【書籍化進行中】異世界で職業:ヒモとしてみんなにバフを撒いてたら完全に逃げられなくなっていた話   作:スーパー巨大特濃葛根湯

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【76】 月夜の二人

 八人目:王城(オウシロ) 琥珀(コハク)

 

 流麗な金髪を切り揃えたボブカットが、彼女が動く度にサラリと揺れる。

 明星先輩と変わらぬ背丈の、チビな僕にしてみりゃ大きな人。

 しかしながら先輩と比べればその体付きは薄く、筋肉だってしっかり付いちゃいるが筋骨隆々って感じじゃねぇ。

 どちらかと言えば悪王寺先輩に近いほど、スマートな体型に見えるくらいだ。

 けれどこれは、彼女の筋繊維が常人を遥かに凌ぐ密度をしているからに他ならない。

 文字通り“引き締まっている“って事。

 

「うむ、余はあの広場で早々に闇無と知名に声をかけられてな」

「彼らの人間性は日本に居った頃から知っていたし、何の問題も無いと了承した。そしてそうなると、余らは取るもの取らず異世界へ降りたたねばならんくなってしまう」

「こういう言い方をするとかなり気分が良いが、余らはみなかなり校内でも有名であった。そんな三人が組めば、自然と優秀な人間のおこぼれに(あずか)ろうという輩が無数に湧いてしまうだろう。なんせ100人以上おったからな、放っておけば20人は付いてきたと思う」

「これは余と知名の共通意見だったのだが、かかる難事には少数精鋭で挑むべきである」

「神が言うには、これから行く異世界では数多くの命の危険があり、最終的には魔王を倒さねばならぬ旅路だ。そんな過酷な旅でなにもできぬ足手まといを守っていては、自身の身すら危うくなる……ま、そもそも天の使いも三人程度のグループを推奨しておったしな。あまりに多人数で組めば身動きが取りにくい、と」

「故に、余らは三人組ができた瞬間に、周りを見回す事もほぼ無く門をくぐった」

「だから! 余がその時に周囲も見回さずこちらへ来たせいで! 聖生・エルフ・超華麗・聖先生や悪王寺先輩明星先輩が居ったのに気づけずじまい! 一生の不覚!!」

 

 本当に悔しいのか、歯ぎしりをしながらジョッキをテーブルへとドンと叩きつける王城さんに、みんなは呆れたような視線を向けている。

 僕も知ってるねぇ、これはアホな男子を見る時の目です。

 それ酒じゃなく果実水だぞ、ノンアルで酔うんじゃないよ。

 

 しかし優しげに細められた糸目とは不釣り合いな傲岸不遜な物言いが、なんだか彼女にはよく似合っていた。

 実際んとこ、この性格しか知らない僕からしてみれば、なんというかこっちの方がよっぽど彼女らしく感じちまうね。

 王者としての風格を持ちながらも、友達になりたいと思えるだけの気軽さが、今の彼女には備わっている。

 

「王城さんさぁ、異世界来る前からそんな事考えてたの? その優しげな糸目の裏にそんな脂ぎった欲望があったとは、ボクあんま思いたくないんだけど」

「無論きちんとあったぞ! とはいえ、日本に居た頃からの貴方がたとの付き合いの目的がソレだったわけではない事は、ちゃんと言っておかねばならん」

 

 ま、そらそうだろう。

 欲が無い人間は居ないけれど、欲だけが人間の行動原理の全てではない。

 振る舞いの下に隠された心根が綺麗かどうかはまた人それぞれだけど、誰にだって下心はあるのが自然じゃんね。

 

「……その物言いだと、助手クンにも下心はあるってこと?」

「そりゃありますよ。むしろ僕なんてそればっかりだ。目の前に大好きな人が居れば、仲良くなりたいし喜ばせてあげたいし幸せになって欲しいと思っちゃう。不純な人間で嫌んなっちゃいますね」

 

 大好きなみんなと、ずっと仲良く楽しく笑って生きていきたいなんて、少し身分不相応な願いかも知れんが。

 それでも願わずにはいられない僕は、正直王城さんよりよっぽど不遜な輩だよな。

 

 

 そんな風に考えていた僕に、王城さんがズイと顔を寄せてきて、コソコソ話をしてくる。

 わわわ、なんだなんだ、美人がガチ恋距離にズームインしてくるとビビっちゃうよ。

 

「オイ、なんでお前と悪王寺先輩がそんなに良い雰囲気なんだ。見ろ彼女の上気した頬と潤んだ瞳を、どう見ても恋する乙女ではないか。うわ、麗しっ! 見てたら目が焼かれてしまうぞ」

 ホントだ、綺麗すぎる。脳が恋しさで絞られちゃう。

 

「まぁ僕だってそりゃ異世界来て数ヶ月、みんなと一緒に暮らしながら色々と冒険してきたからね。そんな中でそれぞれと接してれば、情の湧く事だってあるだろうさ。たまたま拾った汚いネズミだって、ペットにしてみりゃあばたもえくぼで気まぐれにもうちょっと飼っといてやってもいいかなと思う時だってあらぁな。精々僕はその情にお返しができるよう、精一杯尽くして捨てられないように頑張るよ」

 

 さしあたって、夜な夜な機織りでもして反物作る内職でもしようかね。けっして見てはいけませんよ、見られるとバードマンに動物にされちまうんでな。鶴にされちゃう。

 どっちかっつーと犬が良いんだけど。飼いたがってた目黒さんが喜ぶし。鹿野ちゃんも家でメチャデッケー犬飼ってるらしいから、一緒にドッグランにも連れてってもらおう。

 

 ご主人様たちがのんびりペットたちを眺めてる間に、この僕がドッグラン中の犬ころどもをまとめあげ大青海わんにゃん帝国を作り上げてやる。

 ククク、なんせわんこの群れん中じゃ一番IQ高いだろうからなァ……? 吠え癖やトイレの躾もお手の物よ。

 そして最後には動物に備わったプリミティブな腕力でねじ伏せられクーデターされるぞ。帝国の落日……War Never Changes……。

 新たなボス犬に腹見せて従順な副官ポジに滑り込んで、せいぜい可愛がられる事にしよう。

 

「え……いや、どう見てもそんなレベルじゃなくない……? あんなんグラグラに煮詰められたどろどろの愛じゃん、余でもわかるって。ていうか、なんか、みんなの見る目が全部そうじゃないか……? お前めっちゃデカい矢印でハリネズミみたいになってない……?」

 

 な、なにを根拠にそんな……言いがかりはよしてくださいよ! 僕がどうやってそんな矢だらけのやる夫だって証拠だよ!

 ちょっと何言ってるかよくわかんないけど、多分みんなヴァンサバ系では真っ先に弾のサイズUPを集めるタイプなんでしょ。

 あの手のゲームじゃ攻撃範囲増加が一番効率が良いからな。

 倒す量が増えれば経験値も指数関数的に増える、セオリーってヤツさ。

 

「えぇい、余のわからん物に喩えて煙に巻こうとするでない。お前どうやったら数カ月でこんな事になるんだ! なんか怪しい魔法でも使っとらんだろうな!?」

「おっとデジャヴ。おんなじ事を明星先輩たちと初めて顔合わせた時にも言われたんだよね、懐かしくなっちゃった。まぁ催眠をかけてない証拠って悪魔の証明はできないけどさ、もしそんな悪逆非道の人間なら、バレる可能性があるのにわざわざ魔法かけてない相手を同じ宿に招かないでしょ?」

「……じゃあより話がややこしくならんか?」

 

 マズいな、正論だ。ちょっと勝てない。

 ホラホラ王城さん! 僕なんかとこんな風にこしょこしょ話してばっかじゃなくさ、話の続きを聞かせてよ! みんな待ってるし!?

 

「段々青海蒼という人間がわかってきたぞ。お前、そう遠くない内に手詰まりになるからな……」

「さて、待たせたな皆の衆。余らが降り立ったのは河の街、フーゼニスティア! 流れる大河に跨がって作られた大きな街だ。両岸を繋ぐ大橋は、人間の執念と偏執的なまでに緻密な魔法で作り上げられた、まさしく血と汗で描かれた魔導陣のような物でなぁ」

「一月余りしか居らんかったが、そこでとある人たちに随分と良くしてもらった」

「余所者である我々に仕事がないなら冒険者をやれ、泊まるとこが無いなら狩った肉さえ持ってこりゃ泊めてやる、飯食うならあそこはボるから避けろ、我慢は体に毒だ……」

「闇無と知名が時折連行されておったが、まぁ色々と世話をしてもらっておったのだろう」

「無論、それだけしてもらっておきながら何も返せぬようでは王城家の名折れよ。まずは滑空する兎から始まり、角の生えた狼や8本足の大熊まで……闇無の剣と知名の魔法に余の肉体で打ち倒しては、街で売り払い近隣に毛皮や肉をお裾分けしたりもしてな」

「気付けば余らも銀級と呼ばれる位階にまで達した頃、こんな話を聞いた」

「東にあるボゥギフトという街に、魔王の走狗を二度討った新人冒険者パーティがあると」

「余らが避けたかったのは、庇護対象を抱えた共倒れだ。手を取り合って協力できる仲間が増える事は、言うまでもなくこれからの旅をより良いものとするだろう」

「世話になった者たちへ必ずまた戻ると約束して、余らは一路東を目指し……ここへと辿り着いた」

「その後は言うまでもなかろう? あと数日すれば彼奴ら二人も戻るだろうから、より詳しくはその時にでも、な」

 

 

「へぇ、なんだか思ってたよりまっとうな旅路ですねぇ。失礼ながら、変わり果てた性格からもっと型破りな事をやってきたのかと想像してしまっていたのですが」

「小金井は余らをなんだと思っているのだ……異世界に来て常識も弁えぬままそんな大暴れをしたら、どんな目に遭うか分かったものではないだろうが。自由には生きたいが、別に馬鹿になったワケではない」

「ですが今の王城さんの行動はおよそ馬鹿に分類される生き方では」

「あのな正親、正しい言葉なら何を言ってもよいわけでは無いんだぞ」

 

 出会った当初はその様変わりに驚いていたみんなも、どうやら今の彼女の在り方に慣れてきたらしい。

 せめて接しやすいようにと、僕が率先してじゃれあい仲良くして見せたのが功を奏した……っつーよりは、もともと王城さんがとても魅力的な人間だったって考える方が自然かね。

 話してて楽しく、偉そうながらも気安い、ずっと上機嫌な良いヤツ。

 物腰柔らかな優しい大人の女性とはまったく方向性が違うけれど、どっちの王城さんも誰からだって好かれる好人物だ。

 

 この分ならば、僕が何かをフォローする必要なんて無いのかもしれない。

 嘘や誤魔化しが必要な程、僕らのパーティは他人の痛そうな腹を探る趣味を持った人間が居ないからね。

 ……ま、件の連れ込み宿での痴態が鹿野ちゃんあたりにバレた時は、できるだけなんとかしてあげよう。

 

 大皿に盛られた料理を片っ端から消費しながらかしましくおしゃべりする皆の様子を見て、僕は改めてそう心に決めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 宴会も終わり数時間、そろそろ日も変わったであろう夜更け。

 僕は宿屋のエントランスで、前足2本が浮くくらい椅子の背もたれに全身を預け、天井を眺めていた。

 日本ならこういう時すぐにスマホでもいじってた事だろうけど、こっちの世界にそんな便利な時間潰しはねぇからな。

 俯く時間が減って、前と上を向く時間が増えた。

 

 こっちの世界は夜に灯す光源も安くはないし、なによりそういう娯楽が無いから、基本的に全国民が爺さんの生活リズムで早寝早起きなんだよな。

 今頃良い子のみんなはすっかり夢の中へだろう。

 扉の外から虫の声が響き、それに紛れて遠くの酔漢(悪い子)の笑い声や罵倒がかすかに耳朶を打つ。

 

 窓から差し込む月明かりは、今日はどこか青みを帯びていた。まるで深い海の底にいるかのような気分にさせてくれる。神秘的な美ってヤツ?

 しかし風に運ばれてきた酔っぱらい共が叫ぶ下ネタが、その神秘性をブチ壊した。陽気でいいね。

 天高く中空にて輝く月は、地球じゃ絶対にありえない両端が照らされ真ん中が暗い意味不明な欠け方をしている。

 中二の頃にみんなが考える白目と黒目が逆転したキャラみたいだ。オゴボボボー!

 未だ記憶の地表近くに存在した鮮烈な黒歴史を掘り返した僕は、しめやかに爆散した。良いデザインだと思うんすけどねェ!?

 

 こちらの世界でも月は変わらず一つのままだが、太陽は二つある時期があったりするのが影響してんだろうかなぁ。

 不思議な天体をしてるもんだよ。どういう釣り合いで公転が成り立ってんだ?

 なんかの拍子に全開の太陽が二個並んでこの星焼けちゃったりしねぇだろうな。

 

 ほんで時々今日みたいに、月の表面が妙に蒼かったり紅かったりする時があるのは、一体どういう原理なのだろうか。

 現地の人に聞いた話じゃあ、なんでも月の表面を陣取ってる精霊の割合で色が変わるんだそうだが、マジで兎じゃなく精霊が住んでんのかなぁ。

 まぁ違う星なんだから、そもそも月でも太陽でも無いんだけど。

 

「あン? まだ起きてたんか蒼、こんな深夜に」

「あ、明音先輩、帰られましたか。お疲れ様です。なに、ちょっと眠れなかったもんで。ちょうどいいしお散歩に出かけられた先輩をお出迎えしようかと思いまして。これ、水の桶と綺麗な手拭いです。ついでに木の実クッキーも付けちゃう」

 

 僕がそんな風に宇宙の謎に思いを馳せて不眠モードに入っていると、ちょうど待ち人が来たので座ってた椅子からひょいと飛んで立ち上がる。

 宿へ帰ってきた先輩の格好はいつもどおりで、まるで近所のコンビニに行ってきたみたいな気軽さ。けれど彼女はだいたいいつもこうだ。

 ほとんど手ぶらで買い物にも行くし、戦闘にだって臨む。

 常在戦場を体現したみたいに、自然体が臨戦態勢。

 だから彼女が深夜のお散歩がてら、コッソリ町の外へ鍛錬に出たとしても、不思議でも何でもない。

 

「……オマエってさ、魔法使ってんのか?」

「まさかぁ。それならヒモじゃなく堂々と魔法使いを名乗りますよ。先輩がいつもなら隠れて飲むお酒を今日は頼まなかったり、ほんの少し召し上がられる食事量が少なかったり、いくつか推論の根拠はありますけれど……そもそもやっぱり、大切な人が腹を決めた時くらい目を見ればわかるものじゃないですか」

 

 先輩が王城さんとの立ち合いに負けてしまった事実について、こう言ってはなんだが正直そこまで重く考える必要のない事だと僕は思っている。

 それは先輩の実力を軽く見ているとかそういう事では無く、単に履かされた下駄の歯の高さが違うからだ。

 天から格闘王の適性を与えられた王城さんが、恩賜された神お手製の武器である"肉体"を使ってるのに対し、僧侶としてこの世界に送られた明星先輩が聖なる力を使わぬ一時の喧嘩に負けたところで、二人の間で明確な優劣が付くハズがない。

 

 そんな風に僕は考えているけれど。

 もちろん、当の本人がどう思うかは話が別だ。

 

 ステゴロの強さってのは、どうしたって彼女らの世界観で言えば重要なファクターに違いない。

 生まれてこの方真正面の力比べで負けた事が無かった(対エルフを除く)先輩が、その勝敗を重く受け止めぬとは到底思えない。

 不甲斐なさ、悔しさ、憤り、苛立ち、そんな黒々とした熱量が渦巻いている瞳を見れば、彼女がどうしたいかを予測するのは競魔の賭けを外すより簡単な事だった。

 

「ホントは僕もお供したかったんですけど、多分先輩の鍛錬の邪魔にしかならないだろなって。なら、守らなきゃいけない足手まといがのこのこついて行くより、帰られた時用の支度をしてお出迎えした方が良いんじゃないかなと思いまして」

 

 めっきり冷え込むことも増えたこの季節に冷水なのは申し訳ない。この世界じゃお湯ってのはそう簡単に用意できないので、そこは心苦しいとこだぜ。

 代わりに手拭いはちょっと良いやつなんだよね。バルツァンで買ったの。ついでに女将さんに習ってデフォルメアシナガトゲアリナメクジの刺繍まで入れちった。ムズ過ぎん? 僕指先穴だらけになったんだけど。

 委員長に見せたけど可愛いと評判で、危うく彼女の持ち物全てに入れるようねだられちゃった程だ。

 僕の指が穴だらけになるのはまだいいが、全ての服に変な生き物を縫い込んでしまうと流石に取り返しがつかな過ぎるので、素材入れの鞄に入れるだけで許してもらったぞ。

 

「気休めにもならないかも知れないですけど、僕は明音先輩がこうやって頑張る人なのを知っています。だからこそ、貴方をカッコいい人だと思う。折れずに歩みを続ける貴方は、僕が憧れる姿そのものだ。……それじゃあおやすみなさい、明音先輩」

 

 やりたかった事をやり、伝えたい事を伝えた僕は、そそくさと部屋へと引っ込んでゆく。

 明日の予定はどうせ解体の終わった大玉雛の素材を持って服屋へ行くだけだし、今から寝ても十分ゆっくり休息が取れるハズだ。

 ちょっと狩り過ぎたかなと思ってたけれど、王城さんパーティの三人分を追加してもギリギリ足りて良かったんぶっ──

 

 

 

 

「……こんだけの事しといて、そのままハイまた明日はねぇだろ」

 

 銀の糸を引く艷やかな歯列を月明かりに晒して、獲物を前にした獅子のように彼女は微笑む。

 

 僕の足は完全に地面から離れ、脇に通された腕だけで軽々と持ち上げられていた。

 昼間もこうなってた気がするぞ、体重増えたハズなんだけどな……?

 

「蒼、今夜は一緒に寝るぞ。──寝させてやれるかは、分かんねぇけどよ」

「ひゃ、ひゃい……」

 

 強引なまでの迫り方に完全に堕とされた僕は口答えなんてできるはずもなく、ぐるぐると目を回しながら真っ赤になった顔でただ頷くことしかできなかった。

 いやだってそんなさぁ! カッコいい憧れの人にこうされたらさぁ!!

 誰に向けたわけでもない、言う必要の無い言い訳が頭にこだまするのは、きっと照れ隠しなのだろう。

 いつまでたっても、何度経験しようとも、好きな相手に愛を囁かれる事に慣れられる気がしない。

 

 

 そうして片手に水桶と手ぬぐい、逆の手に僕を横抱きに抱えた先輩は、静まり返った宿の奥へと歩を進める。なんか鴨がお手軽お持ち帰り寄せ鍋セットを自分で用意したみてぇになってないか?

 

 もしかすると、いや、わかんないけれど……明日は寝不足で過ごす事になるかも知れない。

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