我はぐれ者、神社に住まう   作:神輿と櫓

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日常回(慧音先生はずっと話してる)


第4話

「なんだこれ」

 

「美鈴から。お弁当ですって。好かれてるのね」

 

「お前んとこの妹さんほどじゃないとは思うが」

 

「…嫌味?」

 

「今のを嫌味と思うんなら妹にスライディング土下座決めて来いよ」

 

ちなみに俺はその妹さんに会ったことがない。何せ、紅魔館なんぞ目に悪いものを長時間目に入れられないからだ。ちなみに、美鈴の料理は未だ美味い。が、そろそろどうなんだという話をして、それとなく断ってもらうことにした。季節は夏を過ぎ、今は秋。目を擦ってしょうがない第二の時期だな。花粉は死ね。

 

「…それで、そんな顔してどうしたの?」

 

「そうさなぁ。親父の命日が近付いたな、と」

 

「あら、そんなに若いのに?」

 

「俺が殺したからな。そこはへんはそこら辺を覗いてる紫にでも聞いてくれ。後霊夢には絶対に言うなよ。」

 

「言えるわけないでしょ、吸血鬼でも人の心は理解してるつもりよ」

 

「一生寝てろこの肌白引きこもり」

 

「酷くない!?」

 

今、霊夢は人里で飯を買っている。その時に、各季節に一度は慧音先生から手紙が送られて来る。今日の買い物はそれ待ちだ。俺の唯一の、ちゃんとした季節の変わり目。節目でもある。まあ、そんなことはせずともたまに霊夢が言うから手紙じゃなければいけないワケでもないんだがな。

 

「…貴方の血、少しで良いから吸わせてもらえないかしら?」

 

「ダメだ。俺の血は純度100パーが一番、吸血鬼の唾液一滴も入れんよ」

 

「美鈴に鼓膜破られてから耳おかしくなったのかしら。いまいち会話が成り立ってなかった気がするわね」

 

「…吸血鬼、もし美鈴が食い下がるなら霊夢のために作らせてやれ。俺としてはそっちの方が気が楽なんだ」

 

「それ、霊夢からも同じような話受けたわ。これじゃ、断らせた方が正しいじゃない」

 

流石は吸血鬼、よく分かっている。寄ってきた妖怪を睨んで追い返しながら、俺と霊夢はそんなに似てきたのかと考える。霊夢は否定するだろうな。嬉しいかもわからんが。慧音先生なら分かるだろうが、俺は俺で人里から追放されてるからなぁ。会いたきゃ呼び寄せろ、としか言えないな。

 

「…しかし、夕方近いのにそんな日傘で大丈夫なのか?」

 

「ウチの魔女が作った日焼け止めクリームは最強よ。紫外線どころか光全て反射してるからね。ほら、そもそも私がどこにいるのか服でしかわからないでしょ?」

 

「うわほんとだ、キモ。気づかんかった」

 

「おーい」

 

「お、霊夢」

 

「え、何あの透明人間?」

 

「レミリアってやつ」

 

「ぁ、ぁあ…?とりあえず、慧音から」

 

「お、先生からか。」

 

『全略』

 

「え、人間って薄情なの?え、今ので終わりなの?」

 

もちろん嘘だ。手紙の内容を要約すれば、元気にしているのか。霊夢とは仲が良いのか。健康か。異変に首を突っ込んだと聞いたが怪我はないか、風邪をひいて霊夢とオロオロしてはいないか、太ったり痩せたり精神を病んだりしていないか、というものだ。本題っぽいことの後に本音を聞いて来るな。読んでて何に返事を送ればいいのかわからん。まあ、そもそも送らんが。

 

「…霊夢」

 

「何?」

 

「慧音先生に、『雄大は健康で元気で怪我はしてないです』って言っておいてくれ」

 

「次ね、次」

 

「んー、異変がないと俺は暇だなぁ」

 

「風見幽香と殴り合ってきたら?里の辺りで出会ったわよ。」

 

「マジ?」

 

「ちょい、その風見幽香ってのは誰?」

 

「え?あー、大妖怪」

 

「たまにスキマ妖怪に喧嘩売ってるって噂よ」

 

「えぇ…?スキマ妖怪って、あの?」

 

「そうねぇ…植物を踏み躙ったりしない限りは、殺されないはずよ。」

 

「え、何それ。それやったら死ぬの?」

 

「少なくとも俺は俺から喧嘩を売りに行った。」

 

「アンタは何なのよ。」

 

「ウチのお父さん、好戦的だから。それに、人里の妖怪纏めてる巻物にも描かれてるし、危険度極高。」

 

「…本当に人間なの?」

 

稗田の家も意地悪だな。俺は人間だと常々主張しているのに。しかしまあ、それはどうでも良いことで。もう里には入られないし。俺も空飛べねえかな。空飛べたら空中戦が出来て面白そうなもんだが。ほら、美鈴もそれを使ってたまに空中で方向変えてるし。霊夢?知らん。

 

「どうしたのよ」

 

「いやぁ、俺もいつかは老いるのかと」

 

「え、程遠いでしょ」

 

「ウチのお父さん、こんなのだから」

 

「そういうさ、友達に対して身内の無礼を詫びるような素振りさ、やめて?普通に悲しくなるからさ」

 

「事実でしょ」

 

「事実だけどさぁ」

 

「あ、認めるんだ」

 

俺に対して妖怪って言わない限りブチギレで殴りかかることはないからな。普通に相手によっちゃ死にかけるし、怪我するし。風見幽香に関しては勝って帰る時に『妖怪でしょ』って言われたから殴りかかって怪我したからな。腕噛みちぎられると思ったわ。本当に。噛みつき攻撃とか、女の図体してやることかよ…

 

「マジで相手が妖怪となると見た目で判断できねえんだわ」

 

「見た目で判断することが間違いなのよ」

 

「そうね。私もこう見えて紅魔館の中だと力は二番目よ」

 

「一番目は?」

 

「私の妹」

 

「よっしゃ妹のところ連れてけ。めちゃくちゃやったる」

 

「嫌よ。死んでも責任取れないし」

 

どうやら吸血鬼が言うには、その妹はなんでも壊せるらしい。『メ』(要領を得ない)を集めることで破壊するらしく、全力で戦えばまず部位の欠損は免れないらしい。

 

「…良し。じゃあ連れてけ」

 

「は?」

 

「だから嫌って言ってるでしょ。なんでわざわざ退治されるような口実作らなきゃいけないの?後そこの巫女、目が怖い。」




慧音「でもな、あいつは里を出て行かなかった。殺してから数日は何もなかったかのようにして過ごして、仕事もせず、ただ、親のいない子供が居留守を頼まれたような、暮らし方をしていたんだ。ある日、意を決したように私の目の前に来てな。今から私を殴り殺す、と言ったんだ。その途端、里の人間は激怒して、雄大は里を追い出されたんだ」
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