魔女の付き人、聖拳士につき   作:何処でも行方不明

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弐 堕天使女総督

フリードに案内されたどり着いたのはとある企業のフロント。

守衛や受付にすこしだけ挨拶をしたりして

エレベーターに乗り込む。

 

「まさかフリードが会社務めとは」

「ないない。それは天地がひっくり返ってもありえねっすわ。グリゴリの上級戦闘員?とかになっちまったもんで顔が広いってだけっすよ。まあ、そうでなくとも世間も勢力も狭いっちゅーことで顔は知れ渡っていやすがね」

 

ぎゅっとイアンの手を握るアーシア。

ずっと手を繋いでいるのは少しでも不安を取り除くため。

連れてきたのは悪魔や異端殺しの魔の手から逃れるため。

 

「ま、兄貴が話受けるならきっとそーとく様直属になるとおもいやすぜ」

「ありがた迷惑だ……そんな大それたものになる気はない」

「エクスカリバーを任されてあの暴力装置さまの弟子で、そりゃむりな相談ですぜ」

 

フリードがパスを機械に読み取らせ

エレベーターが動く。

 

「ここからはしゃべると舌を噛むのでご注意くださいませ。舌がなくてもいいってのならとめやしませんが。あ、そうそうシートベルトをおしめください」

「……は?」

 

側面から座席が飛び出し、フリードはそこに当たり前のように座る。

イアンとアーシアもそれにならい席につき、シートベルトをしめ……

がしょん!と音を立て身体を固定するバーに挟まれる。

 

「冥界までのフリーフォール、おたのしみくださいな」

「……おい、ちょっとまて」

 

なにかをいう間もなく、エレベーターの固定が解除され重力に従い加速していく。

 

「ひぃあああ!?!?!?」

 

アーシアはかわいらしく叫び

 

「……(あとで殴るっ!)」

 

イアンはフリードを睨み。

当のフリードは落下中にも関わらず携帯ゲーム機を取り出し遊び始める。

無論、このあとフリードはイアンに割と本気で拳骨を受けた。

 

 

 

 

 

冥界の堕天使領。

三大勢力が争った戦争によりその個体数を大幅に減らし、人口密度がスッカスカと形容しても問題がないレベルであり、問題を抱えているが……それは別の話。

人間の高層ビルのような研究所でイアンは総督がいるという部屋に通される。

アーシアを一旦信用したフリードに任せ1人で部屋に入る。

 

「あ、そうそう。俺っちがかすむ程のあれなヒトなんできをつけてくだしあ」

「……フリード以上?」

 

なにかの冗談でしょとイアンは判断し、その部屋に入る。

黒革のソファーセットに偉そうな人が座ってそうな椅子。

そして壁にかけられているのは黄金の槍と二色の炎を纏った剣。

黄金の槍に何か感じたのかイアンは手を伸ばす。

指先が槍についてある紫の宝玉に触れた瞬間

声が響いた。

 

『……美人なだけで非人道な女は無理!やはりイケメンに限る!』

「……は?」

 

槍が突如光り輝き、イアンを飲み込むそして……

光が晴れたらイアンに黄金の竜の尻尾が付いていた。

 

「……え……は?……ええ!?」

 

突如自分の身体に起こった変化に戸惑い振り返るイアン。

尾骶骨の辺りから感じたことのない感覚が伸びているのがわかる。

趣味が悪いといっても差し支えない黄金に煌めく鎧に覆われた尻尾。

もちろんイアンは生来から人間なのでたった今からの付き合いだ。

おおよそ槍が尻尾になりイアンの身体と融合したのだと察せれはする。

だが……

 

(さっきの声……誰なんだ?)

『読んだ?』

 

尻尾にあしらわれた紫の宝玉が点滅し声を発する。

幼児退行した大人のような声。肩透かしではあるが……

 

『無理矢理な契約、魂にボクちんを楔として撃ちこむことでイアたその神器になった』

(いや、しらないしそういう呪いチックなのはアーシアが悲しむからいらないよ!!)

 

くるくるくるとその場で焦りながら回転するイアン。

話足りないと言わんばかりに宝玉はビカビカと光る。

 

『もちろん、無理矢理の対価にボクちんから契約の解除はできないし、条件もイアたその思いのまま。宝物も無制限に引き出して使うこともできる。さしずめ、ちょっと前に召喚された英雄王のごとく』

(だれそれ!)

 

そんな中、長い黒髪に髪の端が金髪になっている美女が現れる。

端正を越え妖艶といって問題ないレベルの美形。

通りすがる男性を魅了するほどの色香を振り撒きその大きな胸部を揺らしながら歩く。

もし、この場に本筋の主人公がいれば鼻の下を伸ばし見惚れるほどだろう。

部屋にある椅子に座りイアンを見据える。

そしてクスっと笑い。

 

「いやぁ、フリードの言った通りのいい男じゃねぇか」

 

鈴のような声でそういう。

琥珀色の瞳はイアンを値踏みするように見ている。

まあ、主にその尻尾になのだが。

 

「ファーブニルと無事契約できたみてぇだな。安心安心」

「どこも安心できる要素はないんだけど!?」

 

しゅるると音を鳴らし金の尾っぽが格納され消え失せる。

 

「なに、先に恩を擦りつけてやるのは交渉の基本だろ?魔女に墜とされた聖女様を守る騎士様には力があって損はない。これでも一晩でお前にあうように『墮天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)』を調整し直すの苦労したんだぜ?」

「いや、頼んでないしいらないよ!」

 

椅子の上で脚を組みその美女は続ける。

 

「ここに来たってことはオレの話を受けるつもりなんだろ?アイツの相手してもらうっていうには聖剣計画の生き残り兼人工聖剣ってだけじゃ格が足りな過ぎてな」

「格?」

「ま、そこはおいおい。あとでじっくりな」

 

机の上になにかのカードキーを二つ並べ

美女は続ける。

 

「オレは堕天使総督のアザゼル。名前と逸話ぐらいは聞いたことあんだろ?人間と子作りして堕天し、親父にどつきまわされたとんでもくそ野郎」

「……いやでも、女の人」

「あー、他の陣営のやつらにゃ隠してっがな。親父のお叱りついでにとんでもない呪い受けたもんでな。女体化して次に性行為したやつとしか子ども産めないっつーくそ面倒なやつ。まあ、大洪水の予防としてはこれ以上にないな」

 

けらけらと面白そうにいう美女いやアザゼル。

既に妖艶な美女ではなく、居酒屋で酒のんでそうな残念美女でしかないとイアンは理解する。

そして、アザゼルというなら神器の研究をしその成果が先ほど触れた槍だというなら……と思考が巡る。

 

「ファーブニル。どうだ?要望通りの清廉潔白なイケメンくんだぞ?」

『さすが。あとで報酬は投げ込んでおく』

「おうサンキュー」

 

軽く『ファーブニル』と呼ばれた龍と話すあたり嘘ではないのだろう。

だが、それはどうしようもないほどの厄介ごとを交渉する間もなくねじ込んできたということだ。

勝手に邪竜とされるファーブニルを魂に混入されその管理や人工神器のメンテナンスともなると堕天使側にいることが前提となる。

堕天使総督と邪竜のたくらみはうまくいき、純真な男の子を嵌めたのだ。

互いにwin-winで

 

「これはお前とあの聖女ちゃんの分の身分証だ。オレ直属の信用できる人間っていう証だ。聖剣士上がりが堕天使の傘下に入るっていうのはいやだろうが……」

「それは構わないけど……アーシアの自由は保障されてほしい」

「ああ、問題ねぇ。お前自身には仕事をしてもらうがな」

「大方神器持ちの保護、敵対勢力の無力化だろう?」

「ご明察、ついでに人工神器のテストもな」

「はあ……」

 

カードを二枚とも受け取りイアンはアザゼルに礼をする。

嵌められたのは理解できている。が、それでも自分以外を守るための社会的立場を貰えたのはあまりにも大きい。

アザゼルも堕天使とはいえ天使の端くれ。神の子たる人間を邪険に扱うことはないだろうと思っての打算もあった。

 

「ありがとうございます。アザゼル総督」

「……かしこまられると困るな。オレたちが自分たちのためにお前を招いたのはわかってるだろう?」

「へんなおまけはあるけど、欲しいものをもらったから」

 

イアンは顔をあげ微笑む。

 

「これでアーシアに侘しい想いをしてもらわなくて済む」

 

その笑顔はアザゼルをもってしてもドキリとするほど。

紅顔の美少年と呼ばれるに値する魅力効果を備えた微笑むがそこにあった。




設定つらつら

金龍君の槍尾(エルドラード・スピア)
墮天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)を人間の魂と結びつく神器として調整しなおし、イアンの体内で成った人工神器。
黄金龍君ファーブニルの魂が宿っており、ファーブニルが保有する宝物を呼び出す能力と邪竜の血を浴びたとされる英雄に匹敵する身体能力を得る。
……といっても、イアン自身の身体能力がチート気味で描いているので呼び出す能力をメインに扱う。
英霊召喚のための触媒お取り寄せボックスのように扱います

召喚されるサーヴァント 上位二名予定  一応ぜんぶ触媒は思いついてます

  • ジークフリート
  • シグルド
  • クリームヒルト
  • ジャンヌダルク
  • ジャンヌダルク・オルタ
  • マルタ
  • アルトリア
  • メリュジーヌ
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