「俺はな!お父さんって呼ばれたいんだよ!」 作:フウカの父
あり得たかもしれない世界IF
フウカは激怒した。必ず、かの邪智暴虐《じゃちぼうぎゃく》の生徒会長を除かなければならぬと決意した。
フウカには男心がわからぬ。フウカは、女性だらけの世界の住人である。
米を炊き、料理を作って暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明、
フウカはゲヘナを出発し、野を越え山越え、十里はなれたこのミレニアムの学校にやって来た。
フウカは先日に父を、失った。
残りの肉親は内気な兄一人だけだった。
この兄は、フウカと違いミレニアムに通っていた。フウカは、それゆえ、久しぶりに会いにはるばるミレニアムにやって来たのだ。
久しぶりに、ミレニアムの大路をぶらぶら歩いた。
歩いているうちにフウカは、まちの様子を怪しく思った。子供の数が多すぎないか?
もう既に日も落ちて、まちも暗いのに至るところに子供がいる、けれども、男性は全然いない。それに、歩いている女性はなんだか周りを気にしている。
フウカも、だんだん不安になって来た。
路で逢った大人をつかまえて、何かあったのか、3年まえに此の自治区に来たときは、子供はこんなにたくさんいなかった筈はずだが、と質問した。
大人は、首を振って答えなかった。
しばらく歩いて子持ちの母親に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。女性は答えなかった。それでも質問を重ねた。
女性は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「生徒会長は、女性を孕まします。」
「なぜ孕ますのだ。」
「あちらから誘っている、というのですが、誰もそんな、考えを持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を孕ましたのか?」
「はい、はじめは友人を。それから、ゲーム開発部を。それから、エンジニア部を。それから、他校生を。それから、賢臣のユウカ様を。」
「おどろいた。生徒会長は乱心か?」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、孕まさずにはおれぬ、というのです。この頃は他の自治区から攫ってきているそうです。」
聞いて、フウカは激怒した。
「呆れた生徒会長だ。生かして置けぬ。」
フウカは、単純な女であった。自身の父の所業も忘れ、
買い物を、背負ったままで、のそのそ生徒会室に入ろうとした。
たちまち彼女は、巡邏じゅんらのメイドに捕縛された。
調べられて、フウカの懐中からは拳銃が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。フウカは、生徒会長の前に引き出された。
そして、驚く。
「なっ!?」
生徒会長は兄だったのだ。
「あれ?フウカ久しぶり」
昔の内気な兄からは考えられない所業に思考が停止する。
「そうそう、この子生まれたばかりの子なんだ」
いきなり赤ん坊を抱かせられる。
…可愛い
「300人以上も子供がいるのに男の子は3人しか生まれていないんだよ…困ったなぁ」
ファッ⁉ 300人!???!!嘘でしょ?
「どうして、こんなことを?
そんな…お兄ちゃん最低だよ!」
「仕方の無い妹だ。君には、まだ性の良さがわからぬだろう。」
・・・何言ってるんだ?
「まぁ、良い。フウカもいつか血に目覚めるだろう。」
「・・・血・・?」
「ん、知らなかったのか?僕らの父から受け継いだ使命。」
「この種を孕ませ!…とな」
「はははははははははははははははっはははっははははっは!」
あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
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「はっ・・・・」
夢か…。
寝る直前に読んだ「走れメロス」が頭の横にあった。
...いつもと同じ平和な朝を迎えられることにいつも以上に喜びを感じた。
兄弟いなくてよかった…。
どうせろくなことにならない..
朝、食事を食べながらニュースを見る。
「キヴォトスに初めての男子生..ッッ!」
その男子生徒の顔は…父にそっくりだった。
「ねえ、アレが男子生徒なの?」
周りの女子生徒から珍しいものを見る目で見られ続けている青年。
「ん?お姉さん。どしたん?そんな顔して。
話 聞 こ か ?」
次回予告(大噓)
やめて!
突然現れた男子生徒の特殊能力で、女子生徒たちの理性が焼き払われたら、全ての希望を背負ったフウカまで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでフウカ!
あんたが今ここで倒れたら、お父さんとの約束はどうなっちゃうの?
時間はまだ残ってる。ここを耐えれば、奴に勝てるんだから!
次回「フウカ死す」デュエルスタンバイ!
もし、男兄弟が居れば、キヴォトス人は全員親戚になります。