我はぐれ者、神社に住まう   作:神輿と櫓

34 / 39
日常
素晴らしきかな。
我、美しき也。


第34話

正邪が来てから数週間が経った。俺は眠い目を擦って朝飯を作っている。正邪は喚きながら飯を待ち、そんな正邪にムカつきを隠さない霊夢が静かに待っている。出来た飯を置き、背筋を伸ばし、紫をスキマから取り出す。お前が把握してるうちの話では、近い間に異変は起きないことを誓ってもらった。

 

「なんだ、二人とも」

 

「なあ、やっぱこいつおかしくね?」

 

「そうね…ウチのお父さんに常識ってないから…」

 

「感覚の話だから仕方ねえだろ。なあ紫」

 

「私がスキマを開く時は能力使ってるけど…藍は考えて使ってるわよ?」

 

「式はなぁ」

 

実際、藍は結界術の延長でスキマを使っているらしく。紫に拒否された瞬間に同じスキマは使えず、スキマが開けなくなるかもしれない、らしい。 まあそうなったら藍がどんなことするかと言えば。放浪するだけだろうな。特に何もしたいことがあるわけじゃないだろうし。

 

「でも、実際。貴方の能力とかは気になるのよね。感じることができる力?それとも、力そのもの?」

 

「そういう鑑定所はないのか?」

 

「ないわね。皆が皆、憶測と経験から言ってるだけ。例えば、このお酒だって。呑んだ経験のある人間が、合う肴を憶測で出して、結果美味しくなるのよ。」

 

「あーはいはい。お前の話は寺子屋中退の俺にはわかりにくくて嫌だわ」

 

「あら、この程度も分からなかったの?ごめんなさ━ぶぁっ」

 

鉄拳制裁。霊夢と正邪は何か用事があるらしく。霊夢は里へ。正邪は…よりによって、命蓮寺らしい。あー、星と白蓮が変なこと言ってないと良いんだが。マジで。あいつらの良心にかける。二割くらい。残りの八割はナズーリン。小さい知将らしいからな。

 

「で、そんな中お前か」

 

「何、悪いか?」

 

「いや、何も。ムカつくことを思い返すくらい」

 

「じゃあ、今からでも構わないよ。私は」

 

モリヤの神。その本人が来て、御柱を投げつけてきた。掴んで止める。神社を崩させるなんかダメだし、調子に乗らせるのはもっとダメ。モリヤごと山をもう一回殴りに行くか。それも俺は良いんだが、なぁ。

 

「…やめろ」

 

「聞きたいことがあってね」

 

「何?」

 

「お前さん、博麗の巫女と血がら繋がってないだろ」

 

「まあな」

 

「理由は?親代わりしてる理由。」

 

「縁あってな」

 

「そりゃ、ここの神様と?」

 

「…え、ここに神様いるの?」

 

「博麗の巫女はなんて?」

 

「知らねって。俺も詳しいことは知らんが、まあ八雲紫くらいだろ。知ってるの」

 

「ちなみに、私が信仰されてるわ」

 

突然出てきた紫に蹴りを入れる。巷じゃ、こいつも神様見たいって呼ばれてるから嘘と言い切れない。神様から見てこいつも神なのか、神じゃないのか。そもそもそれがわかるやつはいるのか?それこそ、巫女あたりじゃないのか。だとすれば霊夢だけになるな…

 

「…いや、私はあんなふうに胡散臭くはないぞ。歴とした神だ」

 

「まあそうなんだろうけどさ」

 

「…いや、私は」

 

「なんでお前同じこと二回言ってんの?またボコされたいの?」

 

「沸点低すぎだろお前。さてはモテないな」

 

「モテたって、ウチの娘に嫌われたら台無しなんだがね」

 

「親バカだろ、お前」

 

「そっちの娘は何か必死になってるけど?それに比べて、こっちはゆったりのんびり。幸せはこっちだ」

 

「神のいない幸せは辛さだ。何せ、神託がないからね」

 

よく口が回る奴だ。無視しよ。そもそも学がないんだよ俺は。そんな俺に学のある話を求める方が悪い。つーか、神託ってなんだよ。…神様からの、何か?そんなもんウチの神社には必要ないし。じゃあこいつの言ってることに耳を貸す意味は?…ないな。帰したらへんな奴がもう一人。今日は客がよく来る日である。

 

「先日はどうも」

 

「お主か!太子様を地面に埋めて慣らしたのは!!」

 

「…え、そんなことあったんですか?」

 

「その分も含めたお礼をしに来たのさ。」

 

変なやつである。最も、こいつが何をしに来たのかは知らないし、言ってることが事実なら、周りにいる奴らもこの変なやつの取り巻きであるはずで。

 

「私は豊聡耳神子と言う。今後は、是非私たちの力になってもらいたい」

 

「…弱い奴が、俺を使おうとするんじゃねえ。また埋めるぞ」

 

「はぁ?」

 

「やはり野蛮な男ですぞ太子様!」

 

「これほどに真っ直ぐ断られるとは」

 

「それに、来るなら一人で来い。なんで取り巻きと来てるんだ」

 

そう言って取り巻きを埋める。白いやつは皿を投げてきたが、残念俺の方が硬い。皿が割れる。緑色の方は電気を放ってきた。が、残念俺の方が早い。豊聡耳神子とかいうやつを盾に、肩チョップで埋める。

 

「…うわ、出てきた」

 

「私はもう死んでるからな。埋まらん」

 

「…これではまともな話し合いができないな…布都、屠自古。一旦帰ってくれると助かる」

 

「はい。…埋まってるやつはどうします?」

 

「無理にでも連れていけ。人外なら死なん」

 

「はいよ」

 

さて、話し合いが継続されたところで。こいつ、変だから嫌なんだよな。命蓮寺の奴らは妖怪としては普通なんだけど、こいつは人として変。人としてっていうか、生物として変。しかもなんか見透かしたような目で見てきやがるし。死ねや殺すぞ。

 

「それで、どうかな。私たちと同じように、仙人を目指したりは。」

 

「道を外れるのは嫌いじゃないが、輪廻の道なら話は別だ。帰れ」

 

「死神に追われるのは嫌かな?」

 

「娘に嫌われたくない」




娘「お父さんもいつかは死ぬのよね…私が初めて会った時よりは大きくなってるけど、老けてるようには全然。ていうか、老けてるの?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。