MARVEL STUDIOS 「ブルーアーカイブ」 作:MAN
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「……私のミスでした」
ふと聞こえてきたその言葉に、沈んでいた意識がゆっくりと浮上する。
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況」
小さく規則的に揺れる電車の、向かい側に座るは、特徴的な白い服を着た女の子。
「結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」
何処か見覚えのある姿だが、その顔は彼女の背中から差す陽光によって遮られている。
「彼は……行ってしまいましたね」
少女は揺れる窓の外を一瞥し、そう小さく呟いた。
「
そんな中、少女は小さく頭を下げ、私に語りかけてきた。
「……今更図々しいですが、おねがいします────先生」
妙に聞き馴染みのある、その呼び名。
「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……」
初めて聞く声のはずなのに、どうしてか忘れてはいけないと、そう強く感じる。
「ですから……大事なのは経験ではなく、選択……あなたにしかできない選択の数々」
沈みかけの太陽が彼女の背中から陽をこぼす。
青々とした空の中に、桃色の光が帯びていく。
「責任を負うものについて、話したことがありましたね」
その言葉と共に幻視するのは、
「あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます」
一瞬だけその姿に影が差し、彼女の全貌がぼんやりと映った。
「大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。……それが意味する心構えも」
はっきりとは見えなかったが、確かに彼女はその綺麗な肌を赤く染めていた。
「────?」
話しかけようとしたが、上手に声を出すことができない。
思わず喉に手を乗せたが、それでも結果が変わることはない。
「────ですから、先生」
そんな私を見て、少女は小さく微笑む。
その表情は見えなかったが、確かにそう感じたのだ。
「私が信じられる大人である、あなたなら」
「このねじれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……」
「そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです」
「だから先生……どうか」
「どうか……
────────────────
『えー? 今日も来れないの? 忙しいって理由で断るの、これで何日目?』
風を切る音と共に、聞き馴染みのある声が響き渡る。
鈴を転がしたような透き通った美しい声だが、その当人はどこか不満そうなご様子だ。
「分かってるだろ?
『ふーん? 私よりもその女のことを優先するんだ?』
仕方ないだろう。あの子はいつも意味深なことばかり言ってお茶を濁してたが、それでも無意味なことは言わないしやらないんだから。
……って、これを言っても意味無いか。多分関わりないだろうし。
「悪かったってミカ。予定では今日が先生の着任日だ。事態も落ち着くだろうし、そしたら埋め合わせはするから」
典型的な面倒くさい女のようなことを呟く幼馴染に、私は謝罪の言葉を口にする。
『あははっ。冗談だよっ。お仕事頑張ってねー』
そう言って、幼馴染……聖園ミカは通話からログアウトした。
「……あれは怒ってるな。HERMA、スケジュールにミカとの予定を入れておいてくれ。時刻は9時から18時まで。最優先事項で頼む」
言葉こそ普通だったが、伊達に12年も幼馴染をしていない。その心内は容易に分かる。
『承知しました。ミカ様との予定をスケジュールに登録しておきました。後ほどご確認ください』
「ありがとう……見えてきたな」
向かう先はD.U.外郭地区。私の自宅からは程遠くない場所に位置しているが、2年前に拠点をアビドスに移してからはあまり帰っていない。
今日もアビドスの砂漠を超えて出張というわけだ。
外壁の大部分をガラス張りされた、相変わらずセキュリティが若干心配な建物がモニター越しに映ってきた。
「初めてのお仕事は、オフィスのセキュリティの強化かな。……ん?」
入口の真上までたどり着くと、見知った顔の生徒たちが大規模な戦闘を繰り広げている事に気が付いた。
「ああもう! 巡航戦車が居るのは聞いてたけど、何でこんな大規模な航空部隊まで出張って来てるのよ!?」
「……ユウカ?」
下で叫びを上げるのは、ミレニアムの生徒会に所属している早瀬ユウカだった。よく見るとハスミとスズミの姿も見える。
もう1人の子は……知り合いではないが、左腕に付けた腕章からゲヘナの風紀委員会の生徒であるのは間違いないだろう。見たことないってことは多分1年生かな。
『後方には例の先生の姿もあります。占領されたS.C.H.A.L.Eオフィスの奪還の最中だと考えられます』
所属も学年もてんでバラバラの4人が一緒にいる理由は不明だが、とりあえず困っていそうなので助けに行こう。
「さて、新作Mark25の性能テストと行こうか!」
ユウカたちを取り囲むように位置する数台のヘリコプターのうち、一台に向かって急降下。直撃する寸前で羽を前方に展開する。
突き出した羽には耐熱性に優れたタングステンチタニウムの合金装甲が張られており、その端を覆うように青いプラズマを発生させる。
おおよそ4000度の熱を誇るプラズマは高速回転するヘリコプターの羽を突き抜け、機体は断面を赤く染め上げながら真っ二つになって落ちていった。
「……ヘリコプターが真っ二つか。人には使えないな」
回転する羽を切り裂くつもりだったのだが、まさかここまでの威力とは。さながら某宇宙戦争映画のライトセーバーだな。
真っ二つに切断されたヘリは他の機体を巻き込み。ユウカたちの傍に墜落した。
「なっ!? あなたは!」
正面で戦車と向かっていたユウカが、驚いたように上を見上げて声を上げる。
「やあユウカ。助けに来たよ」
変声機能が付いていることを確認し、私はユウカたちに向けて手を振った。
「危ないでしょう!? 後ろには丸腰の先生も居るのよ!」
墜落したヘリを指さし、怒号を上げるユウカ。
後ろに立つハスミもどことなく呆れたような視線を送ってきている。
「……ごめん」
新しいスーツにテンションが上がり、周りが見えていなかったことを素直に謝罪する。
「全く……ありがたいけど、もっとちゃんと周りを見ないと……っ!?」
その瞬間、ユウカたちの正面の巡航戦車が、その大きな主砲の照準をユウカに向けた。
ユウカも直前で気が付いたようだが、時すでに遅しで大きな音を立てて砲弾が発射される。
「きゃっ!?」
徹甲弾が直撃する直前で地面に降り立ち、左手を構えて何もない腕から盾を展開。150ミリメートルを誇る弾丸は、遥か斜め上に弾かれて飛んで行った。
『蓄積エネルギー14.2パーセント。UNI-ビーム発射可能です』
ヘリコプターと砲弾に激突した運動エネルギーが蓄積され、正面に構えた胸のリパルサーへと集約していく。
「お返しだ」
胸から発射されたUNI-ビームが、目の前の戦車を跡形もなく粉砕した。
「周りが見えていないのは2人共同じだったようだね」
「……ありがとう」
頬を膨らませながらもしっかりとお礼を言うユウカ。
そんな律儀な彼女に笑いながら、無線に割り込んで指示を出していたであろう先生に話しかける。
「先ほどは失礼しました。上のヘリコプターについては私に任せてください」
『ありがとう。えっと、君の名前は?』
おっと、自己紹介すら忘れてしまうとは。徹夜でスーツを作ったのは悪手だったかな。
外部にマイクをオフにし、外の人たちに伝わらないようにして話す。
「────アビドス高等学校生徒会副会長、芙蓉アテネと申します。一応中身は人間ですが、訳あって正体を隠しているので、ここではトニーと呼んでください」
この姿の名前として広まっている偽名を教え、私は空へと飛び立つのであった。
────────────────
サンクトゥムタワーの制御権を確保した私は、リンにシャーレのオフィスを案内してもらっていた。
エレベータを昇り、地上のフロアへと踏み入れる。
少し歩くと、S.C.H.A.L.Eという張り札と共に、『空室、近々始業予定』と手書きで書かれた紙が貼ってある、ガラス張りの扉の前にたどり着いた。
「ここが、シャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね」
穏やかな口調で呟くリン。先ほどまでのピリピリした雰囲気は本来の彼女の性質ではなく、立て続けに問題が起こっていた故のものだということは容易に分かる。
「と言っても……」
しかし、どこか気まずそうにしているのはなぜだろうか?
そんな疑問を抱きながらドアを開け、オフィスへと足を運ぶ。
「所属予定の生徒によって、
案内されたシャーレの部室は、私の想像とは少し異なる様相を呈していた。
机の上に置かれているであろうモニターはすべて撤去され、その代わりとして大画面のホログラムが投影されている。
段ボールを抱えてオフィス内を飛び交うドローンや、地面から数センチ浮いた状態で地面を這うドローンも見える。後者は吸い込むような音が聞こえるため、オフィスの掃除を行っているのだろうか。
そして目を引くのは、中央に置かれた青と銀色のカラーリングをした、鎧のようなもの。
「……えっと、これは?」
見覚えはある。所々違いはあれど、これはさっきトニーが着ていたものと同じものだったからだ。
「先ほどのアーマーを着た生徒……トニーの本名についてはご存知でしょうか?」
「うん。芙蓉アテネ、だったよね」
私の言葉に頷いたリンが、呆れたようにため息をついて宙を舞うドローンを撫でる。
そして、リンが口を開こうとしたタイミングで、先ほど入ってきた扉が音を立てて開いた。
「そうです。彼は……っと、ここからは本人に説明してもらいましょう。丁度終わったようですし」
後ろを見れば、先ほど外で戦ってくれていたアテネの姿があった。
「お疲れリンちゃん。もしかして取り込み中だったかい?」
独特な機械音を出しながら、アテネはこちらに手を振って歩いてくる。
「……リンちゃん?」
「……いえ。先生にシャーレのオフィスについての説明をしていた所です」
リンはその呼び名に触れることなく、端的に状況の説明をした。
「なら丁度いいね。ついでに私の紹介も済ませようか」
そう言った途端、アテネが着ていたアーマーの前面がガラッと開く。その中からは、サラサラとした黄金色の髪の毛をポニーテールでまとめた、背の高い一人の生徒が出てきた。
「おぉ……!」
その男心くすぐる変形に思わず声が漏れてしまう。
そんな私を見て嬉しそうに笑いながら、アテネは右手を差し出してきた。
「あはは、良い反応してくれますね先生。キヴォトスで
「……男?」
初めて会う生徒にする反応ではないのは分かっていたが、その中性的な見た目と声、そして男のロマンという言葉から、思わず確認を取ってしまった。
私の言葉に苦笑いを浮かべ、左手で頬をポリポリと掻くアテネ。
「初見じゃ困惑しますよね。では、改めて紹介させていただきます。アビドス生徒会副会長兼、S.C.H.A.L.E
差し出された手を取り挨拶を返す。
「よろしく。……担当顧問補佐というのは?」
S.C.H.A.L.E担当顧問というのは私のことだというのは何となくわかるけど……
そんな疑問を抱いていると、隣に立つリンがアテネの方を見て答えてくれた。
「彼には先生の業務の手伝い、送迎、そして護衛などを行ってもらう予定です。連邦生徒会の行政官である私たちと違い、学園に所属しているという微妙な立場の生徒ではありますが、有能な人物であることは間違いありません。そして……」
アテネの頭の上に浮かぶヘイローを見て、言葉を続けるリン。
「キヴォトスで唯一の、ヘイローを持つ男子生徒です」
「ほ、本当に男の子……なの?」
確かに改めて言われると体格もしっかりしているし、身長も私より高い。
だがきめの細かい白い肌や、手入れがされているであろう綺麗なロングヘア、そして眉目秀麗なその顔立ちは、視覚から彼を女性だと錯覚させていた。
「はい。これを知るのは本当に僅かの生徒のみなので、内緒でお願いしますね?」
そう言って片目を閉じ、人差し指を唇に当てるその姿は、どう見ても女の子にしか見えなかった。
──プロフィール
フルネーム:芙蓉 アテネ(Mark25)
役割:STRIKER
ポジション:FRONT
クラス:アタッカー
武器種:
遮蔽物:×
攻撃タイプ:神秘
防御タイプ:重装甲
市街地戦闘力:S
屋外戦闘力:A
屋内戦闘力:D
学園:アビドス高等学校3年生
部活:アビドス生徒会、独立連邦捜査局
年齢:17歳
誕生日:4月29日
身長:182㎝
趣味:兵器開発、髪の手入れ、化粧
──基本情報
アビドス高等学校所属、全身を金属で出来たスーツで保護している。ヘルメットに付けたボイスチェンジャーで声を加工しており、その素顔、本名を知る生徒は存在しない……と言われているが、実際はそこそこの数の生徒に正体がバレている。
正体を知らない生徒に対しては、男性型ロボットとして接している。特殊な技術で見えなくしているが、機能をオフにするとしっかりとヘイローらしきものが浮かんでいる。
非常に先進的な科学技術を扱い、銃で戦えないという欠点を自身の開発した光学兵器を使用することでカバーしている。金属製のアーマーもそのうちの一つ。
男性であることを隠すため、化粧で顔つきを誤魔化している。そのため化粧の技術が凄まじく、他の生徒に化粧を教える様が見られ、彼女たちからは師匠と親しまれている。
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