我はぐれ者、神社に住まう 作:神輿と櫓
「あ〜、夜長いな」
夏だったかな。最近霊夢も外に出たがらねえから、ほんとよくわからん。ただ、目を凝らすと月に違和感がある。なんなら、月に手を重ねるだけで何かコリッとしたものが。スキマじゃない。一体、何かがある。得体の知れない何か。月に細工して永遠に妖怪のターンにしたいのか、別の目的か。まあそもそも月の異変なんてあんのか、って話か。
「…ん?」
「月見?」
「霊夢か。どっちかっていうと、月見よりは違和感探しだな」
「ええ、ええ。そうよ、確かにこれは異変。今までのどの異変よりも大変な、異変。」
「紫」
話を聞けば、何やら月に異変があると言う。力の弱い妖怪なら二日程度で、妖精は既におかしくなっているらしく、月の異変によるものだとか。なんだかまぁ、人間である俺にはふ〜んで終わらせる話…なのだが。紫がそれを許さない。なんだか、俺が違和感を感じた理由が知りたいらしい。
「…俺もか?」
「今回の異変は夜を止めてでも解決するべきよ。例え野蛮人の手を借りても、ね」
「紫」
「質問は受け付けないわよ」
「野蛮人呼ばわりしたこと、後で後悔させるからな」
「ぁっ」
とは言っても俺は飛べねえぞ。と思ったら、地上を歩き回るので別に構わない、と言われた。まあそうじゃなかったら呼ばねえよな。飛べない奴なんてな!…あとで霊夢…いや、パツキンあたりに聞くか。それか、美鈴だな。多分力の大元が同じ美鈴の方が適切かな。まあそっちに行くか。
「…人里には入れねえんだった」
「不便ね」
「そもそも人里に入ること自体ないわよ」
「はぁ…竹林でも行くか」
「嫌よ。違和感探してその方に行きましょ」
「人を探査機みたいに使いやがって。でも、竹林自体は元々違和感あるからな。行ってみるぞ」
道中、他の奴らと出会うかと思ったが少しも出会わなかった。強いて言えばチルノとか言う氷精だな。アレは妖精にしては強いらしい。らしい、と言うのは。俺が一撃でぶっ飛ばしてしまったからである。聞けば奴は温度を下げるんだか氷を操るんだかわけのわからん能力だった。変なやつだな。
「竹多いな」
「そりゃ、竹林だからね」
「あの」
「あ、魔理沙」
「おーい」
「ほんとだパツキンだ」
「…迷ったならそう言ってくださる?」
…そう。迷った。パツキンを見つけたので声をかける。どうにかならんかね、と話すもパツキンは『お前らが揃って解決できない異変はおかしい!お前ら黒幕だ!』と叫び、隣にいた人形を背負っているやつは呆れたような顔をして構えを取られた。つまり俺たちとパツキンは敵対したようで、俺は下から皆の弾幕を見るしかないので、暇になる。
「お、暴れん坊主」
「ん」
「あ?忘れたか?妹紅だよ、ほら…たまに人里で話聞いてたろ?」
「あ、あー!なんでここに!?」
「私の住処だからな。それで?あ─」
途端、目の前をパツキンの極太ビームが通る。妹紅さんは半身削られた姿でこちらを見つめているが、俺にはどうもできない。本当に。
「ん」
「あれ」
「変な屋敷みたいなのが出てきたから、そこに行くわよ」
「あいわかった。そんじゃ妹紅さん、さよなら」
「さよなら〜…で、これはなんだ?」
「異変解決だぜ!」
「…お前は誰だ??」
変な屋敷にはいる…前に。変な兎の大群。何があるのかわからんが、それを相手するのは面倒なので。野生の動物には野生の動物としての威嚇が必要であろう、と言われて(パツキンから)竹をぶん回す。
「ほらほらー!退いた退いたー!…げっ!た、退散退散!死にたくなかったら退散!」
「あ?」
「なに、今の」
「さあ?人里で暴れすぎたんじゃ?」
無視。屋敷の中へとズカズカ入って行く。すると、今度はへんな格好のへんな女が出てきた。うーん、変な奴だな。なんだか変なことを延々と述べているが、指鉄砲の形を作った途端、目の前を何かが通った。あぶね、反射で避けたから後ろのパツキンに当たっちまった。
「避けた!?」
「全く、面倒な奴よ」
「ここは人手が多いのね」
「やっぱこんくらいの人は欲しいの?」
「道中の兎くらい欲しいな。食費なしで」
「〜!ふざけないで!」
二発。片腕で受け止めて、霊夢の目の前を開けるように退く。すると、霊夢から針が飛んで行った。え、殺意高くね?と思いながらも、針は両の手に突き刺さったところを見てまあもうさっきの芸当は無理だろうと。
「しかし、この廊下…」
「終わりが見えないわね」
「終わりが見えない時は大体あの手でしょ」
「霊夢、私たちを置き去りにしないでほしいんだが?」
「私は良いわよ。できるなら帰りたいし」
「じゃあ帰んなさい。しっしっ」
「飴やるから帰れ」
「送るわよ?」
「…ああそうかい!じゃあ帰る!!」
パツキンは拗ねて帰った。まあ良いか。さて、無限かに思われる廊下の真正面に向かって霊夢を投げる。大体こういう廊下は、[ループしている]か[個人の感覚を狂わせて同じ場所をぐるぐる回させている]のどちらからしい。なので、歩くよりも飛ばしたほうがいい、というのが紫直伝のやり方である。
「…そんな方法で」
「悪いな」
「一応聞くわよ。貴女、月をおかしくした覚えは?」
「…すり替えた、なら心当たりがあるわ─」
決定、だな。殴り飛ばす。紫が警戒しまくっているからかなり本気で殴り飛ばしたら、ピクピクとして動かなくなった…と、思ったら。起き上がって、どこからともなく弓を取り出してやがる。そのまま、矢を引いて…
「っ!」
「は?」
「よく取った」
「すごいでしょ、ウチのお父さん」
「…お前はどこで何を自慢してんだ?」
慧音「本当は、私は雄大の親代わりをしたかった。あいつは親を殺して、自責の念に苦しんでるのだと思っていた。私の思い違いで、雄大を苦しめるところだった。あの雄大を見ていると、これで良かったんだと、そう思い込んでは、ずっと寝込むように頭を抱えるんだ。私としても、これは良くない。だから見に行くのをやめて、今みたいに、霊夢が手紙を届けるようになったんだ」