「俺はな!お父さんって呼ばれたいんだよ!」 作:フウカの父
原作開始よりも遥か昔を想像しながら書きました。
独自設定+ギャグ
ある男が居た。
「あ~、聖徳太子になりてぇ!(クソでか)」
勿論、このような事を歩道のど真ん中で言う男に話し相手などいない。
独り言である。
当然、周りの人はこう思う。
(な、何言ってんだこの人…道のど真ん中で・・)
変人とそれに気を取られて立ち止まる一般人。
何も起きないはずがなく。
キィィィィィィーーッ!
「おい!そこの二人前から車が!」
「「へ?」」
無慈悲にも、車は二人を轢き殺した。
「・・・いてて、頭打った…。・・ん?どこだ此処?」
自分は・・車に轢かれて…死んだはずでは?
周りを見る。
・・砂漠だ。砂以外何も見えない...。砂漠にポツンと自分は居た。
ど、何処だろうここ・・。
「あ、妹子か。やっと起きたのか…もうぉぉぉ心配させやがって~。」
何が起こっているのか理解できずに呆然としている自分に、初対面の上下青ジャージの男が話しかけて来た。
妙に馴れ馴れしい。
「…貴方は誰ですか?そしてここは何処?」
そう聞くと
“何。そんな事も知らないのか?”
とでも思っている様な見ているだけでムカつく顔で上下青ジャージに烏帽子?の男は言った。
「僕らは、転生したんだよ。そして、私は聖徳太子。いぇ~い。」
はぁ?転生?何言ってんだこいつ。
そんな物ライトノベルとか言うご都合展開の塊にしか出ない展開だろうが...。
だいたい聖徳太子とか偽名だろう。こんな奴に付き合ってられるか。
目が覚めたら来たことも無い砂漠に、変人と二人きりという酷い悪夢の様な・・。
いや、これは夢に違いない。きっと、肉体は今もあの歩道に…いや、何時から夢なのだろうか?
まぁ、良い。折角の夢なら少し楽しんでみるか。
「もしかして、転生特典があって俺TUEEEからのハーレムで有名なあの転生なの?」
男・・聖徳太子とか言う男は首を縦に振る。何か“YES”って音が聞こえる。アンタ何者だよ。
そして自分の体を見る。
でも…特に変わった物は無いよなぁ。これから貰えるのだろうか?
せっかくの夢なのだから、強い物が欲しいよなぁ。
「あっそうだ。」
男は、ちょっとした事を思い出したような顔で言った。
「妹子の転生特典だけど~起きなかったから勝手に決めといたZE☆。」
え?・・・何にも無いけど・・・。
「ほら、自分の体を見てみなさ~い」
自分の体を見る。
いたって普通の上下赤ジャージ・・・・ジャージ?
「私とお揃い・・良いだろ?」
こ、こいつ・・
「良い訳ないだろ!」
「妹子~、許してくれよ~」
青ジャージの男・・太子が纏わりついてくる。
あぁ。うざったい。昨日やった某モンスタ〇〇ンターの受付ジョーを思い出す。
もしかして、あの記憶と聖徳太子が結びついて出来上がったキャラなのだろうか?
そうだとしたら、本物の聖徳太子*1に申し訳ないな
「それよりも、町はこっちなんですよね?早く辿り着かないと僕ら二人ともシナシナの干物になっちゃいますよ。」
そう言うと、男・・太子は親指を立てる。
「私は元からやる気シナシナのニートだからね。大丈夫さ」
アンタの情報なんかいらねえわッ!
アンタが神様みたいな人から聞いたって情報しか無いから信じて来てんだぜ・・。こっちは。
にしても、熱い。アツくて干からびてしまいそうだ。
きっと、今快適な自室に居る肉体が浴びている太陽光が夢の中に影響しているのだろう。
パン!
あれ、今音が・・。
パァン!
間違いない音だ。
パァンッ!
やった!
人だ。全速力で走り出す。
「あっ!妹子言い忘れてたけどこの世界の女・・」
パァンッ!!
何か後ろで聞こえたけれど気にしない。
人との出会いは人生のスパイスだ。
現状は 9回の裏0-1 で負けていると言っても過言ではない悪夢ではあるが、きっと彼女がこの夢に...光を・・。
「あっ!おーーい!」
50M程先に誰か立っている。
人だ・・・。手を振りこちらの位置を知らせる。
やった振り向いた…
ドォンッ!
ぞ・・。
その瞬間。体が後ろに吹き飛んだ。実際は2秒ほどしか飛ばされていなかっただろうが、浮遊感は数十秒続いた。
(な、何にが起こったんだ・・)
違和感のある腹を触る。
ち、血が・・な、なんで。い、痛てえ・・。こんな夢初めて・・
「ハハハハハ、幸運だなぁ。女神様は私を見捨ててはいなかったらしい。」
先程振り向いた女性がいつの間にか目の前に立っている。速過ぎる・・。
女はこめかみに銃を突き付けて来た。
今さら気づく。僕は昨日を含め、砂漠関係の物なんか見ちゃいない。夢に出てくるはずがないんだ...。
それに、日本に砂漠なんてない。
なんで、今まで夢だと決めつけていたんだ...。本当に...。転生...。
「弱い奴が悪いのよ...。私も今まで散々されてきたんだから・・。」
あぁ・・なるほどな...。
転生物には…2パターン
最初から最強と・・どん底スタートだ。
動けない…この肉体は間違いなく…後者だ。
いや…本当に、転生なんかしたのか?
この引き金が引かれた時、目の前には見慣れた天井が広がるのではないか。
「…じゃあね。」
ああ、そうだ。このままジッとしていよう。
もしかしたら、目が覚めるかもしれないしそうでなくても。痛みは一瞬だ。
だいたい、やりたい事だってないのだから。
このままでも・・・悪くはないか・・・・。
「ウォォォォォォ飛鳥文化アタックッッ!」
その叫びの後、目の前にいた女は一瞬で視界の端に突き飛ばされていた。
岩に叩きつけられ、身動きが取れない女を眺めていると太陽が急に見えなくなった。
朦朧とした頭では、太陽を遮ったのが目の前の男であることを認識するのに意外と時間が掛かった。
「アンタ・・。」
「妹子。え、え~大丈夫?困るよ~君が居ないと。」
突き飛ばした奴の方がよっぽど痛そうだが・・。
「アンタ・・いや、太子。僕はもう駄目そうです。折角太子が教えてくれたのに、信じられなかった。・・僕はもう失血でダメになるけど太子は生きてくださいね」
重体の身であるのに、何故か言葉はスラスラと出てくる。何だか、楽になってきたな・・・。
「え?何言ってんだ妹子...。」
太子は僕の体から流れる物を舐めながら言った。
「妹子・・血じゃなくて醤油だぞ。それから、死ぬとか...。何を言っている?」
そう言いながら、血だまりに指を突っ込みそのまま液体を絡めた指を口に入れる太子。
ペロペロペロペロペロペロ
僕から流れ出た液体を舐め続ける太子の舌の音が耳に残る。
「・・・って!何舐めてんだこの馬鹿ぁぁぁ!」
それ、血だよ!醤油じゃねえよぉ!
「えぇ、ちょうどいい塩加減だったのにぃ...。」
えぇ・・やばいよ。この人。狂人だよ。
あ、鼻血が口に入っ...。
あ、醤油だ。
「って!おかしいよ!何で?!」
一人で虚空に叫んでいると、後ろから太子が話しかけて来た。
「あぁ、それはギャグマンガ展開になるっていう私の能力だ。ちなみに妹子が居ないと効果が半減する。」
あぁ、そういうの...。でもよりによって醤油って・・。
「というか、僕が居ないと、効果が半減って・・・だから僕は妹子なんですか・・」
まぁ、太子から離れなければお互いに無敵と考えれば...。まぁ、良いか。
「あっでも。特典くれた人が、妹子におまけをくれたよ」
えぇ、聞いてないよそれ?
「何ですか特典」
「性欲。でも、それだけじゃあ、持て余すから魅力も上げておいたぞ。」
「あぁ!妹子怒るなよ!「だいたい、僕は妹子じゃないし・・」」
「というか、妹子。何だか喉が渇いてきたな...。」
喉の渇き・・・塩分・・・あっ。
「...太子。砂漠では、塩とお酒は摂取しちゃいけないんですよ。・・・・喉が渇くから。」
「マジで?」
首を大きく縦に振る。
「・・・・・うわぁぁぁぁっぁ!起きろぉぉぉ!町の場所を言えぇぇぇぇぇ!」
白目を向いている女性の肩を掴み、ブンブンと揺らす太子。
「聞くのは、良いですけど。また襲われたらどうするんですか?」
「妹子を盾にする。」
「ひでーなおい!」
最低だよ、この人。
「もちろん、理由はある。妹子、背中をこっちに向けろ。」
背中?・・・何でだろうか・・。取り敢えず従うか。
「オラァ!」
「痛いッッ!何するんですか!」
....あれ、何か...さっきまでとは違う感覚が...。
「今ので、さっき言った妹子の特典が使える様になったから。」
えぇ!あんなので!?
「・・・んぅぅ。」
あ、起きた。
(あらヤダ・・何ていい男なのかしら」
後半声が出てるぞ。・・でも、成功か。
「ねぇ、君。町が何処にあるか知らない?」
___________
世は世紀末。
学園ラブコメ・・・ラブコメ主人公などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ!という某おやじぃの声を思い浮かべた者もいたとか居なかったとか。
夢見た世界など何処にもないと分かった転生者たちは気づいた。
いや、そうせざるを得なかった。
「強くならねば・・・・」
ほとんどの者が強さを求める時代。
そして、ここにはある風変わりな男が居た。
学園ラブコメが出来ないなら・・・作れば良いのでは・・と。
そんな初代学長(ノーパン)が説得(拳で)した生徒は、生徒になれるのか・・・・・
「というか、冬なのにそんなジャージ姿で。良く風邪をひきませんね。」
「確かに、最近はあの娘達の羽も乾燥してるし・・」
「えぇ!羽って乾燥するの?!」
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6年後
ある小屋の中で。
「太子。やっと、ここまで来ましたね。最初は、馬鹿な奇人と出会ったと思いましたけど。これほどの天才だったとは・・」
「ふふふ、そうだろう。この天才の・・って、いま馬鹿って言ったか?」
「言ってません。それよりも、これを見てください。」
騒ぐ太子を抑えて、机の上にある建築物の計画書を広げる。
トリニティという場所にある学校を建てるために集めた情報を書き、まとめた計画書だ。
この世界を平和にする。その第一歩として、小さくても良いから学校を作る。
取り敢えず小さな学校を作る→それに触発された者が他に学校を開校する→教育が行き届く→治安が良くなる→平和。
現実世界で言うならば
産業を発展させるために、まず国が国営企業として工場を作りそこで得たノウハウで国中に工場を建てさせて、工業化していく。
そんな感じの流れだ。
もっとも、これを思いついた時に真っ先に頭の中に流れた記憶はタイか何処かの禁酒のCMだが。
簡単にはいかないだろう・・・
だが、いい加減世紀末を終わらせたいのだ。
「この地域は、比較的温厚な人が多く気候も良いので建設場所としては最高ですね」
情報を書き込んだこの世界の地図を指さしながら話をする。
「既に、着工は始まっていますが。主にコンクリートをはじめとした資材の生産が追い付いていない現状…買うしかないですね」
そして、そんな物を大量に買える場所は限られている。
「「アビドス...。」」
既に学園が存在している唯一の地域。
買えるなら、買いたい。
「ですが。かの地は不吉な噂ありと...。」
他の地域に銃を売りつけて、産業を発展させているため敢えて争いを煽っているという噂だ。
「僕らの事業に、良い顔をするとはあまり思えません。」
広大なアビドスを見ながら、顎に手を当て真剣に考えこんだ後太子は呟いた。
「やっぱり、アビドスって。エジプトみたいな形してるよなぁ。」
「…はぁ。解決策は無いんですか?」
やれやれ、こんな時でもこの人は…。
「も~う思いついたよ~暇すぎて、地図を眺めてただけ。任せなさいって。」
ムカつく。でも、この人はまさに聖徳太子なのだ。その名に恥じない頭脳をこの見た目で持っているのだ。
「時間も限られてますし、とっととやりましょう太子。」
建設には、少なくない時間が必要だろうしね。早めに出発するとするか。
「妹子~そのために、アビドスに来たんじゃないか~」
・・・アビドスか…。久しぶりだな...。そう思いながら、窓の外を見るとそこには砂漠の町…アビドスが見えた。
「って!さっきまで全然違う所居たじゃんか!?なんでだよ!」
そう。
さっきまで、狭い小屋の中で太子の変な匂いを我慢しながら話していたのに、いつの間にかアビドスの中心区に突っ立っていた。
「あっ。妹子には言い忘れてたけど、旅の描写を書くのが面倒臭かったんだよぉ、だから小屋ごと移動させた。」
どういう事だ…。
あっけにとられる自分を置いて、太子は小屋を出ようとする。
「ちょっと待ってくださいよ太子!どうやったんですか。また新しい技術なんですか?」
瞬間移動なのか?いつの間に完成していたのだろうか?
「だから、書くのが面倒だったんだって、本編の内容じゃないし。」
訳の分からない事を言う太子。
「だから“書く”とか“本編”ってなんだよ!」
再度問いかけると、太子はいきなりキレた。
「な…なんで理解できないんだよ!お前それでも墨汁戦隊スミレンジャーブラックか!ヨシフは君の事頼りにしてたぞ!」
ヨシフって誰だよ!
「スターリン君だよ。仲のいい同志とレッドウィンターを平定していた。でも、その後粛清した・・」
なんで、仲の良いって言った直後に粛清が来るんだよ...。本当に仲良かったのか?
ていうか、僕そんな人に会ったこと無いんだけど!
「ああ、もう!これだから!アビドスの空気が汚いから妹子がおかしくなったじゃないか!」
風評被害を受けるアビドス君。
ちょっと、他の場所よりも工場の煙が多くて、砂漠の砂が他の自治区にまで飛んで行ってるだけの良い場所なのに...。
「でも、産業では一番でしょう?」
そう聞くと苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「妹子、私はこの世界は歪だと思う。産業の発展の仕方があまりにも歪だ。」
確かに・・。違和感を感じないと言えば嘘になる。
「そうですね。銃があるかと思えば、それ以外の技術はあまり進んでいませんし。」
原始時代とかをすっ飛ばして、いきなり近代に進んだような違和感がある。
なんせ、木造建築が多い。コンクリートの・・文明を感じないのだ。
技術の基礎が無いと言っても良いだろう。
原理も知らずに、ただ知っている知識を詰み込んで出来上がった異物だ。
「後、ここの住民も嫌いだし。「私怨じゃねえか!」」
そう言うと、子供が駄々をこねる様にジタバタした。あぁ!暴れんな!こんな狭い小屋で!
「だってさぁ。砂漠の住民って略奪が手段の一つとして当たり前に存在してるじゃん!こちとら農耕民族だぞ!奪われる方だぞ!」
あれから思ったよりも時間を掛けて、太子の機嫌が直るのを待った後に小屋を出た。
「取り敢えず、僕らの事業を円滑に進めるにはアビドスに媚を売る必要があります。」
「ぇぇ、私。頭は下げたくないんだけどな~」
コイツ・・・。このままで大丈夫かな。
「ちょっと、イメージトレーニングでもしませんか?
ほら、太子も学校に通ってたなら分かるでしょう?
教師に気に入られて、点が良くなって、良い高校・大学に行った奴らのしていたことを思い出してください。」
「おぉ、妹子。何かあった?それと、大学に関しては実力だろう?」
気にせずに…まずは、イメージトレーニングからですよ。ほら、やって
「えぇ、何すればいいの?」
あわあわと手を上下に動かしている太子
アンタいままで人に頼み事もしたこと無いのかよ。
「何言ってるんですか太子。相手の靴を舐めに来たんですよ。ほらイメージしてみて。」
「なるほど・・・」
そう言うと、太子はすぐ横を歩いていた女性の靴にしゃぶりついた。
「ジュるるるるるうるるるる!」
必死に、靴の中身までしゃぶりつくす勢いの太子。
「キャーーーッ!」
「リアルに食ってんじゃねえかー!しかも赤の他人の!」
その女性が叫んでからは一瞬だった。
瞬時に、警備の人が駆けつけて太子は弁明も出来ずに連行されていった、野次馬が言うにはこの後太子はこの自治区のトップの前に突き出され、弁護士無しで裁判をすることになるらしい。
「太子・・あんた馬鹿だよ。」
まぁ、あの能力があるなら大丈夫だろう。
それよりも腹が減ってきたなぁ、ラーメンでも無いかな…。
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やっべ、遊び過ぎた。
人類最古の職業と言われている人達と遊んでいたら、もうこんな時間になっちゃった。
急いで、小屋に戻らないと。
扉を開けると意外な人物が居た。
「お、ヤッホー妹子。」
そこには傷一つない太子が。
「あ、あれ?此処にいるはずの無い太子が・・」
太子は楽しそうに語り始めた。
「いやぁ、面白い奴だったよ。
『お前ほどの男なら。あの地域に平和をもたらせるだろう。平和である方が、こちらとしても衝突が減って都合が良いしな。』って言って認めてくれたよ」
えぇ・・・。
「何かそれ以外にしませんでしたか?」
「ああ、急にフラッシュ暗算させられたなぁ・・。
全問正解したらさぁ『底が知れない男だ』とか言ってさぁ。面白い奴だよなぁ!ハハハハハッ!」
多分浅すぎる底を勘違いしたんだろうなぁ。
「取り敢えず、これで建設は出来そうだしぃ。取り敢えず私の家が出来たら出来たら招待状を送るわ」
アンタ学校を自分の家だと思ってない?
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「ところで、帰りはいつ瞬間移動するんですか?」
「え、無いけど。」
「え?」
次回、聖徳太子の楽しいトリニティ建築!