【書籍化進行中】異世界で職業:ヒモとしてみんなにバフを撒いてたら完全に逃げられなくなっていた話   作:スーパー巨大特濃葛根湯

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【40】 幼子の涙

 金級である事を告げると、彼女は訝しげに僕らパーティを見てきた。

 今の会話でわかったが、どうもこの人はギギルガム家のご当主様や中核の人間では無いらしい。

 そもそもこの人の家が魔王の走狗討伐パーティって事で僕らを呼び寄せたんだ。

 権限のある人間なら、まずもって僕らの話を内部の会議にて聞き及んでいるはずである。

 僕らの人相まではいざ知らず、メンバー構成程度は知っていないとおかしい。

 

 たぶんこの人は僕らの事を聞いてないか、聞いた上で関係無い冒険者だと思うくらい情報が降りてきていない。

 つまりはそこまで業務に携われていない位にあるっつー事。

 取り敢えず誤解を解くのがまず一番だな。

 

 そんな僕の脳内など露知らず、未だ彼女はとんでもなく怪しんだ顔で僕らを見降ろしている。めちゃガタイが良く目黒さんより少し小さいくらいのタッパがあるから、難しい顔をされると気圧されちゃうね。

 

 まぁしかしそらにわかには信じられんよな、魔王の走狗討伐の話を知らなきゃその顔になるのもやむなしだ。

 なんてったって金級冒険者ってのは、数多いる冒険者たちの上澄み、ピラミッドのほぼ頂点だ。

 初対面の人間にJリーガーですって自己紹介されたらマ、マジですの!?ってなるのと一緒。

 エルフな先生以外は普通に子供だし、ホントか疑っちゃう気持ちもわかるよ。

 ゴールドタイガーが「お前の苦労をずっと見ていたぞ」とか話しかけてくるのと同じくらい怪しい話だもん。

 

 しかしこの壺を買うと幸運になるのは本当の話なんですって……へへへ、信じてくださいよお嬢様……。自ら信用度を下げる必要は無くない?

 ていうかさ、僕はお金困ってないしそんなん悪いからやる気しないが、お金が欲しいなら一度きり壺を売りつけるより、二晩くらい一緒に飲んでから軽く相談持ちかけて何度か貸してもらう方が良くないかと思うんだけど。

 ……これもしかして良くない思考だったりするのか? 最近だんだんヒモに心が支配されてきてる気がするぜ。自分が自分で無くなる前に誰かに殺してもらわないと。

 

 

「……金級? オマエがか?」

「あ、いや、私はどっちかというと従者でして……こちらの仲間は本当に実力で金級ですよ。いえ、と言いますかギギルガム様、そもそも僕達はですね」

「いや、これ以上の弁明は必要無い。貴様らのパーティは女子供ばかりで、唯一の男たるお前は詭弁を弄しこちらを謀ろうとした。お前たちが金級かどうかにいささかの疑義がある」

 

 は? え? マジ?

 してもいねぇ詐欺の嫌疑で会話も打ち切られたし、めちゃカジュアルに侮辱されちゃった。

 いや別にランクマで屈伸して侮辱しろってワケではないが。

 喧嘩っ早い明星先輩はもう明らかにプッツンきているけどこればかりはしょーがねぇぞ。珍しく先輩に軍配が上がる傍若無人さだもん。

 

 貴族と同じように、つか下手するとむしろこっちの方が色濃いってくらい冒険者はメンツ商売なんだ。

 なにしろ弱いと思われたり、侮辱を受け入れる惰弱さがあると思われれば、それだけで依頼は干上がりおまんまの食い上げになっちまう。

 それをアンタ、真正面からそんなバカにしちゃったら本来の冒険者なら、貴族相手でも剣抜いちまいかねないんですけど……?

 流石にそんな事くらいは、貴族ならわかっているべき話なと思うのだが……ふむ……。

 

 とりあえず落ち着いて僕らを見てくれれば、そもそも僕以外のメンバーはレベルアップによって相当威圧感を感じられるはずなんだよな。

 と、思ったが意識してみると目の前の女性からも同じような圧を感じる。

 あれ、もしかしてこの人自身もかなりツエーから、威圧感とかあんま感じてらっしゃらない?

 てかそんなツエーのに中核じゃないのか? つまりは騎士団の中で実働隊にでも属してるとか?

 いや、そんな事は今重要ではない。

 

 とりあえず僕らはウソついてるワケじゃないし、受付にでも聞いてもらえば一発わかる話なんだ。

 変に狼狽えず、こちらは堂々としていれば良かろうなのだァァッ!

 論理武装によって勝ちを確信し、思わず究極生命体になっちまった。カーズ様は脳の隠された力を引き出している為レスバにも強い。

 

 

 一度受付嬢に確認してもらおうとカウンターの方を振り返って口を開くが、ある物を見てそのまま口を閉じる。文字通り閉口もしちゃった。

 確信した勝ちが瞬時にご破算になり僕は大変ウンザリです。

 

 なんでかっつーと突然ギルドの入り口から十人の騎士達が入ってきて、そのまま僕らを取り囲んだからである。

 

 酒場が突然めちゃめちゃ狭くなっちまったぞ。

 3坪でやってる激ウマ食堂じゃねぇのにこの人口密度は回転率の為に無茶し過ぎだろ。利益が上がってないんだろうなと潰れる心配をしちまうね。

 困るよ〜、ここのポトフみてぇなの美味しいのにさぁ〜。

 そこの騎士なんかもう隣の奴と立ち位置重なり合って、真っ直ぐ立ててないじゃん。

 おかしいな、civ5からは同じタイルに戦闘ユニットをスタックできなくなったハズなんだが……。

 

 

 えーっと、ギギルガム様。これはなんです? 

 

 

「貴族に対し虚言を吐くなどあってはならぬ事。もしそこもとの先程の言葉が真実であるのなら、その腕前を己自身で示してみせよ。満足に示せなかった場合、罰として我々の依頼を受けてもらおう」

 

 堂々と腕を組みふんぞり返ったギギルガム様が尻尾で地面を軽く叩くと床にヒビが入り、騎士たちは刃引きされた訓練用の剣を抜いた。

 酒場に居合わせた数少ない冒険者たちから、どよめきと口笛が上がる。

 ここんとこのクジラによる街道封鎖で暗い雰囲気になっていた彼らは、突然始まったエンターテイメントに沸きあがった。

 他人の不幸と喧嘩とアイアンテールは中世の華なんやろね。巻き込まれた側はやんなっちゃいますよ〜。転移の時点で完全に巻き込まれに巻き込まれてっからね。

 

 いや困ったな……。

 貴族様、僕の想像の五倍すごすぎる。

 そら階層社会の運営について肯定はしたが、想定を軽々と超えて横暴でも困るんだよ。

 

 ……色々言いたい事は山ほどあるが、ここまで来たらこっちも語るだけ無粋な気すらしてきた。

 なんでこの短期間で魔王の走狗と騎士を二回ずつ相手にしなきゃいけないんだよ。僕らは一体人類と魔王どっちの味方なんだ?

 聖堂騎士団は模擬戦だからしゃーないけどさぁ。

 

 

 もはや論理もクソも無いお話になってしまったし、まぁもうこうなりゃ仕方ない。

 

 なにが仕方ないって明星先輩だけでなく先生もキレたからだ。

 戦術核でも止まらんゴジラを止める方法は僕にはありません、お手上げです。

 

「んだオイテメェら! さっきから聞いてりゃゴチャゴチャ難癖つけやがってよォ!」

「ウチの可愛いセートたちに、なに剣を向けてやがんだァ……?」

 

 向けられた剣を二人が同時に握りそのまま素手で握壊させると、取り囲んでいた騎士たちが目に見えて動揺する。人間がクッキーみたいに鉄を握り砕くとは思うめぇ。僕も今普通にビックリしたもん。

 ポケットにコイン入れて叩いても二つに増えちまうかもしれんな。税務署に目をつけられそうなグリッチだ。

 

 路上へ行こうぜ……久しぶりに……キレちまったよ……と言いながら、二人が周りの騎士たちを一瞬の早業で五人ずつ掴み、外へと引きずり出してゆく。

 しかも掴んでいるのは全て騎士の利き腕の人差し指なので、のきなみ全員が振ることすらできずに剣を取り落としていた。

 ど、どうやったら剣を握りこんだ指を絡め取れるんだ……!?

 なんなら無刀取りよりも高度な柔を見せられて、僕は解説役になることすらできず驚き役に徹することとなる。このポジってたいていヒロイン枠がやるんすけどね。

 

 机も椅子も全てなぎ倒しながら、武装した大の男たちが何もできず引っ張られていく様は壮観だ。

 もちろんこれは貴族様のせいではあるのだが、しかしヘイトがこっちに向くのは避けられないので、後でギルドの方には僕からも頭を下げておこう。人間の感情は理屈ではない部分もあるからね。

 事ここに至って冒険者たちも口をつぐみ視線を逸らし始める。ホントにヤベーのが、このドラゴニュート様と愉快な騎士団でなく僕らの方だとわかったからだ。

 

「賭けでも開きます?と聞こうと思ってたんですが、ちょっとタイミングが遅かったかもしれませんねぇ」

「もうだーれも向こうになんか賭けないよ。やるならむしろ今のうちに冒険者からスるくらいの方が、まだ儲けがありそうだもん。そんなこすっからい稼ぎはやんないけど」

 だんだん盗賊らしい発想が出てくるようになった悪王寺先輩をちと心配しつつ、まぁこの人ならそう悪い事はしないだろうと努めて気にせず、僕らは二人を追って表に出た。

 

 

 もうさっきの時点で正直完全に格付けは済んでいたのだが、もちろん彼女たちは外に出てからも騎士をボコボコにしていた。

 周囲の店や家に迷惑はかけず大きな怪我はさせてないが、投げるわ殴るわでスマブラみたいになってる。聖堂騎士団との模擬戦って手加減してたんスね〜。

 もはや勝負と呼称することもできない。オイタをした子供に躾をする大人の構図だ。

 一応騎士って半農半兵ではない職業としての戦闘集団であるプロフェッショナルなんすけどね……?

 

 本当なら僕が前に出てこうなる前になんとか収めたかったが、相手の態度が口先だけでなんとかなる範囲を優に超えてしまってたから仕方ない。

 二人と比べると腕っぷしに関してはクマムシとウルトラマンくらい異なるので、もはや解説もできない以上応援くらいしかすることなくなっちゃった。

 

 やれー! いけー! がんばれー! それ以上はマズくないかー!? 人の関節はそんな形に曲がらないぞー!

 

 まぁつってもやり過ぎるこたぁ無いだろう。

 不良ってのは喧嘩慣れしてるだけに、ここまでやれば立ち上がらないが重症にはならんというボーダーラインをわかっている。ただ“潰し“なんて二つ名が付いてる人も居るのでちょいと心配だが……。

 むしろ鹿野ちゃんや委員長みたいに、向こうの世界で喧嘩なんか一度もして来なかったタイプの人が強くなってるのが問題なのって、実際そのあたりなんだよね。

 殴り慣れておらず、痛めつけ慣れていないと、人は容易くやり過ぎる。

 ここらへんは先生に相談していて、対人で制圧する時の講習会がパーティ内で近く行われる手筈になっているのだ。

 望んでもないのに突然ハチャメチャに強くなっちゃった力にも、悲しいかな大いなる責任がともなうもんなんだ。かなり境遇近いしマーベルを教科書にしよう。奇しくもホームカミングが僕らの目的だし。

 ま、普段の力加減の教材は僕で良いしさ、ゆっくり自分と付き合ってこうよ。

 無邪気に先生たちを応援する鹿野ちゃんと、律儀に料理の代金を払いに行った委員長を横目に、僕はそう思うのだった。

 

 

 と、いい感じにまとめていると、タイミング良く明星先輩のアッパーが兜越しにキマり、最後の騎士が地に倒れ伏した。兜歪んでるけど中身大丈夫なんだろうな……?

 さて、みんなが頑張って荒事を収めてくれたので、後始末は僕の担当だ。

 

「ギギルガム様、これで僕らが金級だと証明できましたでしょう? 腕前を示す機会を頂けた事、感謝申しあげます。どうも僕らはこのナリなので、ナメられやすいのです。しかし貴方様は初手で無礼討ちにせず挽回のチャンスを下さった。その寛大なお心、まさしく……おん?」

 

 

「な、なんで負けちゃったのぉ……ベルスぅ、大丈夫ぅ……?」

「ず、ずみばぜん、お嬢様……このベルス、お嬢様のお願いを……叶えで差し上げられ無かった、事……一生の不覚で御座います……」

 

 先程まで口をあんぐりと開けて、人間種には無い鋭い歯列を満座に見せつけていた彼女はすっかり意気消沈。

 べそべそと泣きながら、倒れた騎士一人一人に声をかけて心配して回っている。

 

 一通り暴れてスッキリしていた先生や明星先輩も、何事かとこちらを見ていた。

 ……事情が変わった、続けて。いやルネッサンスはまだ先か?

 取り敢えず僕たちは、店に戻って詳しい話を聞くことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

「「「「10歳ィ!?」」」」

 

 戻った店で果実水を出してもらって、ぐずる彼女をなだめすかしながら話を聞けば、ギギルガム家当主のご令嬢たるヒート嬢はまだ年齢が二桁になったばかりだったらしい。

 そ、それでですかぁ!?

 一部を見てとんでもなく驚く僕と悪王寺先輩。気が合いますね。

 

 先程会った宿の女将は成長が緩やかな種族だったが、ドラゴニュートはその逆。

 極めて早熟に身体が出来あがり、生命の精霊溢れる全盛期の肉体が人より何倍も長い寿命の間続くのだそうだ。スーパー戦闘種族じゃん。特筆すべき特徴が無い人間種クンは泣いていいぞ。

 

 甘いが硬いドライフルーツを、難なくその鋭い牙で噛み砕きながら、彼女は鼻をすすりつつ事の経緯を話してくれる。

 

「お庭に大きな鳥さんが出て、パパとママと街のみんなが困っているから、私が何とかしようとおうちを飛び出して来たの……。でも、お小遣いは普段のおやつに使っちゃうから無くて、勝手におうちのお金は使えないし……だからギルドで金級の冒険者さんをいっぱい見つけ出して、無理難題を言ってお願いを聞いてもらって……後でお金も渡して謝ろうと思ってたの……たぶん、あの鳥さんさえどうにかしたら、パパもママも、いっぱいお金出してくれると思うから……悪いことだとは、わかってたけど……」

 

 ギギルガム様、お子さん自分の領地の事を庭だと思ってますよ。スケールのデカい話だ。

 しかしそんな領地より大きなのは、この子のみんなに対する愛情。そうだろ? 完全に胸打たれて僕ももらい泣きしちゃっている。

 先程の凛とした佇まいはどこへやら、涙ながらに事情を拙く話す彼女に、僕ら全員は瞬く間に絆された。

 

 

 みんなが困り果ててたし、街の雰囲気も産まれてこの方見たことないくらい暗くて、焦って慌てて泣きそうになりながら、ほとんど毎日ギルドへと足繁く通い、金級の冒険者を探していたらしい。騎士団に親しい実力者たちを数さえ揃えれば力を合わせてデカブツをなんとかできると考えたのだろう。悲しい事に、なんとか丸め込めそうな金級冒険者なんて今まで一組も来なかったらしいが。

 そうしてたまたま今日やって来た僕らに初めての白羽の矢が立ち、勉強した知識や会った事のある偉い人の真似をして、無理矢理にでも街を救って貰おうと頑張ったのだ。

 なんだよめちゃめちゃ良い子じゃないの~!

 

「ヒートお嬢様は! ヒートお嬢様は悪くないのです! 全てはこのベルスと、麾下9人の団員が企てた事! ですので、どうか、どうかお嬢様だけは……!」

 

 二人にのされてボロボロになった騎士たちが、漢泣きをしながら必死に弁明し彼女を庇っている様からも、普段どれだけこのお嬢様が好かれているかがわかる。

 

 

 僕らは顔を見合わせて、ならまぁ仕方ないなぁと先程までのやり取りは水に流す事にした。

 小さい女の子がみんなの為に、慣れない事頑張って空回っちゃうなんて、上手くいかなくても褒めてあげるべき微笑ましい事じゃないか。

 

「そうか……そういう理由ならよ、オレらが一肌脱ごうや! みんなもいいだろ、なぁ!?」

 

 明星先輩は目頭を押さえながらそう叫んだ。

 わかりやすく人情話に弱い。こち亀の擬宝珠家以降の話とか好きそうだもんね。僕わりと100巻までの方が好きなんだけど。

 しかしみんなも気持ちは同じなようで、ほとんど全員が好意的に彼女を捉え、やってあげましょうよと頷いている。

 

 ただ小金井さんだけが未だに泣きべそをかくヒート嬢を胡散臭そうに見ていたけれど、彼女の気持ちも察せるので黙っておく。

 まぁ、いいじゃんいいじゃん。そんなに目くじら立てなくてもさぁ。

 どうせ僕らが来たのはその怪鳥討伐の為だったんだし。

 幼い女の子が自分が思わず流しちゃった涙を、冷静になってから利用しようと企むなんて、空回りと同じくらい可愛いもんじゃないか。

 子供って結構知恵が回るし、小賢しい計画を建てたりもするもんだよ。

 例えば大事な騎士達がやられて泣いちゃったけど、それを都合良く演出に使ったりなんて事もあるかも知れない。

 でもそれも可愛げってヤツでしょ?

 なにより、彼女が流した涙自体は本物だったんだから。

 

 

「あ、みなさーん! おまたせしました、使者が帰って……え、ヒート様!? どうしてこの方たちと!?」

「お、ちょうど来たね。ではヒートお嬢様、参りましょうか」

「へ……? ど、どこに……?」

「もちろん、あなた様のお願いを叶えにですよ」

 

 呼びに来てくれた受付嬢が状況を把握しようと話しかけてくるのを「まぁまぁいいからいいから、大丈夫大丈夫」と煙に巻き、その足でギルドの用意してくれた馬車に乗り込む。

 

 こうして僕らは到着即日、依頼主である彼女のご両親と会うのだった。

 

 そもそもギルド経由でギギルガム様から依頼を受けて、僕らはこの町に来たんだからな。

 まだ10歳の娘さんに親御さんが詳しい話をするハズも無いし、普段から街に時々顔を出す彼女が連日ギルドに来ても、貴族当主と交わした内容をギルドが軽々しく話すワケにもいかず。

 

 結果的に彼女は親が魔王の走狗討伐者を呼びだした事を知らぬまま、一人使命感に駆られ東奔西走していたのである。

 泣き落としで上手く乗せてやったハズの冒険者が、親に呼び出され家にズカズカ乗り込んでくる段になって、全てを把握したヒート嬢は唖然としていた。

 

 策謀家にはまだちょいと早いかもね。

 でもまぁ今が成長期、これからできるようになっていけばいいさ。

 ……いいのか?

 

 謀略に長けるのが、果たして子供の学びの目的地として正しいのか……誰かの人生の正誤を断ぜられるほど老成していない僕にはまだわからないのだった。

 今からこれじゃ子育てが不安だよ~。主夫の道は険しく遠いぜ。

 子供の名前は僕とお嫁さんから一字ずつ取ろうな……。

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