毎日に微かな変化や出来事が起きる普通の人生から一変、ドラゴンズドグマ2の覚者として生まれ変わってからまず有り得ない経験をしてきた。終わりが見えないと思っていた冒険。そして自分のドラゴンとの戦いで真実を知った時は軽く絶望した。
でもやっぱりなんでもかんでも投げ出して一人になりたいと思う時だってあった。自分は独りじゃないし独りにさせてくれない。どんなに絶望してもずっと隣にいてくれる相棒がいるから…
虚無から生まれた自分のサポートをしてくれる相棒。一緒に笑ったり考えたりしてくれるけど中身は空っぽだと知っていた。このゲームを知っているから。でもこの世界に来て竜を倒す時、竜憑きになったはずの彼女は自分に感謝の言葉を叫んだ。彼女に意志が宿ったんだんだ。
みんな自分の事を知らないけど彼女だけはずっと覚えてる。だから自分は諦めない。
その決意でまた同じだけど同じじゃない世界を崩壊から救った。そしてまた違う世界であの採掘現場で目覚めが来るのを待っていたんだけど………………
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「様……者様!…覚者様!!」
自分の
「えぇっとここはどこなんだ?」
いつもならあの採掘現場で目覚めるはずなのに。
「ブルズアイ。俺たちはいつからここに?」
「分かりません。私も先程目覚めたばかりでして、まだ状況が掴めていないんです」
自分のメインポーンである自分と同じ獣人のブルズアイ。フィッシュボーンで編み込みされた金髪でヒョウ柄の彼女は鋭い観察眼を持つアーチャーで状況把握でいつも戦いのサポートをしてくれた。そんな彼女でさえも分からないとなると迂闊に行動ができない。
「お前でも分からないのか。だが、移動はした方がいいだろう。今いる草原は見晴らしが良すぎる。いい意味でも悪い意味でもな」
「会話が出来る人に会うのが先か、敵対生物に遭遇するのが先か、私は前者がいいですね」
「あぁ俺もだ」
そして自分を先頭にし、草を分けてただひたすらに真っ直ぐ進んで行った。歩く間に太陽はだんだん傾いて夕方に早く草原をでないとまずい状況だ。
「覚者様!目の前に木々が見えます!きっと森ではないでしょうか?」
「ん?本当だ!出来したぞブルズアイ!早く行こう!」
ブルズアイの視力が鷹の目並で助かった。これなら一晩木の上で寝れそうだ。
日が昇り目を覚ました俺たち二人は草原を離れて森の中を進んで行った。普通なら魔物からの不意打ちを警戒するが長年の勘と言うべきかこの森には魔物はいないという確信があった。それにチラッと後ろを見るとブルズアイは森の空気を肺に詰め込み何度も深呼吸していた。よっぽど空気が美味しいんだろう。
この調子で道や看板、とにかく人のいた痕跡があればいいんだがなぁ。
昨日の晩、地図を確認したがあんな広い草原はヴェルムントには無かった。もしかしたら円環から外れたのかと考えたが確証がないため喜べない。とりあえず今の目標は人里を探す事だ。人を見つけなければ情報もえられない。
とは内心思いつつ……
「人影見えたか?」
「いいえ」
「腹が減ったな」
「もう少し我慢しましょう」
「……歩き疲れてきた」
「持久力は私より覚者の方がある筈ですよ」
「休みたいんだが」
「まだまだ歩きますよ」
と、愚痴を零しながら歩いていた。
そして匂いが変わる。穏やかだった森の匂いは血と鉄に変わり、肌に強い熱気が当たった。脚を動かす。走った。目標であった人里?いや戦場は見つけた。問題があるとするなら巨大な黒竜が辺りを火の海にしている事だろう。