我はぐれ者、神社に住まう   作:神輿と櫓

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職人「ええ!?一人殺すたびに1日休みが!?…つまり365人殺せば一年の休み…36500人殺せば」
刑務所職人「ってわけ」
閻魔「草」


第7話

ただ、眠かった。それだけであって、他意はない。本当に。それどころか、申し訳なくとも感じてる。だがまあ、これを伝えるにはどう伝えりゃ良いんですか、と言うわけで。うん。今俺はやらかしているわけだがな。なんか休暇もらった〜!と意気揚々として来た美鈴の顔面にな。裏拳、入れちゃった。

 

「…すまん」

 

「ぃたぁい…」

 

「アンタの裏拳痛いんだから、ちゃんと謝っときなさいよ」

 

「少なくともお前に入れたことはねえだろ」

 

「小さい頃の寝相で何回喰らったか」

 

…それは、その…な。あれだ。意識がないからノーカウント、とか。そんでもって美鈴が休暇の日にわざわざここまで足を運んだ理由は、なんか俺と戦いたいから!らしい。少なくとも俺は知らんとし、今日も平和だなあと縁側に座る。正直言ってやる気もないし。

 

「やりましょーよー!」

 

「知らん知らん。俺はやる気がないんじゃ」

 

「えぇ…?」

 

「大体前の奴だって本気じゃなかったしなぁ…最初の時だけだぞ、本気出したの」

 

「通りで手応えがおかしいと…って!本気じゃなかったんですか!?」

 

「うん」

 

「最後の投擲も!?」

 

「うん」

 

「棒でお腹貫いたのも!?」

 

「うん」

 

「じゃあ私ほんとに情けない奴じゃないですか!?」

 

「うるせ」

 

そんなに戦いたいなら風見幽香と戦って来い。あいつ花踏めば何をおいても殺しに来るからな。人里の外で、じゃなくてあいつの目の前でな。初手でまずビーム、その後に傘を畳んでその傘でぶん殴る、だからな。春の時に花見したろ、そこでずっとピクピクしてた緑髪の女。あいつが風見幽香な。マジで、紫から煽られて途中退場しやがったし。

 

「いやいや、その人にはもう行ってきたんですよ」

 

「どうだった」

 

「初手でビームなんですよ。それを避けてカウンター入れるみたいに動いた途端にですね、地面蹴り上げられて、隙間もなく傘で一撃でした」

 

「花踏んだろ、絶対」

 

「まあ、本気の相手を知りたいですもんねぇ〜、あと霊夢さんは?」

 

「人里。色々と付き合いがあるんだってさ」

 

「そういえば雄大さんが人里を追放された理由は?」

 

「あー…恩師の弱味につけ込んでる馬鹿殺した」

 

「え?」

 

「権力者だったからなぁ…まあ、あとは里で暴れまくったり。後はあれだな。人里の中だと鬼だなんだと呼ばれたから半殺しにしたり」

 

「嘘でしょ本当に人なんですか?」

 

さて、春一番な今。まあ春2番かもしれんが。霊夢が慧音先生から手紙受け取ってくれるしなぁ。あとは…そうだな、春になるとアレがあるんだったな。えーと、なんだっけ。確かなんかあったんだけど…春、春…あ、そうだ。アレがあった。

 

「んぁ?」

 

「春定番のアレよ」

 

「え?」

 

「あら、中国もいたのね」

 

「中国って!?どっちかって言うと私は秦とか随とかでしよう!?なんで中国なんですか!?」

 

「その線で行くならお前、清だろ」

 

「それなら藍が秦ね。傾国だし」

 

「で、紫。アレか?」

 

「そうね。閻魔がやりたがってるわよ」

 

「はぁ…」

 

「え、閻魔!?え!?」

 

「じゃあ、さよなら〜」

 

「準備はよろしいようで」

 

春には閻魔の説教がある。親殺しとか、見殺しにした件とか。あーでも俺あれは悪くねえと思うんだよな。罪なんて俺が責めなくても閻魔が責めるんだから俺が悔い改めても意味ねえだろほんとに。どうせ裁かれるんだったら極楽浄土でも地獄でも黄泉でもなんでも一緒だろうに。それどころか、全部金次第らしいしよ。金ねえけど。

 

「はいはい」

 

「どうやらもう一度同じ話をする必要があるようですね」

 

「何が閻魔だ。閻魔が裁くなら俺は悔い改めんよ。俺の役割やってくれる奴がいるんだもん」

 

「貴方はかなり自己中心的なようですね。今までも、これから先もそれを改めることはないのでしょうけど。老いたらどうするのですか?老いて力を失い、そして妖怪にすら勝てなくなった貴方はどうやって生きていくのですか?」

 

「馬鹿言うな。そこら辺の妖怪に勝てなくなった時にはもう死んでる」

 

「はぁ…ああ言えばこう言う、いえそれ以下ですね。貴方は思慮深さに欠ける。一般の人の深さが妖怪の山と地上の深さがあるとしたら畳と畳の間の溝程度しかありませんね。人殺しでも稀有なほどです」

 

「閻魔」

 

「おや、敬称も付けられないのですか?やはり。これでは巫女にも身内としての責任を取ってもらわねばなりません。悲しいことです」

 

「巫女と霊夢に同じ口開いて同じこと言ってみろ。あの世だろうとなんだろうと四肢捥いで地獄の観光地にしてやる」

 

「おや、やはり先を考えないお人だ」

 

と言われたので、殴り飛ばす。正直言って、死ねばこいつに会うんだから、何度殴っても同じことでしょうに。と、地獄での見せ物にするから殴るだけ。しかしまあ、結構飛んだもんだな。…ていうか。あいつ、いつも説教しに来る女の閻魔じゃねえな。あれ、あいつどこ行ったんだ?

 

「こんにちは」

 

「うおっ」

 

「今の閻魔は私の身代わりです。なんだか貴方のことを舐め腐っていたので」

 

「身代わりであんなに饒舌になるかね」

 

「…あの」

 

「なんだ?」

 

「無益な戦いばっかしてたら、地獄行きですか?」

 

「そうですね」

 

「武闘家になんてならなければ良かったぁ…」

 

「俺なんかやり過ぎて永久地獄行きだぞ。」

 

「というか、なぜ疑問を口にしなかったのですか?」

 

「最近暴れ足りないな、と思って」

 

閻魔と美鈴とで世間話をしていると、霊夢が帰ってきた。顔を顰めて、ゲッ、と言葉を発し、慧音先生からの手紙を投げ渡してどこかへ消えていった。あいつもあいつで権力者は苦手だしな。と、手紙を開ける。そこには…ぁー、なんか親みたいなこと書いてる。俺親のこと全然覚えてないけど。

 

「…そろそろ俺の追放令が取り消されるかもしれん」

 

「本当ですか!?」

 

「正気なんですか今の人里は?」

 

「ま、慧音先生様々だな。あと霊夢は近況伝えてないなこれ」




慧音「神社に預けた後、数日かな。見に行ったんだ。先代の巫女と、今の巫女の二人に混じって、笑顔でご飯を食べている雄大の姿を見て…私は、一体何をしているのか、と。私は雄大に救われた立場でありながら、あんな仕打ちを、な…」
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