故に驚く他の補習授業部。

 そして、その後ろから、紅茶を片手に持ち、余裕の表情を浮かべる者が居た。

 

「…………ナギちゃん、無事だったんだ。どうして直ぐに正義実現委員会を来させなかったの?」

「あなたが出てくるまで待機するように、私の方から命令しておいたのですよ、ミカさん」

 

 アリウスにとっての暗殺対象、桐藤ナギサが、正義実現委員会を引き連れ現れたのである。

 

「……やっぱり最初から全部分かってたの?」

「ここには数多くの方がいます。私たちとは無関係の方も」

 

 暗に今答える気はない、と伝えるナギサだが、ミカは長年の付き合いで答えを理解した。

 

「……そっか。そっか……でもさ、ナギちゃん、ここまで来たら、もう諦められないんだよ」

「……降参しないつもりで?」

"ミカ!?この状況じゃあ!!!"

「先生。……うん、わかってる。でもさ……」

 

 ミカはナギサを正面に捉えると、乾いたような笑みで──涙を含んだ目で、ナギサを見て答える。

 

「ここでナギちゃんさえ殺せれば、ぜーんぶ上手くいくんだよ」

「……随分と頭が弱くなりましたね?この状況で、私を殺害出来ると?」

「……やるしかないんだよ。もう、私は……戻れないんだよ!」

 

 ミカの叫びに、ナギサは手に持っていた紅茶を飲み干し、ティーカップをそこらへんにポイと捨て、体を伸ばしていく。

 

「皆さん、ミカさんの相手は私がやるので、アリウス生達の相手をお願いします」

「えっ!?な、何言ってるんですかナギサ様!?」

「ヒフミちゃんの言う通りです!ナギサさんは後ろに下がって安全に……!」

「これは、私と彼女の問題です。手出しは無用です」

 

 有無を言わせぬ態度に気圧されるヒフミとハナコ。肝心のナギサはアイコンタクトでツルギとサクラコに目線を送る。

 

「…………わかりました。ですが、危険と判断した場合は……」

「もちろん、あなたに任せます。ツルギさん」

「私もツルギさんと同意見です」

 

 正義実現委員会とシスターフッドの代表に許可を取り、ナギサはアリウス生たちが蹂躙されていくのを横目に、銃も何も持たずにミカの正面に立つ。

 

「……ナギちゃん、正気?」

「ミカさん、あなたが私に勝てたこと、今までで何回ありましたか?」

「…………あれは本気を出してなかっただけ。今回は──殺す気で行くよ?」

「出来るのならどうぞ」

 

 挑発するように放った言葉を皮切りに、ミカが勢いよく銃を乱射していくが、何を思ったかナギサは銃弾飛び交う中を颯爽と走り距離を縮めていく。

 

「ナ、ナギサ様!?」

「何をしてるんだ……!?」

「ほんと、いつも無茶するよねナギちゃんってさあ!」

 

 銃弾が掠っても関係ないとばかりに走り距離を徐々に縮めて行くナギサ。

 

「(ここまで来たら……!)じゃあ、死んでもらうね!ナギちゃん!!!」

 

 ミカのヘイローと銃身が先程よりも強く光り始める。

 

"っ!?まずい、ナギサ!!!"

「「「「「ナギサ(様)(さん)!!!」」」」」

 

 先ほどの光景を思い出し、直撃したらただでは済まないことを理解している者たちが咄嗟に叫ぶが、それでもナギサは止まらず走る。──駄目だ。そう感じ、殆どの者が間近に迫っている光景を見たくはないと目を瞑る。

 

 

 

「────えっ?」

 

 

 

 誰かが呟く。いつまで経ってもあの轟音が聞こえてこない。皆が意を決して目を開け状況確認すると──

 

「…………ナギ、ちゃん?」

「…………」

 

 惚けた顔をしているミカの上に跨り、腕を押さえ付けているナギサの姿があった。

 

"……ナギサ?"

「…………何、してるの。ナギちゃん」

「…………」

 

 睨みつけるように言うが、何も答えず、ただ黙り続けるナギサ。すると突然、ナギサは自身の顔をミカに近づけ、それに合わせ顔を背けるミカ。

 

「……っ!」

「……ミカさんのことは、傷つけたくないんです」

「……へっ?」

 

 ミカだけに聞こえるように喋ると、顔をあげる。悲しい顔をしていた。

 

「降参してください。この状態なら、ミカさんは私を殺せません」

「っ……で、でも…………」

 

 降参を促すナギサだが、ミカは言葉を詰まらせながら目を逸らす。

 

「…………私、は。セイアちゃんを、殺した、から……だから……!」

 

 涙を目に貯めながら語るミカ。そこ姿を見たナギサは、納得のいくような表情を浮かべる。

 

「……やっぱり、そんなことだろうと思いました」

「……どういう、こと」

「ミカさん。セイアさんは、生きています」

「っ!?」

 

 その言葉に、信じられないという顔をする。話を聞いていたハナコが二人に近づき、事情を説明する。

 

「ずっと、偽装していたのです。襲撃の犯人が見つからなかったので、安全のためというのもあって……トリニティの外で身を隠しています」

「…………セイアちゃんが……無事……?」

「はい。傷が治らなくて、まだ目が覚めていないのですが……救護騎士団の団長が、今もすぐそばで守ってくれています」

「ミネ団長が……?」

「はい。そしてあの時、セイアちゃんを助けてくれたのは……」

 

 ハナコは、百合園セイアを助けた人物を言おうとしたが、数瞬の間思考し、その助けた人物をチラリと見やってから続きを話す。

 

「……いえ、これは直接ご本人の口からが良いでしょう」

「……だ、そうですよ。ミカさん」

「……そっか。生きて、たんだ……」

 

「……良かったぁ」

 

 カチャン。と、心の底から安堵した声を上げ、ミカは手に持っていた銃を手放す。

 

「……うん、わかった。降参。私の負けだよ。もう、何でもいいよ。私のことも好きにして、ナギちゃん」

「…………ミカさん」

 

 その言葉を聞き、ナギサはミカの体から離れ、正義実現委員会の元に歩いていく。

 ミカが体を起こし、顔に滴る涙を拭う。そしてふと、ある者たちに目を向ける。

 

「……」

「アズサちゃん。それと……フィアンマ?だっけ。自分達が何をしてるのか、その結果この先どうなるのか。それは分かってるんだよね?」

「もちろん」

「……当然」

「……トリニティが、あなたたちのことを守ってくれると思う?これからずっと追われ続けるよ。ずっと、どこに行っても……あなたたちが安心して眠れる日は、来るのかな?……それに、サオリから逃げ切れると思う?まあ、あなたたちは大丈夫かもしれないけど……アズサちゃん。アリウス出身ならもちろん知ってるよね、et omnia vanitas……」

「…………」

 

 アズサはまたしても過去を思い出す。()()()()を。自分自身に眠る()()を。だけれども──

 

「……分かってる。それでも私は最後まで足掻く。最後のその時まで、私は……過去を忘れることは、無い」

「アズサ……」

「……?うん、そっか」

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 夜が明け、朝日が立ち上る。

 

「ミカさん……」

「……ナギちゃん」

 

 クーデターの首謀者として、聖園ミカが連行されていく最中。桐藤ナギサが、()()()として、話しかける。

 

「……()()忘れてませんから……いつまでも、待ってますので」

「……あはっ、紅茶片手に言われてもなあ……」

 

 思い出す。過去の約束を──

 

 

 

──どうせいつか、またフラッと勝手にどっか行っちゃうんでしょ!もういいよ!!!ナギちゃんなんて知らないから!!!

──ま、待ってくださいミカさん!分かりました!……これからはずっと一緒に……いることは出来ないですが!何処かに行く時は必ず連絡します!それに……何があっても、必ずあなたの元に戻ります!!!

──……本当?

──本当です!!!私たちは、何があっても一緒です!!!

 

 

 

 ──かつて幼い頃にした、甘い約束を。

 

「……でも、嬉しいよ、ナギちゃん」

「……ミカさん」

「……またね、ナギちゃん」

 

 その言葉を最後に、別れる二人。桐藤ナギサは、朝日を背に、片手に持つ紅茶を口に含む。

 

「……温いですね」




上の人間の人とかとはちゃんと話す初心人間。それがツルギだと思う筆者です。解釈違いだったら……いや、この作品自体が解釈違いの塊では?筆者は考えた。そして、考えるのを放棄した。あ^ 〜もういいか^ぁ〜、どうにでもなれ〜^

次は2章エピローグです
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