【書籍化進行中】異世界で職業:ヒモとしてみんなにバフを撒いてたら完全に逃げられなくなっていた話 作:スーパー巨大特濃葛根湯
感想、ここすき、お気に入り、全部とても励みになります。
ぜひどんどこお願いいたします。
特にここすきと感想は何度も見返して、みんながどんな話を求めてるかの参考にもしています。
「青海君の言葉を、そのまま伝えるわね」
『どういうカラクリかなんて、君はとっくにお見通しだろう?』
『それとも認められないかな?』
『もっとも欠落の多い──は?
「青海君、それはダメよ。自分の事をそんな言い方するのは、先生として認められません! うーん、それもダメ! ……私の口から出ると思って、単語を選んでみて? ん、よろしい」
──君曰くもっとも欠落の多い、裏返してみれば伸びしろでいっぱいのこの僕なんかに、自分の動きを読まれてしまうなんてのは』
先生の口を借りた僕の言葉が、感情を"無"で固定した闇無君へと投げかけられる。
検閲によりなんか妙に自分の将来性に自信を持った自認してるみたいになっちったが、およそ論旨は伝わったろう。
ちゃんと人の気持ちが考えられて、きちんと相手を見ている彼には、僕の手品のネタなんてとっくに割れちまってるだろうからな。
当の彼の顔色はといえば、表面上の無機質さを差し引いてなお、その下に隠された本心は伺い知れない。
即座に相手へ渡す情報を減らそうとする対応力は流石の一言だよ。その点どうも僕って顔に出やすいみたいでさぁ。ババ抜きもジョーカーがわかりやすいったら無いらしくて。
そんな彼のポーカーフェイスはパッと見たとて何も読み取れないが、けれどまあ確かに苛立っているだろうなってのは纏う空気からわかるし……なおかつ、胸中に秘められた感情はそれだけじゃない感じもする。なんとなくね。
まあ、人間の感情なんてそんな単純なもんじゃねぇからなぁ。
愛憎は渦巻くし、可愛さ余れば憎さへ転ずる。
目印無くたゆたう海原の、たった波間の一地点に、正確な名前を付けろという方が無理難題。
本人にすら分からないものが、僕なんかに分かろうハズも無い。他人の言葉にできぬ思いまで知悉しようなんてほど、僕は傲慢じゃあない。
全部はわかんないよね。わかるところから、理解を深めてゆけばいい。
『剣を拾いなよ、闇無君。これまでさんざ手を抜いてくれてたんだ。一回こっきりの、たまたまかもしれない一発で勝利宣言ってのは、流石にフェアじゃないでしょ? ……つっても二対一な時点で、そもそも不公平ではあるんだけどね』
「──そうか? そりゃ悪いな。たった一度きりであっても、またとない快挙だと喝采を上げてもいいと思うぞ。何をするにしても出力がブレがちな、満点以外をどうしてか取ってしまう君たちは、『運も実力の内』と己の不出来を卑屈に笑って誤魔化すものだろ」
落ちた剣の柄を足で踏み、器用にも跳ね上げて手に取った彼は、その不敵な口振りとは対照的に、ゆったりと歩みを進める。
攻めあぐねているってワケじゃない。どちらかといえば警戒し、注意を払っている。
ビビってんのか……なんて、安っぽい挑発はしないよ。負けフラグだしね。
相手がこれまで伏せていた札を明かしたのだから、今までよりも慎重に立ち回ろうとするのは当たり前のことだ。
戦闘職としてあるべき姿勢だよ。
向こう見ずに突っ込んでやられましたってんじゃお話にならねぇもの。
こんな状況に陥った時、注意深く観察し、様々な可能性に思考を巡らせて、手段を選び抜くからこそ、君は何者よりも強い『勇者』足れる……そうだろう?
そうだよね、闇無君ならそうする。
だって君は戦闘中に相手を分析できるだけ頭が回り、力量を正確に測るだけの眼を持っているし、力任せに適当やってハイ勝ちましたみたいな流れ作業に心の底から飽き飽きしてるから。
だから"見"に回って、僕らを正しく見定めようとするんじゃないかって、僕もそう思った。
思っていた通りに、「そうします」と行動をもって、君は答え合わせをしてくれる。
僕の浅薄な理解が君自身により肯定される度、頭に浮かんだその凛々しい姿が、ピントを合わせるように収斂し、一つの輪郭へと次第に絞り込まれてゆく。
『選択肢』は指折り減って、いつしか今目の前にいる君が、僕の中の君とぴったり重なりあう。
お互いに踏み込めば武器の届く間合いまで来ると、彼は半身のまま右手に持った剣を正眼にて構えた。
漏れ出ていた黒く輝くオーラが、徐々に身体の内側へと鎮まっている。
しかしそれは彼が恩寵に見放されたからではなく、恐らくは強化を己の力へと変換する際のロスを意識的に減らし、更に効率化した為だろう。一人で産業革命か?
魔法使いの知名君ですらやんなかった事を、易々とやってのけんじゃないよ。まったくもって規格外だ。
魔王サマも魔力を融通しちゃった事を今頃後悔してるかもな。当たり前だろ、そもそも勇者に塩送ってんじゃねぇ。魔族の風上にも置けん亡国の輩ですよコイツはよォ。
……ただ、これはなんていうか、素人の単なる感想なんだけど。
さっきまでの闇無君の方が、僕にはよっぽど怖かったよ。
そんな風に常道の構えを取り、相手の間合いの外で睨み合うなんて──まるで君の言ってたとおりの、単なる『剣士』みたいじゃないか。
童の手を離れた風船のように、空に浮かぶが如く捉え所なく自由気ままに戦場を支配していた君は今や地に足をつけて、他の大多数と同じくちっぽけな等身大の人間に身をやつしてしまった。
なんでもできていたハズの彼は、月並みな定石へと落とし込まれている。
強さ故に手にしていた自由を、君は強さ故に手放した。
空飛ぶ英雄が自ら羽を捥いで、常識の中へと裁断され収まってしまった。
『来ます。初手はさっきの須臾の踏み込みからの袈裟斬り』
本来瞬きの隙も無いような袈裟斬りが、タイミングを合わせた鉾の柄にて力強く弾かれて、彼がたたらを踏む。
意識の隙を突く須臾の踏み込みは、こう言っちゃなんだがそもそもこちらの隙に機会を委ねるが故に、むしろ知っていれば対処が容易だ。憑依した先生の身体の動きを僕が把握してれば、いつ来るかが逆算できる。
『踏んだたたらの衝撃を逃がすように武器を離し、左手に持ち替え剣の腹を用いた逆手での裏打ちに移行』
やられた事のマイナスを、自分が利用する形にしてトントンにしたいという心の動きは、僕のような貧乏性というよりは負けん気の強さと評すべきだろうか。
わざわざ分析として口にゃ出さないが、これまでほぼ負けた事の無かった精神が、防衛機制としてそのコマンドを咄嗟に選択してしまったっていう向きもある。
けれど、そんな思わずやってしまった「やり返し」じみた逆手持ちの反撃で、果たして先生の膂力に耐えきれるのかと言われれば……答えは否だ。
さっきよりも遥かに強い力で弾き返された彼は、いまやどんどん劣勢へと追い込まれている。
「しかしまあ、『運も実力の内』とはね……まったくやられた側のクセして、闇無もよく吠えたもんだよ。満点を常に取れる自分が負けたって事は、そのテストが満点なんて枠じゃ収まらないものだったって証明だろうに」
「よく分からないのですが、内申点ならばともかく、日々の行動には誰も点数など付けていないのではないですか?」
背後──というか、僕の体が横たわっているハズの方角から──数人の話し声が聞こえてきた。
その声音には、もはや緊張感は含まれていない。気持ちはよくわかるぜ。
やっぱ先生の戦ってる背中って、なんつーか「この人は最後には勝ってくれるだろう」っていう、絶対的な信頼感があるもんな。
けどこんな風に任せっきりの頼りっぱなしじゃあ、ホントはいけないんだろうな~……頑張って身体鍛えます、僕も。
「んふふ、そうだね正親ちゃん。例えさ、例え。でもま、ボクとしちゃ満点ってのも疑問かな。だってさぁ、戦闘の答え合わせなんて、単なる結果論じゃないか」
そうしてもはや対等となった剣戟の末に、再び彼の手から剣は弾き飛ばされた。
認めねばならない事実として、魔王の"強化"のみを受け取った闇無君は、現段階のバフを受けた先生に総合力で勝っている。
腕力では勝ってるし俊敏性でも負けていないが、彼は万象の天才として対抗ロールの計算式で意味不明な個数のステを使い、MAXの基礎値から理論値を叩き出してみせる。
こちらがバフを用いた補正値の暴力ならば、むこうは最高水準の基礎値で組み上げられた完璧な人間の完成形だ。
恐れ入るぜまったく。何百万年と積み上げてきた人間という種における、ある一定の『正解』みたいな存在が敵に回ったらそりゃお手上げだろ。
君はずっと一番正しい答えだけを、一手も誤らず選び続けた。
けどさぁ、闇無君。
いやね、これはなにも僕がドヤ顔で語るような事じゃないんだけど。
どんなに正しいフォームで走っても、人は車に追いつけないんだ。
常識的な人間の理論値が、理屈を超えた外れ値の本気の長所に勝る理由は無いのさ。
「おかしい。おかしいだろう」
地面に横たわる剣に目を落として、彼はポツリと呟く。
何がかな、闇無君。
「……どうして俺よりずっと劣ったお前が、何も持ち合わせていないお前なんかが、俺の行動を先読みできる」
おっと正論パンチ。酸素を吸って詭弁を吐く生態系のヒモは、突然正論で殴られると泡吹いて倒れちゃうから気を付けてね。深海魚を陸上へ上げるみたいなもんだから。
でもナチュラルな上から目線はともかく、僕をとことん底に見てるのは目付けの確かさが裏打ちされてて正直好印象なんだよな。
自身のろくでなし加減が一番身に染みてわかってる僕は、低く見られれば見られるほど理解されてるな〜と信頼感を感じちゃうのだ。難儀過ぎる。なにしても好感度上がってんじゃねぇよ、チュートリアルキャラでももっとまっとうに連動するぞ。
「あァ? ここまできて負け惜しみかよテメェ。その理論で行くと、アオと姉御のタッグに負けてるオメェが、一番なにも持ってないコトんなるだろがよ」
「違う、これは負け惜しみじゃない。……動かしがたい事実として、青海にはそんな処理能力も無ければ、体術についての知識も無い。そんな事はこれまでの道中で知っている。簡単な定理も知らない愚者が、計算機も無しで俺の動きを予測できる正当な理由が存在しない。できないことをコイツはしている、理屈に合っていない」
明星先輩と半分口喧嘩みたいな言い合いをしている彼の、能面のように塗り固められた平静のマスクがヒビ割れて、その亀裂から苛立ちと不満が漏れ出る。
わかるよ、その気持ち。僕なんかに手球に取られたら、癪に障るのも当然だ。
カルシウム不足だなんてベタな事は言わないぜ。里での食事じゃ乳製品もよく出てたからな。なんなら僕みたいな貧弱クンは骨密度だってココ来る前より上がってる可能性もある。あのヨーグルトもどきマジでウマない? 何の乳かわかんないのはちょい怖なんだけど。
君の当惑も苛立ちも至極ごもっとも。つまり常識的な閾値に、君のフラストレーションの線引きは存在している。
どうやら人並外れた天才も、堪忍袋の緒の場所はそう変わらないらしい。
また一つ、君を知れた。
ま、そうだな、あんまり引っ張り過ぎも良くねぇ。前フリってのも大事だが、焦らし過ぎは逆効果だからな。そろそろお楽しみの種明かしといこうじゃないか。
そんなワケなんで先生、すいませんがまたちょっとお口をお借りしたくて……え? 好きに身体使っていい!? え、は、ちょ、え、エッ、い、今……!?
ん、違う? 僕がせんせの口動かせる……あっ、あー! ホントっすね~! はぇ~、なんでみんな僕より僕の性能に詳しいんだ? これが愛の力なのか……?
『オホン……ああ、そのとおり。僕にはそんな難しいことは分からない。まったくごもっとものお話だ』
君は目まぐるしい戦闘中だってのに、あり得ない速度で演算してんだか直感で把握してんだか不明な最適解を導きだしてずーっと動き続けていた。
期末考査ですら時間足んなくなるオツムの持ち主が、そんなのにおっつけるワケがないわな。
人体解剖学? 運動力学? 勘弁してよ、僕って文系なんだよね。数学赤点常連者に、技術ツリーの三つ先にあるテクノロジーは理解できないに決まってる。
さらに重ねて言えば、僕は武術についても一個も詳しくなくてね。
生まれてこの方道場に通った事もなきゃ、なんなら運動部に所属した事すらないんだ。
毎度の適当解説も全部民明書房出典だったからな。鹿野ちゃんが毎回信じちゃうから、最近は控えめにしてっけどね。彼女、嘘の理屈を信じた上でなんでか再現できちゃうんだよな。この前なんか川の上走って渡ったんだぞ。すごい。海王なのか? 鬼ごっこで水面逃げられたら手も足も出ねぇよ。
ともかく、こっち来てからの訓練までは、真剣なんて持ったことも無かったくらい……ってのは当たり前か。持った事ある方が怖いわ。流石の少年探偵もハワイで親父に習ってないだろう分野だ。
まあ、そんなわけで闘いとは無縁で僕は生きてきた。こんな情けない告白、なんの自慢にもなりゃしないがね。
だから君の言っている事は正しいよ。
そんな文武両道、心技体全部揃った人間限定のアプローチでは、到底僕なんかが君に迫れるハズが無いんだ。つかそもそも要求技能が足んねぇや。
知らない事はわからない。
人はやってきた事しかできない。
僕だって君とおんなじで、持ってるのは持ってるものだけ。
手持ちのカードで戦うしかないんだ。
だもんでさ、先生に入り込みはしたものの、彼女の身体を動かしてぶっつけ本番で闇無君を倒すことなんてできないし、ましてや武術のチート知識をインストールしてマスタリーレベルを上げたりなんて、とてもとても……。
残念ながらというか幸運にもというか、あいにく日本じゃ人体操作や憑依合体の機会に恵まれなかったんでね。
むしろそういうの抜群にできたら、そっちのがヤベーくない? 少なくとも序盤は敵として出ないといけないキャラじゃん。
その二つをやり込んでるヒモが仲間に居たら、おちおち昼寝もできねぇだろ。寝て起きたら財布スッカラカンになってる目算が高過ぎる。*1*2
だから僕は今も、やってきたことをやっているだけだよ。
君よりよっぽど少ないコマンドの中から、たった一つ白字になったできる事を選択してる。
知ってることをやりくりして、やってきたことの範疇で、なんとかギリギリ君に追いついてるだけ。
僕は理解の及ばぬ道理を抜きに、君に寄り添ってただ望む事を考えた。
いつものように、大切な相手のやりたい事をただ『察する』。
君がしたい事を理解して、それをそのまま脳裏に思い描く。僕がやってたのはなにも難しいことじゃ無く、たったそれだけなんだ。
知らない小難しい話は分からないままで、"知っている君"の出す答えだけを考える。
人間工学だの生理学だのは知らないけどさ、何週間か一緒に居た相手が今何をしようとしてるかくらいなら、そりゃ多少はわかるだろってだけの事。
あ、とはいえさ、もちろん僕はスパコンじゃないんだから、君の全ての行動を完璧にシミュレーションしてるわけじゃないよ?
そこに辿り着くまでの細かな行動には、多分僕なんかじゃわからない差異がいっぱい存在していると思う。
けれどね、ゴルフボールはどう飛んで行ったって、コースの最期にゃカップに至るんだ。
「……馬鹿げてる」
残念ながら馬鹿なのは否定しない。けれど本当の話だよ。
そもそもまっとうにはできない事だと、君が疑ったんじゃないか?
……ま、とはいえ確かに、今の理屈はいわゆる机上の空論ってヤツでさぁ。
実際のところ、君には数多くの「選択肢」があった。
ゴルフのカップが複数あったら、さっきの例えも前提条件が変わっちまう。
「選択肢」とは、余裕の別称だ。
例えばカタツムリをつまむ時、360度に仰角までつけたXYZ軸どこからでもいつだって手を伸ばせる。
けれど飛び回るトンボを虫取り網で捕まえるとなれば、飛行速度に合わせた最適なタイミングで振るうしかない。
自分よりも遅く弱い相手に勝つ方法は無数にあって、速く強い相手に抗う方法は一つか二つに限られる。
それは彼我の能力差に開きが生じれば生じるほど顕著に、残酷なまでに数字として表れてしまう。
だから無能な僕には、あんなに時間が必要だった。
君と先生の間に存在する能力の開き具合から、どれだけの分岐に分かれていくつの着地点に至り得るのかを、悠長なまでに丁寧に見定めなきゃいけなかったんだ。
その延長線上でようやく、今みたいに不意打ちを企む君の剣呑な雰囲気を、
投擲からの踏み込み、前蹴りのフェイントを経由し背後に回り首筋へ肘撃ち。証明の為の行動だからフルコンタクトじゃなく寸止め。フェイントに反応しなければそのまま前蹴りする。
わざわざ言葉にすることもなく、なんとなくこうしたいだろうという映像を思い描けば、それがそのまま
目の前に飛んできた木片を先生はデコピンで弾き、虚を突くには完璧なタイミングで放たれた前蹴りを逆の手で止める動きをしてから、既に知っている本命の打撃を
取った袖を力任せに引き寄せて完璧に固められた彼は、しかし身動きもできない現状をまるで認識していないみたいに、ただ先生の眼を呆然と言葉もなく見つめている。
その大きな紅い瞳には、美麗なエルフの眼の中に潜む平凡な小男が映っていた。
そんなに見られたら照れちゃうよ、あんま注目され慣れてないからな。顔が良い人に見られるのは、いつまで経っても新鮮に照れるわ。
……馬鹿げてる、馬鹿げてるか。まあ、そうかもね。
確かに僕なんかが君を理解した風なツラしてんのは、馬鹿馬鹿しい話に聞こえちゃうかもなぁ。
でもさ、どんなに愚かでどうしようもない無能でも、たった一つの事に絞れば、多少の事はできるもんじゃない?
この危ない世界に来てから、僕は一体全体何をしてきたか。
これが案外簡単なもんでさ、そんなたった一つの言葉に集約できるんだ。
僕はこの連れて来られた異世界で、ただ大好きな誰かの助けになれるようにだけ努めてきた。
剣も振らず、魔法の一つも唱えないで、地球に居た頃にだってできただろうそんな事を、取り柄のない僕はずーっと考えて実行してた。
みんながして欲しい事を考えてそれを行い。起こらないで欲しい事を予測し取り計らい。やりたい事を察して準備して。大切な人たちができるだけ笑顔でいられるように、自分なりに頑張った。
だから僕は、もちろん君にだってそうしている。
なにもかもを放り投げられる好機に目が眩んじゃった、万能の天才にして破裂寸前の爆弾でありながら勇者の肩書に相応しい人格者の貴方が欲する、自分の本音の掃き溜めとして小馬鹿にしてもいい格下だけど相応に歯応えのある遊び相手として、代わり映えしないつまらない世界を打ち砕こう。
全部君が望んだ事だ。だから、僕も頑張って全力で叶えよう。
それが友人の本当の望みなら、叶えてやりたいと思うのが人情ってもんだろう?
おっと、勝手に友達認定しちゃったのはごめんね。気を悪くしてたら謝るよ……なにしろ元ぼっち君だから、友達の作り方ってのに疎くてさ。