我はぐれ者、神社に住まう   作:神輿と櫓

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昔話回


第27話

「…さて。習得できてしまいました」

 

「弱いけどな」

 

「まあ、それでも。気と混合せずに使えただけでも素晴らしいです。それでは」

 

「じゃな〜」

 

さて。魔力やらを使えるようになったため。白蓮に俺の昔話をしなければならない。どっぷり回想に浸れば良いのか、軽く話せば良いのか。さて、どうしたものか。やはりこれは、どっぷり浸かった方が良いのか。

 

「そうだなぁ…俺が里を出るくらいからの話でもするか」

 

「気になっていたところですね」

 


 

「あの時の俺は荒れてる…っつーか。親殺したんよ。まあ、アレだな。お前が封印されたような理由で。しかも原因は俺で。」

 

死に際に放った言葉は、『普通に生かせてやれなくてすまない』だったらしい。軽々と言われた過去に、面を食らう。迫害に追い詰められた父親が母親を殺し、更にその父親を彼が殺したのだという。その時の彼はまだ、私が命蓮を失った時よりも若かった。

 

「ま、慧音先生は俺の世話焼いてくれてさ。嬉しかったんだよな。そんでまた、慧音先生絡みで俺は人殺すんだけどさ」

 

聞いた。ナズーリンが探す男の特徴を、人里の代表をしている慧音という人物に。そして、彼女の口から。彼は、慧音という人物を尊敬している。だからこそ、そのことを言わない。私も、本人から聞いた時は驚き、どのような反応をすれば良いのかと狼狽えていたのだ。その内容は…かつての恩師の弱みを握り、恩師の身体を好きにしたこと。それを知った彼の心境は。弟を汚されることのなかった私には到底理解のできないこと。

 

「で。そっから里を出てさ。妖怪食って、そこでまた慧音先生に会ってな。先生に言われるがまま、博麗神社に行ったんだわ」

 

もはや、適当な相槌を打てているかも怪しい。幼い頃からの怪力で、恩師の身体を弄ぶ男の四肢を千切り捨て、頭を踏み潰した。その話を聞いた時は。なんて慈悲のない男だと。なんて悍ましく、淡々とした男なのだろうかと。怒りが湧いていたはずだ。今の彼を前にした私は、どうだろうか。怒りが湧かず、同情しかけている。

 

「そんで、神社に行ってさ。霊夢と、先代の巫女と出会った。俺を育てたのはさ、先代の巫女が大半だけどよ。俺は慧音先生も育ての親として認識してんのさ。」

 

「…そう、ですか」

 

「それでな。神社…っつーか。あの時は楽しかったし、幸せだった。霊夢も身長で俺を判断して、いつの間にかお父さんお父さんって。巫女さんにはお兄さんとして、なんて言われて」

 

第二の家族。それも聞いた。

 

「ある日な。人里で、妖怪が暴れたって大騒ぎになってな。先代が急いで駆けつけたんだ。その時の俺はさ。霊夢の相手してて、夏だったし花火でもしようって、先代が買ってた手持ち花火見て心躍らせてたんだよ」

 

やめてほしい。ここまで聞いておいてなんだが、やめて欲しくなっている。

 

「その日の夜になっても帰って来なかったからさ。霊夢に言い聞かせて、里の近くまで見にいったんだよ」

 

命蓮を亡くして何も残らずに、死を遠ざけた私と違って。彼には霊夢という残っていたものがあった。だからきっと、私の力も欲したのか。

 

「そしたらさ。頭の後ろにさ。少しだけ切れ目の入った、紅白の服が転がっててさ。」

 

何故そんな顔でそんな話ができる。私は、弟の話でさえ、顔を強張らせるのに。なんで貴方は。

 

「そんで、周り探したんだよ。血はないから、って。探したよ。めちゃくちゃ。そしたらさ」

 

何故、そんな、何も感じれなかった顔をしたまま、そうやって、家族の死を話せるのか。

 

「…死んでた。体にさ。クワが、刺さってんだよ。多分、非力な奴が勢いに任せてやったんだろうな。少しだけ返り血とかじゃ説明できない量の血がついた場所があってな。抜こうとしたんだよ。多分。」

 

そこまでは知らなかった。私は、てっきり、妖怪退治に失敗して死んだと。貴方の言い方ではまるで、人が殺したようなものだと。気が付けば、彼の足は止まっていた。私も止まっていた。いや、違う。六歩ほど、私が後ろ。多分、私が止まって、彼が止まったのだ。

 

「そっからさ。記憶ないんだよ。スポーンって。霊夢もさ、俺の顔見てさ。なんか察したような顔して、な。後から紫伝で知ったんだ。妖怪に襲われた人間が、逆上して巫女を襲ったんだと。」

 

特に復讐はしていないと語る彼を見て、それはおかしいと感じたが、指摘は出来なかった。彼にとって、先代の巫女と、人里の代表者はそれほど大きい存在で、紅白の巫女も負けず劣らずの大きな存在なのだろう。少なくとも、命蓮がそんな目に遭ったのなら。封印よりも先に、私は暴れに暴れた。それを抑えて、尚且つ彼は。

 

「その次の週とか、そんな直ぐじゃない。霊夢が巫女になるって言ったのは。その瞬間、もう、何したら良いのかわかんなくてさ。」

 

それから気持ちが落ち着くまで。ずっと、妖怪を食べていたのだという。どう声をかけて良いのかわからない。そして、納得に逃げる。彼が妖力や魔力を扱えたのは、妖怪を大量に食べていたからだと。

 

「…それは…」

 

「落ち着いて、帰ってからさ。花火したんだよ。お祝いだって。霊夢がそれ見て喜んでさ。それ見て、色々呑み込んで。親代わりして行くかって。」

 

色々あったのだろう。ありすぎて、逆に受け止め切ったのだろう。その話を聞いてもう一度彼の顔を見る。すると。どこか優しく、疲れたような印象を受ける。私のように一度で終えれずに、何度も続いたのだ。

 

「…私たち、仲良くなれそうですね」

 

「アホ言え。少なくとも俺は、人里に住む奴とは仲良くなれる気がせん。慧音先生以外に。」

 

「それもそうでしょう。まあ、何かあればその力を借りることがあるかもしれませんが…」

 

「霊夢が敵になる時以外だったら大体手伝う。じゃあなー」

 

「はい、それでは。」




慧音先生「話した内容が全てだと思ったか!私が雄大の罪悪感を消すために少し歴史を食べているぞ!!」

助かる命があります
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