我はぐれ者、神社に住まう   作:神輿と櫓

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聖が手招きしながら待っている…
ちょっと…死にたくないので…ね


第25話

「迎えに来たよ。遅くなってすまない」

 

「…あ、えーと、ナズーリン、だっけ」

 

「名前覚えてるなんて珍しいわね。魔理沙とか覚えてないのに」

 

「パツキンはなぁ…子供の時はこの呼び方で喜ばれてたんだが」

 

まあそれは良いとして。さっさとネズミ…ナズーリンについていく。先程から雨が降っているので傘を忘れずに。見たところ、ナズーリンは傘を持っていない。来る途中に振られたのだろうかね。物置かどっかに傘が一本あったはずだが。先代のやつだな。

 

「…ちょっと中で待ってろ」

 

「ん、何か用事かい?」

 

「気遣いよ」

 

少し埃被った傘を使ってぬかるんだ道を歩く。いやぁ、雨は良いね。無言が苦じゃない。まあ、喋らんのはそれでどうなんだという感じがするから普通に話すが。

 

「申し訳ないね」

 

「いや、良いよ。俺はこの傘使うのに憧れてたしな」

 

「そりゃまた…なんでだい?」

 

「些細なことだ。んで、お前が言ってた寺ってのはどこだ?」

 

「ああ、あっちだ」

 

「…お前が言ってる寺ってのは、なんだ。門の前で組体操してる寺なのか?」

 

「あれは…村紗達だ。雨の中でやることじゃないだろうに…」

 

それとは別に。門の前で傘をさして待っている見覚えのある黒いやつが一人。正体不明、鵺だ。紫曰くではあるが、腐っても大妖怪。そんな評価だったはずだ。詳しい評価?知らんね。紫に聞くか、藍に聞け。門の前に立ち、さて復活した人間とは誰なのかと辺りを見渡す。ちらほら人間がいるので、わからん。聞くか。

 

「ナズーリン、復活した人間ってのは?」

 

「村紗、聖は?」

 

「聖?聖は…どこ?一輪は知らない?」

 

「姐さんは…人里に布教しに行ったはずだよ。星もそれに着いて行ってる」

 

「すまない、今はいないらしい」

 

「ほー。しっかしまあ、人里に近いところで寺なんか。妖怪だらけのはずだろ、ここ」

 

「聖が選んだって聞いたよ。ま、詳しい理由は聖に聞くしかないけど」

 

「…その聖ってのは、なんだ。大男なのか?」

 

「いや、大きいけれど、まあ私目線からだね。」

 

「…何センチとか」

 

「確か…160とか、170とかだったはずだよ」

 

「…男?」

 

「いや、女だ。」

 

「勘違いしてた」

 

ま、それはそれとして。聖とやらを待つことだな。今は昼過ぎだし、どうすっかねー。律儀に待つのも良いんだが…さっきから鵺がこっちを見てるし。まあなんでも良いんだがな。でも慧音先生が許可したのは意外だったな。案外無断で置いたか、押し切ってたり。慧音先生もそんなに強いわけじゃないし。縁側ひっく。腰きっつ。寝転がるか。

 

「そういや、だがな」

 

「なんだい?」

 

「妖怪だらけなのによくこんな信仰者集めれたよな」

 

「ま、立地の話だろうね。人里から近いし。」

 

「…そういうの、よくないと思うが」

 

「何故だい?」

 

「それだけ何でもいい人間が多いってことだな。それだけ離れやすいから、標的にもならんが」

 

「標的…?」

 

「簡単な話、石を投げられるかってことな。俺は投げられねえけど。」

 

「ふぅん…まあ、妖怪退治も異変解決とやらも巫女の仕事だ。私たちが石を投げられることはないだろうね」

 

人間ってのはいちゃもんつけて来るから怖いんだがな。さて、寺の中にいる人間からしたら俺はどうだろうか。ペラペラと寺の関係者と話す、妙にデカい男。関係者と見られてんのか、新しい僧とでも見られてんのか。そしたらあり得ん口の聞き方だとは思うが。

 

「…なんだよ」

 

「前は、ごめんなさい」

 

「おう。どっか行け」

 

「…ぬえと会ったことが?」

 

「馬鹿にされたからな。九尾に仕置きをさせた」

 

「ふぅん…九尾!?」

 

「知らん知らん。で。今、星と帰ってきたのが聖か?」

 

「あ、うん。そうだけど…」

 

なるほど。へんな服だが、確かに。あれは強い…と思う。少なくとも、横に立たせてる星よりは強い。星も強いはずなんだがな。なんでだろ…まあ、僧だから強さは関係ないのか。あ、星がこっちに気づいた。なんだ、こっち見ながら聖ってやつになんか言ってるぞ。

 

「…ぬおっ!?」

 

「お兄さん、ウチを信仰しにきたんですか!?」

 

「人の上に寝転がるな。殺すぞ」

 

「いやぁ、嬉しいですねぇ。お兄さんも見たところ妖怪の…よう?」

 

「俺は妖怪じゃねえ。人間だ」

 

「人間???」

 

「星、はしたないですよ。それで、本当に人間なんですか?」

 

「ナズーリン。お前にはどう見えるよ」

 

「…正直言って、巫女の隣に座ってるのを見て退治された後だと思ってたよ」

 

その場にいる奴を小突いて起きる。やっぱ低いわこの縁側。立ってみると聖とやらとの身長の差が明らかで。どっちかっていうと星の方がでかいな…と思うくらいの身長だった。しっかし聖か…字が気に食わん。姐さんとか呼ばれてたし、そっち方面で呼ぼうかね?

 

「あんた、名前は?」

 

「名乗らせたいのなら、自ら名乗るのが礼儀では?」

 

「…春飯雄大。ほれ、あんたは?」

 

「聖白蓮と言います。皆からは聖と呼ばれています」

 

「俺は…俺はなんて呼ばれてるかね。俺の周りの女はどーも男の気配がないからなぁ…」

 

「あら、では春飯さんと呼ばせていただきますね」

 

「…じゃ、こっちからは白蓮って呼ぶわ。」

 

周りの時間がピタッと止まる。あれ、なんかやらかしたか?名前が嫌だったら名乗らねえよな?じゃあ、あれだ。周りから呼ばれることがなくて固ってるか。それか、なんだ。それ以外は知らんぞ?

 

「ところでお兄さん、僧には」

 

「ならん。一応親だからな。子供に影響与えたくねえし」

 

「親…?」

 

「おう。親って言っても親代わりだけどな。」

 

「なるほど…なら、春飯さん。親子揃って仏教に、どうですか?」

 

「ざけんな、ウチの娘は巫女やってんだぞ。」

 

「巫女…と、言いますと。紅白の?それとも、緑色の?」

 

「紅白だな。緑はモリヤ。紅白の巫女の親代わりやってるから、神道ならまだしも、こればっかりはね。」

 

「…それは、仕方ありませんね」




今気づきました。春飯雄大、浦飯幽助と半分同じだ。
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