魔女の付き人、聖拳士につき   作:何処でも行方不明

4 / 4
参 白龍皇と黄金龍装

『早速で悪いがこいつの元にいってくれ』

 

少しぽけっとしたアザゼルにいわれイアンはその場所へ向かう。

どうやら自分の下につくことになったフリードとなによりも大事なアーシアを連れて。

新しい力になれるためか金色の趣味が悪い尻尾を生やし少女に歩幅を合わせて歩く。

 

「にしたって邪竜と強制契約、とんでもねー面倒を叩き込まれたもんっすなぁ」

「そうだね……まさか、こんなものをいきなり渡されるとはおもってなかった」

 

自身の尻尾をみる。

見れば見るほど豪華な生活とは無縁だったため、金というのが教会関連でみる装飾品でしかしらないため

金ぴか塗れというのは趣味が悪く見える。

くすんだ金であれば幾分かマシだったかもしれない。

しかし、フリードからすればもっと発見がある。

それは最も二人の後ろを歩ているからだ。

アーシアに過保護といってもいいほど世話を焼くイアンは基本的に手を繋ぎがちだ。

その上で隣にいるアーシアを守るように尻尾がある。

神器の動かし方、という感覚をフリードは覚えが全くないが、心のありようを体現するというのなら今まさにだ。

 

(兄貴の聖女様スキーには困ったもんだな)

 

バルパーとかいうイカレが行った聖剣計画の生き残りということは知っている。

つまり、敵ではないモノが死んでいく感覚を知っている。

失うことへの不安。それがイアンの過保護な心の原点であり、強くなることへの意義そのもの。

人工の聖剣使いと成り、悪魔祓いでフリードを越えた討伐数。

悪魔に恐れられる神父の正体は、たった一人の少女すら失うのを恐れる男の子。

守るべきものがある方が強いとどっかの誰かに聞いたことがある。

悪魔祓いを任された戦士たちは少なからず精神が異常だ。

変身後はともかく悪魔や異端者は基本的に人間そのものの見た目をしている。

それらにためらいなく罰というなの暴力で殺害する。

フリードも、ゼノヴィアも、イリナも

もちろんイアンだって人の身でありながら人の命を奪うことにためらいがない。

信じるモノの敵だから、仇なすものだから。それだけで命を壊す。

だから、守るべきものなんて命しかない。

 

(そう思ってたから俺っちは兄貴に敗けたんでしょうなぁ)

 

イアンはその戦士の中では珍しく、信心以外の護るべきものがあった。

命を救ってくれた少女アーシア。

優しい彼女の一番の味方であるために鍛錬を積み、奇跡を信じる心で拳に聖なる力を宿す。

きっと、揺るがない精神を持っている。

面白がって模擬戦を挑んだフリードはその実コテンパンにされ、ゼノヴィアが背中を任せるほどの強者。

だからこそ思う。

そんなイアンに戦えというほどの相手とはなんだ。

人間の身で、15の歳ということを踏まえれば最強だといっても差し支えない少年に邪竜なんざ手に入れさせて

そこまでしないと渡り合えないと堕天使総督が考える相手は……

 

「キミが……ヴァーリ?」

 

白い髪に端正な顔、同性が見てもうらやむほどの美形。

カジュアルな服装の背には不釣り合いな……光の翼。

 

「待っていたよ、イアン・ハーニッシュ。そう、俺がヴァーリ、現代の白龍皇だ」

 

白龍皇

二天龍と呼ばれた二匹の竜、『ドライグ』『アルビオン』のうち後者が転じた神器(セイクリッドギア)を宿す存在。

同時に二人は存在せず、必ず1人だけ。故に現代や当代、などの枕詞が使われることもある。

そんな白龍皇の中で歴代問わず未来を含めても最強と言われているのが今、イアンたちの目の前にいるヴァーリだ。

彼は戦闘狂であり、アザゼルの懐刀として数々の問題を潰してきた。

イアンも戦いを生業とし暴れる悪魔や人々への救済を行っていたが、別にそれらを求められる仕事だったからというだけであり別段好んでいるわけではない。

その上、ヴァーリは才能の塊というやつであり才能は奇跡を信じれる心とよく育つくせにシルエットが変わらない身体だけなイアンは早々に

(つり合いが取れるわけがない)

と見切りをつけている。

もちろんそれは本当のことでありイアンはどうあがいてもヴァーリはおろか、もう片方の二天龍にすら届かない。

これまでのままだったら。

 

「アザゼルから話は聞いている、早速……といいたいが、その力の慣らしがいるだろう?」

「え、あ……ああ?」

 

イアンが押し付け契約で宿すことになったものはアザゼルが研究し開発した人工神器の『金龍君の槍尾(エルドラード・スピア)

これまでもさんざん言った通り、邪竜『ファーブニル』を宿す。

そのファーブニルは『黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)』と呼ばれ恐れられた龍王であり、かつて神話と同様に魔剣グラムに滅ぼされたが黄昏を迎えていない北欧の神々によって復活させられた経緯を持つ。

どういった経歴になったのかは不明だが堕天使総督のアザゼルと契約し、その身体や魂を研究しつくされ

その果てがイアンの神器として煌めく尻尾になっているということ。

龍王とはいえ二天龍には及ばないが、それでも常人からするととんでもないほどの下駄を履かされている状態であり、血を浴びた者が言語を全て理解したり心臓を食えば叡智を得るなどという伝説の通りイアンにも時期にその変化が訪れる。

そして、その神器が有する力は白龍皇に対してピンポイントメタとまでいわれるほどのものだ。

それは『保管』と『強化』

黄金を初めとした財宝だけでなく概念的なものまで影響を与える別次元への保管能力。

そして、血を浴びたジークフリートの身体が強靭なモノになったという物語の力であろう強化能力。

それらがファーブニルが神器として有する力。

これにより努力と心だけで人間では上澄みといわれていたイアンは人外の領域に脚どころか肩まで浸かる羽目になったのだ。

 

「なんだ?なんだぁ?ヴァーリくんが開口一番に戦いじゃなくてそーいうなんざめずらしいでざんすねぇ?」

「格上でもその言動は変わらないんだね……」

 

そう、二度目だが彼は戦闘狂である。

しかしそれは弱い者と戦うのが好きや蹂躙するのが好きではなく、同格か格上との手に汗を握るギリギリの戦いが好きというだけ。

つまり、今だ新しい力を使っていないイアンとの戦いは好みとはかけ離れる。

 

「ダイヤはダイヤでないと磨けないという。俺はもちろんダイヤだが……イアン、君はどうだ?」

 

それはイアンに対する対等の好敵手を求める意思表示。

ここでの役割がそうであるというならイアンは応えるだろう。

しかし、確証はもてない。

今まで滅してきた悪魔たちとは明らかに別格。

ファーブニルの力を十全に使わなければ勝ちの目は存在しないといっても過言ではない。

 

「その証明……になるかどうかはわからない、けど。それが契約だっていうならこなしてみせるよ」

 

拳に光を宿し、それを霧散させる。

戦う前のルーティンでもあるそれを行い、向き直る。

自身は凡人であると思っている天賦の才は考える。

どうすれば契約を果たせるか。

ワクワクはしない。ただ冷静に物事を把握し役割に努める。

 

「ふむ、ではまずは君のできるラインを確認しよう。フリード、合図頼めるか?」

「へいへい、すたーとぉ」

 

雑なフリードの合図により両者が駆け出し拳を混じえる。

手足の長さはヴァーリに部があり、余力はイアンに部がある。

共に人外を狩るものとして過ごしてきたもの同士

奇しくも同年代の堕天使陣営最強人類と(元がつくが)天使陣営最強人類が激突した。

空気が破裂するような音を立て衝撃を起こし、力と力がぶつかり合う。

アーシアは不自然に発生した椅子に座り事なきを得ているが、フリードは壁へと避難をしている。

それほどまでにこの男たちは人から外れている。

殴る蹴るだけ、とは言うが一撃一撃に込められたのは龍の力であり、聖なる力。

その顔に笑みを浮かべながら相手の実力を測る。

その顔に感情を失せさせ何を掴めばいいかを手繰り寄せる。

勝機を零さず掴み取るための冷徹な思考回路。

 

「生身の段階でここまでやれる人間はそういない……フリードから聞いた通りだ!!」

 

ヴァーリの拳を受け流しイアンがカウンターを狙う。

それを手で掴み止めイアンが口を開く。

 

「……混ざってる人に言われてもね」

 

ヴァーリがただの人間では無いことは理解できた。

敵を知り己を知れば百戦危うからず

拳を交えた相手のことはある程度把握できるほどの観察眼を有している。

それに悪魔とは何度も交戦している。

 

「へえ、これだけでわかるか」

「これでも歴は長いからね」

 

確信……というほどではないが

どうやらそうらしいという感覚は掴めた。

ともすればやるべき事はひとつ。オーラを束ね、剣に見立て構える。

 

「僕式《聖拳突き》」

 

神々しき光をもって邪を滅する。

イアンが聖剣使いとなる前から磨いた技、それこそ師の技を真似た自分だけの剣。

それが放たれる瞬間、手が黄金武装に包まれる。

光を束ねる堕天使の技術が搭載された黄金龍装(ギガンティス・アームズ)

『名付けて……堕天龍甲(フォルン・アームド)

 

腕全体を包んでいた光が拳に集中し

極光となる。

悪魔が本能的に覚える恐怖を感じヴァーリは咄嗟に腕をクロスさせ防御する……が

その拳は轟音と共に極光が爆ぜ、ヴァーリを吹き飛ばす。

ガードを崩され腕が痺れる感触。

久しく忘れていた好敵手(ライバル)の到来に心をふるわせていた。

 

「……赤龍帝だけだと思っていたが」

『満足か?』

「かなりな」

 

黄金の武装に怪訝な顔をし相棒に文句を言うイアンを見ながら戦闘狂は確信する。

まだまだ世の中に燻る闘争があるのだと。

召喚されるサーヴァント 上位二名予定  一応ぜんぶ触媒は思いついてます

  • ジークフリート
  • シグルド
  • クリームヒルト
  • ジャンヌダルク
  • ジャンヌダルク・オルタ
  • マルタ
  • アルトリア
  • メリュジーヌ
  • メディア
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ToLOVEる ~ 生まれ変わった意味を探して~(作者:アイスが食べたいマン)(原作:ToLOVEる)

生まれ変わった主人公時雨優斗(ときさめゆうと)▼何故生まれ変わったのか?▼何故自分がだったのか?▼生きる理由を探しながら身近な人の幸せを守ろうとする主人公の話▼主人公に原作知識はありません。▼タグは順次増えるかもです。▼初投稿なので誤字や文が変かもしれませんがご了承ください。


総合評価:1156/評価:8.06/連載:29話/更新日時:2026年05月12日(火) 22:56 小説情報

とある転生者の受難日記(作者:匿名)(原作:七つの大罪)

これは、ひょんなことから転生した男の、ありとあらゆる苦難が綴られた日記である。


総合評価:14968/評価:9.12/連載:23話/更新日時:2026年05月08日(金) 19:07 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>