我はぐれ者、神社に住まう 作:神輿と櫓
館の中はまあ荒れていた。侵入と息巻いたのはいいが、よくよく考えたら何もすることはなく、本当に考えてみたら何にもない。…霊夢連れて帰るか。いやでも霊夢も帰ってるかもしれん。パツキンはどこかに行きよった!…誰か探して見つけて連れて行ってもらうか。断ればボコる方針で。
「しかし妖精しかいねえなあ」
「でしょうねぇ」
「うわびっくり」
「門番が倒れていたのだけれど、貴方?」
「…そんなことより家に帰りたいからさ、手伝ってくれない?」
「お断り!」
身体の周りにナイフが出て来ると、それと同時に自分に襲いかかってきた。多少は仕方ないか、と思って頭と胸を守る。と、いくら待っても刺さらないナイフ。来たか我が娘!と思い頭を上げると目に入るのはさっきの門番。まだ生きてたのか、と感心しつつ。あれ、頭壊さなかった?とも思い、やっぱ妖怪だなぁと思う。
「…何してるの、美鈴」
「私としても、この方を倒してみたい、と思いまして」
「その身体で?」
「いいえ?ですから後日…」
「待てないわね。侵入者は─」
「うるせー!」
ドロップキックでぶっ飛ばし、美鈴とかいう門番に頼み込む。家に帰してくれと。そうすると美鈴は拍子抜けたような顔をして、はいはいと帰してくれた。なんで場所知ってんの?と聞けば、レミリアとかいう奴が俺の家を知っていたらしい。博麗神社の場所を、だが。たぶん八雲紫がバラしたよなぁ…
「それでは!」
「はい、じゃーな」
「…遅かったわね」
「嫉妬か?」
「今日の晩御飯、アンタでしょ」
「…」
「あ、良ければ紅魔館で食べませんか!?」
「うわ!?」
「そうね…何が出るのかしら」
「私が作るのであれば中華料理ですね。咲夜さんなら洋食が」
「中華って?」
「ほら、たまに紫から材料貰って作ってる…マーボードーフとか。」
「あぁ、お父さんが作る中で一番美味い奴ね」
「ほら、こいつこういう奴なんだよ」
「お父さん…??」
おい、なんでそこで疑問を浮かべるんだ。まあ良いが。ということで邪魔することとなった。パツキンも一緒に。出たのは中華料理。マーボードーフのほかに、チャーハンも出た。他にも出てきたがよくわからん。名前覚えられんが、奇怪な名前としか覚えられてないし。
「ところで、お名前は?」
「雄大」
「人間みたいなお名前ですね、珍しい」
「…は?」
「またか…」
「え?」
「こいつ、人間。」
「ええ!?」
「妖力とかあんだろ。」
「だって、え?ええ!?」
どいつもこいつも…そういや、巫女と出会った時も同じこと言われたな。霊夢が残された神社に妖怪が迫っててボコした時に。なんで皆妖力とか感じ取れるくせに俺を人外として見て来るんだ。泣くぞ。全く…あ、でも中華料理は美味いから許す。普通にバカくそ美味い。特にこのカエルの奴。むっちゃ美味い。ウチでも作ってみるか、と提案したら霊夢に却下された。クソッ。
「美味いのに?」
「見た目が気に食わない」
「あっそ。味噌汁に入れて出してやろ」
「ちょっと!これから味噌汁食べれないじゃない!」
「ところで…その、巫女と雄大さんはどんな関係なんですか?」
「居候と管理人」
「今の私との関係とほとんど変わらないわね」
「なのにすごい似てる気が」
「うっさい」
さて。満足したところ…に、更に料理が運ばれて来る。お前こんなに作って食糧の備蓄とかは大丈夫なのか?と聞くと、『何言ってるんですか?私の母国ではああ手が残すくらいの料理を出すのがおもてなしですよ!』と言われた。ならばと遠慮なく残す。パツキンは食べ過ぎで寝転がってる。霊夢はまだ食べるようだ。太るぞ、肥えるぞ。まあ食う量もそいつ次第だから俺は何も言わんが。
「…食べたぁ」
「当分食べなくても良いわね」
「たべすぎた…」
「喜んでいただけたようで何よりです!」
「…ところで、さっきからそこにいるガキは?」
「え、あ!?レミリア様!?」
「ほー、あれが」
「なんで居るのよ…いや、それよりも。なんで貴方達が美鈴の中華料理食べてるの!?」
「え!?あ、いや、これは」
「咲夜!不法侵入よ!咲夜ー!」
「はい」
「うわっ…こ、こいつらをつまみ出して!」
「いえ…私も既に頂いてるので」
「はぁ!?え、わ、私も欲しい!」
…変なガキだ。机の上にある皿を差し出してみると、『そうじゃないわよ!』と言って席に着き、まあ綺麗な所作で食べ始めた。マナーとか作法とか、そんなものだろうか。変な妖怪だ。尚、美鈴とは再戦を誓っている為また遠くないうちにここに来るだろう。あんま来たくないんだけどな。目に悪いし。
「ここの館、緑にしたら?」
「緑魔館にしたいの?ダメよ、これがウチなんだから」
「目に悪いんだよ。察しろ」
「…え、私が悪いの?」
こうして今回の異変は終わりを迎えた。なんとも、なんともな感じである。ちなみに、本当に飯は美味いのでどうにかコッチ来てくんないかな、と思うも、霊夢の『ウチにそんな材料ないでしょ』と言われ撃沈。確かに、と思って誘うのをやめた。美鈴は残念そうな顔をして『私も門番の仕事あるので』としていた。紫が横流ししてくんないかなぁ。
「…ねえ」
「なんだ」
「美鈴の頭が血だらけだったのって」
「確かに俺は頭を潰したと思ったんだがな。こう、グッと握って」
「本当に人間なの?妖怪?鬼の類?」
慧音「春飯雄大か…いや、覚えてはいる。ただ、思い出したくない…何せ、な。寺子屋の庭…あそこに山があるだろう?…そう、その山だ。私が罰として埋め立てろと言った穴があったんだが、それを埋めた上で山にしてな…まだ8歳程度だったはずだのにな」