顔に線の入っている一彩にクラスメイトは驚きつつも、今はまた別の事件に注目していた。泥花市崩落事件だ。街の惨状を見ると死柄木を想像させるソレはいつか死柄木との決着をつけなければいけない事を示唆していた。
「にしても一彩は帰ってきてすぐにまた実家に戻ってたけどよ、次はいつ帰ってくるんだ?」
とつい切島が愚痴っている。偶に手合わせしていたからこその心配であろう。
そして一彩抜きでヒーローが集合、死柄木捕縛作戦が始まるーーー
まだ帰ってこない一彩を心配するなか、そんな事ももはや些事であるかのように目の前の戦況は変化していく。結局の所死柄木は目覚めてしまったのだ。それに対峙するは緑谷と爆豪、轟にエンデヴァーなどなどである。
戦況は悪い。だが最悪ではない。元々扱えていた【黒鞭】と【発勁】に加えて【浮遊】と【危機察知】を開花させていたからだ。これによって致命傷だけは避けていた。【天蓋】は一瞬しか通じない。その瞬間にトドメを刺さなければならない。それがとてつもなく難しいことを彼らは知っている。普段ならば敢えて受けている一彩ですらヒーロー活動中はその一撃すらないのだから。
そして今、さらに戦況が悪化した。ギガントマキアがやってきたのだ。ギガントマキアはどこに居るのか不明だったが確か報告によればもう一つの場所に居たはず・・・ここまで走ってきたのかと緑谷は驚く。
さらに驚くべき事はそのギガントマキアに複数人が乗っていた事だろう。・・・だが、緑谷がそちらに意識を割く事はない。一彩・・・いや、あの時は高校生としてではない、ヒーロー・・・いや、アレをヒーローと呼ぶのかは分からなくなっているが。龍牙としての彼に習ったことはたくさんある。その中の一つが彼の体質についてだ。彼は日常的にあまり音が聞こえていない。それは分かっていたがそれは戦闘中もらしいのだ。そしてその事について彼はこういった。「それだけ周りに危険がないんだから別にいいじゃないか」と。確かにそうだ。ヒーローはオールマイトの様な【人々を救い笑顔にする】仕事であって【ただ人々を笑顔にするのではない】のだから。それにあの上にいるヴィランの個性は割れていてその対処は今の轟や爆豪でも出来る。ならば・・・となっているからこそ、話は聞かず死柄木捕縛のみをゴールに据えて動く。
そうなると当然死柄木も動揺するだろう。目の前にいるのはヒーロー信者のはずだ。ならばヴィランの扇動だろうとも聞く位はするだろうと。割とオールマイトですらそうなのだからと。だからこそその間に回復をしながら逃げる算段を建てようとしたのだから。別に今ここで殲滅することも可能ではある。しかしそれを成し遂げた場合のデメリットも大きすぎるのだ。創世の一族が後ろに控えているのだからもう少し有利な舞台にしたいと考えるのは当然であった。
しかし現実はどうだ?ヒーロー信者は力を付け人々の話に耳を貸さずに目の前のヴィランを討伐しようとしてくるではないか。・・・まぁ、ヴィランがいて、ヒーローがいるならこうはなるのだろうが・・・それでも、こう・・・なんか違う。というのがある。
「いつからこうなったんだよヒーロー!」
「まずは・・・君を捕縛する!それだけでどれだけ今の社会が救われるというのか・・・分からないわけではないだろう!?」
しかし、しかしだ。いくら緑谷が本来の時空よりも強かったからと言っても相手は魔王だ。あと一手、足りないのだ。【変速】を扱えるかどうかが命運をわけてしまったのだ。その結果、日本は崩壊し・・・結局の所、運命からは逃れられないということだ。
その数日後、緑谷は失踪した。手紙を残して。
そして一彩は・・・結局戻ってきていない
京都、【創世本家】。龍牙はここに居た。諸外国との調整もあるが、理由の一つとしてエリの様子を見ることもあった。彼女が本格的にここに関わるのかどうかはこちらで決めることではない。しかし個性の暴走は【終末論】を加速させる。それに【巻き戻し】は充分こちらでサポートするに値する個性である。・・・まぁそれはそれとして彼女の境遇に対して可哀想だと思ったのはあるが。そしてその派生としての結末として一個分かったことがある。過剰な巻き戻しは死を招くが、そこから更に過剰に巻き戻すと無限に辿り着くのだ。それは即ち0である。・・・つまりどう言う事なんだって?つまりだな。【個性を永遠に停滞させる】ことが可能になったのだ。・・・まぁその調整をしていたから死柄木が復活してたりとかなんだりかんだりラジバンダリetc・・・は忘れていた。まぁコレを緑谷を投与すれば【OFAの灯火】が消えることがなくなった。あんな消耗系個性が無くなるのは人類的な損失が高い。故に今代で締める為にも彼に投与するのだ。
原作の本編はあと数話で終わります。関与しないところが原作と変わらないのは運命が強いからですね。無限=0は作者の個人的な感覚です。