ツルマルツヨシのトレウマ   作:ゴールド@モーさん好き

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とある曲を聞いていたら歌詞から閃いたので書いてみました!!!

こちらにも投稿してます
https://bbs.animanch.com/board/4493396/


愛情というか貴方が欲しい

 新年を迎えはやひと月、私ことツルマルツヨシはデパートへ買い出しに来ていた。

 

「う〜ん……バレンタイン、トレーナーさんに何を渡そう」

 

 私は近々来るバレンタインに何を渡すか、スマホで調べながら悩んでいた。

 

「マカロン……マフィン……ん? ティラミスなんてのも意味があるんだ」

 

 なるほど、元々〝私を上に引っ張りあげて〟って言う意味の言葉で、そこから転じてバレンタインだと〝わたしを元気づけて〟って意味になるのか。

 

「元々の名前の意味ならある意味、トレーナーと担当ウマ娘として健全なんだろうけど……せっかく特別な関係になったんだし、もっとダイレクトに──」

「ダイレクトに、なんだって? ツヨシ」

「ッ! 」

 

 名前を呼ばれ振り返ると、そこには高等部のシリウス先輩が居た。

 

「へっあ、えーっと」

「大方、〝お前も〟愛しのトレーナーに手作りチョコを渡そうとか考えてた所か? 」

「確かに手作りチョコも候補ではあって……ん? お前も? 」

「ほら」

 

 シリウス先輩は手に持っていた買い物カゴの中身を見せてくれた、その中には板チョコや生クリーム等お菓子作りの材料が入っていた。

 

「意外です、シリウス先輩ってこういった贈り物をする際、ブランドの物を贈るもんだと」

「あーっ去年はそうしたんだよ、ただ……」

「ただ? 」

「パピー……あっいやウチのトレーナーがな、滅多に食えないからとか抜かして、数日に分けて少しずつ食ってさ……確かにバクバク食うもんでは無いがなんともな」

「だから手を出しやすい手作りチョコを、と? 」

 

 シリウス先輩、ガラ悪い方とよく一緒だから怖い方だと思ってたけど……トレーナーさん想いの良い方ですね。

 

「そんな所だ、んでツヨシ」

「はい、なんですか」

「お前さえ良かったら、一緒に作るか? 」

「えっ良いんですか? 」

「ここで会ったのもなんかの縁だ、渡すもんに悩んでんなら1回作っちまうのもありだとは思うぞ」

「それじゃあ……シリウス先輩に甘えます! 」

 

 私は会計を済ませ、シリウス先輩と一緒に寮へと向かった。

 

⏰⏰⏰

 

「それじゃあチョコ作り教えてやるから、ちゃんと聞くんだぞ」

「「「はい! 」」」

「はい! 頑張ります! 」

 

 私はシリウスさんと、そのお友達の皆さんと一緒に調理を始めた。

 私達はクッキー班・トリュフ・生チョコ班の計3つに分かれ、シリウス先輩が教えつつ回ってくれている。因みに私は生チョコ班である。

 

「今回のレシピはお菓子メーカーがホームページに載せてる、比較的作りやすく美味しいのがお墨付きな物だ。慣れない作業もあるだろうが、愛しのトレーナーの為なら頑張れるよな! 」

「「「はい! 」」」

「えっ! な、はい! 」

 

 み、皆さん凄いなぁ……人が沢山居る場所で堂々と言えるなんて、私もあれくらいの積極性やら見せた方がいいのかな。

 

「トレーナーさんの事、お好きなんですか? 」

「え? あ〜まっまぁね」

 

 私も恋が大好きな年頃、せっかくだしと同じ班の他3名に質問すると、彼女達は頬を染め口をもにょもにょさせ答える。

 

「アンタ以外の、ここに居る連中共通に言える事が元々トレセンの溢れもんだったんだよ」

「溢れもん、ですか……」

「落ちこぼれで、けど逃げる事も出来ない半端な不良だったわけだ、そんな私達をシリウスさんは纏めてくれた」

「そして、纏めてくれてまだ諦める時じゃねぇぞって思わせてくれたから、トレーナーさんと出会えた」

「また、夢を本気で追わせてくれた」

 

 そういう彼女達の顔は照れていたり、呆れ笑いしてたり、ありがたがっていたりと三者三様である。

 

「そんな出会い方しちまったんだ、惚れるなって方が無理あるだろ? 」

「そうですね、そう思います。切に」

 

 けれど、皆幸せであることは同じなのは分かる。

 

⏰⏰⏰

 

 今日は2月14日、バレンタイン当日。先日シリウス先輩達と一緒に作った生チョコがとてもいい出来だったので、昨日に同じレシピのを作って来たのだが……

 

「まだ、渡せてない」

 

 朝練の時に渡しちゃおうって思ってたのに、結局ズルズル渡せないまま……一応トレーニング室の冷蔵庫に入れてはあるけどもう夕方、何とかしなきゃ!

 

「よしっ今日のトレーニングはおしまい! 後片付けはやっとくから、ツヨシは先上がってトレーナー室でクールダウンしてて」

「私も後片付けしますよ」

「いーや、だめ。今日何時もよりかなり練習に熱が入ってた、それ自体はいい事だけどそれで予定より負荷も増えてる」

「うっ……きょ、許容範囲内であるはずですよ? 」

「そうだね、けどソレは事前準備と事後処理をしっかり速やかに確実にした時の事。バイアリータークに、そう言われてた蓮だけど? 」

「……はい、部屋に戻ってクールダウンします」

「気持ちだけ、貰っとくよ」

 

 バレンタインに気を引かれ、何時もより力を入れて練習して居たらしい。トレーナーさんだけに任せるのは心苦しいけど、バイアリータークさんのお説教は流石に命が惜しいので従った。

 

「今日も浮かない顔だな、ツヨシ」

「うひゃあ?! って、シリウス先輩! 」

 

 とぼとぼ歩いていたら、シリウス先輩に声をかけられた。

 

「その調子だとさてはまだチョコ渡せてないだろ」

「ヴっ……はい、実はそうです。シリウス先輩はどんな風に渡しましたか?」

「あぁ? 私は──」

 

 

『トレーナー、ハッピーバレンタイン』

『チョコ、今年もありがとうシリウス。見た所シリウスの手作り? 』

『まぁな、アンタが去年ちびちびと食べてたのを知ってるから今年は品を変えた』

『わ、悪かったって……中々あーいうの自分では買わないから、ご褒美に少しずつ食べてたんだよ』

『今後も私と連れ添う予定なんだから、色々慣れておくんだな』

『うん、それじゃあコレは後でゆっくり食べさせて貰うね』

『いや、今食え』

 

 私はトレーナーに渡した袋から1つチョコを取り出し、口に咥える。

 

『ほあ、はやくしな』

『んなっシリウス何やってんの?! 』

『ぼさぼさしへると溶けるぞ』

『〜〜〜ッ! 』

 

 

「流石にコレはツヨシには早いよな……」

「私には、なんですか? 」

「いや、そうだな……そう! チョコを手に取って〝あーん〟ってしてやったんだよ」

「えぇ〜! だ、大胆ですねシリウス先輩」

「まぁそんな気負わず、純粋に相手への感謝と好意を伝える事だけ考えたら良い」

「はい! ありがとうございます!」

 

 私はシリウス先輩に元気を貰い、トレーナー室へ駆け出した。

 

「全く……こういうのはガラじゃないんだけどな、頑張れよツヨシ」

 

⏰⏰⏰

 

「ツヨシただいま、クールダウンはしっかりやった? 」

「はい! バッチリです! それでトレーナーさん、渡したい物があるんです」

 

 私は待ってる間に冷蔵庫から出しといたチョコ差し出した。

 

「は、ハッピーバレンタイン! チョコをどうぞ! 」

「チョコか、ありがとうツヨシ! 嬉しいよ! ……今食べても? 」

「はい、私の手作りなのでお口に合うかどうかはアレですが……」

 

 トレーナーさんはチョコを1粒ひょいっと口に放ると、頬を緩ませ笑顔を見せてくれた。

 

「とっても美味しいよ、ありがとうツヨシ」

「えへへ、それなら良かったです! 」

 

 美味しい美味しいと、トレーナーさんはチョコを食べて残り1つとなった所で、ふとシリウス先輩の言っていた事を思い出した。

 

「あっ」

「ん? どうしたツヨシ」

「トレーナーさん、ちょっと失礼します! 」

 

 私は袋から最後のチョコを摘み、トレーナーさんに向ける。

 

「あ、あ〜ん」

「ツヨシっ!? 」

「あーん! 」

 

 最初トレーナーさんはどうしようかとしてたが、諦めて私の行動を受け入れる事にしたようだ。

 

「あーっむ」

「ッ!」

 

 私の指が、トレーナーさん唇に……

 

「……んく、ご馳走様でした」

「……」

「ん? ツヨシ、大丈夫か? 」

「ほぇ? 」

 

 胸が騒がしい、顔が暑苦しい。

 

「えっと、その……やっぱり今日ちょっと頑張り過ぎちゃったかもです! いやぁまた火照り始めちゃいました、だからその……」

 

 治まるまで隣で見守ってくれますか?

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