我はぐれ者、神社に住まう   作:神輿と櫓

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土下座してる人間のな。頭をな。撫でてやるんだ。よくやったな、よく謝ったな。
すると、少し震えるんだ。びくっ、って。
そしたらな。そしたら、そのまま頭が上がってきたところをな。こう、撫でていた手で床に押し付けて、許さない旨を伝えるんだ。こうして、こうして僕は生きていける。


第22話

「ぁー、極楽」

 

「本当ね」

 

「こんな風に仕切るかね」

 

目の前には、霊夢が香霖堂という場所から拝借してきた変な仕切り。んー、この向こうにパツキンと霊夢がいる。はずである。まあそれは良しとして。パツキンが入った経緯はともかく、俺は普通に疲れたから入っている。あの程度でようやくウォーミングアップというわけだな。というか。金髪の鬼に対して妙に力が入ったのは何故だろうか。

 

「お父さーん」

 

「なんだー」

 

「湯加減どうー?」

 

「そーだなぁー…十分だぞー」

 

「はーい」

 

ちなみに。最近変なやつを拾った。変、というのはあれか。なんだかわからん…手のひらサイズの何か。正体不明で、尚且つ触れてるのに触れてる気がしない。温泉の近くに落ちていたから拾ったのだが、何か…何か、あるのだろうか。大体こういうのは意味があるはずだが。

 

「…わからんな。」

 

「だろうね。全裸の君、それを渡してはくれないかな」

 

「お父さーん?なんか妖怪いなーい?」

 

「いるー」

 

「おいおい、よしてくれ。私は頼まれてそれを集めてるだけなんだ」

 

「…これか?まあ、やるけど…」

 

「有難いね。お礼は何が良い?ご飯かい?それとも、何か宝物かな」

 

…どうやらこの妖怪にとって謎の物はとっても欲しいものらしい。ふっかけてもいいんだが、欲を出せば謎の物の価値を知らんのがバレるし。適度にもらうか…この妖怪の容姿を見る限りは、ネズミかな…ネズミだな?

 

「あー、でもなぁ…俺はこれが何か知らねえし。やるわ」

 

「お、悪いね。それじゃあ」

 

「…霊夢〜」

 

「何〜?」

 

「ここまで結界伸ばさないか〜?」

 

「無理ー」

 

「パチュリーにでも頼むかー?」

 

「引きこもりにはきついだろ」

 

温泉から出て、服を着る。そうして神社に戻り、布団を敷く。眠たいが、今寝るのはなぁ…って。でも今日はやることないので、早く寝ます。パツキンと霊夢は隣に、俺は別室で。暗いな。

 

「よっ」

 

「…」

 

「おーいー…無視はないだろ?」

 

誰だこいつ。暗くてよく見えない。が、その喋り方は…えと…悪酔いした紫…?いや、違うな。声が違う。とすれば…あれだな。威勢だけは良かった、青髪の桃を頭に乗せてた…そう!あの…あー、総領娘とか呼ばれてた、あいつ。謝罪に来たのか、はたまた。

 

「萃香様が来てやったんだぞ〜」

 

目玉を抉って寝る。目玉で済ませてやったことは感謝してもらいたい。ほんとに。

 

「…」

 

「どうした、華扇」

 

「な、なんで萃香が」

 

「お、華扇か」

 

「…」

 

「なんでいるのよ」

 

「そりゃお前、夜這いだよ」

 

「夜這い!?」

 

「まあな。知ってるか?勇儀も負けたんだってよ」

 

「だ、だからなんですか!貴女がここに来る理由ではないでしょう!?」

 

「今の俺、どういうふうに見えるよ」

 

「眠そう」

 

「こんな時間だものね。健康なのは良いことよ。」

 

「お前らが邪魔で眠れないんだよ。わかったら寝させてくれ」

 

「…あ、そうだ。霊夢に渡そうとしてたものが」

 

「あ?」

 

「おー!私もだ」

 

俺の手元に渡されたのは。先ほどあの妖怪に渡した、謎の物であった。うん。ゴミ捨てたらゴミが2倍で帰って来た。どうしてこうも変なものを拾うんだか。こりゃ、パツキンもそのうち拾うぞ。霊夢には拾うなって言っとくか。

 

「…良い朝だ」

 

「そうですね」

 

「お前がいなければもっと良い朝だったぞ華扇」

 

「貴方には神社に住まう者としての礼儀などをですね」

 

「え…やだ」

 

「や?」

 

「そもそも、俺は神社にいるだけの人間で。お前の説教の対象にはなり得んぞ」

 

「その礼儀が霊夢に移ったらどうするんですか?貴方は責任が取れるんですか?」

 

霊夢は他に流されるような人間じゃない。…と、言いたいが。確かに霊夢は里の人間に対して礼儀が悪いことはある。若干否定できないことになっている。まあ先代も同じような態度で紫と話し合いしてたし。後マジな事言うと、先代の末路考えたら人間相手に礼儀良くても意味ねえしな。華扇は…里では好かれてる方だし、まあ…な。

 

「お前にゃわからんかもだが、俺はあれで良いと思うぞ」

 

「…言ってるでしょう。先代のアレは…」

 

よく聞こえないことにして、さっさと起きるか。華扇はまあ食べる方だからな。多めに作らなきゃならんか。そもそも、こいつはここで飯を食うのか?それなら昨日渡してきたアレはいらないものだったろ。空飛んでて見つけた?遊覧飛行かお前。…まあ、それは置いておくか。

 

「霊夢ー、朝飯ー」

 

「ん…」

 

「霊夢!そんな態度で巫女が務まりますか!?」

 

「これでも娘は成り立つから良い」

 

「はぁ!?」

 

「華扇…人の家で飯食うなら口煩く説教すんじゃねえよ。」

 

「なんですって!?私は貴方達のことを」

 

「あーうるせえうるせえ。俺に説教かますのは慧音先生と閻魔で十分。お前が入り込む余地はない。」

 

「私も〜。紫が入って精一杯〜」

 

「…雄大」

 

「久しぶりに呼ばれたわ」

 

「…あの、霊夢って間延びした返事してました?」

 

「あー?知らねえよ…霊夢、あんま寄せ箸すんなって言ってんだろ」

 

「はーい」

 

「…もー、訳わかんない」

 

華扇がらしくない声をあげ、1日が始まった。あの妖怪に米と引き換えで渡したいものが出来たし、探しに行くか。…それなら普段いる場所も聞いておけばよかったか。あー、失敗。

 

「華扇、ネズミの妖怪って知らないか?こう、変な棒持って歩いてるネズミなんだけどさ」

 

「妖怪ですか…」

 

「なぁ」

 

「ん?」

 

「私を置いて朝飯食べないでくれるか?」

 

「…忘れてたわ、パツキンのこと」

 

「娘の友達忘れるなんて、酷い父親だな」

 

「すまんな」




ナズーリン「…そもそもなんでわたしだけが集めてるんだ?」
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