北欧の魔道王   作:Shushuri

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改訂版です。
13/11/17誤字修正


序章

 それは黒く変色した血のような鱗を光らせた。吐息は瘴気となって尽く生命を根絶やし、死体すら朽ちてそうとわからなくなった。

 その体躯、優に百メートルを超す。山岳地帯を背景とすると、その巨大さが人の精神を押しつぶす。

 

「まつろわぬアジ・ダハーカ、でしたか。確かにあの巨躯では市街地など簡単に荒地になってしまうでしょうね。何国(いずこ)の神なのでしょうか」

 

 黒髪に、アジア圏の彫りの浅い顔立ちの女性。名をマキエ・ベルクマー。日本出身でドイツ人の男性と結婚した魔術師の一人である。

 

「うん。相も変わらずマイペースな反応はどうかと思う。

 アジ・ダハーカはゾロアスター教に登場する邪竜だね。ダマーヴァンドという山に封印されたという逸話があるから、アルプス山脈を利用しようとしたんだけれども、ね」

 

 答えるのは一人の男。ガッチリとした体だが、柔和な表情をする男だ。名をパウル・レオナルト・ベルクマーという。

 現状を説明するならば、欧州で巨大な竜が出現して北上しているので、魔術結社総出で足止め。二人が所属する魔術結社「薔薇十字団」は歴史が浅く、影響力も殆どない。よって足止め係の捨て駒である。

 「まつろわぬ神」と呼ばれる存在を殺すことに成功した存在。「カンピオーネ」の名を持つ彼、彼女達は神の出現でこちらに向かうことになる。本来ならば、イタリアのカンピオーネ、「サルバトーレ・ドニ」が真っ先に来るところだろうが、彼は諸事情によりインド近辺の地域にいる。

 

「アルプス山脈の一部がこの通り、虫の一匹も入れない死者の国になったと」

「更に、封印術がまるで意味がない。『千の魔術を操る』というのは、やはり無限数を表しているんだろうな」

 

 露骨な表情で話すパウルは、視線を鋭くする。

 

「『教授』でアジ・ダハーカの知識を入れた。問題ないね?」

 

 視線を媒介し、術者の知識を相手に送る「教授」で、マキエは相対する三つ首の竜の知識を得る。

 この場に人員を出している薔薇十字団という結社は、互助会の側面が強い。

 元は第二次世界大戦後、戦争の影響で散り散りとなった魔術師が集まる為の場として、術者を支援するための資金源として表向きな上流階級向けの交流サロンとして造られたからだ。

 よって、戦闘のできる術者が非常に少ないのだ。例外としてパウルは作戦指揮能力が高く、部隊を率いたならば神獣討伐をも可能とする人材だが、他の人材は市街地まで下がっている状態だ。

 

「『まつろわぬ神相手に人間の術者など無意味』ですか」

「そう。勇者など、只の生贄。力の差がありすぎて相手を楽しませることもできない可能性が高い」

「なるほど、しかし、日本は平和ですね。一応魔術業界にいたのに、このような対応が何一つ分からないのですから。

 しかし、つい先月のことですよ。日本の草薙王の誕生は。それも場所はイタリアです。カンピオーネが多くなる時代というものがあるそうですが、実はまつろわぬ神が大量発生する時期なのではないでしょうか」

「怖いことを言わないでくれ」

 

 相対する三つ首の竜は山の一角に留まって動こうとしない。このまま南下するならば担当が変わって楽なのだが、と思うのだが問屋は卸さない。

 空間転移か、神速で移動したか、その巨体がほぼ眼前に現れ、男女二人を両脇の首が丸呑みしたのだ。

 

「なんだ、折角弱い者から喰らうてやったのだ。刃を抜く、呪を唱える、何もせぬか。

 我は悪の大天使に従う邪竜にして不義者(ドゥルジ)の一角を担う者ぞ。何を躊躇う、勇者は居らぬか?」

 

 声色は低い男性の声だろうか。

 

「いませんね。それが善であれ、悪であれ、人の上、王よりも上の存在を弑逆する者は『魔王』であり『勝者』です」

「あのカンピオーネとか呼ばれる神殺しか。我らが総督を置き去りに『魔王』を僭称するとは。

 どれ、人の仰ぐ魔王を我に語ってみよ。束の間の時間稼ぎにはなろう?」

 

 これに一人の魔術師が口を開く。

 

「古参の王が三人。一人目は『東欧の狼王』サーシャ・デヤンスタール・ヴォバン。数百の狼の群れと嵐を操り、滅ぼした神の数もさることながら、同様に人の居住区も多くその気性の犠牲となりました。武術も呪術も修めず健在なそのあり方に神をも避けて通ると言われる三百年を生きる王です。

 二人目の羅濠教主は中国の王にして魔術結社『五嶽聖教』の教主です。二百年あまりを生きる女性の王とは聞きますが、滅多に人前に現れない王であります。権能も怪力のそれを持っているという話を存じ上げます。

 三人目はエジプトに住居を構えるアイーシャ夫人ですが、引き篭もっているという噂を聞くばかりでこれも女性であることが知られるだけです。

 四人目はイギリスの王、アレクサンドル・ガスコイン。若くして魔王となった為に『黒王子(ブラックプリンス)』の異名を持ちます。魔術結社『王立工廠』の主であります。天使ラミエルより己を雷にして移動する権能を所持しており、他にも多数の眷属、迷宮を作り出すなど、多彩な権能を披露しております。

 五人目はアメリカの王、ジョン・プルートー・スミス。アステカのテスカトリポカ、ギリシャのアルテミスを弑逆しており、様々な姿に変身する権能を所持しております。彼自身はアメリカより外に出たという話は聞いておりません。

 六人目はサルバトーレ・ドニ。イタリアにて『剣の王』と呼ばれる魔王です。ケルトのヌアダより魔剣の権能を、『鋼』の英雄ジークフリートより鋼の不死性の権能を所持しております。

 七人目は東の島国、日本の王。つい先月に王となった草薙護堂。ウルスラグナより複数の化身の力を扱う……」

「ほう、ウルスラグナ。あの『勝利』を司る守護者(ヤザタ)に勝利した者がいると!?」

 

 驚愕を声で表すアジ・ダハーカ。竜の顔からは誰も表情を読み取ることはできない。

 もう二つの首は当たりを見回すように動かしているばかりで、感情とは無関係に動く。言葉を話すことができないのか、する必要がないと考えているのかは不明であるが、魔術師は時折目が合って緊張が体に表れる。

 

「我ですらアータル一人と対抗していたというのに、いやはや、素質では真実我を超えるか、人間が。

 うむ、うむ! 考えたぞ! 人界の魔王の数は七名であるならば、我ら七大魔王こそが対抗するがいいな。出来るならば我が草薙護堂とやらと戦いたいが、ここは総督より判断を委ねようぞ!

 この千の魔術を操るアジ・ダハーカ、魔王の招来を見事行ってみせよう! 近くに生贄も申し分なくあるのだからな」

 

 まつろわぬ神が別の神格を引き連れることはある。しかしながら、それは「従属神」や「眷属神」というあり方で存在するのだ。複数の神が同じ場所にいるならば、大抵は神々の戦いが起こる事例が殆どであるからだ。

 そして、「まつろわぬ神の招来」という魔術は存在する。嘗てはヴォバン侯爵が魔女の素質を持つ少女たちを集めて儀式を行い、犠牲は出したが、神の招来を成功させた事例としては圧倒的に少ない数で成功させている。また、数多くの魔術結社が、自分たちの信仰する神を降臨させようとする事件を起こすのだ。

 ならば、結論として、呪法の神でもあるアジ・ダハーカならば神を呼び出すことは可能なのだ。

 ゾロアスター教の七大魔王。「アンラ・マンユ」、「アカ・マナフ」、「タローマティ」、「サルワ」、「タルウィ」、「ザリチェ」。「ドゥルジ」はアジ・ダハーカが含まれるので、呼ばれるのは六柱。これが実現するならば、前代未聞の大事件であろう。

 

「お前ら……」

 

 パウルが低い声で宣言する。

 

「いいか、そんなことを許すな。俺達はこれから神殺しに挑む気概で相対する。

 いいか? 足止めに成功し、カンピオーネの誰かが現れても気を抜くな。ヴォバン侯爵やサルバトーレ卿ならば、この神の招来に賛成して国民を生贄に差し出すぐらい平気で行うぞ!」

 

 ヴォバン侯爵は前例があるから言わずもがな。そもそもに前回の儀式を行った理由は、めっきり侯爵の前に神が現れなくなり暇を持て余したことが理由だからだ。

 そして、サルバトーレ・ドニは戦闘狂で有名なのだ。神殺しが全て正真正銘のまつろわぬ神と全員が一対一で戦う。「自身が倒して誰かが倒せなかったらおまけで戦える」などという思考を素で行うという嫌な信頼が存在する。

 それが容易に想像できてしまった彼らは、巨獣とも言える邪神に挑みかかった。

 パウルが猟銃を取り出し、放つ。「魔弾の射手」という「投擲、射的武器を狙った軌道で曲げる」という魔術。弓、投石に様々な神話が存在し、応用が存在するという意味合いではメジャーな魔術の一つだが、散弾銃でそれを実行可能な人物は現状パウルのみである。それは巨体をすり抜けるように外れ、辺りに散らばる。銃声が連続して放たれるが、それは当たることはない。

 

「封印の為の三次元魔法陣とは、人の身にして見事」

 

 封印が通用しないことは皆百も承知である。そこで周囲が攻撃の魔術を、身体強化による武器での殴打を実行をした。鱗の一部が割れる。人の一撃がその巨体を傷つけたのだ。

 喜ぶことはできない。その傷口から蜥蜴が、蜘蛛が、蝿が滲むように這い出して近場の魔術師に跳びかかる。避ける事が叶わない術者たちはそこで皮膚に大量の腫れ物をつくり、顔を青白く染め、血を吐いて倒れるのだ。

 ゾロアスター教において爬虫類や昆虫等、見た目に生理的嫌悪感を与える生物たちは悪神の化身であり、特に蝿は疫病を運ぶ存在として忌み嫌われていた。

 よって、出現した眷属は端から全て退治しなくてはならない。神の眷属という側面があるが、神獣に劣る、まるで只の生物のように簡単に殺すことができる。

 その過程において一人、眷属にて死病を発症した。苦しむさまを堪能するように、一人を観察し終えると、即死を免れるように牙が一人の腕を食いちぎる。その所業こそ邪神としてのあり方か。

 その蛇の思考はわからない。ただ、リーダーが突然死ねばどうなるか。周囲が直ぐに逃げ出すか、泣き崩れるか、コレまでと変わらず抗い続けるかを見たかったのか、パウルは即死した。

 その直後である。大地から巨大な呪力が唸りを上げてアジ・ダハーカの巨体を吹き飛ばした。大地が引き裂かれ、出来上がった巌がその体に突き刺さり、毒虫の群れは呪力が跡形もなく吹き飛ばしたのだ。

 

「ぬ、ぐぎ、がぁっ!」

 

 三つの口がそれぞれに苦悶の声を上げる。その瞳が全て、一人の女性に向けられた。マキエである。一人、戦闘の補助もしている様子もなく、されどさほど離れた位置にもいないが、アジ・ダハーカはその現象の全てを理解した。

 

「女! この現況は貴様の仕業か!

 人間が、この大地を呪うたな。それも呪いの効かぬ我に呪いを掛け、弾かれたそれの位置を(たが)わせ、大地を汚して龍脈を狂わせたか! この大地こそが人を狂わす魔境と化すというに!」

「我が家は卑しくも厭魅蟲毒で成り上がった家柄でして。好き好んで使うものでもありませんし、別段にその手の教育を受けたわけではありませんが、才能は多分に有しておると自他共に認めております」

 

 蟲毒。日本においてはポピュラーな呪術の一つであろう。一つの壷に毒虫を入れ、互いに共食いをさせて残った一匹を利用して行う呪詛が中でも有名か。動物を用いた呪詛が蟲毒に分類され、厭魅とは「丑の刻参り」を代表する類の呪詛である。

 これらは古来より禁止されたものであり、日本の呪術界では現代においても厳重に取り締まり、厳罰とされる。特に蟲毒の恐ろしい点は、素人であっても効果を発揮する恐ろしさにある。故に現代でも極刑レベルの代物である。

 今回、使われたのは「人蟲」、文字通り人間を使った蟲毒。マキエは周囲に散乱する仲間たちの死骸を利用して呪術を扱った。特に今回において、人の意識は実際に原因となったアジ・ダハーカへと向かう。それを煮詰めるように為、パウルが死ぬと同時に解き放った。呪詛には「人に見られてはいけない」や「特定の呪物の中身を見せない」といった禁則事項が存在するが、ねじ曲げた。それこそが彼女の才覚というものだろう。

 しかし、まつろわぬ神全体に言える事柄だが、神には人間の扱う魔術は一切通用しない。海に淡水の雫を落としても誰も気付かぬようなものである。これもまた有名な話だろうが、呪いを弾かれれば呪った本人が呪われる。そして、その返ってきた呪いの位置をずらす呪法がある。陰陽道やその起源とも取れる風水や道教。神道にも類似する方法は存在する。

 結果、土地の龍脈に、大地を流れる巨大な呪力の流れに悪意が流れ、染め上げた。排水管が詰まるように、汚れが大地に溜まり、爆発したのだ。

 アジ・ダハーカとて羽があり、空を飛べる。羽がなかろうと空を飛べる。一度の吹き上がりで収まった龍脈の狂いが大人しくなったが、警戒しての空中への逃走。巨大な傷口より眷属を産み落としながらのそれもまた災厄であろうが、そこに稲妻が落ちるという、それも自然界ではありえぬ巨大なもの。

 

「土地が呪われれば、落雷という現象は然程珍しくはないのですが。

 ええ、別段狙ってなどおりませんが、その巨体で落雷が当たらないなどということはないでしょう」

 

 三つの頭が危険信号を出していた。土地の呪いが異常なまでに膨れ上がっている。蟲毒という呪詛に気付いたからには原因は判明している。眷属。一神教の概念では悪魔ですらあるあれらの死が、呪いそのものを増強している。現に、呪いの影響からか、マキエの仲間である筈の何人かは呪いで死んでいる。土地の呪詛に人格が、魂が汚染されている。

 考える。そのまま土地からの逃走を、そのままアストラル界への扉を開いて逃げこむことが必要であると考える。死者の怨念である呪いの本体はアストラル界だろうが自由に行き来できるが、呪われているのはアジ・ダハーカではない。

 考える。人間の起こした一つの事象に悪神、それも大魔である自身が逃げ出すことを良しとすることなどありえない。プライド無く命乞いもできる。命乞いからの不意打ちだって可能である。故に不義者であるが、逃げ出すことがあっていいかと。

 サイズを小さくする。そもそも、百メートル超の巨体など一種のパフォーマンスである。人間の姿に、古めかしくも繊細な技術で編まれた衣服に、肩からでる二つの蛇の頭を持つ男。此処にアジ・ダハーカは暴君ザッハークとして降り立つこととなる。

 

「これで土地の呪いを不条理に受け止める必要はあるまい、女。その脳髄喰らい尽くしてくれるわ」

 

 ザッハークは武芸の神ではない。武芸を嗜んでいたという話もない。人を殴ることを知らない大人が振るうような拳、それで大地を割る。大地を叩き割りながら歩を進める。武術を覚えている魔術師であったならば、除けられた可能性が残る拳はマキエの右脇腹を抉り、右腕を肘から先を吹き飛ばした。

 マキエは生きていた。否、生かされた。ザッハークは方から生やした蛇に、生きた脳髄を食わせてやりたかったのだ。

 頭に近づいた蛇に、噛み付く。噛み付いた。神の肉体の強度は生半可ではない。自身の歯が割れ、鱗で唇や口腔内に傷を創り、それでも顎が万力のように締め上げる。

 

「い、意識がない。こ、此奴、呪いで自分を動かして、いや呪いに動かされている!?」

 

 「動物憑き」。「狐憑き」と呼ばれるものがあるが、それらの総称である。先ほどの人蟲の影響も多分に含まれるであろうが、それ以外のものを、明らかな犬猫の姿を感じ取ったのだ。男は悲鳴をあげる。遂に、蛇の体を噛み砕いたのだ。

 

「はっはっはっ……」

 

 犬のような息遣い。血を口から蛇口を捻ったように垂らしながら、肘から先のない拳を振るう。その腕の傷口に蛆が湧いていた。ザッハークが幻覚に掛かっていたのではない。絶対的な事実である。

 これは、彼女の周囲にいる者達は全員知っていた。「マキエ・ベルクマーは呪われている」と。体から虫が食い破って這い出る幻覚を見る。何気なしな不幸に魔術師たちは呪力を感じていた。自身が友人知人を斬りつける夢を見た。寝ると動物のような夢遊病を発症していた。それでも、日常生活を彼女は精神論で乗り越えていた部分があったのだ。

 薔薇十字団ではパウルの家柄の関係もあり、呪いを返す術式を施設内に用意した。人が扱うような動物霊の類を防ぐ為のものを用意し、家を護る守護霊まで用意した。

 その結果、マキエに来る呪いはかなり軽減していた。しかし、呪いは止まない。呪う張本人たちは返される呪いを防いでいた。こと、東洋の呪いについては調べが足りなかった。それでいて、相手は格上ともいうべき相手であった。

 閑話休題であるが、死にかけのマキエにそれまで耐えてきた呪いは全て干渉した。精神を乗っ取られ、体が端から腐り、蛆が湧く。但し人蟲の影響で無理やり体を動かし、蛇一つを仕留めたのだ。

 ザッハークは武術は出来ないが、操られ、体の性能が上方修正されていようが、獣の動きに対応できないものではない。体をずらし、そのままカウンターをしようとした時に、空中で足が動いた。膝がちょうど顎を蹴りあげた。

 

「ぬごっ」

 

 口の中には蛆がいないようだが、喋れない傷口だ。瞳には意志が宿った。そこで意識を呪いから奪い返したのは偶然にしては出来すぎていた。それが狙っていたのか、真実天性の運であったかはどちらにしろ関係はないのだろう。共に実力である。

 ザッハークは、蹴られて倒れこむ途中に残った片方の蛇を動かす。口を大きく広げ、マキエの頭に齧り付いた。そのまま、牙が頭蓋骨を貫こうとしていたところに、男の首に何かが刺さったことで止まった。

 

「我の、食い破られた、蛇の牙、だと……」

「あらあら、ザッハーク様は信じられないかしら?」

 

 ぎょろりと、狭くなった瞳孔が動いた先には少女がいた。紫がかった髪を二つに纏めた、幼さと大人の妖艶さを持ち合わせた少女。

 

「流石のザッハーク様もこのザマでは喋れないかしら?」

「誰が好き好んで貴様と話すのだ。何用か、と問えぬのが憎らしい」

「まあ、貴方様に勝ったのだから。これが約定によって暗黒生誕祭の執り行いが、私とあの人の新しい愛子の誕生。今回は前回の護堂と比べても随分と早いわ。祝福の言葉、お願いできるかしら?」

「我は勇者にすら時ではないと斬られなかった大いなる魔である。それを贄とした此奴は真に魔王。他の有象無象を圧倒し、あらゆる勇者を退ける存在となれ。時来て真実そうなっていれば、そうだな、我らが魔王と崇め使えてやろう」

 

 八人目のカンピオーネ、「ローゼンクロイツ卿」、マキエ・ベルクマー誕生である。




随分と長々と掛かりました。実は2話書いていたんですが、また書きなおした形です。
主人公の性格の変更、権能の変更が起こります。

今回「教授」を視線媒介で扱いましたけど、一般の魔術師同士だとどれだけ気軽に行えるのでしょうか。
尚、アジ・ダハーカが赤いのはヨハネ黙示録の竜の原型の一つである、という説と火山災害の神格化という自説を参考にしました。

護堂の言霊による解説をさせたいな、という思惑が完成すればいいなと思います。
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