犬仲間の斉藤さんは、まだまだ帰宅部をやめられない   作:あきと。

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第三話 「野外活動サークル」

 

「外で何かしてるみたいだ。大声出してどうしたんだろう?」

 

ジャージ姿の女子達が囲んでいたのは、布地とポール。

 

「もしかして、テント?」

 

「だね」

 

しかし、それを立ち上げる途中アクシデントに見舞われたらしい。

 

「あ、棒が折れちゃったみたいだよ」

 

その様子を見ていた恵那が、そう呟いた。

颯も、あれはもう駄目そうだと視線を向ける。

 

「あれじゃ、組み立てられなそうだけど」

 

「ねぇ、リン。テントって、あの棒折れたらどうするの? 買い替え?」

 

「まぁ……。メーカー送って修理かな」

 

「志摩さん詳しいね」

 

「まぁね。私もキャンプやるし」

 

「へぇ、もしかしてこの学校。キャンプとかする部活があるの?」

 

「部というか、同好会かな。野外活動サークルっていうのがあるんだよ。私は入ってないけど、あそこにいる眼鏡とサイドテールの二人はそこのメンバー」

 

二人? リンの言葉に颯は首を傾げる。

あそこにいるのはどう見ても、三人だと思うのだが。

 

「じゃあ、あのもう一人の子は?」

 

「さぁ……。転校生じゃないかな」

 

そういえば、今日転校生が来ると担任が話していたな。

俺もまだ、他のクラスの生徒の顔は全然覚えていないからな。十分に考えられる。

 

「キャンプやるなら、一緒に行ったりはしないの?」

 

「しない。騒がしいのは苦手だから」

 

「リンはソロキャンパーだからね」

 

「うむ」

 

リンは、野外活動サークルの存在を伝えるが自身は関係ない事を伝える。

アウトドアは最近流行っているから、そのサークルも、それに興味を持った生徒たちが立ち上げたのかもしれない。

 

「そうなんだ。でも、あの子たちもせっかく活動してるのに、トラブっててなんだか可哀想だな」

 

未だ慌てふためく、野外活動サークルのメンバーに同情する颯。

テントの骨組みでもあるポールがあのようになってしまっては、中止せざるを得ないだろう。

中庭に面した窓付近に座る他の生徒たちも、何事かと彼女たちの様子を伺っていた。

 

「まぁ、小さいパイプとかあれば応急処置することは出来るけどね」

 

「そうなんだ。繋げ直すってこと?」

 

「うん。けど、都合よくそんな物持ってないだろうけどね」

 

「こういうの?」

 

「何であるんだよ」

 

話を聞いていた斉藤さんが、ちょうど良い長さの鉄パイプを差し出した。一体、どこから取り出したというのだ。

 

「それっぽいのが、そこの落とし物箱に入ってたんだよ」

 

「タイミングバッチリだね」

 

「そうだリン、これ持ってって助けてあげなよ」

 

すると、それを聞いた彼女は眉間に皺を寄せる。いかにも、行きたくないという表情だ。

 

「うわー、すげー嫌そう」

 

「それなら、俺が届けてこようか?」

 

「高梨くんが?」

 

「うん。用は済んだし、あと帰るだけだから」

 

本を鞄にしまいながら言うと、二人は俺の方を見る。そして、パイプを貰おうと手を差し伸べるが、恵那はパイプをきゅっと握りしめる。

 

「斉藤さん?」

 

「んー。なら、私も行って助けてこようかな。行ってくるね、リン」

 

「うぃー」

 

「俺一人でも大丈夫だよ?」

 

「いいのいいの。行こうよ高梨くん」

 

「え、ちょっ!」

 

恵那が空いている方の手で、颯の手を掴む。

な、なぜわざわざ手を!?

女子と手を繋ぐという慣れない状況に、颯の顔は真っ赤に染め上がった。幸い、先を歩く恵那には気づかれていないみたいだ。

 

一方、そんな二人を見送るリンはというと。

 

(おせっかい焼きどもめ。て、会ったばかりの相手に言うのは失礼か)

 

自分が読んでいた本に再び視線を戻して、受付の仕事をまっとうする。

 

(あの男子……、高梨くんだっけ。あの人が来てから、斉藤がどこか楽しそうに見えたな。いや、気のせいか。いつもあんな感じで私の髪弄ってくるしな)

 

 

△ △ △ △

 

 

「おーい」

 

外に出ると、斉藤さんが先行してテントの前で困っている三人に声を掛けた。俺はというと、途中で借りてきたガムテープを持っている。

 

「あ、斉藤さんや」

 

「おー、斉藤。あれ? それとタカナッシーも一緒じゃねーか」

 

「どこのマスコットキャラクターやねん」

 

よく見ると、三人のうちの一人は同じクラスの大垣さんだった。眼鏡にツインテールと、髪から覗くおでこが特徴でクラスでも目立つ元気な女の子だ。

もう一人は、確か犬山さん? 大垣さんと一緒にいる事が多い女の子でスタイルの良さから男子からも人気があると聞く。

 

「ーーなるほどな。二人は家が近所なのか」

 

俺たちが二人でいるのを不思議そうに見ていた大垣さんに、俺たちの関係を説明して本題へと入る。

 

「それよりテント大変だね」

 

「そうなんよー。大事なポールをバキッとやってもうてな」

 

「あ、あたしのせいじゃないぞ! 長さ足りなそうだと思って、ちょっと力を入れただけで……」

 

それは、十分に原因と言えるのでは……?

とは、さすがに口にはしない。

 

「ふふっ、図書室から見てたよ。でも大丈夫、力になれると思うよ」

 

そして、恵那は握っていた鉄パイプを三人に見せた。事前にリンに教わっていた通り、補修作業へと入る。

 

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