MARVEL STUDIOS 「ブルーアーカイブ」 作:MAN
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直近の問題を解決したばかりの解放感というのはなかなか捨てがたいものだ。
今日はカイザーローンに喧嘩を売ってから初の土日。流石のアビドス生徒会の活動も土日は休むべきだというユメの提言によって、私たちは各々のやり方で休息を楽しんでいる。
……そういえば、3人でどこかに出かけて遊んだりとかってことはあまりなかったな。今度私からひと段落付いたことだし、D.U.辺りで買い物しようとでも誘ってみようかな。
「まあ、完全に解決したとは思えないけど」
私が休暇中にやることと言えば……そうだね新しいスーツ作りだね。
「さあHERMA、今日は久しぶりにお片付けじゃなくてスーツ作りができるぞ。気合を入れて行こうじゃないか」
『はいアテネ様。本日はどのようなコンセプトで?』
「得物を搭載した純組み立て式の戦闘用スーツだ。装着用マニピュレータも改良するぞ。装着時に髪を引っ掛けるのは勘弁だからね」
あと半年もすれば体が成長してMark4も着れなくなってくるだろうし、色々と改良の候補は見つかっている。今日は2代目非携帯型戦闘用スーツ、Mark6の制作に取り掛かろう。
とち狂ったカイザーがアビドスに攻めてくる可能性も0じゃないし、そのときを想定してという理由も含まれている。
『得物……何か案があるのであれば、参照して設計させ頂きますが』
「有象無象を相手にするのであればMark5でも問題ない。今回は上澄みの1を相手取った……まあ端的に言えばミカやホシノみたいな相手と戦う想定で作ろうと思う」
Mark4のモデルを表示させ、さっきスキャンした私の体格に合わせてサイズを変更する。何気に耐久性や着心地に作用してくる一番大事な工程だ。
「両手のリパルサーに関しては出力と圧縮比を上げてくれ。飛行に関しては背中と足のリパルサーで十分だ。両手に関しては細かいバランスを取る程度で構わない」
トニーも言ってたけどあの飛び方はどうにかならないものなのだろうか。確かに細かなバランスを取るために両手を使う必要はあるんだけどさ。
だが今の私はキヴォトスの人間。地球人のトニーと比べ筋力もバランス能力も圧倒的に高いため、出力を得るという目的以外に必要がないのだ。
『承知しました。設計モデルを変更しておきます』
これで対人性能は上がったといっていいだろう。
更に改善点を挙げるならば神秘変換・充填装置の部分だろうか。
「ホシノの一撃でオーバーフローだもんなぁ」
至近距離から全弾という極めて難しい条件ではあったが、たった一撃でキャパシティをオーバーするのはいただけない。
それでも羽に搭載するということで他部品に干渉せず設計することができたが……これ以上はどうするべきか。
こういうときは身近な人やものから着想を得ると良かったりするんだよな。トニーもそれでMark3のデザイン決めたらしいし。
「物理的な場所……銃は無理として……ああ、あれがあったな」
身近な人間の戦い方で記憶を辿ると、直ぐに良いアイデアが浮かんで来た。
外見とその中に入れる電子回路の設計を行い、完成したモデルをスーツへ取り付ける。
「……これだとちょっとキャラ被りするな。……よし。モチーフ的にもちょうどいいね」
例の如く完成したモデルをHERMAに投げつけ完成を待つ。……さて、完成するのが楽しみだ。
翌日、私はMark5を着てブラックマーケットを亡霊のように漂っていた。
「材料不足なんて聞いてないぞ……」
そりゃあしばらく忙しくて買い出しすらサボっていたけどさ。このタイミングで色々足りなくなるのは間が悪いというか何というか。
パラジウム、グラフェン、チタニウム、タングステン、カーボンナノチューブ……よし。とりあえずこの辺で大丈夫かな。何でこんなものが商店に売っているのか疑問は残るが、手に入るだけありがたいと思っておこう。
通販では買えないであろう素材を粗方買い揃え、HERMAのドローンにそれらを括りつける。
「ラボまで運んでおいてくれ」
『承知しました』
括りつけられたドローンと、それを護衛するための2台の合計3台のドローンが遥か空の向こうへと飛んでいく。この高度ならチンピラに絡まれることもないだろうし、私のラボがある土地は高級住宅街で治安がすこぶる良いため問題ない。
手ぶらになった後は休日の人でごった返す商店街を抜け、人通りの少ない裏路地へと足を運ぶ。
しばらく歩いていると行き止まりの場所にたどり着いた。迷った挙句こんな場所へ来たのかと思うかもしれないが、生憎とここの地形は粗方頭に入れている。……つまり、ここに来たのはわざとということだ。
「それで、
リパルサーのリミッターを解除し、翼を広げて後ろに振り向く。
すると壁と私を挟むような位置取りで、黒のスーツを着込み、影のような体と亀裂のように発光する顔を持った、男性と思わしき人型の何かが立っていた。
「これは失礼しました。付け回すつもりはなかったのですが」
男は丁寧に腰を折って謝罪をし、黒い手袋をはめた手を胸に当て、再度礼をして挨拶をして来た。
「初めまして。私はゲマトリアという組織に所属している者です。呼び方はお好きにしていただいて構いませんが、あなたのご友人であるホシノさんからは『黒服』と呼ばれています」
この短い自己紹介の中にも、男……黒服は『ホシノと接点があること』『私とホシノが友人関係であることを知っていること』という2つの情報を開示してきた。
「ご丁寧にどうも。それで? そのゲマトリアの黒服さんは一体どんな要件で?」
「怪しい物には名前すら教えてくれませんか。流石の警戒心です。
……なるほど。
「何のことだか。そう言うあなたはカイザーの回し者かな?」
相手がこちらの情報を一方的に知っているのであれば、私も肉を切って相手の情報を得るほかない。
「半分正解と言っておきましょう。彼らのトップとは個人的なつながりはありますが、今日ここへ来たのは全くの別件です。あなたの持つその神秘に、少しだけ興味があって」
「なるほど。あなたは私と同じく、神秘やヘイローについての研究をしているというかな?」
「ええ。正確には神秘そのものと、それと対を成す恐怖によって崇高へと至るのが、我々ゲマトリアの目的です」
胡散臭い宗教の様なことを言う黒服だが、言いたいことはある程度分かった。
ようは私と同じく神秘について研究しているということだろう。それならば、キヴォトスで最も神秘量が多いであろうホシノと関わりがある事にも納得がいく。
「神秘……恐怖。なるほどね。私のヘイローは少し特殊だからね。見てみるかい?」
「……ええ。よろしいのであれば」
私があっさりヘイローを隠すホログラムを解除したのを見て面食らう黒服。
「まさか神秘について研究をしている人が、私の他にもいるとは思わなかったよ。ほら、どうだい私のヘイローは。中々綺麗に輝いているだろう?」
後ろを向いて見慣れたアークリアクター型のヘイローを黒服に自慢する。個人的に結構気に入ってるんだよねこの見た目。
「黒服は神秘についてはどれくらい研究しているんだい?」
「お恥ずかしいことながら、私はゲマトリアの中でも新参者でして」
私のヘイローをまじまじと見ながら、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべる黒服。新参者とかそういう文化もあるのか。
「……ふむ、これは……!」
何か気づくものがあったのか、黒服は息を飲んで私の肩に手を置いた。
「
「どこでと言っても、生まれたときからこうだったとしか言いようがないな。何か知っているのか?」
ヘイローの中心にある橙色の石をつまんで転がしながら黒服に問いかける。
これ面白いんだよね。つまんで引っ張ると元の場所に弾いて戻るんだよ。
「実態のある石……いえ、これが恐怖の根源ですか……」
興味深そうに呟きながら、黒服は自身が驚いた理由について説明してくれた。
「あなたも知っての通り、キヴォトスの生徒は例外なくヘイロー……神秘を持っています。その量に個人の差はあれど、ヘイローが無い生徒というのは見たことがありません」
「だろうね。ヘイローが無かったら人生ハードモードも良い所だ」
「そして崇高というのは、2つの側面を持っているのです。片方が先ほど言った神秘で、もう片方が恐怖。崇高をコインとするならこれらは表と裏の面を表します。すなわち、決して切り離すことはできず、私たちはそのどちらかしか観測することができない」
私のヘイロー……その中心の石に触れ、不思議そうに呟く黒服。
「しかし、あなたは通常の生徒と同様の神秘を持ちながら、同時に恐怖を有するこの物質を有している。これは神秘の性質上ありえないことです」
「神秘というのは恐怖に転換するのだろう? 私が覚えていないだけで、そのような経験があったんじゃないか?」
「いいえあり得ません。神秘から恐怖への転換は不可逆な現象。裏返ったコインを再び面に戻すことはできないのです。ましてや、その二つを共存させるなど……」
ぶつぶつと自分の世界に入って行ってしまった黒服。私も研究している分野で想定外の結果が出た時はこんな感じになるため、少し親近感がわいて来る。
だが置いてけぼりにされるのは面白くない。トリップしつつあった黒服の肩に手を置き、私はマスク越しに笑って話しかける。
「君と私は研究者だろう? ならば、分からないことがあったらやることは1つだろう」
「……なるほど。あなたのヘイローを研究するということですね」
「そういうことだ。幸運なことに、ここにはキヴォトス随一の研究者が居るんだからね。ドンと頼って貰って構わないよ」
もし仮に黒服の言っていることが正しいのであれば、恐怖の力はスーツに転用できるかもしれない。
神秘と併用して動力を増やせるのだとしたら、間違いなく性能の大幅な向上が見込めるだろう。これは僥倖だった。
「モモトークはやっているかい?」
「まあ、一応は」
スマートフォンを取り出し、黒服とモモトークを交換する。
……よし。研究者友だちが増えるのは初めてだな。中々悪くない出会いだ。
「準備ができ次第連絡をくれ。私は帰ってスーツの開発を急がないといけないからね」
「分かりました」
ヘイローをホログラムで消し、黒服に手を振ってその場を後にする。
「ふふふ……ここにきて新しい研究対象が生まれるとは。HERMA、帰るまでにラボの掃除を頼む。帰ったら速攻こいつをいじくり回すぞ」
『一人で進めてしまってもよろしいのですか?』
「当たり前だろう。こんな面白そうなエサを与えられて、黙ってみてられるかって話だ」
誰が悪いかと言えば私にこの話をした黒服が悪いってことにしておこう。怒られたら謝ればいいし。あっちもストーキングしてきたんだからお相子だ。
帰宅してラボに直行した私は、早速HERMAに片づけてもらったラボの一角に椅子と机を持っていき、記録用ドローンを飛ばしてもらう。
「ひとまずエネルギーをかけてみるか。HERMA、アークリアクタを持ってきてくれ」
電極に繋がれたアークリアクターを机の上に置き、圧力を上げたリパルサーで両側を挟むようにして固定する。
「出力10パーセント」
リパルサーを起動し、ヘイローに向けてプラズマを発射する。
「……特に反応なし。やっぱり物理的なエネルギーじゃ干渉できないのか?」
多少痛みや衝撃が来ることを想定していたのだが、これじゃあ拍子抜けだな。
それから少しづつ出力を上げてみるが、全くもって反応しない。……何だろう。段々腹が立ってきた。
「この手の奴はエネルギーをかけると何か起きるのが定石だろうが……! HERMA、UNI-ビームのユニットを持ってきてくれ。残りのリアクターも全部だ」
持ってきた数台のリアクターと、Mark4の胸部に付けられたユニットの予備を全て直列に繋ぐ。
再度ドローンに構えさせて頭上を掠めるように装着すると、両手に持った電極を一気に繋いで通電させた。
高い電圧で通電する音と共にUNI-ビームが発射される。
「……何も起こらな────はっ?」
────その瞬間、頭上のヘイローが閃光と共に爆発した。
「マジか……よ」
吹き飛ぶラボの天井と崩れ落ちる瓦礫を眺めながら、私の意識は深い闇の中へと落ちていった。
「爆発オチ、とか……最低じゃねえか……」
────────────────
『アテネ様……────
突っ伏して倒れるアテネの元に、一台のドローンが飛んでいく。
機体下部に取り付けられたアームでアテネの頬をついて、意識があるか確かめるが一切反応は無い。
「────」
『……相変わらず仕方がない人ですね。死んでも研究熱心なのは直りませんか』
壁に並べられていたドローンが音もなく動き出し、気絶したアテネを持ち上げる。そのまま崩れたラボをの扉を抜け、地上の居住室へと運んでいった。
そして、崩れ落ちた扉の先には、ラボの中で忙しなく動く数十台のドローンが、ひとりでに瓦礫を撤去している様子が見えた。
H.E.R.M.A:???
あと少しで原作に合流します。
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