【書籍化進行中】異世界で職業:ヒモとしてみんなにバフを撒いてたら完全に逃げられなくなっていた話 作:スーパー巨大特濃葛根湯
感想、ここすき、お気に入り、全部とても励みになります。
ぜひどんどこお願いいたします。
特にここすきと感想は何度も見返して、みんながどんな話を求めてるかの参考にもしています。
「さて、本題ね」
マッサージも佳境を超え、自販機で間違えて「濃〜い」のボタンを押したら出てきそうな薬草茶があらかた空いた所で、彼女はそう切り出す。
真剣なその表情に、僕も気持ちを切り替え居住まいを正した。次は首元いきますね、ここリンパです。
「帝国の主だったハーフエルフが、のきなみ姿を消しているわ」
そ、れ、は……そう思ってる、って事か?
まったく予想外の切り口の話題に、思考がちょいと加速する。
まぁ元がかたつむりの観光客みたいなもんだから、急いだとこでたかが知れてるけども。
とはいえ口は挟まない。真面目なお話を遮るほど不躾じゃあないんでね。
「半耳のルナリア、雪兎ボーレタラス……前日まで何も変わらずに生活していたハズの実力者たちが、神隠しにでもあったかのようにある日忽然と居なくなった。もちろんそんな事があれば、すぐに私達の耳に入る。……で、その直後にコレだもの」
ため息をつきながらそうこぼす彼女の真意がわからないほど、僕も鈍かない。
うーん、しかし、それはどうっスかねぇ。
「……時々心配になるくらい物を知らんお前に一応言っておくが、ルナリアは金級の魔法使い、ボーレタラスは有名な傭兵だ。俺も何度か仕事で関わったが、どちらもそんじょそこらの相手にゃ遅れを取らんだろうな」
僕が顔に出さないよう努めていた「誰……?」という思考を鋭敏に予見してみせたコールダウさんは、有難くも補足を入れてくれた。
案の定お二方とも存じ上げない。
すいませんね、日本っつー遠方の出でして……。
なるほど、傭兵さんね。
つい妖精さんと同じファンシーさの表現しちまったが、僕も何人か知り合いにいるよ。粗暴だが気のいい奴らさ。
冒険者より荒くれ率が高い傾向を感じる方々で、つまりは戦争代行みたいなもんだからそれはしゃーない話である。
そして冒険者含めそんな荒事専門みたいな職業の有名人がもしも『拐かされた』とすれば、そりゃ国家ぐるみの犯行くらい疑われるかもね。
つまるところ「ケルセデク風精国のエルフたちが、ハーフエルフ誘拐して今回の事解決させようとしてんじゃねーの」って思ってる人たちが居るわけでしょ?
「エルフを信じるな、とは言わないわ。でも、連中はアンタらに何かを隠している可能性がある」
そう言うネリッサさんは彼らを糾弾する風ではなく、どちらかといえば僕らを心配しているようだった。
頼りない冒険者代表みたいなのがそんな厄いとこ来ちゃって申し訳ねぇや。
でも僕以外のメンバーは普通にメチャ強いんでね。だいぶ構成も丸いし。wikiにも攻略オススメパとして記載される事だろうぜ。
むろんその際は僕の名前が省かれることはうけあいだが、なに、エンドコンテンツのやりこみ縛りプレイん時にでも連れてってくれよ。
メンバーに入れればクエスト後の補給と装備修理とデイリーミッション受け取りを勝手にやっとく便利キャラとして居場所を確保だ。
しかしとはいっても、僕はエルフの族長たちといったメインストリームが、ハーフエルフさんたちを誘拐したとは思えなかった。
まぁたしかにエルフさんたちの認識を見れば、それくらいのヤバめな事はしでかしてもおかしくはないかも知れん。
が、彼らがそんな事をするとは思えないのだ。
いや別に擁護とかではないし、知り合って仲良くなった彼らを信じたいとかなんかそういう根拠に乏しい感傷じゃねぇぜ。
正確には現段階の彼らが、って事。つまりは『やりそうだが、実際にやってはいない』っつー話。
あの人たちはハーフエルフさんに向かって「呼びつけて手伝わせよう」と考えるタイプであって、わざわざ「素っ首に縄かけて引っ張ってきて働かせよう」とまで思うタイプじゃあない。
むしろ向こうが断らず来るのを当然と考えていたフシすらあるだろうな。
ちと傲慢で差別的だけど、それがエルフ族としての特徴だってんならそういうもんでしょ。
端から欠けたところの無い人なんておらず……なにより僕は好きな人の欠点はチャームポイントに見えちゃうガバ採点なので、結局みんな花丸になっちまう。
△と☓しかない解答用紙の奴がんな事言うのは、それこそ傲慢かもなァ?
ンなわけだから、エルフさんたちがそのハーフエルフさんたちを拉致ったっつー可能性は正直低い。
拉致して強制労働ってのはもう二歩先で出始める思考だ。
まず来なかったハーフエルフさんたちに「ハーフのクセに」と一方的に怒って、その後にだったら僕も可能性を疑わなくはなかった。
ま、そんな決定的な破綻が起きない内に僕らに白羽の矢が立ってある意味良かったよ。
僕だって好き好んであの人たちに罪を犯して欲しいわけがない。
しょーがねぇ叔父さんとお祖父ちゃんだなぁっつって、みんなの力を借りてこの騒動を終わらせに来たんだ。
そのせいで先生がカリスマ志向・勤労志向・攻撃志向で、チャリオット兵の代替ユニットとして愚連隊を生産できる指導者になりかけているが、そっちはまた別の話だからな。
……とはいえ、どれだけ理由を集めても、結局それは僕の観察から導き出された希望的観測に過ぎない。
本職の方々にご意見する程のもんじゃあないので、説得だのなんだのをするつもりは毛頭なかった。
なにより彼女らだって、エルフによる誘拐を可能性の一つとしてしか捉えてないだろう。
僕視点の他に考えられる可能性としては「ハーフエルフさんたちは別の旗の元に集い世界樹の異変解決に動いている」、「僕の知ってるエルフさんではなく、例えば反体制派や独自の思想を持った集団が存在し、彼らがハーフエルフさんを集めている」とかかな。
……もちろん第三の最悪な選択肢も存在するけれど、その場合は手の打ち様が無い。
そしてその可能性はわりと高いんじゃあないかと踏んでいた。
世界の破滅を望む者が悪趣味じゃない事を期待するだけ無駄だ。
嫌だな~……と思うが、もし僕がそちらの立場で、その目的を達成する必要があるのなら──そうするだろう。
結局算数の問題だ。
数字が足りないなら、上の位から借りてくれば済む。
足りない戦力はどこかから補う他無く、そしてその源泉が相手の戦力であれば言う事無し。
意地の悪い人間の考える事なんて、世界を渡ろうとそう変わらない。
なにより……彼らにはきっと、そうするだけの理由がある。
そうなりうるに足る、心に溜まった澱がある。
「なるほど、わかりました。けど今なお人手不足でてんてんこまいしてそうなんで、そんな超有能ハーフエルフさんたちがいる感じなさそうっすけどねぇ」
だから、まぁ、ここはふんわりした意思表明程度に抑えておこう。
否定するつもりは無いし、その情報で警戒はするけれど、しかし今の僕はこう思っているっつー事を伝えておく。
自分の意志を相手に把握してもらっとくってのはとても大事な事だからね。
認識の齟齬はここぞという時に大きな破局を招きかねない。
「ま、そこらの判断は実働部隊であるアンタらに任せるわ。とりあえず世界樹を蝕むワームを倒すだけじゃ、今回の問題は終わらないかも知れないってのだけ気にしてなさい。……もしもエルフ達とのいざこざが起きたら、さっさと尻尾まくって逃げるのよ。貴方は帝国国民なのだから。風精国から抗議が来ようと、偉大なる皇帝は必ずや臣民を庇護するでしょう」
「えぇ、わかりました。帝国に感謝と敬愛を」
僕のその言葉を聞いて、彼女はプフーとおかしそうに小さく吹き出した。
およ? たしか帝国の伝統的な挨拶であり、多少思想色は出るし使う人は減っても、普通な言葉であるハズなんだがね。
シモン爺さんあたりが時々使うのを流用したのだが、ちとカッコつけ過ぎたかな?
「ンフ、やーねぇ。どこでそんなの覚えたんだか、統治拡大時代の古臭い挨拶……。魔王の存在が濃厚な今や、帝国は覇権主義国家から大陸の盟主へと鞍替え済み。心配しなくても、そのせいでエルフの国へ攻め込んだりはしないって」
あ、そうなるんだ。深読みされちゃった。
脚本の人そこまで考えてないと思うよ案件を作り出してしまったが、しかしウィットに富んだシニカルなジョークを飛ばすのはヒモとして目指すべき地点だからな。ヒモが目指すべきはそんなとこじゃなく就職だろ。
教養の無さを露呈さすのもアレだし、今回の彼女の誤解にタダ乗りしておこう。見抜かれてたおバカさを自ら証明すんじゃないよ。
ま、そういう侵略の意志がおそらく無いということを確認できたのは、正直なところありがたかった。
こんだけ魔王の走狗出まくってのにそんな事してる場合じゃねーもんな。
「んへへ……こういうの、ちょとやってみたくて。わかりました、世界樹以外の厄介事には極力絡まず、スルー決め込んで帰るようにします」
既に指導者になるよう懇願されているというスーパー特大厄介事に巻き込まれているのは秘密だ。
言ってどうこうなるもんじゃねぇし、始祖エルフの再来みたいなそもそもが誤ったノイズをこんな局面で混入させたくない。
「えぇ、そうしなさいな。私もたぶん遠出の仕事はまだ先になるだろうし、ちょくちょくボゥギフトには顔出すわ。それまで、元気でやんなさいよ」
はい、必ず。
また絶対に 貴女の前に元気な顔を見せますよ。お茶淹れてマッサージもしますから、いろんなお話を聞かせてください。
もちろん、その時はぜひコールダウさんも飲みに行きましょう。ボゥギフトならいい酒場をいくつも知ってるんです。あの日の伝説の酒盛りが今再び……!
「お、いいね。でもよアオミ、アレは公序良俗に反するから酒場ではやるんじゃねぇぞ。お前酔うと何しでかすかわかんねーとこあるからな」
「え、なにそれなにそれ。ちょっと前何やったのか聞かせなさいよ。てか私にも見せてよそれ。ンフフ、ボゥギフトへ来る楽しみがまた一つ増えちゃったわね」
あー! 困ります! 困りますお客様! あー! お客様! そんな! そんなところでリフティングした話を! あー! そんなところでリフティングした話を広めては! 困ります! お客様!
そんなこんなで恙無く情報交換は終了し、僕は帰路へとついた。
日も暮れかけて薄暗くなってきているが、ところどころでボゥと灯る不思議な緑白い光がほのかに照らしてくれているから、危なげなく帰れるだろう。
ちょっとガス灯みたいなスチームパンク浪漫を感じる帝国の魔法灯よりも魔法的で、これはこれで雰囲気あって素敵ですねぇ。
さふさふと下草を踏む音が、僕のもの以外にもう一人分重なって聞こえ始めたかと思えば、頭の上にぼすんと重量級の何かが載せられた。
あわわわわわわわわ!!! 明言は避けるが凄すぎる!!!!!
「いやー、助手クン。彼女と喋るのはずいぶん楽しそうだったじゃあないかい」
隠行を解いた悪王寺先輩が、からかい8割他2割の軽口を叩きつつ僕の頬をつついてくる。
思ったよりもスムーズに話が進んだので、帰ってもらうタイミングが無かったのだ。
そりゃ話してて楽しかったのは否定しませんけど、結果的に敵では無かっただけでやっぱり話を聞く必要はありましたから。
ま、結局仲良くなったのはホントですし、言い訳になっちゃいますけどね。
「どうかなぁ〜。男はたいてい不二子ちゃんが大好きなもんだろ?」
それは先輩もでしょ。
「そうだよ、良い女だからねぇ……」
わかる……。
その後続いた不二子派かクラリス派かの談義はともかく。
彼女がこうやって、しっかりと意思表示してくれるのはとても面映ゆく嬉しかった。
ふざけた話にしてくれているが、その裏に隠れた心理は本当のもので、だからこそ精一杯の誠意を返したいと強く思う。
本当に愛らしくかわいい人で、反面僕は度し難く
節操なくむやみやたらとその想いに応えたくなるし、そんな幸せな関係をずっと続けられるようになんでもしてあげたくなってしまう。
ゆっくりと頬に向けられた指を取り、そのまま絡めて恋人つなぎに移行すると、先輩は満足気にフフンと胸を張って横並びで歩き出す。
こうしていると、身長差もあって彼女の弟と間違われる事も多いのが恋人として申し訳なポイントなのだが、先輩はそれはそれでアリと言って許容してくれている。優しい人だ。シチュエーションプレイも燃えるからだそうだ。やらしい人でもある。
しかしこんなお姉ちゃん居たら人生狂っちゃいますよ。
「キミみたいな弟居る姉の方が人生狂うと思うんだけど……」
いやいやいやいやいや、んなこたぁないッスね!
僕たぶんめちゃくちゃ良い弟できますよ! 人の下につくことに関しちゃ、僕は根拠の無い自信があります!
そりゃ小さい頃は懐きまくり四六時中つきまとっちゃって鬱陶しがられるかも知れませんけど、ちょっと大きくなればどんな遊びだって喜んで付き合うし、分別つく頃には従順なパシリとして姉の走狗になるでしょうねぇ。「ふーん、ボクは全然鬱陶しく無いっていうか、パシりとかしないし、むしろついて回ってくれたらもう完全に猫可愛がりしちゃうけどな」「か、かわい……欲し、い、です……」
夏の暑い夜とかアイス買いに行けっつわれたらよろこんで行くし……あ、でも、たまにはやっぱ二人で買いに行きたいから、時々ワガママ言って困らせちゃうかも。「うんうん、もちろん一緒に行こう。当たり前だよ、むしろアイスなんて一緒に夜お出かけする為の建前でしかないね」「……よい……」
そういうとこはねー、そもそもが僕は近しい人に入れ込んじゃうタイプだから、兄や姉離れは遅そうだなぁ。「? 離れる必要はあるのかい?」「……?」
つってもね、高校入る直前くらいになれば初恋を経験して、お姉ちゃんに恋愛相談なんかしちゃったりし「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ダメダメダメ!! 許さないから!! お姉ちゃんのことこんなにしちゃったんだから責任取ってよね!!!!」おっと、最短速度で脳破壊しちゃった。どうどうどう。
おかしいな、ちょうど良い距離感の仲良し姉弟だったはずなのに……。
「……てじょ……くび……わ……お姉ちゃ、ん、の……お部、屋で、ずっと……一緒、に……」
え? 手錠と首輪とお姉ちゃんの部屋がなんですって?
難聴系主人公である僕は、左耳に囁かれる都合の悪そうな呟きをきちんと聞き逃した。
いやもうね、ある程度のPは受け入れるよ。多様性が掲げられる昨今、プリズンも愛の形だろ。ホンマにそうか……?
絶対離さないとばかりにギチギチと握られる両の手は、言葉よりも雄弁に僕への気持ちを表してくれているようでとても嬉しかった。もう完全に僕は良くない調教をされてしまってんね。
そう、もちろん「両の手」だ。
悪王寺先輩と繋いでいる方と逆の手は、いつの間にかちゃっかり薄暗がりと同化した愛すべき人と同様に繋がれている。
もうこうなると、難聴系ラブコメ主人公の方が間違いなくだいぶマシだよ。死んじゃうと責任取れないから殺してくれとは言わんが、大いなる力が裁いてくれとは常々思う。閻魔様~! 僕を罰してくれ~!
悪王寺先輩もそれくらい気付いているのだけれど、彼女らはどうしてかパーティメンバーによる僕の分割統治にある程度寛容なのでお目溢ししてくれている。
「堂々とせず、みんなに気付かせないように努力して隠している」という事実が、彼女らにとって重要であることはなんとなく理解していた。
どうしようもない欺瞞であっても、それぞれに最大限の幸せの形を差し出す事そのものに、彼女らは意味を見出しているように思う。
『コイツはそういうしょうがないヤツで、コイツと作る幸せの中にそれは含まれてしまっているから。ま、しゃーないよな』という未来への諦めでもあり、幸福の妥協でもあり、人生の獲得でもあり、自身への嘲笑でもある、極めて複雑な──それでいてとても単純な気持ちが、みんなの中にはたしかに存在するのを僕は最近感じ取っていた。
彼女らの価値観や幸福と不満がサラダボウルみたいにないまぜになった、結果的にもたらされる受け入れてかなきゃならない現実、みたいな感覚。
何もかもが幸せじゃないだろうし、不満に思うことはあるけれど、満足できるだけの享受がそこにはあって……だから、結局愛せる幸福な時間。
それが、みんなの中で徐々に現実味を伴った形で醸成されてきていた。
そ、そんな僕に都合のいい話があっていいのか……?
好きな人全員に尻尾振っちゃうバカな犬ころを、まさか全員が受け入れてくれるとは当初は思ってもみなかった。
どうしよう、ホントにこれまでの小説にしたら100話とかいきそうな冒険の全てが水風船スライム犬に潰される瞬間の僕が見ている夢とかだったら。
粘犬の夢だ、洒落怖みたいな名前の故事になってしまった。
凄まじいどんでん返しだけど、あまりにもバカな夢オチで大炎上待った無しだ。
カルマ値がグングン上昇するのに反比例して、死後向かう地獄の階層がガンガン下がっていくのを感じるぜ。
許して欲しいとは言わないよ、自分の行動に責任は取る。
みんなを幸せにしたいと願った以上、その代償すらすべて僕の物だ。
強欲ここに極まれり。七つの大罪コンプもちけぇや。
「……で、その……どう、されるん、です……か……?」
「ハーフエルフとやらの捜索、里にいる間に済ませておいた方がいいかい? 黒井さんと協力すれば、入れないとこは無いだろうね」
そうですねお姉ちゃ……おっと失礼。
僕らが姉弟だった場合の妄想ASMRを両耳から流し込まれ、なんだか段々大家族の末っ子だったような気がしてきていた僕は、それはそれとして別のフォルダにバックアップとしてセーブデータを保存しつつ正気に戻る。
まぁ、そうですね……もし準備の中で時間が余れば、くらいで構いません。
コールダウさんたちにもそれとなく伝えましたが、そもそも僕らを自由にさせている時点で少なくともこの里内でハーフエルフさんが囚われているとは考えにくい。
なにより……変な話ですが、彼らにとってハーフへのそういった扱いが普通であるのなら、僕たちに隠し立てする理由が無いんです。
こう言ってはなんですが、エルフさんに染み付いたそういった意識はあまりに根深い。
「引っ張って来てやらせてるんです! ぜひ戦力としてお役立てください! この者らも喜ぶでしょう!」くらいは言ってきてもおかしくないんでねぇ。
実際にそうなってた場合はみんなとキチンとお話しして、頑張って全部丸く収まるよう奔走したとこですが……。
そんなワケなんで、それよりむしろネリッサ女史から頂いた、ハーフエルフさんたちの情報を精査する方が有用な気もします。
半耳のルナリア、雪兎ボーレタラス……聞くだけでワクワクしちゃう彼らの、得意な事や業績に経歴。
それらを知っておくことは、どの可能性を引いたとしても役立つのは間違いありませんから。
たとえこの先に、彼らが敵として待っていたとしても。
事態は最悪を想定せよってヤツ。
元より根暗でネガティブな僕は、嫌な想像をふくらませるのが得意技でしてねぇ。
毎夜お先真っ暗な将来を嘆いて枕を涙で濡らすタチなんです。
「それはいけないねぇ、これからはお姉ちゃんの部屋で寝なさい。毎晩涙を拭ってあげるよ」
「わ、わかり……ます……今夜、から、一緒の布団、で……泣き、泣きま、しょう……」
は、はわわ~~~!!! 頭おかしなる~~~!!!!
完全に真逆のタイプの姉に挟まれた僕は、無事完全に気が狂うのであった。
なお帰宅後に話を聞いた先生も姉として参戦しようとした模様。
現状からさらに属性盛るのは流石に過積載で取り締まり受けちゃいますよ。