MARVEL STUDIOS 「ブルーアーカイブ」 作:MAN
つかれた…18,000字の大作です。流石に長すぎるので分けました。
高評価、感想、ここ好き頂ける作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします!
ミカの祈りによって降り注いだ隕石は、ヘリの集団を巻き込んで砂漠へと降り注いだ。
その全てが空中で爆発、あるいは墜落し、操縦していたであろう生徒達の断末魔が聞こえてきた。
「あんな少人数の監視で、私を閉じ込められると思うのが間違いじゃんね」
「何故!? あなただって、アテネ様に戻ってきて欲しいと言っていたではありませんか!」
ギラついた笑顔を見せるミカに、フミカは苛立ちを隠そうともしない。
「どうしてって……私はあなたと違って、アテネちゃんが出て行った理由を知ってたからだよ? いくら頑張っても二番目の女にすらなれないフミカ様と違って、アテちゃんは私のことが大好きだから」
「くっ……! 黙って聞いていればぬけぬけと!」
苦虫をかみつぶしたような表情を見せ、こちらに銃を向けるフミカ。
「あはは、まだ自分が優位に立っているって勘違いしてるんだ」
「ふっ、それはこちらの台詞です。もうじきここには榴弾の嵐が降り注ぎます。私も巻き添えを食らうのは必須でしょうが、まだまだこちらには数多くの戦力が残っています」
……目的を果たす為なら自分の犠牲すら厭わないか。
トリニティに居た時は頼もしい先輩だったが、敵に回るとここまで厄介になるのか。
「ふーん。
「何を……」
その瞬間、ミカのスマートフォンから着信を知らせる音楽が鳴り響いた。
「あ! ナギちゃんからだ! もしもーし、そっちは大丈夫?」
『問題ありません。支援本部の制圧、無事完了いたしました』
「なっ!?」
スピーカーにした電話口からは、ナギサの声が聞こえてくる。
「事情を伝えたら皆銃を下ろしてくれたみたいだよ? ハスミちゃんを始めとした一年生を、支援部隊に回したのは失敗だったんじゃない?」
「このっ……役立たず共が!」
「こわーい。お留守番してたフィリウス分派の首長も、今頃シスターフッドに捕まったんじゃないかな? あ、ミネちゃんも飛び入りで戦ってくれたみたいだから、もしかしたら今頃救護騎士団のお世話になってるかもね」
どうやら私の知らないところで盛大に暴れてくれたようだ。こちらの指示を聞かずとも、最善の行動を自分で撮ってくれたみたいだね。
そんな幼馴染の成長に感動していると、フミカは俯いたまま小さく笑い始めた。
「……認めましょう。あなた方の実力と、その采配を」
「うわっ、すっごい上から目線。ティーパーティーになると皆こんな感じになっちゃうのかな?」
「……ミカ、感謝はしてるから少し静かにしててくれ」
これではどちらが悪役か分からないだろ。……いや、悪役とか無いのは分かってるんだけどさ。
「私は恐らく審問会にかけられ、ティーパーティーの権限も剥奪されることとなるでしょう」
悲壮的な語り口とは裏腹に、こちらを見る表情の灯は消えていなかった。
「ですが、ここで引くつもりはございません。その全てをひっくり返すカードが、確かにここにはあるのですから……私がリボルバーを愛用している、もう一つの理由を教えて差し上げましょう……」
私の方を一瞥して微笑んだ後、フミカは手に持ったリボルバーをミカへと向けた。
「っ!」
辛うじて回避することができたミカだが、慣れない砂場に足を取られて転んでしまう。
フミカは仰向けに倒れるミカの腹部を足で踏みつけ、顔面に銃を向ける。
「私、敵方との戦闘において、7発以上連続で撃ったことがないんですよ。どの相手もこれで事足りるので」
「ミカ! ぐっ……!」
いち早く反応して銃口を向けるホシノだったが、突然背後から銃弾の嵐が飛んでくる。
「ようやく来たようですね。待ちくたびれましたよ」
後ろを見ると、そこには正義実現委員会の生徒が、恨めしそうな眼をこちらに向けて進軍していた。
「何人かは倒れてしまったようですが、トリニティの正規軍の質と量を舐めない事ですね。頼みの綱であるミカさんも私と同程度の実力。ホシノさんもかなり限界が近いようですし、あの軍勢を処理するおつもりで?」
その数はざっと200人。目の前に立つフミカもここに含まれるとなると、私の知りうる限り最も強い手札であるミカとホシノをもってしても、攻略はかなり厳しいものだった。
だが諦める気は早々ない。その意思表示としてマスクを装着し、フミカに向かって手のひらを向ける。
『リパルサーシステムは復旧中です! 無理な使用は暴発の危険があります!』
「だそうですよ。今投降するのであれば、そこにいるホシノさんとミカさんの安全は保障します」
状況は絶体絶命。
そう思った瞬間、フミカが凄まじい勢いで側方に吹き飛んで行った。
遅れてけたたましい銃声があたりに響く。状況から察するに何者かの狙撃による支援が行われたのだろう。
「一体何が……きゃっ!」
頭にモロに銃弾を食らったくせしてぴんぴんしていたフミカだが、着弾から数秒して頭部が爆発した。
「これは……」
その攻撃方法に見覚えがあったため、銃声がした方へと振り返る。
程なくして、こちらに駆け足で向かって来ていた正実生徒の集団が爆発に包まれた。
「あはは! ポップコーンみたい!」
「見てた今の攻撃とタイミングっ! これが便利屋68の社長、陸八魔アルの実力よ!」
「ひいぃぃん! この子たち怖いよぉ!」
そこには走る生徒たちを追い抜かすように、砂を巻き上げながらこちらに向かってくる軍用四輪車の姿があった。
「あれはユメ先輩!? ……と、誰ですか?」
「私のお得意様だよ」
万が一を想定して依頼したのだが、間に合ったようで何よりだ。
「あれが最近アルちゃんと逢い引きしてるっていう依頼人? 凄い恰好~」
「逢い引きじゃないわよ!? アテネ! 依頼を遂行しに来たわよ! 見てなさい!」
アルの隣に座っているのはいつも話していた幼馴染の女の子だろう。
何やら変なことを吹き込まれているようだが、目を白黒させながら否定した後、アルは立ち上がって大きく手を振った。
「ちょ、ちょっと! 立ち上がらないでよアルちゃん!」
運転席に座るユメが声を荒げてハンドルを乱雑に動かす……確かあの子免許持ってなかったよな? こんなデコボコした砂漠を猛スピードで走って大丈夫か?
「えっ? ……きゃああああ!?」
「あははは! スリル満点!」
案の定四輪車はスタックして勢いそのままで盛大に横転。アルと隣に立つ少女を空中へ投げ出す。
「ひぃあああああ!? 死んじゃうぅぅぅ!」
ご丁寧にシートベルトをしていたユメは運転席から出られないまま車ごと突っ込んでくる……おいおいおい!?
「何やってるんですかユメ先輩は!?」
「っ、ミカ!」
「あわわわっ、何あれ!」
大きな砂丘に激突したのか、放物線を描いて飛んでくる四駆車。
立っていたホシノこそ咄嗟に逃げられたが、横たわっていたミカはそう早くは動けない。……クソっ、仕方ない。
上から落ちて来た四駆車を両手で受け止め、膝を突いて衝撃を地面へと逃がす。
「きゃ!?」
金属のぶつかる凄まじい音が鳴り響き、骨組みがきしむ音をならしながら動きを止めた。
トニーがオバディアと戦ってるときにこんなシーンあったよな。ニュースの映像で見たぞ……っと。
そんなどうでもいいことを思い出しながら車を下ろす。
「ひぃん!」
いつも通りの独特な鳴き声を上げ、ユメは車はもうこりごりだといわんばかりに飛び降りた。
「ひっぐ……怖かった……」
「今度免許取りに行こうな。私が付き添ってあげるから」
ポロポロと大粒の涙を流すユメの肩をさすりながら、私はドヤ顔でこちらに歩いて来るアルの方を見た。
「な、中々派手な余興だったじゃない! 私の登場にふさわしい演出だったわ!」
「カッコいいアウトローになりたいなら、まず頭の上に付いた砂を落とさないとな」
砂まみれの頭や肩を手で軽く払うと、アルは恥ずかしそうに目を逸らして感謝の言葉を口にした。
「あ、ありがとう……しょ、紹介するわ! 私の幼馴染にして便利屋68のムツキ室長よ!」
すると、反対の手が何者かによって引っ張られた。
そちらをみると、先ほどアルと一緒に吹っ飛んだ銀髪の少女いた。興味深そうに私の腕をペタペタと触っている。
「浅黄ムツキでーす! さっきは凄い力だったね! これ、本当に中に人入ってるの?」
「ああ。この通りね」
マスクを展開して顔を見せる。アルには最初人間であることは隠していたがもう今更だね。名前がバレてる時点でもう分かってるだろうし。
「わっ、ホントだ! それ裸の上に着るの? 胸とか擦れそう~」
「……いや、ちゃんと中に着てるから大丈夫だよ」
定期的にその方面の心配されるけど、パージできるこのスーツで中身裸だったら、裸の上にコート着てる露出狂と変わらないからね?
「随分と……大所帯になりましたね」
浮かんできた変な想像を頭の隅に追いやっていると、先ほどアルの狙撃を頭に受けたフミカが砂丘の上からこちらを見下ろしているのが見えた。
「……はぁ、はぁ……今のは、中々痛かったですよ」
「っ! アルちゃんの狙撃をまともに食らって意識あるんだ。凄いねーあの人」
口調こそ余裕そうだが、向ける瞳は真剣そのもの。ムツキも目の前の相手を驚異的に思ったのだろう。
「ですが、これで終わりです。何人相手が増えようと、あなた達の敗北が覆ることはありませんから」
全員の視線を受け、狂気的ともいえる笑みを浮かべながらフミカは両手を広げて呼びかけた。
「さあ……! やってしまいなさいあなた達! その愚かな人間たちを蹂躙するのです!」
ムツキの爆弾が当たったとはいえ、精々倒せても20人が良い所だろう。
フミカは残った生徒たちに声を上げ、私たちに指を指して高笑いをした。
「私とユメ先輩で前衛を張ります! 残りの方たちは包囲されないよう広く展開してください!」
この中で最も戦闘経験の豊富なホシノが指示を出す。皆が自然とそれに従う様に陣形をとり、来たる大群に備えて銃を構えた。
……しかし、いつまでたっても大群どころか、一人として表れることはない。
先ほどとは打って変わって静寂が辺りを包む。フミカもどこか気まずそうに固まっていた。
「ひっ……ひぃ……フミカ様ぁ」
少しして現れたのは、赤と黒の制服を身に纏い、黒い前髪を目の上で真っ直ぐ切ったロングヘアの女子生徒。
確かに正義実現委員会の制服を着ていた。それはまあいいとして……
「……
「ふえっ……ふえぇん……」
フミカの質問に答えることなく、その生徒は泣きじゃくって彼女の足元に縋った。
「……何か聞こえない?」
そう呟いたユメの言葉を聞いてよく耳を澄ます。すると砂丘の奥から銃声と共に、複数の叫び声が聞こえるのに気が付いた。
いつの間にか復旧が完了していたリパルサーを起動し飛び上がると、少し奥の方で包囲されながらも黒の集団を吹き飛ばす、見知った生徒の姿が見えた。
「ぎは、ぎははははは! 次は誰だァ!?」
左腕で他の生徒の首を盾のように持ちながら、もう片方に持ったショットガンを撃っている。
「つ、
「ケヒッ……私は行くなと言った、だからお前らが悪い」
滅茶苦茶な理論を振り回し、狼狽えながらも撃ってくる生徒に往訪していたのは、先ほど和解したはずのツルギだった。
「何故ツルギが……!」
ミカと並んでトリニティで最も戦闘能力の高い生徒であるツルギが裏切った事実に、流石のフミカも動揺を隠せずにいた。
「人望の差、ってことじゃなぁい?」
「何ですって……! ぐっ!?」
いつの間にか近づいていたミカが容赦なく腹部に拳を入れると、フミカは反対方向に10メートルほど吹き飛んでいった。
高い所から水平に飛んで行ったためか、フミカは器用に羽を動かして空中で姿勢を整える。
「聖園ミカァ! お前はいつまで私の邪魔をすれば気が済むんだ!」
叫ぶフミカに弾丸の雨をお見舞いし、ミカは砂の山を駆け下りて行った。
「フミカ様の事は私に任せて、あなた達はツルギちゃんの所へ行ってあげて」
……ミカなら任せても大丈夫だな。
「分かった。行くぞ! いくらツルギでもそう長くは持たない!」
リパルサーを起動、マスクのモニターに表示された位置情報をもとに、突き立てた槍を回収する。
再びツルギたちの所へ戻ると、ホシノ達は既に合流を済ませたようで、大規模な銃撃戦を繰り広げていた。
「数は圧倒的に敵の方が多いです! ここには遮蔽が無いので、砂漠の地形を利用して戦ってください」
頼もしいホシノの声が響き渡る。私もこうおちおちとしてはいられないな。
そのまま加速して敵地の真ん中に突っ込み、すれ違いざまに広げた羽で数人を弾き飛ばす。背中からの攻撃を羽で防ぎながら、手に持った盾と槍で近接戦闘を仕掛ける。
「さあ、かかって来い!」
同士討ちの危険性を考慮したか、反応が遅れた生徒たちをリパルサーと槍の殴打で仕留めていく。耐久性を考慮した形状となっているため、槍と言うよりかはただの棒なのだが、下手に付き刺して怪我をさせるつもりもないのでこれで十分だ。
ショットガンを腰だめで撃とうとする生徒を盾で弾き飛ばし、反対に立つ生徒に槍に取り付けたリパルサーで攻撃する。
「何やってるのよ!? さっさと羽ごと撃ち抜きなさいよ!」
「さっきからやってるわよ! きゃっ!」
羽の部分はシンプルな設計故最も耐久力が高いため、一斉放射をもろともせずひたすらはじき返している。その際神秘を吸収するのも勿論忘れていない。
「アテネ! 大丈夫なの!?」
少し離れた所から心配そうなアルの声が聞こえてくる。
それを聞いて妙案を思いついたため、その場で急上昇して左手を大きく上に掲げた。
「アル!
「っ! ええ! 分かったわ!」
三次元的に動く、人の体よりも小さな盾に弾丸を当てるのは難しいだろう。
しかし、アルは全く迷うことなく引き金を引き、私の盾のド真ん中に赤い弾丸が張り付く。
「ははっ! やるじゃねえか!」
そのまま盾を地面に投げつけ、砂に突き刺さったところにUNI-ビームを打ち込む。
UNI-ビームの着弾と同時に弾丸が爆発し、凄まじい爆風と衝撃波が辺りを包み込んだ。
「わーお! 凄い組み合わせ! あれも逢い引き中に練習してたの?」
「でしょう? ……って逢い引きじゃないわよ!?」
ムツキもご満悦のようで何よりだ。
「じゃあ、私もそこに便乗しちゃおっかな? いっくよ~!」
何処からともなく取り出した鞄を投げつけるムツキ。生徒たちの傍に落ちたそれには、おびただしい数の爆弾が詰まっていた。
爆風をもろに受け悲鳴を上げる生徒たち。
「チャンスです! 一気に畳みかけますよ!」
「えぇ!? あ、あそこに突っ込むの!?」
「ゲハハハハハ!」
上からホシノ、ユメ、ツルギと会話が続いていく。
「そんなにデカい盾を持ってるんだからビビらないでくださいよ! ああもうほら! 狂犬さんが先に行っちゃったじゃないですか!?」
「ひぃん! わ、分かったよぉ……」
そう言ってツルギに続くホシノ。……いい加減、名前で呼んであげた方が良いんじゃないかな。
そしてユメは情けない声を上げ、目を瞑りながらこちらへ向かって来る。
────そして、そこからの戦いは蹂躙と呼ぶのにふさわしいものだった。
「アテネ! その盾ちょっと貸してください!」
盾とショットガンという初めての組み合わせにもかかわらず、何故か完璧に使いこなすホシノ。
「……アテネ様? 今あの子アテネ様って言いましたよね?」
「こんなオートマタがアテネ様なわけないでしょう!? アテネ様は今もなお監禁されているんだから! いいから集中しなさい!」
滅茶苦茶サラッと呼んだなこいつ! 俺名前で呼ぶなって散々釘刺したんだけど!?
「アルちゃん! これ撃って奥まで飛ばして!」
「ええ! 任せなさい!」
投げた爆弾を弾き、広範囲を爆破するムツキとアル。
「ぎひっ、あひゃひゃひゃひゃ! ……盾を向けろォ!」
「へっ? は、はい!」
相変わらずテンションの浮き沈みが激しいツルギが、ユメの構えた盾を蹴って空中で敵をなぎ倒していく。
「ひぃぃん! こ、来ないでぇ!」
盾を両手で握り締め、バタバタと振り回してその場を駆けていくユメ。……どうやらホルスターに仕舞ったハンドガンはただの飾りのようだ。
性格も個性もてんでバラバラの私たちだったが、チームワークは中々のものだ。
「その姿で盾と槍とは洒落が聞いてますね! もう天使を騙るのは辞めたんじゃないんですか!」
「その通りだ! 私はもうアビドスの生徒だからね!」
「皮肉ですよバカアテネ!」
「だから名前で呼ぶなと言っただろ!?」
一応名前を隠して活動してるんだぞ!? こんな姿でブラックマーケットに入り浸ってることを、ナギサに知られて泣かれるのは嫌だからな!?
「あはは! ごめんなさい!」
そんなアクシデントもありつつ、私たちは無事戦いを勝利で終えることができたのだった。
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