ヤンデル大鯨ちゃんのオシオキ日記   作:リュウ@立月己田

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 提督の言葉の意味を知った私は、もう止まることができませんでした。
いえ、止まる気なんて、全く無かったんですが。

 そしてこうなってしまった以上、やるべきことはただ1つ。

 私の初めての相手は……、あなたですよ、提督。


私がヤン鯨になった理由 その8「はじめまして、ヤン鯨です♪」(完) ※今話は拷問&グロシーンを含む為、ご注意ください

 

 床には仰向けで拘束されたままのル級。

 

 私の手で胸倉を掴まれ、倒れたくても倒れられない提督が血みどろの顔を腫らしています。

 

 イメージ的には有名格闘ゲームの2作目で負けた相手の顔が映る感じでしょうか。あれってガチでボコボコですよね~。

 

「も、もぅ……ひゃめ……て……くれ……」

 

 いつもは冷たい視線で私たちを震えあがらせる提督も、こうなってしまったら見る影もありません。

 

 でも、自業自得なんですから仕方ないです。むしろ優しいモノですよね?

 

「ん~、そうですねぇ~。どうしましょうか~」

 

 正直に言えば物足りなさはアリまくりです。元から解体することが決まっていたにもかかわらず、断れない状況にしてル級を拷問させ、失敗したと決めつけて愕然とさせられたんですよ?

 

 しかも後半の拷問のほとんどは提督の命令に従っていただけですし、これが失敗だって言うのなら私のせいじゃありませんよね~。

 

 ――とまぁ、そういうことで、提督の本音をちゃんと推測できた訳なんですが、去り際の一言が完全に真っ黒でした。アレがなければ提督の勝ちだった気がします。

 

 しかしこうなってしまったらもう後には引けません。このまま提督を放置する訳にもいきませんし、私の気持ちも踏み躙られたままですから~。

 

「いっぱい、い~っぱい殴っちゃいましたから、少しばかりはストレスを発散できましたけど……」

 

「そ、それ……なら……」

 

「ル級の分はまだまだですよね~」

 

「……ぇ……?」

 

 なにを言っているのだ――というような顔を浮かべている提督ですが、真っ先に被害を被ったのはル級です。

 

 たとえ深海棲艦だとしても、少しくらいは救われても良いじゃないですか~。

 

「それじゃあ、こっちに行きましょう~」

 

「な、なに……を、……なにをする……気だ……っ!?」

 

 擦れた声をあげる提督ですが、私の力では敵う訳もありません。ただでさえ私に殴られて弱っているのですから、すでに積んじゃっている状態なんですよ~?

 

「それはもちろん、やられたらやり返す……ですよね?」

 

「……なっ!?」

 

「ちなみにル級は動けませんから、私が代りにやってあげますのでご安心を~」

 

「ま、待て……っ、頼むから……これ以上は……むぐうっ!?」

 

 私は問答無用で提督の口の中にホースをねじ込み、喉の奥へと突っ込みます。

 

 もちろんこのホースはル級に使っていたのと同じやつなので、反対側は蛇口に繋がっていますよ~。

 

「んぐっ、むぐがっ、むぐうぅぅぅっ!」

 

「はいは~い、きっちり飲み込んでいきましょうね~」

 

 ル級のときは自ら飲み込んでいたこともありましたので比較的簡単でしたけど、提督の場合はもろに抵抗しています。ですが、そこは強引に力任せにいっちゃいます。

 

「ごが……ががががが……」

 

 嗚咽をあげ、目から大量の涙を流す提督がガタガタと身体を震わせても、私は一向に止めません。

 

 己の罪を、身を持って知ってもらわなければいけませんし、これが当り前のことでしょう?

 

 やられたらやり返す。

 

 解体されそうになったんだから、解体してあげなきゃダメじゃないですか~。

 

「さて……と、これで準備は完了でしょうか~」

 

「うご……、ぐがぁ……」

 

「うふふー、なにを言っているのか分かりませんねぇー」

 

 必死に抵抗しようとする提督ですけど、私に力で敵わないってまだ分からないんですかね~。

 

 そもそも、いくら秘書艦だからって、解体するのが決まっている私と2人きりで密室に連れ込もうというのが間違いです。

 

 あ、でも、ル級が居たから2人きりじゃないですか。

 

 まぁ、今更どうでも良いことですけどね~。

 

「ではでは、尋問を開始します~」

 

「んがぁ!?」

 

「どうして私と潜水艦のみんなを解体しようとしたんですか~?」

 

「んぐ、んごぁっ!」

 

「う~ん、なにを言っているか全く分かりませんねぇ~」

 

「んぐっ、むごんがっ!」

 

「聞くだけ無駄って感じでしょうか~」

 

「んごがぁっ!」

 

 ジタバタと手足を暴れさせる提督ですが、胸倉を掴んだ私の手が緩むようなことはなく、暫くすると疲れたのか動きが鈍くなりました。

 

 あれだけ殴った後なのにまだ体力を残していたのは驚きですが、そこは火事場のなんたら力ってやつでしょう。

 

「ちゃんと答える気になるように、拷問を開始しま~す」

 

「……がっ、んがっ!」

 

「それでは……スタ~ト♪」

 

 私は蛇口の上に取り付けてあるパーツを握り、勢いよく捻り込みました。

 

 

 

 ブシャアァァァァ……ッ!

 

 

 

「んぐっ、ぐごごごごぉっ!?」

 

「ほらほら、早く答えてくれないと、水は止まりませんよ~?」

 

「むぐっ、んむぐうっ!」

 

 食道までねじ込んだホースの先から流し込まれる水は直接胃に溜まり、提督のお腹はすぐに膨らみ始めました。

 

「おぼぉっ、ぐぶぅっ!」

 

 悲鳴をあげる提督の顔は真っ赤になり、大きく見開かれた目も充血していました。それでも私は水の勢いを弱めることはせず、限界までパーツを捻ったんです。

 

「ごぼがばぐぶげぼぉっ!」

 

 女性が妊娠し、出産間近の大きさよりも膨らんだお腹は張り裂けそうになり、軍服のボタンはあちらこちらに飛び散りました。お尻の方からも勢い良く水が噴き出し、地面が水浸しになっていきます。

 

「あらあら~、提督ったら汚いですねぇ~」

 

 さすがに限界だと察した私は水を止め、ホースを勢いよく抜きました。

 

 もちろんル級と同じように吐き出させないようにする為、胸倉を掴んでいた手を首へと移し、ギュッと握りしめました。

 

「うご……が……ぁ……」

 

 強い力で頸動脈を締め付けられたことにより、提督の顔は更に赤く染まっていきます。赤というよりかは黒に近い感じですけどね~。

 

「それじゃあ一気に吐き出しちゃいましょうか~」

 

 言って、私は宙ぶらりんにした提督の膨らんだお腹に向け、正拳突きの要領で思いっきり拳を叩きつけた途端、

 

 

 

 パアァァァァァンッ!

 

 

 

「………………あっ」

 

 提督のお腹が大きな音を立てて破裂し、大量の水と赤い液体を辺り一面に撒き散らします。

 

「……っ、……っ!」

 

 ビクン、ビクンッと提督が大きく身体を痙攣させた後、手足の力が抜けてだらんとなり、両目がぐるりと回転して白目になりました。

 

「ありゃぁ……、やり過ぎちゃいましたか~」

 

 こうなってしまえば完全に手遅れなのは明白ですし、人間である提督にバケツを使ったところで全くの無意味です。

 

 どちらにしても無事で済ませる気はなかったですけど、あまりにも呆気ない終わり方になってしまい、私は完全に意気消沈しちゃったんですよね……。

 

 壊れた人形を捨てるように、ほんの少し前まで提督だったモノを適当に投げ、大きくため息を吐きました。

 

「クク……、クククク……ッ」

 

 部屋の中に突如聞こえた笑い声に耳を澄まし、ゆっくりと視線を床へと向けます。

 

「マサカ、コノヨウナ結末ニナロウトハ……、予想ダニシテイナカッタ……ゾ」

 

 未だ拘束されたままのル級ですが、その顔は満足そうに笑みを浮かべ、私をジッと見つめていました。

 

「シカシ、コウナッテシマッタ以上、貴様ハココニハ居ラレマイ。

 私ヲ解放スレバ、我々ノ仲間ニ……」

 

「あなたはいったい、なにを勘違いしているんでしょうか~?」

 

「……ナンダト?」

 

「ハッキリと言っておきますけど、私はあなたたちと全く違うんですよ~?」

 

 私はそう言いながらスイッチのある壁へと向かい、ル級の拘束を解いてあげました。

 

「――ですが、あなたの存在と言葉には少しばかり感謝しているのも事実です。そのお返しと言ってはなんですけど、身柄を解放してあげますね~」

 

「………………」

 

 ル級はゆっくりと立ち上がり、手足の調子を確かめてから口を開きました。

 

「私ト貴様ハ違ウ……ダト?」

 

「ええ、そうです。

 私は艦娘。あなたは深海棲艦。そうですよね?」

 

 首を傾げて問う私に、ル級は苦笑を浮かべながら息を吐きます。

 

「私カラスレバ、貴様ハドウ考エテモ普通トハ思エンガナ」

 

「普通……ですか~。その言葉がなにを基準にしているのか、分かりませんけれど……」

 

 私は赤く濡れた腕を大きく払い、首を大きく回してストレッチをしてからこう言います。

 

「道理が通らないモノに従うのなら、普通なんて糞喰らえですね~」

 

 嘘で塗り固めた言葉を吐くよりも、心からの本音を伝えよう。

 

 たとえそれが誰だって構わない。

 

 立場上の敵だろうが味方だろうが、今の私には関係がないことですからね。

 

「……藪ヲ突イテナントヤラ……ダナ」

 

「あれれ~、後悔してるのですか~?」

 

「フッ……、今更嘆イタトコロデ手遅レダロウ?」

 

「酷い言われようですねぇ~」

 

 クスクスと笑う私に、ル級は呆れた顔を浮かべながら肩をすくめました。

 

「サテ、長居ハ無用ダガ……、ココカラドウヤッテ逃ゲ出スカ……ダ」

 

「そうですね~。でもまぁ、なるようになるんじゃないでしょうか~」

 

「前向キナノハ良イガ、楽観的過ギルノデハナイノダロウカ……」

 

「気のせいですよ~」

 

 そう言って、私は出入り口の方へと歩きます。

 

 後ろから大きくため息を吐くような音が聞こえましたが、それも気のせいでしょう。

 

 とりあえず、今はここから脱出することに集中し、後のことは追々考えることにします。

 

 敵の敵は味方――なんて言葉もありますから、ル級も少しは手伝ってくれるでしょうからね~。

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 大きくため息を吐いた私は、カップに口をつけました。

 

「……まずい」

 

 過去の記憶を思い返しているうちに随分と時間が経ってしまったようで、コーヒーはぬるいを通り越して冷たくなっていました。

 

 気づけば振っていた雨は止み、雲の隙間から太陽の光が見え隠れしています。

 

「憂鬱な雨は消えましたけど、暇なのは変わりませんねぇ……」

 

 時間がどれくらい経ったのか正確には分かりませんが、お腹のすき具合から考えて2~3時間ほどでしょう。

 

 小腹を満たす為に、少しばかりなにか食べようかと思ったところで、ポケットの中に入れている携帯電話がブルブルと震えました。

 

「あれあれ、これは……なんのメールでしょう?」

 

 件名は無題。差出人も不明。

 

 思い当たるのはいくつかありますが、このタイミングならば……、

 

「あぁ、やっぱりですか……」

 

 私は肩をすくめながら息を吐き、呆れた顔で窓を見ます。

 

「雨も上がったことですし、暇つぶしには良いかもですね~」

 

 会う度に浮かび上がる記憶をすでに思い返した後ならば、憂鬱な気分もマシになるでしょう。

 

 あのとき以降、たまに連絡を取り合う腐れ縁。

 

 最近は舞鶴の近くにある島に住みだした彼女を、からかいに行きましょうかね~。

 

 

 

終わり

 





 これにて私がヤン鯨になった理由は終了ですー。
長々と8話も続けちゃいましたが、どうだったでしょうか?

 ちなみに今回登場したル級とは、艦娘幼稚園でもお馴染みのあのル級です。
ヤン鯨と一緒に脱出したル級は深海へと向かい、暫くの後、先生と出会う……ことになったりしたんですねー。


 さて、ヤン鯨ちゃんの方は一区切りしたので、そろそろ艦娘幼稚園の方へと移りたいと思います。
 現在執筆状況はあまり進んでいませんが、まったり更新ならばなんとかなりそうなので……、近いうちにできると思いますっ。


 それでは次回、またお会いできることを楽しみにしつつ……宜しくですっ!



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