「俺はな!お父さんって呼ばれたいんだよ!」 作:フウカの父
遺品整理。
古いアルバムが出て昔を懐かしんだり、楽しんだりして死んだ人の事を思い出すことが出来る・・・はずだったのだが・・
「うわあ・・なにこれ・・」
出てきたのは一見普通の手紙だが中身はまさに呪いの手紙。
ヤンデレという奴なのだろうか・・・
そして内容もえげつない
「妊娠したから結婚してほしい」という内容の手紙も珍しくない。
ゲヘナだけでなくトリニティ・・アビドス・・ミレニアム・・全部だぁ・・
先日笑顔で眠りについた父の所業に眩暈を覚える。
友人ではなく実は姉妹・・そんなこともあり得る状況に戦々恐々していた。
あ、また結婚催促の手紙だ。
名前は「愛清」・・あっふ~ん。・・お母さんは意外と怖かったのかもしれない。
どれもこれも呪いが籠っていそうな手紙ばかりだ、雰囲気が違う。
「あれ、これは・・・」
ポツンと置かれた
一つだけ優しい雰囲気がする洋封筒がある。
差出人と住所が書いてある。
差出人 梔子ユメ アビドス自治区
手紙はこのくらいかな・・
その洋封筒を持ち上げると
「あれ・・・ナニコレ」
小さな地図がすぐそばに落ちた。
どうやらアビドスの地図の様だ・・・
目的地まで赤い線が引かれている。
そういえば、毎年この頃になるとお父さんはアビドスに行っていたっけ。たしか、明日か・・・
毎年、お父さんは何をしていたのだろうか。
先ほどの手紙の件もあり、アビドスに行こうと思うのにそう時間はかからなかった。
アビドス
かつてはキヴォトスで最も長い歴史を誇り多数の生徒が通う、キヴォトス最大の学園として名を馳せていたらしい。
…しかし、数十年前のある時期から頻発し始めた大規模な砂嵐によって、学区の環境は激変し、シンボルであったオアシスも枯れてしまう。
進む砂漠のせいで生徒の殆どが転校・退学するなど、人口の流出にも歯止めがかからず地区全体が衰退してしまったアビドス。
ここがアビドスか・・・
思っていたよりも砂が多い。
「えっと、地図によれば・・」地図にひいてある赤い線を辿っていくとお花屋さんがあった。
その店を覗いていると突然話しかけられた。
「飽きずに来るなぁ・・お前さん。ほら、サボテン今年も入荷しといたぞ。・・『変わらぬ愛』ねえ。サボテンの花言「あの!」ってなん」
そこで初めて犬顔の店長は目を開いた。
「すまない。匂いが似てたもんだから・・・アンタ、あの男の知り合いか?」
「娘です。」そう言うと心底驚いた様だった。
「そうか・・・死んだか。」
店長は上の空でぶつぶつ独り言をつぶやいていた。
「お父さんはなにをしていたのか知っていますか?」
「墓参りだよ・・今回はこの花はサービスだ」
そういって花の咲いたサボテンを分けてくれた。
地図通りに進んでいくと、どんどん人が少なくなっていく。
そして、目的地にたどり着いた。
アビドス高校のすぐ近くに墓石があった。
墓の周りだけに花が咲いておりとても目立っていた。
「梔子ユメ・・・」用のあった人物はとうの昔に亡くなっていたらしい。
近くにあった蛇口をひねり水を出し、墓をきれいにする。そして、サボテンをそなえる。
この人は・・姉だったのだろうか。どんな人だったのだろうか。何故死んでしまったのか。
手を合わせている間も浮かんでは消える思考。
「さて、帰るか。」来た道を戻り始めようとした時。声をかけられた。
「あの!あっ、ごめんね急に。あの...君は?」
ピンク色の髪の毛の女性が自分を呼び止めていた。
「・・・・?」
誰だろうか・・・
「あぁ、自己紹介がまだだったね。私は小鳥遊ホシノっていうの」
聞いたことがない名前だ・・・
「君は、ユメ先輩を知っているの?」
ユメ先輩...
「会ったことはないです。」
少し落胆したように見える。
「じゃあ、何でお墓参りに?」
「父の代わりに・・・」
ピンク髪の...ホシノさんは酷く驚いたようだ。
「タケオさん・・・ですか?」
「そうです。」
「た、タケオさんは今どこに?」
「亡くなった・・・」
色々な感情が入り混じった様な顔をしている。
「だから、娘の私が代わりに来ているんです。」
「そ、そんな……まだ、謝れてないのに・・・」
いったい何があったのだろう。
「話、お話聞かせてくれませんか?お父さんの事、ユメさんの事。」
当人たちはいないのに、今さら何故か知りたくなる。
「そうだね……...あれは私が1年生だった時の話だった・・・・・・・・
訳あって...少しでもお金が必要だった当時はがむしゃらに働いてた。仕事を終えて学校に入った時に廊下で大人の男の人とすれ違った。
黒いコート来た人。それがタケオさんだった。
生徒会室に入るとユメ先輩が何だか嬉しそうだった。
聞けば、久しぶりに父親と会ったらしい。正直意外だった。ユメ先輩とは違い、鋭い目をしていたからだ。
ユメ先輩の家族の事を聞いてみたくなった。
幼いころに5股が原因で母と破局、浮気のせいで異母妹が大量にいるらしい。
そのくせ本人は「やめたくてもやめられない(泣)」とか言っているらしい。
それじゃあ、絵にかいたようなくず男じゃないか...
そんな思いは顔にも出てしまっていたらしくユメ先輩が慌てて補強する。
「でも、優しいよ。プレゼントも毎年くれるし。毎年会いに来てくれるし。それに、だいぶ前から女癖もすっかり良くなったんだって」
この人ヒモ男につぎ込みそうだな。なんてことを思った。
それから、色んな事があった。
うん・・・・色んな事があってね。
ユメ先輩が砂漠で行方不明になってしまったんだ。
そして、砂漠の中で干からびて。死んでしまった。
それからすぐに、タケオさんが病院に来た。
彼は娘が死んだと聞いても表情1つ変えなかったんだ。
だから、怒って酷い事をたくさん言ってしまった。
「本当は大切に思ってないんじゃないのか!この人でなし!」
そんな事言っても彼は私に労いの言葉をかけてきた。
「君が後輩ちゃんか…話は聞いているよ。ありがとうね。見つけてくれて。あの子も喜んでいるよ、きっと。」
なんだか、一方的に攻撃している自分が恥ずかしくなった。
「もう・・・・こんな時間か…。僕は帰るよ。君も早く帰るといい...」
しばらく呆然としていたが、自分も帰り支度を始めた。トイレに行こうと思って廊下の曲がり角に近づいたんだ。
そしたらタケオさんが壁にもたれかかっていた。何をしているんだと思いもっと深く覗いてみた。
帽子で顔を隠していた。
そして気づく。肩を震わせていることを。しばらく動くことが出来なかった。
次に会ったときはお墓を掘る時だった。彼の眼は前とは違い弱弱しいものになっていた。決して目を合わせなかった。合わせられなかった。
ヘイローの無い彼の代わりに掘った。
そして、骨になったユメ先輩を持つ。 驚くほど軽かった...
埋める時、もう会うことはできないのだと漠然と理解した。
そして、しばらく立ち尽くした。
タケオさんが何かを渡してきた。
「これは?」
「花の種だよ。
...花が好きだったから。ここでは四季が分からないから。花で季節を感じられるように」
来年にはきっと綺麗なお墓になっているだろう...そう思いながら種をまく
「さよなら、先輩...」
「さよならじゃないよ。」
タケオさんがつぶやく。
「え・・・・・」
「さよならじゃない。会えなくなっても 記憶の中では今も生きている ずっとずっと」
「…」
「だから、いつまでも。覚えていてほしいんだ」
優しい目をしていた。それはまるで......。あの人と親子なのだと感じた。
それから毎年いつも私よりも早く墓参りに来ていた。だから、なかなか会えなくて。謝れずにいたんだ。」
話を終えたホシノさんは遠いところ見るような目をしていた。
「ありがとうね。おじさん、楽になれたよ。」
「お父さんは…気にしてないと思いますよ。」
「そう...あぁ...それなら、良かった」
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「とにかくね、お父さんは優しい人なんだって!ホシノちゃん」
先輩...あなたのお父さんはとても良い人でしたよ…
ミカ「セイアちゃんどうしてエデン条約結びたいの~?」
セイア「妹達に会うためにね」
ミカ「(;゚Д゚)ええ、妹居たの?…どんな娘?」
セイア「実は、妹達とは一度もあったことがないんだ」
ナギサ「あっ(察し)」
ミカ「…何人いるの?」
セイア「腹違いの妹が数十人はいるね」
ミカ「………………」
ナギサ「・・・・・・」
その後三人は終始無言で茶をしばいた