シングルファザーが不老アルビノ美少女になって学校に通う話   作:ケーツー

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お父さん、説明を受ける

「大変失礼しました!」

 

 俺の裸を見た男の看護師が頭を下げてくる。名前は武井というらしいが…そもそもこれは俺の不注意が招いたことなので逆に申し訳なく思ってしまう。因みにもう病衣を着ているぞ!胸のあたりが若干キツいがな!

 

「いえ、こちらもお見苦しいものをお見せして申し訳ありませんでした」

 

「そんな、とても綺麗なものを見せてもら…」

 

 ドスッ!!

 

「げほっ!な、何するんですか篠田先生!」

 

 あ、肘打ちを食らった。どうやらこの武井という若者は結構なお調子者のようだ。で、肘打ちを食らわせた医者は篠田というらしく、俺の処置を担当したんだそうな。うーむ、見るからにベテランの風格が漂うイケおじだ。きっと若い頃はさぞモテたんだろうな。

 

「最近はコンプライアンスがうるさいんだからセクハラと捉えかねない発言は慎むんだ、武井」

 

「は、はい…だからっていきなり殴んなくても」

 

「何、それで怪我したら俺が治してやるよ。さて、白石さん…」

 

 お、神妙な面持ちに…いよいよ本題か?俺が目覚めた知らせを受けて、今この部屋には篠田医師、武井医師、あとは女性の看護師が一人いる。みんな真剣な顔付きだ。

 

「まず、いくつか確認したいことがあります。あなたの名前と生年月日は?」

 

「白石透42歳。1973年2月10日生まれ」

 

「家族構成は?」

 

「今年の4月から中1になる娘が一人います。名前は白石百合。母親は百合を産んだ後死んで…それ以来百合は基本的に俺1人で育てています。あと東京に親戚がいます。俺のお袋と弟が」

 

「ふむ…なぜあなたがここに運び込まれたか、わかりますか?」

 

「勤務先の工場が爆発して…逃げ遅れて、そこから先はよく覚えてません」

 

「…ありがとうございます。どうやら白石透さん本人で間違いないようです。記憶も問題なさそうです。なにぶん最初に運び込まれた時と姿形が変わり過ぎてて、本人の人格が残っているのか、そもそも意思疎通が出来るのかどうかすらわからなかったのですが、この分なら問題なさそうだ」

 

「あの、俺からも聞きたいことがあるんですが」

 

「なんです?」

 

「ここはどこの病院ですか?あと事故から何時間たっているんですか?他の会社のみんなは無事なんですか?」

 

「…わかりました、その辺を含めて今の状況とこれからのことについて詳しくお話します。まずここは県立の総合病院です。この個室に運ばれたのは、あなたの身体にどんな変化が起こるか誰も予想できず、他の患者さんと一緒の部屋に入れることができなかったからです。今は落ち着いたみたいですが…、そうだ、あなたの身体が変化する過程を捉えた動画があります。少々グロテスクですが見ますか?」

 

「え…?動画撮られてたんですか?」

 

「あまりにも常軌を逸したことが起こり始めたので、医学的、生物学的見地から記録に残さねばと思いました。また、今後どういう対応をするにしても証拠映像があった方が良いと判断しました」

 

「なるほど…一応見させて下さい」

 

「わかりました。全てを見るのは長いので、飛ばし飛ばしで見ましょう。では…」

 

 篠田医師が大きめのタブレットを取り出し、動画を再生する。そこに映っていたのは、グニャグニャと変化を続ける人のような何か。おそらく壊死した部分は体外に排出し、体毛も全て抜け落ちている。顔らしき部分も元の俺の面影は既になくなっている。動画が進むにつれて徐々に女性の身体が形作られ、最後には真っ白な頭髪がもの凄いスピードで伸びていく様子が映っていた。

 

「…中々、刺激的な映像でしたね…」

 

「我々からすれば刺激的なんて言葉も生ぬるい、まさに奇跡としか言いようがない現象が起こったのです。これまで培ってきた医学的知識、研究を鼻で笑われる気分でした」

 

「なんかすみません」

 

「ああいえ、別に責めているわけではありません、むしろ、、いや、これは後でいいか…」

 

「?」

 

「それで、今は何日だと言う話でしたよね。今日は事故の翌日で、丁度24時間たったところです。下の階には怪我をした従業員の皆さんが入院しています。しかし、助けられなかった人も少なからずいました。運び込まれた時点ですでに死亡してしまった人も何人かいます。少なくとも、10人以上は亡くなりました」

 

「そうですか…あの、下に降りて顔を出したいんですが…」

 

「それはやめて下さい」

 

「え、何で…?」

 

「まず第一に、今のあなたは男性から女性へ身体が変わっています。体格から顔立ち、髪色まで何もかもが違う。そんなあなたを誰も白石透だと認識出来ないでしょう。第二に、あなたの立場を確立するまで出来るだけ他人との接触は避けてもらいたいのです」

 

「立場…ですか?」

 

「そうです。今言った通り、あなたがいくら自分が白石透だと主張しても、誰も信じないでしょう。いや、当人達にしか知り得ない事柄を共有出来ればあるいは信じてもらうことも出来るかもしれませんが、得策ではありません。戸籍や役所の手続きその他諸々を考えるといちいちあなたが白石透だと証明してまわるのは現実的ではない。それにあなたの身に起こった変化は、大っぴらに公表したくないんです。少なくとも現時点では」

 

「まぁ、確かに男から女に、それも短時間で急激に変化したとなれば色んな人が騒ぎ立てるでしょうね。研究者達や学会、マスコミ…ご丁寧に証拠映像までありますし」

 

「そうです。加えて今のあなたの容姿はかなりの美少女と言っていい。さらにアルビノのような白い肌と白い髪、蒼い瞳はどうしても人目を引きます。そんな存在が元は40代の男と分かればマスコミはさぞ騒ぎ立てるでしょう。証拠映像まで流出した日には目も当てられません」

 

 ゴシップ記事に隠し撮りされた写真、男の時との比較写真、付き纏いなど、ネガティブなイメージがどんどん膨れ上がっていく。マスゴミと言われる所以だが、そういったことを平気でする連中だと容易に想像がつく。

 

「ですので、会社従業員白石透は爆発事故で死亡したとするのが戸籍上、及びこれからのリスク管理の上で一番良い方法だと考えます」

 

「え、俺死んだことにされちゃうんですか?」

 

「はい、とにかく今のあなたと白石透をイコールで結びつける要素は出来るだけ排除するべきです。そのためには男、白石透は死亡したとするのが一番手っ取り早いのです。しかしそうなると、今度は今の女のあなたが戸籍上宙ぶらりんの状態になってしまうのですが…。多分、戸籍をでっち上げることになるでしょう。名前も変えなければなりません。その辺は追々考えていきましょう」

 

「は、はぁ…」

 

 な、なんだか大ごとになってきたぞ…

 

「ですので、白石透が生きているなどとは間違っても吹聴しないで下さい。ご家族にはその限りではありませんが」

 

「そ、そうだ、娘には連絡はいってるんですか!?」

 

「娘さんの方にはお父さんが事故に遭われたことは連絡済みです。恐らく娘さんを通して親戚の方にも連絡はいってるかと。今は面会謝絶で自宅で待機して欲しいと伝えています。昨日は当院も急患で手一杯でしたし、あなたの場合は色々特殊過ぎたので。でもあなたの様子を見る限り、もう面会しても問題ないでしょう。ご家族をお呼びしましょうか?」

 

「お願いします」

 

 女性の看護師は軽く頷くと部屋を出ていく。おそらくこれから俺が目覚めた旨の電話をするのだろう。はぁ…百合は女になった俺を見てどう思うだろうか。信じてもらえるだろうか…。いや、いつもの調子で話せばきっと信じてもらえる筈だ。

 俺の心の中は早く娘に会いたい気持ちと拒絶されるのではないかという不安が混沌と渦巻いていた。

 

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