ヤンデレ女神に愛され過ぎて辛い   作:マロン64

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すみません。体調が悪くて病院にいったところ、小腸が腫れていると言われました。だからめちゃくちゃ腹が痛かったのか……


第10話 妖精女王の浄化だよね。

「チュン! チュン!」今日もオーラン村は平和だね。あれから1週間経ったよ。僕は朝食を食べた後、1人で稽古をしてる。「ハーッ!」以前はタイムラグが3秒くらいあった魔力の練り上げも一瞬でできるようになったんだ。

 

 一瞬で魔力を練り上げた後、作るのは以前できなかった魔気の鎧だ。これは長いので『魔鎧《まがい》』と名付けたよ。僕は戦国時代の日本的な鎧をイメージすることにしたんだ。

 

 魔鎧のメリットは2つある。1つは魔絶気よりも魔力消費が少ないことだね。そしてもう1つは魔力バランスを変えることによって、顔や腹と言った局部を集中的に守れることさ! 

 

 いつもはこの魔鎧を使って闘気の鎧、『闘鎧《とうがい》』を纏ったゴン太師匠と組み手をしているよ。でもゴン太師匠は魔鎧の魔力が集中していないところを瞬時に見抜いて攻撃してくる。まだまだ武の道は険しいね。

 

 今日は1人で稽古をしていると、リリィとゴン太がやって来る。「リリィお姉ちゃんにゴン太師匠。2人してどうしたの?」

 

「トオル君、今日も精が出るわね! 実はゴン太が悩み事があるって僕ちゃんに相談してきたの。」リリィは困り顔で話す。

 

「トオル、稽古中にすまねえだ。実は村の倉庫の小麦が盗まれてなぁ。」ゴン太も困った顔をしているね。

 

「小麦が盗まれた!? パンが食べられなくなるじゃないか! 盗んだ奴は誰なの?」食べ物を粗末にするやつは許せないよ! やった奴はどこの村人だ?

 

「それがなあ、この村の物じゃねえんだ。やったのは妖精なんだ。」僕はゴン太の話を聞いて、妖精!? と驚きの声をあげたよ。

 

「妖精はね、この森に昔から住んでいて悪意は無いんだけど、いたずら好きで困った子達なの。特にオーラン村の小麦を盗んでパンを食べるのが好きみたいで…… やめてくれって言ってるのにやめないの。」リリィは弱った様子だな。

 

「妖精たちがパンを食べるのが好きなら、パンを焼いて食べさせてあげれば良いんじゃない?」僕はそう提案したけど、2人は首を振った。どうやら妖精たちはパンをあげてもあげきれないほど沢山数がいるみたいだ。

 

 妖精は魔物と同じく、食事は必要ないのだが、パンが大好きらしく小麦を盗むのをやめないらしい。物々交換をしようと言っても、盗めば良いと言って取引を拒否するみたいだよ。

 

「ゴン太師匠、一度懲らしめた方が良いんじゃないかな?」僕は魔鎧を使って妖精たちを懲らしめようと考えたよ。

 

「トオルは魔鎧を使うつもりだなぁ? 妖精はいたずら好きだけど温厚だから攻撃はしてこないと思うがなぁ。ちゃんと魔鎧を制御できるか?」ゴン太師匠に僕は勿論です! と答える。

 

 

 「それでは、妖精たちとの対決の準備をしよう!」僕はリリィとゴン太と一緒に森へと向かったんだ。

 

 森に入ると、色とりどりの光が舞い、妖精たちが飛び回っているのが見えた。彼らは人間の姿とは異なり、透明感のある羽根を持っており、小さな体はまるで光に包まれているかのようだった。

 

 僕たちが近づくと、妖精たちは警戒して飛び回ったが、一人の妖精が前に出てきた。「人間、なぜここに来たの?」彼女は首をかしげながらも、好奇心満々の目で僕たちを見ている。

 

 「僕たちはここに来た理由は、あなたたちが村の小麦を盗むのを止めてほしいからだよ。」僕は妖精に説明した。

 

 妖精は一瞬驚いたように見えたが、すぐに笑顔を取り戻した。「ゴブリン族の作るパンは美味しいからね。だけど、私たちにもわけがあるの。」

 

 「わけがあるって、どういうこと?」僕は深く知りたいと思った。

 

 「この森は昔から私たちの家だった。でも、魔物たち、特にゴブリン族が森を切り開いて、私たちの住処を奪っていったの。だから、ちょっとしたいたずらで小麦を取り返しているの。それに……」

 

 僕はその話を聞いて、ただ単に悪戯が目的ではないことを理解した。妖精たちにとっては生存の問題だったのだ。ただその後の何か言いたげな表情が気になった。

 

 とにかく説得してみようとしたよ。「そうか、僕たちはあなたたちのことを理解していなかったね。ごめんね。でも小麦を盗むのではなく、一緒に解決策を見つけようよ。」僕は笑顔を浮かべて言ったんだ。でもその妖精は悲しそうな顔で俯きながら言うんだ。

                                      

「悪いけど、今はそれはできないわ。妖精女王様の容体が良くないの。事態は思わしくないわ。美味しいパンをいっぱい食べてもらう必要がある。」その妖精は悲壮な顔で俯いたままだった。

 

「それなら、妖精女王様の容体を僕が見てあげるよ。美味しいパンも焼いてあげるから。」僕は心配しながら必死で説得する。

 

「悪いけど人間は信用できないわ。妖精女王様があんな風になったのも人間のせいよ。お前が立ち去るなら良いわ。でも食い下がるなら容赦はしないわ。」そう言って、彼女は静かに敵意を向けて来たんだ。

 

「そんな! 君と争いたくない!」だけど思いは届かず、彼女は詠唱を始めていたよ。彼女の周りを緑の魔力が爛々と輝き、森に降り注ぐ。どうやら木属性の使い手らしい。

 

「森よ、彼を縛り上げ、生き血を吸い、この森の養分にしなさい!!」彼女が詠唱を唱え終わると森が蠢き、メキメキと音を立てたかと思うと大量の木の根が僕を襲ってきた。

 

「トオル、魔鎧を使うだ! 素肌で触れたらミイラみたいになっちまうだ!」ゴン太が焦った表情で叫ぶ! 僕は焦りながらも魔力を練り上げ、魔鎧を発動する。僕の姿は青い甲冑を着たような姿になる! 間一髪で木の根から肌を守れたよ。

 

「クソ! 一瞬で魔鎧を発動するなんてあり得ない! でも女王様を陥れた人間が憎い! にくい! ニクイ!」彼女は非常に興奮して、緑の魔力を振り撒いている。何か様子がおかしいぞ。

 

「ゴン太師匠! 一瞬で良いから、彼女の気を引いてください!」わかっただ、トオル! と答えて、ゴン太は闘鎧を身に纏う! そして闘気を手のひらに溜めて、弾のように、彼女に向けて打ち出す!

 

「僕ちゃんもいるよ! 魔言!『動くな』」リリィのナイスアシスト! 彼女に魔言は一瞬しか通用しなかったが、それでも動きを止めていた。その間にゴン太師匠の闘気弾が彼女に当たり、彼女は吹き飛ばされた。

 

「うっううう、でも魔力の塊である私たちに闘気は聞きが悪いのよ! すぐにあんたたちも森の糧にしてやるわ!」彼女がまた木魔法を行使しようと準備しているときに僕は魔絶気を纏って後ろにいたよ。

 

 ゴン太とリリィが時間を稼いでいる時に顕微眼で彼女を見ていたんだ。彼女の魔力は黒い瘴気のようなものに犯されていた。あれが彼女をおかしくしているしょ正体だ。

 

 あれを取り除く方法は魔絶気で彼女を滅すればいい。だがそれでは彼女は死んでしまう。でもね魔絶気や魔鎧を作った時に気付いたんだ。イメージで魔力の質が変わることにね! だから瘴気だけを滅する魔気で攻撃すれば良いんだ!

 

「トオル君、やっちゃって!」「トオル、制御をしっかりするだ!」2人の声が交差する!

 

「行くよ! 『魔聖気』!!」僕は白に近い水色のオーラを纏い、彼女に突っ込んだ。すると彼女の体から黒い瘴気が出てきて、塵のようになって消えていく。彼女の恨みや憎しみも浄化されていくようだった。

 

 こうして妖精の彼女の暴走は治ったんだ。新しい魔気の使い方もできたし言うことなしだな!

 

 

 

 僕たちはいたずらをする妖精たちをこらしめるはずだったが、いつの間にか瘴気に飲まれていた妖精の少女と戦い、瘴気を浄化したのだった。

 

 その後、妖精の少女アニーと和解し、妖精女王様の容態を見て欲しいと頼まれて、それを引き受けることにしたんだ。

 

 トオルとリリィ、ゴン太は妖精の少女アニーと他の妖精に連れられて、森の奥深くに隠された妖精たちの庭園へと向かっていた。

 

 なんの変哲もない寂れた森の中の木の一本の前に連れて来られる。「ここが庭園なの?普通の木だと思うんだけど……」「オラも違いがわからねえだ。なんでここに連れてこられただ?」リリィとゴン太は首を傾げているよ。

 

 僕は顕微眼を持っているからすぐに違いがわかったよ。「アニーと似たような魔力で作られた入り口が見えるね。でもちょっと瘴気が混ざってるし、入り口が不安定な気がするよ。これって大丈夫なの?」

 

「トオルって魔力が見える魔眼持ちなの? 妖精たちでも感覚でしかわからないのに…… 瘴気が混ざってるのは女王様が私と同じように瘴気に犯されているからだと思うわ。魔力も減っているから、庭園を守る結界にも影響が出ているのね。」

 

 妖精女王の庭園には、妖精が狙われたり、攫われたりしないように普通には見えない結界が張られているようだね。ただその結界も女王の体に影響が出て、綻びが出てるようだ。早く女王の容態を見ないとね。

 

 アニーが口元で何かを呟くと、木の中に祠ができる。その入り口を通ると荘厳な世界が広がっていたよ! 「すごいわ!! 空の色は夕焼けと夜空が混じった黄昏の色をしていて、空気には蝶の鱗粉のようなキラキラとした粉が舞っているわ!」リリィは目をキラキラとさせているね。

 

「ここは伝説の通りだ! 地面には青色や空色のキノコが生えていて、遠くには湖とそこに浮かぶ木の根と石造りの大きな城が天空に浮かんでいるだ!!」ゴン太が興奮して叫んでいるよ。

 

「すごいね、其処彼処《そこかしこ》を色とりどりの羽をした妖精たちが空中に浮かんでる! あれ、でもみんな元気があまりないね……」僕は妖精たちの元気があまりないことを悲しんだ。結界に瘴気が混ざっていることが原因かもね。

 

「そうなのよ、女王様があの人間に陥れられてから、庭園の空気がおかしくなったの。みんな元気がないから外に出る子も多くてね……」アニーも悲しそうに語る。

 

 そうか!オーラン村に妖精たちが来ていたのも住処にいるのが嫌で女王様のためになんとかしようとした結果かもしれない。

 

 僕たちは妖精女王様のいる城に向かったよ。妖精たちも元気がないからか、1回もいたずらをされずに城についた。「なんか緊張してきたよ。僕は礼儀作法に疎いからさ。」「そんなの僕ちゃんも知らないわよ。」「オラもだ。」「大丈夫よ。女王様はそういうの気にしないわ。」

 

 城の入り口を抜けると、廊下がずらっと並んでいて、部屋もいっぱいで、その一つに謁見の間があるイメージだったのだが、中には部屋が一つあるだけだった。

 

 その部屋に入るとまず目に入ったのは黒い瘴気が部屋中に漂っている様子だった。その瘴気の発生源の元を辿ると黒色の澱んだ羽を生やした老婆のような歳を取った女性がベッドに寝かされている。「この方が妖精女王よ……」アニーは俯いて手を握りしめて辛そうな様子だ。

 

「人間ですか。アニーが連れてきたということは信用はできるのでしょうが、私個人としては信用も信頼もできないといった気持ちですね。どうしてここにきたのですか。」掠れた声で話す妖精女王は人族の僕に辛辣な様子だった。きっと辛い目にあったんだろうね。

 

「ちょっと! あなたの容態を見るためにトオル君はここにきたのよ!」「そうだ! 妖精女王だかなんだか知らねえが客人に対して随分な態度だなぁ!」「リリィお姉ちゃん、ゴン太師匠、良いんだ。きっと女王様にも事情があるんだ。女王様、まずはお名前を教えてくださいませんか?」

 

「つっ!? ゴホン、私の名前はセレスです」女王様は少し驚いた顔をした後、ゴホンと咳をして名前を教えてくれたよ。

 

「トオル、リリィ、ゴン太。私から謝るわ。女王様は人間に攫われた間抜けな私を救ってくれたばかりにこんな御姿になってしまったの…… 前はもっと明るくて、美しい女王様だったのだけど……」

 

 アニーが事情を話してくれたよ。まず妖精のアニーが奴隷商人によって人間に連れ去られた。妖精たちの庭園の場所を探る人間たちがいたらしいね。懲らしめようとしたアニーが返り討ちにあい、捕まってしまったらしいね。

 

 そこからセレスが話してくれたよ。妖精は元々人間のペットやコレクションとして人気があるため捕まると悲惨な目に遭うことが多い。最近もアニーが攫われて、妖精女王が人族の貴族の屋敷に乗り込んだのだが、それは罠だった。

 

 攫われたアニーは助け出したものの、瘴気を操る術によって魔力の塊である体を瘴気に蝕まれ、意思の自由まで奪われそうになったらしいよ。隙をついて逃げ出してきたらしい。

 

「まさか人間が瘴気を操る術を開発しているとは…… 私の体はもう限界です。瘴気に支配された怪物になる前に私を殺してください。」セレスはやつれた表情を浮かべる。

 

「セレス様、大丈夫です。僕があなたを助けます。」「女王様! トオルはすごいんだから! 私の瘴気もトオルが水色のオーラで消してくれたの!!」僕の言葉の後にアニーが興奮した様子で言葉を続ける。「トオル君に任せればそんなの楽勝よ!」「トオルの魔気はすごいんだべ!」

 

「そんな……? 魔気で瘴気が消せるはずがないのに……?」半信半疑のセレス様を落ち着かせて、少しの間だけ立ってもらう。魔気は体に纏うことで発動するためベッドに寝かされている女王様を包み込むのはそ、添い寝くらいしかできないの……

 

 セレスはリリィとゴン太に支えられて何とか立っている。アニーはふわふわ浮かびながら祈るように手を組んで目をつぶっている。早く助けないと…… 僕は集中してまず顕微眼を発動する。セレスは体のほとんどが瘴気に犯されていたよ。顕微眼で見ると人間でいう心臓に当たる場所が瘴気の核になっているようだった。

 

「ふーっ。『魔聖気』!!」僕は深呼吸した後、白に近い水色のオーラでセレスを包み込んだ。「これはっ!! 体が浄化されていく……?」オーラは支えているリリィとゴン太も包み込んでいた。

 

「すごい…… 体の悪いところが癒やされていくわ」「これは生命魔法に似たものであるだぁ」ゴン太師匠が気になる事を言っているが今はスルーする。

 

「つっ…… 体の中心が…… 痛い……」瘴気も浄化されるわけにはいかないと抵抗しているようだ。ダメだな、このままの魔聖気の出力では瘴気は浄化できるだろうがセレスに負担がかかりすぎるよ。もっとMPがあれば……

 

 そんな時にセスと会話していた内容を思い出す。魔細胞を錬菌術で強化すればMPを増やせるといった内容だったはずだ。ぶっつけ本番だがここでやってみよう! 

 

 自分自身に顕微眼を向け、魔細胞があることを確認する。うん、しっかりあるな。対象の把握をして、錬菌術を並行して発動する。「錬菌術発動。対象は自分自身の魔細胞!」

 

 すぐに体中から魔力が溢れてくるよ、ただ脳が焼き切れそうなくらい痛む。多分魔聖気と錬菌術の併用で負荷がすごいんだ。ただ体の方はすこぶる調子がいいのはなぜだろう。

 

「すごい! トオルに空気中の魔素が集まっていくわ!!」アニーが叫んでいるな。僕の体は青白く発光していた。今のMP量ならいける! 僕は有り余る魔力を魔聖気に注ぎ込んで叫んだ!

 

「『魔聖気・改』!! 全ての瘴気を浄化しろ!!」僕は全ての魔力をオーラに注ぎ込んだよ。そしてなぜか勢い余ってセレスの体を正面から抱きしめてしまったよ、誰も気づいてないよね?

 

「トオルのオーラが完全な純白になってる!」「オーラが妖精たちの庭園全体に広がっていくだ!」「なんて優しいオーラなの……」

 

 僕の魔聖気は庭園全体を包み込み、疲れていた妖精たちの体を癒し、微弱な瘴気も浄化したみたいだね。庭園の結界の瘴気も浄化して、結界の綻びまで修繕したみたいだ。

 

 「もう大丈夫、セレス様も庭園も浄化できたよ。」僕の言葉の後、セレスに変化が起きたよ。セレスの黒い羽根がキラキラと輝く虹色の羽根に変化していく。老婆のような見た目だったのが、20代くらいの透き通るような肌の白色の長身の美女に変わっていった。サファイアのような青い目が綺麗だな。

 

 胸のサイズはBくらいだな。水色のドレスを着こなしていて、スレンダーでとても綺麗だ…… 僕は抱きしめていた体を離して至近距離でじっと見つめていたよ。

 

「わ、私をそんなに見つめられると、こ、困るのですが……」頬を赤らめて恥じらう表情は可憐だ。無言で見つめているとセレスはモジモジしながら、僕に擦り寄ってきた。

 

 そして僕を抱きしめた後、ありがとう、これは感謝の気持ちです、と言って僕の頬にそっと手を添えてキスをしてくれたんだ。これは妖精たちの伝承で語られることになる、僕と妖精女王セレスの馴れ初めだった。

 




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