我はぐれ者、神社に住まう 作:神輿と櫓
「…さて。」
「思ってた以外の副作用ね」
目の前には大量の悪霊。俺でも見えるくらい‥と言いたいが。俺には見えなかった。よくわからんが、バカ多いらしい。霊夢には寄ってないが、俺には寄っているらしく、取り憑こうとしてる!!と騒いでいる。俺は何も感じないので一人騒いでるように見える。変だな、こいつ。
「しっかしなぁ…こうなると。地底とか言う場所に言って文句でも言うか?」
「そうね。どうせなら慰謝料としてここの管理だけ任せて利益だけ欲しいわね」
「良し。じゃあ行ってこい!」
「…紫、地底ってどんな場所?」
「そうねぇ…鬼がやたらめったらいて、そいつらが襲って来るような場所ね。私も何回襲われたか…あ、後地底の管理人は私も知ってるから、案内は出来るわね。」
「よし霊夢。行くか!」
「うん!」
パツキンは寝たままに、後何人来るかね、なんて思っても…まあ来ないか。とにかく。さっさと地底に落ちる。霊夢は空を飛びながら、俺は自由落下で落ちて行く。霊夢から信じられない者を見たかのような反応をされた。フンッと地を踏み締め、結構高くて足が痛いがまあ良い。鬼どこかな。鬼全員殺してウチの娘の安全を保証してもらいたいんだが。
「え、人が降ってきた?」
「え!死体じゃない!?」
「お前ら人をなんだと思ってんだ。普通死ぬわ」
「お兄さんは一体…?」
「…で、お前誰?」
「あたいかい?あたいは」
「まーでも鬼じゃねえなら良いか。猫耳、鬼の場所まで連れてけ」
「…名乗りを否定されて、『はいわかりました』で案内するほ━」
首元掴んで腹を殴る。流石にこれを霊夢には見せれないので、霊夢が降りて来るまでにやらなきゃいかん。一発で勘弁してやる。言え。後その桶に入ってる変な奴も。どっちでも良いから。後猫耳の持ってる謎の手押し車はなんだ。それはその呼び方で良いのか?
「はぁ…鬼の統領なら良いけど」
「よっしゃ、連れてけ」
「はいはい…」
「鬼…そういや、あいつも鬼だったか…?なんか、確か…あー、なんだったかな。俺の片腕千切ったやつ」
「実力がわからないよ兄さん」
「俺には一人娘がいんだけどさ」
「話の展開早くない?」
「そいつに手を出させないためにこっちいんのさ」
「…え、親心ってこと?」
「だな」
殴った影響で動けないこの猫耳を手押し車に乗せ、歩く。普通に手押し車が臭いのだが、こいつ自体が死体集めのものらしく。腐った死体何個乗せたよ。俺でも知らねえ腐敗臭するぞ。なんてやってたら随分と賑やかな場所に出た。なんだここ…
「おい人間じゃねえか」
「デケエ人間だな」
「美味いだろあれ」
「…ねえ兄さんや」
「あん?」
「食われに来たの?それとも…」
「ここにいる鬼全員ぶっ飛ばしに来たんだが?」
「だよねぇ!今の聞いたかい力自慢共ー!」
「やりやがったなてめえ!」
手押し車ごと投げ飛ばす。これが火蓋が切られたってことかな!それとも賽を投げるってことか!?
正直言って、お兄さんのことは、『ちょっと頑丈な人間』くらいに思ってて、鬼を相手にしたら絶対怯えたりするんだと思ってた。そりゃ、腹を殴られたら雌の化け猫やってるあたいは堪えるけど。手押し車投げられた時に『ひょっとして…』とかも思ったけど。
「…ひぇ…」
「うらぁ!来いよ!」
「て、テメェの娘だけでも殺してや━」
娘に関することを言った鬼の頭を掴んで、そのまま握力で握り潰した。あり得ない、本当に人間?手押し車に隠れて見てるけど、全然。鬼の数の方が減ってる。こりゃ、地底でも鬼が絶滅危惧種になるのは明日でも遅いかな。ほぼ全員を一回殴っただけで倒してる…
「…ふぅー…」
「うっへぇ…あの兄さん、鬼を全部倒しちまったよ…」
「おーおー、鬼がやられたって聞いたから何事かと思ったけど…まさか全員たぁね」
「お?お前が鬼の統領か」
「ふぅん…お前さん、地上の奴だよな?」
「まあな」
「地上に、鬼いなかったかい?ちっこい奴なんだが」
「あー…俺あいつに腕千切られたんだよな。クソ鬼が。」
「へぇ!萃香に勝ったのか!」
こりゃ面白い男だ。萃香に腕千切られるってことは、萃香と僅差で勝ったな。そうなるとこの兄ちゃんは…最低でも萃香と同じくらいは強いと考えて良いな。その上武器も何も持ってない。良いねぇ、私好みだ。萃香に武器ありで勝ったのなら相当ガッカリだけど…
「っ!」
「考え事してんじゃねーぞ」
腹にまず蹴り!この威力は半端じゃないね!多分、力だけで萃香を倒してきたな!良いねえ良いねえ!私好みで嬉しすぎるよ!!
「もっと強くして良いよ!!」
「後ろじゃい」
後頭部に強い衝撃。私もそんなに余韻に浸ってたつもりはないんだけどね…走るなら音でわかる。飛んだか?ならこいつは唯の力自慢じゃない!
「ふんっ!!」
「おおっと!?」
地面をぶち抜く。これをやるとかなり怒られるが、構わない!こんな楽しい殴り合いなんだ、怒る方が野暮だね!相手の足場諸共崩して、そのまま─
「あっぶねえ!!」
後ろから蹴られる。三軒ほど巻き込むが、それほどに激しい痛みもない。咄嗟に出ただけで、重さが無い。
「なら、こうっ!!」
空気をつかむように振り落とす。強風、続いて天井が少し落ちてくる。天変地異。地底のここでもこれは出来る。私の怪力でこそ成り立つやり方!
「あぁ!?」
「どうだい!」
━尚。どう足掻いても相手さんは私以外に狙いを向ける気が無いらしく。それどころか、天井から降って来た岩が頭にぶつかっても気にせず、なんなら血すら流れていなかった。
「いやぁ、良いねえ!」
「お前が変な術使うんなら、俺も使うぞ!!」
「え?」
私以上であろう怪力で、一体何を─
「あ!!!!!」
それは、声。地底のよく響く環境下では最悪で、その音は私の耳を容易く破り、そのまま頭に音を響かせた。痛い、痛い!更に続いて、男は地面を踏みつける。男を中心に、地面が割れながら回転する。男が飛び、私を蹴飛ばす。これは効いた。まだ、天変地異は続いている。
「ぁああ!!」
さらに男は、空気までも掴んでみせた。天変地異…ではない。では何をしたのか?…私が起こした天変地異を止めた?まさか、あり得ない。でもこの男の怪力なら…!
「魔法とかも使えんのか!?」
「使えねえよ馬鹿」
さっきから攻撃を喰らってばかり…攻撃は良い。力だけなら萃香より上だし、なんなら私よりも強い。というか、絶対私より強い。でも受けが雑魚なら用はない!
「ふんっ!!」
「おっと」
「は?」
「退けや」
轟音が鳴り響く。私の腹から。腹の筋肉ごと捩じ切られるのかと思うぐらいの威力。回転もあってか、本当に腹が。その上、私のジャブを避けてたし。多分だけど、萃香の時は本気を出してなかったな。
「っ…!」
「お、耐えてんじゃん。殺すぞ」
「お前…萃香とやった時、絶対本気じゃなかったろ…!」
「だってなぁ…霊夢が関わらねえしなぁ」
お燐「あたいは見てないよ。飛び火するのが怖かったからね。