MARVEL STUDIOS 「ブルーアーカイブ」 作:MAN
寝落ちしてしまいました。
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アビドスとトリニティの小競り合いを終えて1週間。審問会の準備が整ったのか、ユメとホシノ、そして私はトリニティ総合学園へと招待された。
「わぁ……凄いきれいな街並み……あ! 見てホシノちゃん! あそこに美味しそうなケーキ屋さんがあるよ!」
「恥ずかしいので大人しくしててください! そもそも私たちは遊びに来たんじゃないでしょう!」
審問会……言うなれば、フミカ先輩が起こした行為に対する裁判の証人として呼ばれたのだが、ユメはそんな場面でも相変わらず気が抜けている。
これじゃどっちが先輩なのか分からないね。
そんなやり取りもありつつ、私を先頭に皆で審問所へと向かう。
「お待ちしておりました梔子ユメ様、小鳥遊ホシノ様……芙蓉アテネ様」
審問所で私たちを出迎えたのは、私もよく知る生徒だった。
「現在臨時でティーパーティーのホストを務めさせていただいております、
アマテ様……サンクトゥス分派の首長にして、唯一アビドスへの武力行使に反対していた人だ。
この人も大概被害者だよな。派閥内で賛成多数だったら認めざるを得ないだろうに。
アマテ様の言葉に苦笑いを浮かべてやんわり否定するユメと、あくまで毅然とした態度を崩さないホシノ。
緊張と緩和。外交官としてのバランスも整ってて良さげな組み合わせだ。
「30分後に審問会が始まります。それまでこちらでごゆっくりどうぞ」
待合室に案内されると同時に、アマテ様は深く礼をして退出した。
テーブルの上に置かれていた高級そうなお茶菓子や紅茶を見て、訝しげに眉を顰めるホシノ。
「……これ、毒とか入ってないですよね」
「お前は私の母校を何だと思っているんだ」
被害者を消せば審問会も必要ないってか? ロックンロール過ぎるだろ。
「戦争犯罪人兼強姦未遂犯が生徒会長をしているヤバい学校です」
……困った。何も言い返せない。
「ま、まあ……せっかく貰ったんだし、3人で美味しく頂いちゃお?」
そんなユメの言葉を皮切りに、私たちは袋に入れられた高級茶菓子を食べていく。
「……凄く美味しいです。悔しいですけど」
そうして30分が経過し、審問会が開かれた。向かい側には恐らくカイザーの代表と思われる人物が座っている。
ちなみにアルとムツキはお留守番だ。ゲヘナの生徒がこんな場所に入ったら、フミカそっちのけで迫害が始まってもおかしくないし。
法廷に入るなり、私の方を見て小さく微笑むフミカ。気負いがなさそうで何よりだ。
流石にティーパーティーともあれば雑な扱いはできないようで、左右を警備に囲まれつつも、手錠はおろか服装も指定されていなかった。
「ではこれより、御門フミカの一連の行いに対する審問会を行います」
審問官が木槌を打ち付け、審問会が始まった。
……と言ってもやることは決まっている。事前に話し合った通りに証言を行うだけ。
「ではアビドスの……芙蓉アテネ様。よろしくお願いします」
どことなく気まずそうな顔で私の名を呼ぶ審問官。
私が立った途端に傍聴席がざわめき出したものの、直後法廷に鳴り響く木槌の音で静まり返った。
「はい。よろしくお願いします」
アビドス側の証言なのでユメが出るべきなのだろうが、彼女をこういう場に立たせるのは少し不安なので私が出ることとなった。
証言台に立ち、審問官に向かって挨拶をする。
「……では、証人尋問を始めます」
────そこからのやり取りは特に引っかかりもなく、順調に証人尋問は進んでいった
私が自ら望んでアビドスに入学したこと、連邦生徒会からの引き渡し要請を意図して無視していたこと、フミカとの小競り合いがあった日は欠席していてあの場には居なかったこと等、予定通りに証言を進めた。
「今回の騒動に関しては何も告げずにトリニティを去り、引き渡しを拒否して話し合いすら応じなかった私にも責任はあると考えております。幸い大きな怪我人も出ていないことですし、どうか審問官様には寛大なご判決をお願い申し上げます」
「アビドス生徒会のお二方も、同じ考えということでよろしいでしょうか?」
審問官からの確認にユメとホシノが無言で頷く。
「分かりました……では私から質問を」
そう前置きをして、審問官は私を見て質問を投げかけた。
「こういった公の場に立つことを拒否し続けたあなたが、今になって証言台に立とうと思った理由をお聞かせ願いたいです。本来、この場に立つべきなのは生徒会のお二方のはずですし」
中々耳が痛い質問だ。
審問官の意見はごもっともだろう。そもそもこの騒動自体私が望んでアビドスに入学したと取材に応えていれば済んだ話だ。
いくら各学校の自治権の元保証された立場とはいえ、彼女たちからすれば説明の1つや2つは欲しかったと考えるのが当たり前の話。
「その点に関しては申し訳ありませんとしか言えません。進学を期に他学園へ入学するのはトリニティでも珍しいことではありませんし、ここまで大事になると想定できていなかった私の落ち度です」
からかいの意味も込め、被告人席の方をちらりと見る。
そこにはばつの悪い顔をして露骨に落ち込むフミカ先輩がいた。羽が枯れた植物のようにしおれている。可愛い。
「自身の影響力を考慮していなかったというわけですか」
「ええ。いくらティーパーティー候補と言えど、私はただの一学生にしかすぎませんから。その座もミカに継がせるつもりでしたし」
……フミカ先輩の失脚によって、思わぬ形で叶ってしまいそうだけどね。
「質問に答えていませんでしたね。私がこの場に立った理由ですか……色々ありますが、強いて言うなら、フミカ様は私の大切な先輩だから、と言うのが大きいですね」
「っ……!」
再びフミカ先輩の方を見ると、感極まったように口元を押さえ、羽をバタバタと動かしていた。
そこにはティーパーティーとして数々の政治闘争を勝ち上がってきた人とは思えない、御門フミカという一人の女の子の姿があった。
「……なるほど。では最後に1つだけ」
そう言って、手元の書類を見る審問官。
「騒動が起きた際、複数の正義実現委員会が所属不明のオートマタ……通称アイアンマンの存在を証言していました。中には、このアイアンマンの正体があなたではないかと疑っている生徒もいるようです。これは事実ですか?」
流石に聞かれるか。そりゃあ、百人を優に超える数の正規軍を相手取り、人数差を覆して勝利したうちの1人なのだから。
今頃トリニティの脅威としてリストアップされているに違いない。もちろん助っ人で来てくれた便利屋68も例に漏れず、しっかり登録されている。
アルは名が売れたと喜んでいたが、個人的にはそれによって危険な仕事が多くなるのがちょっと心配だったりもする。余計なお世話だろうし何も言ってないけど。
この質問に対する答えは既に考えてきている。
私は審問官に向かってにっこりと微笑み、声高々に宣言した。
「────そのような事実はございません。私は、アイアンマンではありません」
────────────────
御門フミカの審問会が終了して2時間。カイザーPMC理事は、仕事場である社長室へと足を運んでいた。
席についてデータを確認する理事のテーブルに、スーツを着た秘書であろう人物がコーヒーを置き、労いの言葉を掛けた。
「審問会への出廷、お疲れさまでした」
「うむ」
ソーサーからカップを取り出し、口をつけて熱い液体を口に流し込む。
「それにしても、アビドスとトリニティの紛争を起こさせるとは、流石の発想でございますね」
「世事はよせ。失敗した計画で威張っても何の示しにもならんだろう」
カップを置き、椅子に寄りかかって足を組んで語る理事。
それを聞いた秘書は疑問符を浮かべ、己の上司へと言葉を返した。
「失敗? アビドスとトリニティを戦わせ、消耗させた上で賠償金を払わせるのが目的ではなかったのですか?」
「荒廃して取り壊す予定だったエリアを破壊されても大した金は得られん。トリニティを巻き込むリスクに対してリターンが合っていないだろう。私の本来の目的は、芙蓉アテネをトリニティに引き渡すことと、ビナーの戦闘データを得るということだ」
「ビナーの戦闘データを? ……まさか、あの場所にビナーが出没することを想定していたということですか?」
「難しい話ではない。そもそもあそこはビナーの出没頻度が非常に高いエリアだ。数百人単位の大規模な進軍を行えば反応して出てくる可能性は高い。あわよくば痛手を負わせることが理想だったが……」
理事がホログラムを起動し、映像を表示する。
そこには確かに、空を明るく染め上げる程の光線を放ち、叫び声を上げるビナーの姿が写っていた。
「定点カメラの映像ですか……確かに、当該エリアにおけるビナーの出現時間はものの30秒程度でしたね」
「これではデータなど取れる訳もない」
「なるほど……」
気落ちしたようにそう呟く秘書。しかしそれに対し理事は喉を鳴らして笑っている。
「だが、思わぬ収穫もあった」
「収穫……ですか?」
「ああ。これを見ろ」
再度映し出されたのは、町中にある定点カメラの映像ではなく、カイザーPMCが所持している研究所の監視カメラの映像だった。
映像を拡大し、白衣を着た研究者の目線の先を大きく映す。
そこには、所々部品や材料を欠けさせながらも、青い光を淡く発する機械の姿があった。
「これは……?」
「エリア上空に出没した兵器の残骸から発見した、特殊な技術が用いられた発電器官だ」
3メートル四方ほどの大きさの機械は人が持ち運ぶには大きすぎるが、それでもヘリキャリアを動かす動力としては極小といってもいい。
「これが利用できるようになれば、我がカイザーPMCがキヴォトスを支配することも十分可能になるだろう」
壮大な野望を胸に抱えながら、理事は高らかに笑い上げるのであった。
────??? 年後────
「────はぁ……はぁ……っ!」
高々と並んでいたビル群が倒壊し、地獄のように辺り一面火の海となったD.U.の街。
一人の生徒が血の滴る片腕を押さえ、荒い呼吸を繰り返す。そして目の前に並ぶ数千数万の、異形の集団を睨みつけていた。
青々としたキヴォトスの美しい空は、立ち込める暗雲によって見る影もなくしている。
全長数キロメートルはあろう巨大な人工物から、コズミックホラー映画に出てくるような出で立ちの異形の生物が数多く飛び出してくる。その様は、世界の終末を見るものに印象付けていた。
そんな軍勢に見守られながら最前で生徒と向き合うのは、特徴的なガントレットを左手に装着した、紫色の肌を持つ大男。
「アテちゃんの元には、絶対に行かせない!」
一歩一歩近づいて来る男に恐怖を覚えながらも、生徒は銃を片手で構え、マガジン内にある弾を全て射出する。
凄まじい轟音と共に空気を切り裂いて進んでいく弾丸は、男に当たる寸前に紫色に発光するガントレットによってその勢いを止めた。
「っ……はあああぁ!」
弾薬が切れた銃をその場に捨て、両手を合わせて祈りを込める。
軍隊の頭上から蒼く発光する特大の隕石が降り注ぎ、異形たちの叫び声と共に地面を揺らす。
しかし、男の上から降り注いだ隕石は、青く光ったガントレットによって生み出された、時空のゆがみの中へと消えて行ってしまった。
「存外しぶといものだな。神秘によって神格へと昇華した肉体と、それによってもたらされる奇跡。その肉体の強さは、我が故郷の人間たちを思い出すぞ。もっとも……」
「ぐっ……ああ゛ぁっ!?」
再びガントレットから発せられた青と紫色の光が、生徒の体を上空に拘束する。
「タイタン星人に羽は生えていなかったがな」
悲痛な叫びを上げる生徒に対し、男は特に表情を変えることなく言葉を続けた。
「芙蓉アテネの居場所を教えて貰おうか」
死んでいたタグのMCUがやっと生き返りました。
次話から原作に突入します。
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