ツルマルツヨシのトレウマ   作:ゴールド@モーさん好き

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トゥインクルシリーズ3年を走りきったツルちゃん達が旅館の為に温泉旅館へ行く話

ネット掲示板でも書いてます
https://bbs.animanch.com/board/3759822/

1度単話で投稿したのをこちらに纏めました


療養の温泉旅館

 トゥインクルシリーズの1つの節目と言われる3年を走った私達は、くたびれた体を休ませる為温泉旅館に来ていた。

 

「はふぅ………あったかい」

 

 私は旅館に着いて軽く荷物を整理したら温泉へと入っていた。

 

「露天風呂にも入ってみたかったけど、万が一があると怖いから入るなら〝あの人〟とだよね」

 

 私はガラス壁の向こう側にあるヒノキ風呂に入る人達に、羨望の眼差しを向けながら湯から上がった。

 脱衣所で水を拭き取る最中、遠くの鏡に映った自分が妙に気になってしまった。

 

「…………もう少し太く頑丈なら、あの人にG1を渡せたのかな」

 

 自虐気味に笑った私は、とても酷い顔をしていた。

 

 

「トレーナーさん!お待たせしました!」

 

 湯のれんをくぐった少し先には、ベンチに座って居るトレーナーさんが居た。

 

「いや俺もさっき出たところだよ、浴衣似合ってるね、綺麗だよ。はい、フルーツ牛乳」

「褒めてくれてありがとうございます!それと良いんですか頂いて!」

「あぁ俺の奢りだ、古き良き瓶入りの上に農家直送の果物を使ってるらしくものすごく美味い!」

「んくっんくっんくっ……ぷはっ!本当ですね、美味しいです」

「あっちの売店で同じ味のソフトクリームも売ってるからまた後で買いに行こう」

 

 そう話しながら私達は宿泊してる部屋へと向かった。

 

(今回の療養、出来れば恋人らしい事沢山したいな)

 

 この旅館はスポーツ選手には有名な旅館で心身を労り癒すサービスが充実している。病弱な私がゆっくり、けれども楽しく過ごせるようトレーナーさんが手配してくれのた。

 

(だからこそ、こんな私に良くしてくれるトレーナーさんを恋人としてしっかり恩返しせねば!!!)

(………なーんか凄く張り切ってんなぁ)

 

 私達はお風呂上がりのストレッチをした。

 

「……ツヨシ、ツヨシ」

「はひ、なんでしょうトレーナーさん」

「顔真っ赤だよ、やめなさい」

「こっち見てないのに分かるはず無いじゃないですか」

「見なくても分かるから、キャラじゃない事はやめなさい」

「うぅ……」

 

 ストレッチ中トレーナーさんに体を密着させながら手伝いをしてたら止められた、やっぱり会長や副会長みたいにデカくないとトレーナーさん嬉しくないのかなぁ。

 

(はぁ…ちょっと自信あったのになぁ)

(心臓に悪すぎる、ツヨシのやつ急にどうしたんだ?もしかして寂しい気持ちさせてたのか?)

 

 なんとも噛み合わない心情のまま宿泊は続く。

 

「トレーナーさん、お刺身あ〜ん」

「あ、あーん」

「どうです?美味しいですか?」

「うん、美味しいよ」

「それじゃあ今度は煮付けをどうぞ〜」

 

 これ!これこそ恋人ができる事!

 

(トレーナーさん喜んでくたらいいなぁ)

(まぁなにはともあれ、ツヨシが楽しそうに笑ってくれてるし……いっか)

 

 食事の後テレビを見ながら談笑し、夜も更けてきたので敷かれていた布団の間に仕切りを設置し寝支度へと入る。

 

「私としては仕切り無しが良かったんですけどね……」

「コラコラ何を言ってるんだ、そんな事したら親御さんに顔向けできないだろうが」

「わかってます、ですのでこれはただの私の〝ワガママ〟です」

「気持ちは分からなくも無いが、卒業迄はなるべく誠実な関係で居させてくれ」

「はい……」

「………おやすみ、ツヨシ」

「おやすみなさいトレーナーさん」

 

 

「………うぅん……ん?」

 

 私は微かな物音を感じ取り、目を擦りながら起き上がった。

 

(ん?仕切りなんか、増えてる?)

 

 元々私とトレーナーさんの布団を仕切るためだけだった物に加え、枕元に仕切りが増えていた。

 仕切りの向こうで紙が擦れるような、めくれるような音が聞こえた。

 

「トレーナーさん?まだおきてるんですか?」

「あっ起こしちゃった?ごめんねツヨシ」

「いえ……お勉強ですか?」

「ん?あぁそんな堅苦しいものじゃないよ、ただ……」

「ただ?」

「落ち着かなくてね、ハハ。ダメだな、療養の為に来てるのにこれじゃあ雰囲気台無しだ……」

「トレーナーさん……ん?」

 

 トレーナーさんが読んでたのはウマ娘の身体に関する本だった、詳しい内容はパッと単語が見えただけだから分からないけど、きっとこの本は………

 

「ツヨシ」

「あっ」

 

 私の視線に気づいたのか手のひらで本の内容を隠し、そのまま本を背中の後ろに隠してしまった。

 

「起こしちゃったのは悪いけど、早く寝直すんだよ。いい?」

「…………」

 

 そう言ったトレーナーさんの顔は、脱衣所で見た私みたく、酷い笑顔だった。

 

「…………」

「つ、ツヨシ?どうしたの?」

 

 私はおもむろに部屋にある冷蔵庫を開け、オレンジジュースとコップを持ってトレーナーさんの向かいに座った。

 

「ふん」

 

 私は親指でビンの蓋を弾き、そのままコップに注ぐ。

 

「私も、もう少し起きてます」

「いや、だから」

「トレーナーさん、私と同じ顔してます……自分が悪いって顔、してます」

「ッ!………そうか」

「はい……私、もう少し体が太く、強く、頑強だったら貴方にG1トレーナーの称号を上げれたのかなって、何度も考えちゃうんです」

「……………」

「けど、それって結局無意識で無駄な考えなんですよ。だってもう勝ちたいレースは走りきっていて、この体は小手先じゃどうにもならない……」

「ツヨシ、それでも俺はお前があの舞台で勝ってる姿が見たいんだ。諦めれねぇんだ…」

 

 本当に、この人は私の事……大好き過ぎます。

 

「はい!私も諦めてません!」

「えっ」

「私だってまだターフを駆け抜けたい、他の誰よりも速くゴールに辿り着きたい。だから、1人で抱えないでください、辛い時は誰かに寄りかかってもいいと教えてくれたのは、トレーナーさんじゃないですか」

「ッ!……あぁ、そうだったな」

「そうですよ、今はお互いゆっくり休んで……また頑張りましょう」

「あぁ……そうだな」

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