「ふわぁ〜……起きなきゃ」
私の名前はツルマルツヨシ、しがないウマ娘だ。
「あの人はまだ起きてない、か………」
私は顔を洗うと台所で朝食の用意を始めた。
「昨日のご飯とお味噌汁があるから、ウインナーと………あっかぼちゃの煮物残ってた!」
タッパーをそのまま出し、ウインナーを焼き始める。するとぽわぽわと雰囲気を纏った人がやって来た。
「……………いいにおい」
「おはようございます、お水どうぞ」
「あんがと」
この人は私の〝元〟トレーナーさんだ、現役時代に私達は想いを伝え合った。トレセンから退き、大学生となったタイミングで晴れてお付き合いし同棲をする事にしたのだ。
「いただきます」
「………ます」
今日は土曜日、トレーナーさんも休みで久しぶりに2人っきりでゆっくりする日です。
⏰
『ーーーっ………ーーー』
私達は暗くしたリビングで、こたつに入りながら恋愛映画を観ていた。映画は私達が現役の時に公開してたが、暇を作れず行けなかったのだ。
「映画、お家で観るのもイイですね」
「そうだな、家ならゆったりできるしな」
「はい、それに……〝こうやって〟イチャイチャ出来ませんし」
トレーナーさんの股の間に座ってる私は、そのままトレーナーさんを背もたれにして頭をグリグリと押し付けた。
「ふふっくすぐったいな」
「止めさせたかったらギュッてしてくださーい」
「はいはい」
「ふふふ」
トレーナーさんは私を後ろから抱いて、頭を撫でてくれた。何を隠そう私ツルマルツヨシは、トレーナーさんと〝個人同士の繋がり〟を得てから現役時代に甘えられなかった反動が来ているのだ。
「ツヨシって昔からスキンシップ好きだよね」
「え?」
あれ?
「そ、そうでしたかね?……はっ!もしかしてご迷惑でしたか!?」
「いや、そういう所が可愛いなって思ってたからお互い様だよ。ただ本当にふと、そう思っただけ」
「うぅ……最近は確かに、学生とトレーナーっていうしがらみが無くなって甘える事が多くなりましたけど昔はそんなだと思いますよ」
「へぇ〜?」
「な、なんですか?」
トレーナーさんは少しニヤニヤすると、一拍置いて口を開いた。
「気がついたら尻尾が俺に巻きついてたり」
「へ?」
「お出かけする時は必ず手を繋り」
「えっえ?」
「俺が仮眠すると高確率で一緒に寝ようとするツヨシがねぇ?」
「嘘?!気づいてたんですか!」
「そりゃあね、数回ならともかく何度もあったし気づくよ」
「うぅ〜……」
熱い、顔がもう全体熱くなるくらい恥ずかしい。
「まぁまぁ落ち着いて、そういう所も可愛いと俺は本気で思ってるし、そうなのは中々イチャイチャ出来なかったからっていうのは分かってるからさ」
「それでも恥ずかしいのは恥ずかしいんですよ……もう!こうなったら今日はめーいっぱい甘やかしてください!」
「いいよ、何でも言って」