シングルファザーが不老アルビノ美少女になって学校に通う話   作:ケーツー

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医師のやりとりとかは実際は絶対こんなんじゃないだろうなとは思うんですが、大目に見て下さい。それではどうぞ。


お父さん、女の子になる

 その日、某県にある県立病院は混迷の最中にいた。ある電気設備製造会社の工場が大爆発を起こし、それに巻き込まれた多数の従業員が運び込まれたのだ。比較的軽傷ですんだ者は現場から少し離れた駐車場で応急処置を施してその場で休ませているが、そうでない人達…全身大火傷を負った人や建材で身体を押し潰された人、有毒ガスを吸い込み意識がない人が救急車で次々と運び込まれてくる。既にこの病院のキャパシティを超えており、他の病院へ応援を頼んでいる始末。

 

「篠田先生!この患者は右腕と右脚が押し潰されています!傷口が広範囲で血が止まりません!すぐに緊急手術を!」

 

 報告を受け、急いで患者の元に駆けつける。担架に乗せられたその患者を見た時の第一印象は、最悪の一言だった。辛うじて頭への打撃は避けているが、右半身…右腕と右脚は押し潰され、メチャクチャに折れ曲がり、皮膚を真っ赤に染めるほど血があちこちから出ていた。さらに左半身も熱風を食らったのか広範囲に火傷が見られた。まだ生きているのが信じられないくらいだ。最早一刻の猶予も無い。この患者には辛い思いをさせるだろうが、右腕と右脚の切断は避けられないだろう。

 

「…右腕と右脚の切除を行う。すぐに手術室の準備をしてくれ。それと輸血の用意だ。この患者の血液型は…」

 

「この患者が携帯していた免許証によると血液型はO型。名前は白石透、年齢は42歳」

 

「わかった、患者を第三手術室に運んでくれ。準備出来次第、私もすぐに向かう」

 

 急いでオペの準備を済ませ、手術室へと入る。他にも緊急の患者が多い為、そちらに人手を割かれていつもより少ない人数で手術をこなさなければならない。敗戦処理という言葉が頭を掠めるが、それを振り払い目の前の患者に集中する。

 

「ではこれより…」

 

「篠田先生!患者の身体に異変が!」

 

「ん?…えっ、な、なんだ、、これは、、っ!?」

 

 今まさに処置を始めようとした瞬間に、信じられない事態が起こった。患者の右手足がメキメキと音を立てながら元に戻ろうとしていたのだ。傷口も急速に塞がり、さらに火傷もみるみる内に治っていく。

 

「な、何が起こってるんだ!?」

 

 まるで出来の悪いB級映画のCGを見ているかのようだったが、これは現実であり、患者の身体は再生と変異を繰り返していた。暫くの間呆然とする他なかったが、やがて一人の助手が記録用のカメラを回し始めた。

 

「おま、武井!何やってんだ!」

 

「何って記録ですよ記録!!こんな現象見たことも聞いたこともない!!だから撮影して動画として残さないと!どうせ俺たちがこの患者に出来ることはもうないでしょう!?」

 

「……っっ!!」

 

 確かに、これほどまで想定外の事態が起こってしまった以上、当初予定した切除手術は取りやめざるを得ない。逆に、今なお変異を続ける身体にどのような処置を施して良いのか教えて欲しいぐらいだ。

 

「……武井はこのまま撮影を続けろ。何か大きな異変があったらすぐに知らせるんだ。私を含め、他の者は別の急患の処置に入ってくれ」

 

「わ、わかりました!」

 

「わかりました!」

 

 手術台の上でグニャグニャと変異を続ける患者と撮影者を残して、私達は手術室を出る。まだまだ救うべき急患は沢山いる。ここで手をこまねいているよりは他の急患へリソースを割くべきだ。私は不安と先程の患者の変異への興味、科学的探究心を押し殺して合理的な判断を下す。結局、私達は夜中まで急患達の対応に追われることとなった。

 

 

 

 

────────────────

 

「んっ、んお…何処だここは…病室……?」

 

 目が覚めるとここは病室のようだった。清潔な白いシーツにほんのり香る薬品の匂い。病室は個室になっていて俺以外の人は見当たらない。

 

「はっ、そうだ!!俺の身体は…っおおぅ!?」

 

 身体を確認するより前に、自分の発した声に驚いてしまう。だって、この声は夢で見た女神様と同じ声だったから。野太い男の声ではなく、女の子の澄んだ綺麗な声。

 

「ははっ…まさか、な…」

 

 改めて自分の身体を確認すると、まず目に飛び込んできたのは自分の胸。男には存在しない、丸い双丘が深い谷間を作り出していた。思わずそれに触ろうと手を動かすが、その手はまるで新雪のように真っ白で。

 

「おいおいまじかよ…!!」

 

 自分の身体を包んでいる布団を引っぺがし、病衣を脱ぐ。どうやら自分が着ていたのはこの薄いパジャマのような病衣だけであり、下着はつけていないようだ。すっぽんぽんの全裸になり、オーバーヒートしそうな感情の処理能力を何とか冷やして、正しく現状を認識する。病的なまでに白い肌。か細い腕に、肩にかかる絹糸のように艶のある白い髪。身じろぎすればそれに連動してプルンと揺れる大きな胸。やけにスースーする股間。

 

「な、ない…!!」

 

 思わず股間に手をやるが、そこにあった自分が42年間連れ添った相棒は綺麗サッパリ消え去っており、代わりにつるりとした恥丘が男としての白石透は既にこの世にいないことを嫌でも語りかけてくる。

 

「か、鏡は、、顔はどうなっている…!?」

 

 病室を見渡すと、部屋の角に洗面台がありそこに急いで駆け寄る。何も着ていない全裸の状態だがそんなことを気にしている余裕はない。もう99%何が起こったのか見当はついているが、鏡に映る自分の顔を見てそれは確信に変わる。鏡に映る自分の顔は夢で見た女神様とそっくりになっていたのだから。

 

「…夢じゃなかった…」

 

 あれは夢ではなく現実で、俺は女神様と同じ容姿の女の子になってしまったのだ。

 

「これから一体、どうすれば…」

 

 しばらくの間その場で立ち尽くしていると、不意に病室の扉が開き、男の看護師が入ってきた。

 

「え?」

 

「は?」

 

 俺達二人は入り口付近と洗面台で数瞬間見つめ合うが、やがて向こうの顔が赤く染まり…

 

「し、失礼しました!!」

 

 そう言い残してピシャリと扉を閉めてしまった。

 

「あ、ちょっと待って下さい、ここってどこの病院です!?事故からどのぐらい時間がたってるんですか!?」

 

 俺が扉を開けて横で待機していた男の看護師に詰め寄ると…

 

「だあああ!!服!!服を着てください!!」

 

 あ、そういえば俺全裸だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

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