人に隠れて、悪をkill! 作:Raitoning storm
「…」
廃墟が連なる砂漠。風に砂が混じっているそんなところで、忍者は建物を背にして息を殺していた。
よく見ると服の一部が焦げたように黒くなっていて、手の甲には血が垂れている。
遠くでは大きな雄叫びを上げる蛇のような怪物が、獲物を探すように辺りを見回している。
なぜこんなことになってしまったのか…。
約1時間前、
アビドス自治区にてパトロールをしていた忍者は
(妙だな…)
とあることを不審に思っていた。
(砂嵐が一定の区間から動かない…まるで何かを隠してるみたいに。)
(それに、すごく小さいけど機械が軋むような音も聞こえる。あそこには何かある。)
そうして彼は見張りを続けた。どんな些細なことも見逃さないように。
そして…
(…来た!)
大蛇が、姿を現した。
(…予想以上に手強い。まず装甲が固すぎるな。手裏剣や楔でも深く刺さらないとなると遠隔ではまず無理だ。)
忍者は目の前の怪物を倒すための算段を立てていた。いくら怪物といえど、一度見てしまったのならばはい知らんぷりというわけにはいかないし、
(約束を果たすためにも、ここで見過ごすわけにはいかない。)
…さて、どうしようか。先程話した通り飛び道具の類いはあまり効果がないし、今は防戦一方である。
(…相手がもし機械ならば、中枢となる部分があるはず。そこを叩けば機能停止まで持っていけると思うが…)
(…とりあえず、叩くか。)
そう考えると忍者は、気配を隠しながら敵を叩く機会を伺う。
一見大蛇の装甲は完璧に見えるが、実は結構スキがある。
(…まずはどの程度通用するか試さなきゃな。)
蛇が彼と反対側を向いたその瞬間、目にも追えないような速さで、かつ砂埃は一切立てずその頭の頂点へと降り立つ。
気づかれる前に背に構えた刀を装甲へと振り下ろすが、
(…傷がつく程度か。)
硬いものと金属がぶつかり合う高い音が鳴ったことと衝撃が発生したことで、大蛇に気づかれてしまうが、敵がアクションをおこす前にいち早くその場を離れ建物の裏へと隠れる。
(…斬って逃げてを繰り返せばいけるか?でも相手が逃げてしまう可能性もある。飛び道具も残り少ないし、装甲がどの程度厚いかもわからない。
そうして策を講じているが、大蛇の様子がおかしい。
(…なんだ?)
忍者は思わず身構えるが、
大蛇はその大きな口を開け、
(…嘘だろ?)
熱線を、吐き出した。
(…流石に予想外だった。)
気づいたその瞬間に行動に移せたのはよかったが、完全には避けきれなかった。
装束は少し焦げてしまったし、腕にかすってしまった。
(飛び道具も持ってるのか…となると厄介だな。迂闊に近づけない。)
そうしている間にも、大蛇は辺りを見回して周囲の様子を伺っている。
(少し掠っただけであの威力、まともに食らったらただじゃ済まない。でも勝機はある。)
流石にあんな大技はそうホイホイと出せないのか、前より行動が鈍くなった気がする。
(まずはあの砲台をどうにかしなきゃな…よし、行くか。)
チャンスがあるとすれば先程つけた傷、そこから装甲を剥がして内部から壊す。
ほんのわずかな隙、その間に忍者は駆け出す。先程と同じ場所に降り立とうとする。
間を空けずに刀を構え振りかぶる。
一切り目、少し傷が大きくなる。
二切り目、もう少し傷が大きくなる。
三切り目、あまり変わらない。
四切り目をつけようとするが身体を大きく動かされ体勢を崩してしまう。
すぐにその場から駆け出し、距離をとる。
熱線を彼が追うが、掠りもしない。
牽制のため、手裏剣を数枚。楔を一本投げてその場を離れる。
(よし、奴の動きに慣れてきた。)
一方大蛇は動きが悪くなっていく。だがしかし、彼が背に降り立つ一瞬前に体を大きく捻り、忍者が着地を失敗してしまう。
(しくじった…!)
柄にもなく焦りを見せる忍者。そんな彼を嘲笑うように大蛇は彼の身体を地面へと叩きつける。
周囲に砂が舞う。そして最後の一撃と言わんばかりに口を開け、熱線を吐き出したそのとき、
ボカーン。
口の周りが、爆散した。
(…よし、砲台は爆破できた。爆弾、こっそり仕込んでおいて正解だったな。)
先程の切り付けのときにこっそり仕込んでおいたのだ。手際のよさならば忍者は誰にも負けない。
(幸い今あいつは混乱している。いまのうちにバラしてしまおう。)
手にある刀を背に戻し、空高く舞い上がる。
大蛇は最後の抵抗か、口を大きく開き
飛びかかる黒い影を飲み込もうとするが、
(…そっちは、脱ぎ捨てた装束だ。)
大蛇の2枚おろしが、砂漠の真ん中で出来た。
(…ふう。終わった終わった。)
(あとは事後報告すれば終わりだな)
そう思ってその場を去ろうとする忍者だったが、
「ちょっ、ちょっと待ってー!」
(…やべ。)
緑の髪を揺らす、女子高生を見つかってしまった。