【書籍化進行中】異世界で職業:ヒモとしてみんなにバフを撒いてたら完全に逃げられなくなっていた話   作:スーパー巨大特濃葛根湯

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特にここすきと感想は何度も見返して、みんながどんな話を求めてるかの参考にもしています。

3/19 修正:上書き保存が上手くできていなかった部分があり、明星先輩周りの描写をここすきがズレないように修正しました。


【127】 暗中の蝕

 その大きな背中のあまりのカッコよさに僕が見惚れていると、先輩から重みというか、強力な存在感みたいなものがスゥと抜けてゆくのが分かった。

 途端、へなへなとその背が崩れ落ち、こちらへともたれかかってくる。

 おわわ、大丈夫ですか先輩! 助けてくれてありがとうございます! ハチャメチャにカッコ良かったです!

 慌てて支えようとしてパワーが足りず潰れかけ、腹にフンバリを入れてこらえる。チビでガリでやんなっちゃうなオイ。

 

「へへ、だろがよ……なァに、気にすんなや……あー、でも流石にちっと、疲れちまったな。はぁ〜、やーらけ。あ、ダメだ、オレも腰が……揉んでくんね? ……あ、でもココじゃダメだからな。大丈夫かぁ? アオミはエッチだからなァ〜、我慢しろってんのに勝手に一人でさぁ〜」

 

 なんだかんだ言いつつも僕のおケツを揉む手が、いつものようじゃなくなんだか力が入らないような動きなのは、恐らくだが魔力のような物の枯渇によるものだろう。なんかちょっと酔ったみたいになるらしいんだよな。

 普段よりフワフワした感じで、僕のスーパーセンシティブな話を赤裸々に大暴露して笑う彼女とのバフは、いまだ切れていない。最大MPもMP回復量もスタン値許容量もスタミナも、全てがかなりの倍率で増えているハズだ。

 にもかかわらずこれだけ消耗してるという事実は、ひとえに先程の技がそれだけ凄まじい物であった事を示していた。後すいませんがその話はも少し小声でお願いします。

 

 見たところ──というか、繋がりから感じとった所見として、先輩のあの技の本質はおそらく『維持』だ。

 それは存在の維持でもあり、座標の維持でもあり、熱量の維持でもある。

 どのような凄まじい衝撃を加えられようと、折れず、壊れず、動かされない。

 あの時の彼女は折れぬ剣であり、現実という世界に楔を打ちこんだかのように不変不動。

 どんな攻撃も効かず、どんな力学的エネルギーで押しても引いてもびくともしなかったことだろう。

 いわゆる一つの『動けるアストロン』という、どだい不可能な理不尽だ。

 そんな無茶苦茶な空想、果たしていかほどのMPを使えば現実へ顕現させられるのかなど、もはや僕には想像もつかない。

 たぶんもう彼女はこの戦いに復帰はできないはずだ。ていうかさせらんないよ、こんなほろ酔いヘロヘロ先輩を。

 と、とりあえずどっか、安全な場所に彼女を運ばないと……!

 

 あまりのダメージにボスワームが意識朦朧となり魔力操作が乱れているのか、足元の被膜の拘束が緩んで先程までと変わらない床へと戻っていた。

 自由になった足を急いで膜から引き抜くと、彼女に肩を貸して……という半ば担ぎ上げるように引きずって、ボスワームから遠ざけようと必死に移動する。

 命懸けて護ってくれたセンパイのためだぞ! この程度の暴露安いもんじゃろがい! 漢見せんか青海蒼! んぎぎぎぎ……!

 

 

 僕が這うような速度で命の恩人を戦線から離脱させている間にも、ボス戦は否応なく進展している。

 未だ動きの鈍いボスワームがめり込んでいる壁に、スカンと軽い音を立てて銀色の剣が突き刺さった。

 ボスワームを狙って外した……なんて事はまず無いだろう。その剣の持ち主である彼が、その手のミスを犯すとは考えづらいからだ。

 

「いやナイスショットだよ。ちょうどいいとこにイモムシ飛ばしてくれたもんだ。さっき叩いた感じ、音からしてソコは枝の上で、なおかつ一番壁が薄い」

 

 そのたった一押しを待っていたかのように、壁に放射状の亀裂が奔ってゆく。

 なるほど、ダンジョンの外へアイツを引きずり出す気か……!

 彼が知名君の話を聞いてた時に壁を叩いていたのは、斬れるかどうか考えていたのではなく、どこが一番薄いかを測っていたのだ。斬れるのなんか当たり前であって、そこからどうするかの先を彼は既に見据えていた。

 勇者に選ばれし僕の友人はなんでもできる、それこそエコーロケーションだって。

 

 本来であれば、極めて壊れにくいはずのダンジョンの壁。

 ただでさえ強固な上に、更に不壊の被膜に覆われたソレが、ボスワームの重量に耐えかねるかのようにヒビ割れてゆく。

 明星先輩の必殺技が、ヤツを相当深く壁にめり込ませたおかげだ。

 

「まだちょっとボルテージ上がんなくて鋼のつるぎだからさぁ。これじゃあ壁ごと叩き斬れそうになかったんで助かったわ。いつまでも相手のホームで、足元おぼつかないまま戦うのもバカらしいだろ? 害虫対策にゃ、天日干しが一番だって言うじゃないか……たまには外出ろよ、引きこもり」

 

 女性向け週刊誌の表紙もかくやといった、キマりきった美貌のキメ顔で闇無君が嗤った。

 ……が、いつまで経ってもそれ以上壁は割れず、意識を取り戻したのかボスワームがもぞもぞと動き出してしまう。

 え!? ちょ、話が違うんですけど!?

 

「あるぇ、まだちょっとインパクト足んなかったか? おっかしいな……"大剣"まで行ってたら余裕だったんだけど」

 

 顎に指を当てて呑気にそう呟く姿も、映画主演男優かっつーくらいサマになってるが言うとる場合じゃねぇのよ!

 そんな彼の真上を、凄まじいスピードで何かが飛び越した。

 はためく薄布がひるがえり、見えちゃいけない何かが見えかけた僕の視界を、明星先輩の手がヨロヨロと伸びてきてふさぐ。戦況見てたらスケベ判定になるのは理不尽では?

 

「あのねぇ! そういう事をッ、するならァ! 先に言いなっ……さいッ!!」

「独断専行で失敗するんじゃあない、愚か者! 『岩塊破槌』・『魔術付与:超巨大化(エクスラージ)』・『魔術付与:極大増幅(マキシマイズ)』・『魔術付与:短縮励起(クイックドロー)』!」

「やっぱり余が護衛に付いておった方が良かったではないかぁ! すぐにカタを付けて戻るから、待っておれよ青海ィ!」

 

 鉾を使い棒高跳びのように跳んだ先生の放つ、全体重を載せた飛び蹴り。

 青い魔法陣より生み出された、大岩から掘り出したような石作りの破城槌の大槍。

 その長身からは想像もつかない軽快さで踏み切った、王城さんのドロップキック。

 

 三位一体のとんでもねぇ合体技が、壁に張り付いていたイモムシの横っ腹に突き刺さった。

 ただでさえ動きの鈍かったボスワームの身体がくの字に折れ曲がると、その口から大量の黄色い体液を吹き出す。

 響き渡る大音量の鳴き声と、致命的な破壊音。

 ギリギリの均衡で堪えていた壁はついに砕け散り、開いた大穴から瓦礫とともにボスワームの姿が、明るい光の中へと消える。

 世界樹に巣食いダンジョンへと作り替えた主は、ついに自らの領域の外へと叩きだされたのだ。

 

「っ、そちらは任せたわ! もし黒井さんが間に合いそうになかったら、駆除班から小金井さんが護衛に回って!」

 

 先生の大声を最後に、ボスワーム戦闘班が続いて穴から飛び出し、巨大な枝上での戦闘へと移行してゆく。

 

 

 それに即応するように、山算金から『そちらへ向かいます』とテレパスが入るも、一旦このままで大丈夫と返信を返す。

 通路側でのミニワームとの攻防戦も、けして余裕があるとは言えなそうだったからだ。

 姿を消した悪王寺先輩が振るうダガー、撒き散らされる殺虫剤にトリモチ、小さな的を正確無比に射抜く砲撃、フルスイングで蹴散らす金棒、ハーフエルフさんたちの弓や斧や大盾。

 そのどれもが一時的にでも欠ければ、蟻の一穴から一気に雪崩込んでしまいそうな危ういバランスで、今なんとか釣り合いが取れている。

 彼女らが一匹たりと漏らさず防いでくれているからこそ、僕と明星先輩が無事でいられるのだ。

 王城さんもああは言ってくれたが、明星先輩が抜けた分の代打で入った以上抜けるのは難しかろう。

 ボスが消えた今となっては、むしろ広間中央が一番安全まであるかもしれんしな。

 とはいえ、結局この広間のどこへ行っても安置とは言えないし、いつアンブッシュからの奇襲を受けてもおかしくないので、『焔鋼』を抜いて構えておく。

 

「っくく……オマエに護られるのも、思えば二回目だなァ。気分いー……」

 僕の方は何度助けて頂いたか、もはや数え上げられないくらいですけどね。

 てか今回だってそもそもの原因が僕なんだから、これくらいじゃ返済の内にも入らないでしょうし心苦しい限りですよ。

「バーカ、せっかくやったもん返すんじゃねぇよ。……オレらからの貰いモンで圧し潰されねぇように、精々気張って足腰鍛えんだな。頑張れよぉ、楽しみにしてッからさぁ〜」

 

 酔いが回ると全然セクハラ(する側)もイケる口になる彼女と軽口を叩き合いながらも、中央へとゆっくりと移動してゆく。

 見えないボスワーム組の安否も気になるけれど、戦闘不能になった人を抱えている以上、まず彼女を安全な場所へ運ぶのが先決だった。

 そうして周囲を警戒しながら、広間中央へと辿り着いた僕らの足元が突然無くなり、とぷんとどこかへ沈みこむ。うぉわっ!?

 まるで無重力空間のような浮遊感に一瞬で上下の感覚を喪い、宇宙ステーションで投げられた鉛筆のように回転が止まらなくなった僕を、力強い手がぐっと引っ張って静止させてくれる。

 

「っとと、大丈夫か? ……ふぅン、中はこうなってンのな。こりゃ広くて羨ましいぜ。オレも欲しーなァ、いつでも連れ込めんじゃん。黒井に言えば時々貸してもらえっかなぁ?」

 

 もう本音がぼろんぼろん漏れ出る先輩は、視界の端まで広がるどこまで続いているかもわからない真っ暗な暗闇に、そんな感想をこぼした。

 なんとなくちょっと憮然とした顔でもあるのは、たぶん自分が守られる側に立つという感覚が慣れなくて、なおかつやはり不本意でもあるからだろう。僕に守られるのと、他の誰かに守られるのは、彼女の中で少し違うらしい。

 まあ今回ばかりは大技の代償って事で、なんとか納得してもらえれば良いんだけどな。僕のせいで申し訳ねぇや。

 

 戦えない状態の先輩が、安全な場所に避難できたのを理解した僕の全身から、ドッと力が抜ける。た、助かったぁ……今先輩が襲われたらどうしようかと、気が気じゃなかったぜ……。

 ちょくちょくお世話になるこの空間の安全性を、僕はよくよく知っていた。

 なんなら一昨日も寝て起きたらいつの間にかこん中に居て、世界から朝が消えたのかとビビった記憶があるからな。ずっと夜だったら宴会が無限にできて楽しいけど、誰かと朝を迎える事も、太陽の下でみんなと手を繋いでデートする事もできないのはちと寂しいか?

 

 緊張しまくり力みまくりから、一転脱力してしまった僕の体が、背後から長い腕に抱き寄せられ、大きな手のひらで抱え込むように包まれる。

 口を尖らせた明星先輩が「ウチの浮気モンはまったくしょーーーーがねぇなァ……ま、これで借りやすくなるか」と呟いて、溜息つきつつ両手で耳栓して目を瞑るのが、黒い御簾によって視界を遮られる寸前に見えた。

 言い訳のしようがないので、ここではもはや謝罪も余計だ。

 誠意は後ほど、二人きりの時にしっかりお支払いさせて頂きます。耳揃えてきっちり好き放題してください、なんでもやりますんで……。

 果たして貯まり貯まったみんなへの負債が、僕の身で足りるか心配になっちゃあきてるがね。春になるまでに僕が使い切られて無くなってる可能性も出てきた。減価償却はすっかり済んでると思うんで、買い替えもお考えになっといて下さい。

 

 

「……や、やっと……呑みこめ、まし、た。ぶ、無事で、本当に、良かったぁ……わ、私の、せいで、青海君が……し、死んじゃう……かと……さ、さっきも……つ、つながりが、消え、かけて、たし……」

 

 抱きしめられた腕の中、震える声が耳元で囁かれる。

 束縛は時を経るごとにぎゅうと強くなり、それはまるで離したら僕がどこかへと消えてしまうんじゃないかと、この人が思っているみたいだった。

 その大きな手に一回り小さな頼りない手を重ねて、背中に感じる鼓動へと語りかける。

 

「ううん、目黒さんのせいじゃないよ。ただ相手が僕らパーティーの対策をしてきただけ。その事に誰も気付なかったんだから、誰かが悪いっていうより相手が一枚上手だったと言うべきなんだ。けれど、明星先輩の尽力もあって僕は怪我も無く、目黒さんのおかげで二人は安全な場所に来れた。無力な僕に代わって、戦ってくれている二人が居たおかげで、誰も欠けずに済んだ……ありがとうね」

 それにさ、これは謝んなきゃいけないことなんだけど。

 そのさっきの大ピンチの時、実は目黒さんがくれたモノが燃え上がって、僕の生命を助けてくれたんだ。

 その代わりソレは燃え尽きちゃって、せっかく貰った物が無くなっちゃったのはかなり申し訳無いとこではあるんだが、まあ、ともかく。

 幾度となく僕を救ってくれたあなたが謝る理由なんて、どこにもないんだ。

 だから、どうか悲しまないで。

 

 鼻をすする音と共に、一際強く抱き締められて……ぐるんと身体が反転した。

 思わず目を閉じるが、しかし体温から伝わる彼女の想いを察して、ゆっくりと瞼を開く。

 

 

 目の前にあったのは、涙を湛える眼の上部に寄った小さな瞳。

 瞼が軽く閉じ気味で、いわゆる三白眼やジト目みたいに呼ばれるそれが、僕をじっと見詰めている。

 薄めの唇が不安げに開閉され、その奥に尖り気味の歯がチラついた。

 鼻根に少し散ったそばかすがキュートだ。

 

 つまり要約するとめちゃんこ可愛い僕の大好きな人の顔が、予想通り眼前にて待ち受けていたワケである。

 ガチ恋距離ってレベルじゃねぇぞ。も、もっと深く落ちちゃうよ! 沼の底に肩まで!!

 つかこんな至近距離でそんなにじっくり見られたら、僕の方が照れちゃうわ。歯に携行食のジャーキーとか挟まってたりしないよな? こんな見つめ合う事になるなら、戦闘前に歯磨きしとけば良かったぜ。

 

 

 そんな距離にありながら、目黒さんは一言も言葉を発さない。

 ただ静かに僕の言葉を待っていた。

 たぶんだけど彼女にとって、言葉とはかけられるものであってかけるものではないからだ。

 そう言えば酷く傲慢に聞こえるかも知れないが、実態はむしろ真逆。それは自身が容認や評価をされる側であって、する側という力関係で言えば上位に回れるような人間でないと、そう思い込んでいるからだ。

 だから今も彼女は、僕にどのように裁定されるのかを、ただ静かに待っている。それはどれだけ覚悟が必要な事だろうか。

 そんなひたむきな彼女はとてつもなく可愛いし、やっぱ年上らしく成熟した綺麗さがあって、僕には勿体無いくらいで、ずっと見てたくて、よければ後でツーショット撮らせて欲しいし、今度その瞳の色に合わせてイエローのアクセサリ送ろっかなと思うけれど。

 そのどれを選んでも、彼女の人生を雁字搦めにする鎖を解くには、どうしても力が足りないように思われた。

 きっとまずは行動でそれを示さなければいけないんだろうなと、なんとなくそう感じるのだ。

 

 故と思いがあって必死に隠し通してきた秘めたい所を、勇気を振り絞り好きな相手に差し出して……彼女は生きてきた十何年の中、ただ今この時に、救われたいと願ったのだ。

 彼女が今を選んだならば、僕はそれに応えるべき……いいや、応えてあげられるようにしたいと、そう思う。

 

 

 空いた両手を震える彼女の頬に添えて、ゆっくりと唇を触れ合わせる。

 眠たげにも見える眼が大きく見開かれるが、しかしゆっくりと元のように閉じていき、徐々に彼女の震えが治まってゆく。

 時間にすれば数十秒にもならないような、ほんの僅かな繋がりの間に、彼女から様々な感情が流れ込んでくる。

 それは別にヒモなんて異能があるからなんかではなく、この人が僕に伝えたいからであり、きっと逆に僕からも彼女へ伝わっているものなのだと思う。

 愛する相手とのことならば、たぶん誰だってそうで、そこに特別な事なんて何一つ無い。

 

 僕が彼女に送りたい気持ちは万の言葉にしても絶対に足りなくて、なにより言葉にする過程でどうしたってどこかボヤけたり、大事な部分が抜け落ちたりしてしまうだろう。

 思いの丈を一切の欠損無く言語化できるほど、人という生き物は正確でも高性能でもない。僕みたいな不良品は特にそうだ。

 いやこう見えてわりと多弁なタイプだから、精度を数でカバーしても良いっちゃ良いんだけどさ。

 けれど、どれだけ雄弁に積み上げた言葉より、心と体のどっちも通じ合わせて思いを伝える方が、説得力がある場合も存在する。

 

 君はおしゃべりな僕が好きみたいだから、これからもまたいっぱいどうでもいい話をさせてもらうけどさ。

 でも、今、この瞬間、本当に伝えなければいけない事は、たぶん一つしかないんだ。

 

 

 二人の重なり合った影が、名残惜しげに離れた。

 覗き込んだ顔の中、しばたく奥の瞳が融けてゆれている。

 ……外でみんなが戦っているというのに、まだ離れたくないと思ってしまうんだから、我ながら未練がましくて嫌になってしまう。

 そう、僕はずっとこの人と一緒に居たいのだ。

 心の底から切望した自然な気持ちが、欲とすら言っていいような浅ましさではあれど、けれどとめどなく奥底から湧き上がる。

 

「……またいっそう惚れ直しちゃった。これからもずっと一緒に居たいです。大好きだよ、目黒さん」

 

 そんな想いに突き動かされるままに、僕は彼女へ愛を告げる。

 これまでよりもさらに深い、彼女が望むのならば永遠に消える事のない、誓いの様な愛を。

 

 

 数瞬おいて、決壊したようにぼろぼろと涙を溢れさせた彼女が、それでもか細い声で「私もです」と返してくれた事に、僕は魂が抜けるくらいホッとするのだった。

 まったく、先んじて相手に裁定を委ねる勇気を出して見せたこの人を、尊敬せずにはいられないぜ。心臓割れるかと思ったわ。

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