ブルアカ世界に、キーブレードそのものとして転生した件について   作:ニュームーン

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すみません、更新遅れました。


第十七話 空に出会いました

「ほら、立てる?」

「あ、ありがとう……」

 

 そう言って、ソラと名乗る少年に差し出された手を取って、引き上げてもらう。

 私は砂浜から立ち上がって、改めてその少年と向き合った。

 

「……ねえ、ここって天国?」

「え? 違うよ、ここは俺の故郷。“デスティニーアイランド”って言うんだ」

 

 と言っても、そっくりなだけの場所だけどね。と、ソラは付け足していた。

 そっくりな場所……? 

 

「……もしかして、ここも心の世界?」

「ん? そうだよ。ここは心の世界。“俺が作った空間”なんだ」

「作った?」

「そう。まあ、作ったって言うより、自然とそうなったって言うか……君と、シロコと話す為に空間を用意したら、なんかこんな形になっちゃってたんだ」

 

 たはは、と片手で頭を掻きながら、照れ臭そうに少年は笑っていた。

 私の名前を知っている……そして、ここも心の世界という事は……

 

「あなたも、もしかしてリクの関係者?」

「そうだよ、リクは俺の親友!! 大切な友達なんだ!」

 

 ニカっ! と笑いながら言った彼の顔は、とても明るい表情だった。

 そう言って、ソラは私に向き直って話を進めてくる。

 

「にしても、さっきは危なかったな」

「ん? もしかして、見てた?」

「ああ、悪いけどちょっと覗き見してた。危ない所だったから、俺がここに呼び寄せたんだ」

「……そっか」

 

 つまり、私はソラに助けられたという事なんだろう。

 その事は、お礼を言うべきだ。

 

「ありがとう……」

「良いって、良いって」

「…………」

「あれ、どうしたの?」

 

 私はソラにお礼を言った後、つい俯いてしまっていた。

 それを見て怪訝そうな顔で、ソラは質問して来た。

 

「……私は、失敗した」

 

 さっきまで受けていた、試練のことを振り返って、私はそう呟いた。

 

「自分の心の闇を……弱さを、倒す事が出来なかった……」

「…………」

「私は……弱い」

 

 ポツリポツリと話す私の言葉を、ソラは黙って聞いていてくれた。

 

「強ければ、こんなことにはならなかった……強さがあれば、あの状況を突破出来た……強さが、強さがあれば……あれ、ば……」

「……うーん」

 

 そこまで聞いて、ソラはポリポリと頭を掻いていた。

 なんて声を掛ければ良いか悩んでいるように。

 

「……ごめん、こんな事愚痴っちゃって。私は……」

「……ねえ、シロコ」

 

「──“ちょっと俺と、戦ってみない?”」

「……え?」

 

 ☆★☆

 

「はい、木剣。悪いな、俺銃って使った事なくて。キーブレード変形ので良いならあるんだけど、本物はなー」

「え、うん……」

 

 そんな提案を、ソラからされて。

 私はソラから木で出来た剣を貰って、私たちは砂浜で向き合っていた。

 ソラもキーブレードではなく、木剣を持っている。

 

「それじゃ、勝負は先に3回相手に攻撃をヒットさせた方が勝ちって事で、いい?」

「うん」

 

 私は言われるがまま準備をしていたけど、とりあえずこの勝負は受ける事にした。

 今はちょっと気分を変えたいし、挑まれた勝負を逃げるような事はしたくない。

 

「よっし、いくぞー!」

「ん、受けて立つ」

 

 そうして、私たちは互いに走り出した。

 互いに木剣を振りかぶって、鍔迫り合いになる。

 

「へへ、どうだ!」

「ん、意外と力強い……!?」

 

 ソラは見たところ、キヴォトス人じゃない筈なのに、私と同等の力を持っていた。

 この時点で、私はソラに対する認識を変えていた。

 

 力強く押し返して、ソラに一撃を見舞おうと大きく剣を振りかぶる。

 

「よっと!」

「ん! 防がれた……!!」

 

 しかし、私の振りかぶった一撃を簡単にガードされて、逆に私が体勢を崩されてしまう。

 そして、開いた胴にソラの木剣が叩き込まれていた。

 

「へへっ、まずは1ポイント!」

「ん、しまった……!!」

 

 そこから、私はポイントを取り返すようにソラにラッシュを仕掛けて行った。

 しかし、どれも簡単に回避やガードされ、逆に自分の隙を晒す始末。

 何度目かの攻防で、再度できた隙を突かれ、あっという間に2ポイントに。

 

「ん、強い……!?」

「へへ、だろ!」

 

 ……こうして手を合わせてみて分かった。

 確かに、私自身木剣の使い方が素人だという点は否定出来ない。

 けれど、それ以上に“ソラの戦い方が上手い”。

 

 力の逸らし方、体勢の維持、隙のつき方。

 激しい動きをしているわけではない。時には大きな隙なように見える攻撃もある。

 けれど、こちらの行動のタイミングに合わせて放たれるそれらの動きは、実質隙が無い動きとして成り立っている。

 

 なんというか、技の練度が違う、といった印象だった。

 戦いを知ってる動き、といえば良いのだろうか? 

 

「凄い……」

 

 私はそう、感嘆の声を漏らしていた。

 目の前の同い年、あるいはちょっと年下のように見える男の子が、見た目と違ってとんでもない実力者だと。

 そして……

 

「楽しそう……」

 

 そう、ソラは“笑っていた”。

 こうして手合わせしている間、距離を取って向かい合っている間にも、常に楽しそうな笑顔を浮かべていた。

 まるで一瞬一瞬を楽しんでいるかのように。

 ……それが、とても羨ましく感じて。

 

「シロコ、まだやる? それとも諦める?」

「ん、そんなわけない!」

 

 私は、気持ちを切り替える。目の前の少年が実力者だという事はよく分かった。

 けれど、だからと言って諦める気は無い。

 受けた勝負、何事も負けるつもりはない! 

 

 そう思って、私は大きく振りかぶって──

 

 ☆★☆

 

「──負けた」

「へへ、俺の勝ち」

 

 私は砂浜に寝転がって、そう呟いていた。

 悔しい、結局一点も奪えなかった。慣れない武器とはいえ、ここまで差があったなんて……

 空を見上げると、果てしない青空が広がっているのが見えて、より負けたことが染み渡る。

 

「シロコ、楽しかった?」

「……うん、楽しかった」

「だろー? ちょっと運動できて、頭の中スッキリしたでしょ」

「ん、ありがとう」

 

 ソラの言葉に、私は仰向けの状態のままそう返事をした。

 これは確かにそう。負けたけど、ソラとの戦いは新鮮な気分で、とても楽しかったと言えるだろう。

 良い気分転換にはなってくれた。

 

 私はソラに差し出された手を握って、引っ張り上げてもらって立たして貰う。

 

「強いね、ソラ」

「へへ、そうだろー。俺だって、たくさんの修羅場を潜り抜けて来たんだからな」

 

 といっても、この俺じゃない俺だけど。と、ソラは呟いていた。

 確か、リクと親友という事は、ソラもゲームのキャラなのだろう。

 ココロが知ってる記憶から、彼も作られた存在だと。

 

 ……けれど、だとしても先ほど戦った時に感じた強さがある事には変わらない。

 

「凄いね……どうすれば、あなたのように強くなれるかな?」

「……シロコ?」

「さっきの手合わせでよく分かった。あなたはとっても強い人。……それこそ、キーブレードを使ったらどれだけ強いか分からないくらいに」

 

 そうだ。さっきは模擬戦で木剣同士の戦いだった。

 それだけでも彼の強さが滲み出ていたのに、彼は自分のキーブレードを持っていた。

 彼本来の武器で戦ったら、どれだけ強いのか想像出来ない。

 私は、それが羨ましくて。

 

「……ねえ。あなたなら、あの試練を突破出来る? 私がさっきまで受けていた、あの試練を」

「……うん。多分余裕」

「ん、だよね。……私も、そうなりたい。どうすれば良い?」

 

 私は、目の前の彼にそう聞いた。

 強さを持っている彼なら、答えを知ってると信じて……

 

 すると、しばらくソラはうーん……と考え込み。

 話し出した言葉は……

 

「──“シロコにとって、強さって何?”」

「……え?」

 

 ソラは、真っ直ぐな目で私を見つめて、そう聞いて来た。

 

「ちょっと答えてみてくれる?」

「……えっと」

 

 その言葉に一瞬呆けるけど、私はよくよく考えて見て……

 

「……“倒す強さ”。襲ってくる敵や、私より強い人を倒す為」

 

 私は、そう答えを出した。ヘルメット団や、カイザーに学校を襲撃された事。

 飛び出していくホシノ先輩を止める為に、戦った事。

 その時の事を思い出して、そう呟いた。

 

 その答えを聞いて、ソラは……

 

「……うーん。もう少し聞いて良い?」

「ん、何?」

「どうして、敵を倒す必要があるの?」

「え? なんで当たり前のことを……?」

「良いから良いから。ちょっとシロコなりの理由を聞かせて欲しいんだ」

 

 敵を倒す。当たり前の言葉に対して、ソラはそれに理由を聞きたいと言う。

 ……確かに、改めて深く考えた事は無かったかもしれない。

 私は、更に考えて……

 

「……“奪われない為”、かな」

「奪われない為?」

「そう。私の持っているものを、私達の居場所を、守る為」

 

 私は、アビドス学園を……私を拾ってくれたホシノ先輩とノノミの事を思い出す。

 あそこは……私の全てだから。

 思えば、ずっとそうだった。私は拾われる前から、私の持っている物を奪われない為に強くなりたかった。

 ホシノ先輩達が、私に居場所を与えてくれたんだ。

 

「だから……私は強くなりたい。学校を守って、自分の居場所を守れるように」

 

 私は、そうはっきりとソラに伝えた。

 私なりの、答えを。

 

「……そっか。シロコは、強さを求める理由をはっきり持ってるんだね」

「……うん」

「うん。その考えは、間違ってないと思うよ」

 

 私はつい、顔を上げる。

 ソラは、そう肯定してくれた。

 私の事を、間違っていないって──

 

「……けれど」

「……けれど?」

「“強さを求める理由”は、間違っていない。けど、“求める強さの方向”が、ずれてるんだと思う」

「──え?」

 

 強さの、方向……? 

 

「“倒す強さ”。それも間違ってるわけじゃないと思う」

「なら……」

「俺も、君の事はココロを通して知ってる。だから、ちょっと聞いて良い?」

 

 そう前置きをして、ソラはこう言って来た。

 

「──その“倒す強さ”って、君の先輩、“ホシノが既に持っている”と思うんだ」

「……ん、うん」

 

 それは……その通りだ。ホシノ先輩の強さが、私にとって理想の先にあると言って良い。

 だから、ホシノ先輩は既に持ってると言っても過言じゃないと思う。

 

「……けどさ。既にホシノが持ってるなら、全て問題ないんじゃないの?」

「……え? いや……」

「だってそうでしょ? “君の求める強さが先輩が持っているなら、全て上手くいってる筈”。違う?」

「……ち、違う」

「なんで?」

「だ、だって……」

 

 まだ、借金の問題も解決していない。

 それに、最初にカイザーが学校を奪おうと直接仕掛けて来た時、ホシノ先輩は囚われていた。

 列車砲の時だって、ホシノ先輩一人で突っ走って行って……反転して、大変な事になっていた。

 

「だから、ホシノ先輩だけが“倒す強さ”を持っていても、意味がない……」

「でも、それじゃあなんで君もその力が欲しいの? 意味がないって分かってるのに」

「それ、は……」

 

 私は、思い返す。

 列車砲の騒動の時に、無意識に強く思った事。

 

「……“頼って、欲しかった”」

 

 ポツリと、その言葉が溢れる。

 

「もっと、ホシノ先輩に……私達を、頼って欲しかった!! 一人で突っ走らずに、私たちと一緒に協力して欲しかった!!」

 

 私は、矢継ぎ早に言葉を喋りだす。

 ずっとずっと、思っていた本当の事を。

 

「でも、弱いから! 私たちが、私が弱いから!! ホシノ先輩は、私たちを頼ってくれない! 置いて行っちゃう! 全部一人でなんとかしようとしちゃう!!」

 

 だから、だから……!! 

 

「──ホシノ先輩に頼られる程の力が。“並び立てる力”が、欲しい」

 

 ……ああ、やっと腑に落ちた。

 私は、ホシノ先輩に、頼られたかったんだ。

 ソラに話していて、ようやく実感出来た事だった。

 

「……そっか。それがシロコの本音なんだね」

「……うん」

「……うん。分かるよ。俺も一時期“目覚めの力”っていうのを失ってた時、歯痒い思いをしていた経験があったから」

 

 そういって、ソラは私の肩をポンっと叩いてくれた。

 優しい目つきで、そう慰めて。

 

「シロコ。俺にとって力は、“つながる心”だ。一人では無理なことでも、みんなとなら一緒に乗り越えられる。つながる心が俺の力だ」

「……つながる、心」

 

 私は、ソラの言葉を繰り返して噛み締める。

 ああ、そっか。私が欲しい力って、本当は……

 

「良いね、それ……」

「だろ? 君は、ホシノに並び立ちたいんだ。彼女とつながりたいんだ。一緒に横で、戦えるくらいに」

「うん……うん!」

 

 私は涙を流しながら、その事を実感した。

 これが私の、本当に欲しかったもの……

 

 その事に気づいていると、ソラが呟き始める。

 

「……“強さを求める理由”は、初めから持っていた。“求める強さの方向”も、修正出来た。これなら、大丈夫かな」

 

 そう言うと、ソラは肩に置いていた手を離して、私と向き合った。

 

「シロコ、両手を出して!」

「……? うん……」

 

 私は言われるがまま、両手を差し出した。

 そこに、ソラが手をかざすと────“彼の手に、キーブレードが現れた”。

 

「ん!? 何処から……!?」

 

 そういえば、バトルで木剣を持った時、いつの間にか何処かに行っていた。

 てっきり離れた所に置いていたのかと思ってたけど、今のは……? 

 瞬間転移? それとも収納? 

 

「へへっ、これがキーブレード使いの力なんだよなー。さて、と。本来の“継承”の仕方とはちょっと違うけど……」

 

 そうしてソラは、手に持ったキーブレードを、私の両手の上に持って来て……

 

 

「──キーブレード。“キングダムチェーン”は、砂狼シロコを認めるよ。受け取って!!」

 

 ……そうして、そっと私の両手の上に、キーブレードを乗せてくれた。

 

「────っ」

 

 その瞬間、私はキーブレードから、暖かい光が流れ込んでくるのを感じ取った。

 ココロを持った時とは違う……手に馴染むなんてものじゃない。

 

 ……これは“”だ。

 私の一部が、手に乗せられたように錯覚する程馴染んでいた。

 

「おめでとうシロコ。そのキーブレードは、もう君の物だ」

「えっ……けど、その……いい、の?」

「良いんだ。“キーブレード自体が、君を認めたんだから”」

「〜〜〜〜っ!!」

 

 私はその言葉に感動して、ギュッとキーブレードを握りしめた。

 私は、間違いなく一歩を、踏み出せたような気がしたから。

 

 ……そう思っていたら、キーブレードがフッと消えてしまった。

 

「あっ……?!」

「大丈夫、仕舞っちゃっただけだよ。念じればまた出てくる。手をかざしてみて!」

「えっと、こう……!?」

 

 言う通りにすると、シャンッ! っと、私の右手にキーブレードが現れた。

 ……確かに出せた。自分の意思で、しっかり取り出せた実感が感じられる! 

 

「へへー、便利でしょ? 遠くにあるキーブレードを、呼び戻せたりも出来るんだよ。それがキーブレード使いの力の一つ」

「凄い……!!」

 

 私は調子に乗って、キーブレードを出し入れしたりして見せた。

 ん! 本当に取り出せたり、仕舞える! 

 

「シロコ、ちょっと魔法を撃ってみてよ。初級でいいから」

「ん、分かった。【ファイア】!! ッ!?」

 

 言われた通りに魔法を放ってみると、それだけで違いが分かる。

 威力の向上と、私の意思での操作性の向上。どちらも大きく変わっていると。

 

「“真のキーブレード使い”になれたからね。今までよりはるかに魔法が使いやすくなってる筈だよ」

「じゃあ、“ガ級”も……!!」

「練習は必要だけど、定型発動まではいけるんじゃないかな? 少なくとも、暴発は無いよ」

「ん! 嬉しい!」

 

 私はぴょんぴょん飛び跳ねそうなくらい嬉しくなっていた。

 望んでいた力が、一気に手に入って来る!! 

 

「シロコ」

 

 そう思っていると、ソラが静かにそう呼びかけて来た。

 

「これで君は、キーブレードという、新たな力をはっきり手に入れた」

 

 けどね、と……

 

「“こっち”も、忘れないであげて。ホラ」

 

 そういって、ソラが取り出したのは……!! 

 

「“私の銃”……!! “WHITE FANG 465”!!」

「凄い名前だね、それ。さっきシロコを呼び出した時、一緒に持って来たんだ」

 

 そういって、ソラは私の銃をマジマジと見つめていた。

 

「スッゲー、本物の銃なんて初めて触ったよ。シロコはこの銃、何処で手に入れたの?」

「それは……ホシノ先輩に拾われた時、ホシノ先輩とノノミが買ってくれて……」

「そっか。じゃあこれも、大切な物だよね?」

「うん……」

 

 そうして、私は左手でその銃を受け取った。

 そうだ、初めてこの銃を貰った時、嬉しくって二人に抱きついちゃったっけ……

 

「……“それ”も、シロコの力だよ。キーブレードとは違う、シロコが昔から持ってた力」

「……うん」

「えっと……俺、“神秘”ってのはよく分からないんだけど、キヴォトス人って銃の威力が変わったりするよね? 多分、キーブレード使いになった影響で、そこも少し変わると思う」

「おお……」

 

 じゃあやっぱり、この子も必要だ。

 新しい力が手に入ったからポイなんて、そんな事はするつもり無かったけど、どっちにしろありがたい。

 

「うん。……そして、シロコ。君に、言わなきゃいけないことがある」

「……ん?」

 

 そう噛み締めていると、ソラが表情を変えて真剣な目で私を見つめて……

 

「──“まだ、君の試練は終わっていない”」

 

 そんな事を、言い出した。

 

「──え?」

 

「思い出して。君は元々、“自分の心の闇”を乗り越えるための試練を受けていた。ここでの俺との会話は、その合間なだけ。君は“試練とは無関係に、キーブレード使いになっただけ”なんだ」

「──ッ?!」

 

 ……え? そう、なの? 

 言われてみれば、確かに試練とソラとの問答は全然関係無いような……? 

 

「……“強さを求める理由”を振り返った。“求める強さの方向”も修正した。なら次は、“自分の心の闇”と向き合ってくるべきなんだ」

「……!」

「まあ、“そこはリクの方が適任”そうなんだけどね。悪いけど、あとはリクに任せるよ」

 

 たはは、と照れ臭そうに頭を掻いた後、ソラは私に向き直り……

 

「……忘れないで。本当の強さは、キーブレードでも、強い武器なんかじゃない。“つながる心”が、本当の強さだって」

「……ん」

 

 大丈夫、分かってる。

 私が本当に求めていた、ホシノ先輩に並び立ちたい。それを、理解してるから。

 

「──よし! それじゃあ、シロコ! キーブレードを横に構えて!!」

「ん、こう?」

 

 そうして、私は言われた通り片手でキーブレードを目の前で横に構える。

 

「そうそう、そのままそのまま! ……シロコ」

 

「──頑張ってね!!」

 

 その言葉を、最後に……

 

 ☆★☆

 

 ──直後、構えたキーブレードに衝撃が走る。

 

 見ると、目の前に“闇の私”が偽物のキーブレードを振り下ろしており──

 

「────ンンンンンンンんんんんッッッ??!!!」

 

 大混乱のまま、私はとっさにキーブレードで振り上げた!! 

 片手で全力で押し返し、闇の私は空中で複数回回転しながら、離れた所に着地していた。

 

 び、ビックリしたぁ……!? 

 

「ここは……!?」

 

 あたりを見渡すと、ステンドグラスの世界。

 試練の場所に、戻って来ていた。

 

 さっきの状況、確か私は攻撃を振り下ろされるところでソラの所に行っていた……え? 時間全然経ってなかったって事? 

 

「大丈夫か、砂狼シロコ!?」

「あ、リク!」

 

 そう戸惑っていると、リクが焦った声を出しながら近づいて来てくれた。

 ん、私にとってさっきぶり。

 

「っ!? そのキーブレードは……!!」

「これ? ソラがくれたの。私を認めるって」

「ソラが……!?」

 

 そう言うと、リクは驚いたような表情になった後、だんだん納得したような顔になっていく。

 

「……そうか、別で来てたんだなアイツ。全く……」

「……リク」

 

 呆れたように呟くリクに対して、私は声を掛ける。

 私の意思を、伝える為に。

 

「──“試練を、もう一度受けたい”。私は、このままじゃ終われない」

「──っ。……良いんだな?」

 

 その言葉に、私はコクリ、と頷いた。

 さっきは逃げるしか出来なかった……けれど、今なら。

 

「……そうか」

 

 そういって、リクは一度目を閉じて……ゆっくりと開いて、私と向き合った。

 

「よし! なら、試練続行だ!! 砂狼シロコ、その新たに手に入ったキーブレードの力で、再度自分の心の闇と向き合って来い!!」

「ん!」

「先ほどと違って、お前はキーブレード使いとなった! キーブレード使いとしての戦い方なら、俺が教える!! 戦いながら聞いていけ!」

「分かった!!」

 

 簡潔に、指示を受けていく。

 それを全て了承し、リクは闇の私の方に振り向いた。

 

「よし! 行ってこい!!」

「ん!!」

 

 そうして私は、再度飛び出して行った。

 今度はもう、負けない。

 今出来る私の全力で、倒し──倒、し? 

 

 ──“本当に?

 

 ……私は再度、脳裏によぎった疑問を浮かび上がらせた。

 本当に、それで良いのか。

 その事に、一瞬足を止めようとして……

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『……ねえ、シロコ。──“ちょっと俺と、戦ってみない?”』

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「──ん! 戦ってから、考える!!」

 

 そう決め直し、今度こそ力強く踏み込んでいった……

 

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